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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

FLORAの通知表

2023年03月12日 | 研究
ここにあるのは卒論という名の感想文。
他の研究班では2年間の研究成果をレポートにまとめて
最後の授業の時に提出しますが、今年度のFLORA HUNTERSは不要。
なぜならFFJ特級受検の際にすでに各自提出しているからです。
そんなことで特級を受検したメンバーには2年間、
人によってはJr.時代からの3年間の感想を書いてもらっています。
するといろいろ面白いことがわかってきます。
Jr出身のメンバーは4月にFLORA事務所が1年生に配布した募集用紙を母親に見せていました。
また「まだやることが決まってきないから」「先輩の活動がすごかったから」などの理由で
2名ともお母さんの勧めでJr.に応募したようです。お母さんに感謝です。
またストックホルム以外に課題研究の中で最も印象に残っている発表は
どの人もポスターセッションでした。それもリアルに対面で行った大会。
長丁場で体力を削られたとはいいますが、大学や企業の方とのディスカッションは
とても楽しかったようです。FLORAの発表活動の原点はポスターセッション。
いつの時代もメンバーを魅了してきました。特に彼らの活動は3年間コロナ禍。
現地に行って、自分の言葉で自由に話し合う体験はとても印象深かったようです。
さらに「研究というのはものすごく失敗するもの」、でも「もし失敗したら最初に立ち返って
次はどうすれば改善できるかを考えればまた挑戦できる」。
そして「成果はたくさんの失敗と努力で出来上がっている」とも書いています。
まるで人生を語っているかのようです。
最後には「一緒に活動するのが本当に楽しかった、みんなで遠征するのが嬉しかった。」
「3年後半、大会がひとつひとつ終わるたびに、卒業が近づいているのを感じる」という
楽しい思い出と活動を終える寂しさも多く綴られていました。
やはり遠征は苦労と喜び、そして食をともにすることで絆を強める貴重な機会でした。
感想文は彼らからいただいた2年間の通知表。どうやら合格点だったようです。
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南部菱刺し

2023年03月12日 | 学校
職員玄関脇の机に敷かれているテーブルクロス。
普段はあまり気にしませんでしたが、この日は偶然に目に入りました。
この印象的な菱形の模様。どなたが作られたのでしょう。「南部菱刺し」です。
青森県には津軽地方の「こぎん刺し」、南部地方の「菱刺し」と
日本三大刺し子のうち2つがあります。
布目を数えて刺繍するのですが、こぎ刺しは1目、3目、5目と奇数でとります。
しかし菱刺しは2目、4目、6目と偶数。このようにとる目の数が違うため
こぎん刺しが正方形になるのに対して、菱刺しは横長の菱形になります。
ご覧のようにこのテーブルクロスは横長の菱形の組み合わせ。
つまり南部菱刺しなのです。しかしこの文化は装飾ではありません。
野良着に刺すことで布が厚くなり、防寒着や雨具として機能が向上し、
冷たい雪やヤマセ対策になるのです。
また青森県では寒くて綿花が栽培できません。したがって木綿糸は貴重なもの。
先人は糸くずひとつも捨てずに活用したのです。
この菱形パターンには名前があります。一番左は「そろばん珠」、
その左上は「うろこ」、そしてその右が「梅の花」です。
パターンは数百もあり、すべて先人の農村暮らしに関したものがモチーフです。
家庭科教員でもないのに知っているのは、農村の暮らしから生まれたものだから。
農業という教科の守備範囲は広く、かつてこんな授業もしていました。
また数年前までは、名農に農村文化を研究するチームがいて
地元の方から教わり、伝統を継承しながら現代風にアレンジしては
地元や東京で作品展を開いていました。今も覚えているのが菱刺しのiPhoneケース。
ぜひ販売して欲しかった逸品です。大昔、家庭科の先生と組んで
リンゴ染めと南部裂織を組み合わせて農業クラブで日本一を受賞したことがあります。
名農から家庭や生活分野を扱う研究班が消えてしばらく経ちます。
今こそ農村文化に付加価値を見出す古くて新しい研究が必要かもしれません。
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