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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

奇跡の救出劇

2023年03月13日 | 研究
毎年3月11日が近づくと思い出すことがあります。
これは震災約1ヶ月前のTEAM FLORA PHOTONICS。
場所は第2農場。当時あった園芸科学科の草花温室です。
彼女たちが行っているのは、冬の鉢花の代名詞でもあるプリムラの人工受粉。
右側が2年生。左側が当時Jr.の1年生です。
学年が違う彼女たちが一緒に制服で作業していることからこれは授業ではなく
放課後の自主的活動であることがわかります。
実はこの日、温室で咲いている西洋サクラソウであるプリムラを人工受粉して、
自分たちの花を咲かせる遊びを思いついたので急遽メンバーを招集。
すると生徒会長や農クの役員だらけで忙しかった当時のメンバーですが
この日は偶然ノースケジュール。たくさん集まってくれました。
プリムラは雄しべの長い長柱花と短い短柱花が半々で存在します。
そのため人工受粉を行うにはちょっとコツが必要なのです。
わいわい話しながらも作業を通して、彼女たちはコツを身につけていました。
この1ヶ月後に被災。そして5月には、彼女たちはサクラソウの人工受粉のために
種差海岸に彼女たちは立つことになります。限られた時間の中、
長柱花と短柱花を見極めてテキパキと作業を進められたのは、
まさにこの日の遊び体験があったからです。
なぜプリムラの人工受粉を思いついたのか、そしてみんな集まったのか?
昔よくみんなで話をしたものですが、当時の答えは女神FLORAのおかげ。
神話では花の女神であるFLORAは、自分の子供が亡くなった時、
あまりに哀れに思い、その姿をサクラソウに変えてしまいます。
東日本大震災はサクラソウの危機。つまりFLORAが我が子を救出に行くのは
当たり前のこと。もしかしたら女神FLORAの見えない力で
私たちは震災前から行動していたに違いないというのが結論でした。
サクラソウ救出劇の影にはたくさんの奇跡が隠されています。
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農高から大学に行こう

2023年03月13日 | 研究
これは2016年のTEAM FLORA PHOTINICSの男子が行った研究。
ダイコンとカブに赤や青の光を照射して、その反応を探ったものです。
これも最初に手をつけたのは2014年の園芸科学科時代の女子メンバー。
カブで実験して面白い結果を得ていたので、後輩の彼はその数年後、
ハツカダイコンと比較しながら先輩の研究をさらに深めました。
簡単にいえばハツカダイコンの可食部には変化ありませんが
カブは青色光で横幅が肥大するという内容です。
実はダイコンの可食部は根ですが、カブは胚軸。胚軸とは根と茎の間の部分です。
2009年からいろいろな植物をつかまえてはLEDを照射するという
強引な手法で実験をしてきたこともあり、赤色光は草丈を上に伸ばし
青色光は逆に葉や茎を厚くする傾向にあることを知っているFLORA。
絶対、カブに青色を照射したら大きくなると信じて2014年の女子は研究を開始します。
まるで確信犯。心配なのは胚軸が茎と同じ反応を示すかどうか。
でも胚軸といっても見た目は茎。絶対大丈夫と仮説を立て、
カブの肥大開始時期を調べて、そのタイミングで照射します。
結果は思った通り。青色LEDでぐんと肥大しました。
失敗などほとんどなく鮮やかに結果を出したメンバーは各大会で受賞しています。
失敗だらけのFLORAですが、こんなこともあるんですね。
始めて研究に取り組んだ女子も、数年後に再検証した男子も農学系の4年制大学に進学。
大学進学希望者が少ない農業高校の中にあって、この頃のFLORAは
毎年メンバーの誰かが筑波大学や弘前大学、東京農業大学などに進学していました。
農高なのに高い進学率。この状況に気づいた地元の新聞がわざわざ取り上げたぐらいです。
今年は久しぶりに農学を学ぶ4大生がFLORAに誕生。目指したら全力で後押しするのが農高。
まもなく合格発表。中学生の皆さん、農高からの大学進学もぜひ考えてみてください。
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