久留百合子の生活者視点

仕事、旅行、日常のちょっとしたことから得た情報、生活者として感じたことなどを綴ってみます。

大店法の会議から見えてくる景気の動向

2010-01-21 11:18:48 | Weblog
 福岡県大規模小売店舗立地法(大店法)委員(副委員長)の任期が5月で終了することになりました。10年間委員をさせていただきました。
 その間、委員構成も変わりましたし、世の中の流れも、またこの法律自体も変わってきました。

 一番大きく、目に見えて変わったことは、昨年の9月頃までは、2時間の会議で審議しきれないほど新規出店や変更の案件があったのに、このところ、報告事項・決議事項あわせても2件~3件という減りようです。
 この10年、景気の良し悪しはありましたが、このように案件の減り方が激しいのは初めてです

 大店法の歴史を見てみると、1937年に旧百貨店法が制定され、戦後高度成長の波に乗って大型店進出の流れの中、1974年大規模小売店舗法が施行。規制強化のために対象面積を下げてきたのですが、1990年日米構造協議で規制緩和が叫ばれ、出店原則自由のハードルが下がり、各地で、特に郊外型の大型店の出店が盛んになりました。
 そのうちバブルははじけ、低成長時代に入り、大型店の出店競争と同時に、地元商店街、小売店が軒並み疲弊し、このままでは、中心地が空洞化してしまうということで、1998年「改正都市計画法」「大規模小売店舗立地法」「中心市街地活性化法」が公布になりました。
 特に中心市街地活性化法は話題になり、どちらかと言うと、郊外大型店が悪者のように言われた時期もありました。
 しかし、これまでの商店街に魅力を感じない若いファミリー層は、買物だけではなく、レジャーも兼ねた郊外大型店の利用をしだし、その後の商店街などの努力と大型店同士の競争などパイの食いあい的な感じは否めませんでした。

 また、実は大店法の基に審議される内容も大変限られており、交通、騒音、駐車場・駐輪場、生活環境などその店舗ができることによって、周辺に与える影響を考えて、問題が起こらないか審議するわけですが、店舗面積による杓子定規なチェックで「これでいいのかな」と思うこともありました。
 しかし、現在の傾向としては、このように景気が悪くなると、出店に関する一時のような地域での反対運動はほとんどなく、どちらかというと出店を歓迎するという方向になっておりますが、このところのように出店は激減という状況です。

 10年間、大店法に係わる出店の審議をしてきて、また消費者として感じることは、郊外大型店にしろ街の商店街にしろ、消費者にとって買物できる選択肢が増えることは喜ばしいことです
 しかし、一時のように大型店の進出によって(勿論これだけの理由ではないのですが)、軒並み街の商店が閉まってしまうと、今は車で買い物にいけるのでいいけれど、車に乗れなくなったら、どこで買物をすればいいのか。大型店も競争が激しく、地域にある大型店も撤退したら、その後はどうなるのか、などなど心配もつきません。
 自然環境を破壊し、どんどん開発されるのも考えものですが、こんなに元気のない経済の負のスパイラルも何とかしなくてはと思う今日この頃です
 
  委員の任期はきれますが、これからも消費者目線から、大店法の行方や、流通の動きには注目していきたいと思っています


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