奇想庵@goo

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感想:『ロウきゅーぶ!』

2009年11月30日 21時41分49秒 | 本と雑誌
ロウきゅーぶ! (電撃文庫)ロウきゅーぶ! (電撃文庫)
価格:¥ 599(税込)
発売日:2009-02


「ロリ」を売りにしているが、読んでみると「ロリ」の皮をかぶったスポ根ライトノベルだった。

入学した高校のバスケ部部長が「ロリ」のせいで、部活が1年間休部という窮地に立たされた主人公の昴。中学時代に活躍し、名門校からも勧誘されていた彼がこの高校に入ったのはその部長に憧れてだったのだが……。
バスケへの情熱を失いかけていた矢先に、彼の元へ小学生女子バスケットボール部(女バス)コーチの要請が。女バスの存続を賭けた試合のための要請だったが、乗り気にならない昴。しかし、智花の美しいジャンプシュートをこのまま無くす訳にはいかないと思い……。

女バスの小学生5人の印象は、『苺ましまろ』(笑)。まほまほと美羽がかぶっている気がするのは私だけではないだろう。気の弱い愛莉、仕切り役の紗季、子供子供したひなたとキャラクターの作り方は定番ながらしっかり出来ている。女バスの顧問にして昴の叔母である美星も。キャラクターを立てることに成功した時点でライトノベルとして成立している。
その前提の上に、バスケの面白さ、スポ根の熱さを上手く織り交ぜた。試合シーンもきちんと描き切れている。コミックのノリに非常に近いが、自分にとってのバスケへの情熱といった思いの部分を丁寧に描いたことで小説的な要素も楽しめるようになっている。

昴が憧れていた先輩は今後登場するかどうか分からないが、その先輩と付き合っていた少女が智花じゃないかと思って途中まで読んでいた。彼女の過去が語られて違うようだと分かったが、今後の展開としてはその二人の動向が気になる。現状で話を広げる方向が他に考えにくいせいだけれど。スポ根とキャラクター性とのバランスが今後もうまく取れていれば、楽しめるシリーズとなりそうだ。(☆☆☆☆☆☆)


感想:『バッテリー〈2〉』

2009年11月30日 21時17分56秒 | あさのあつこ
バッテリー〈2〉 (角川文庫)バッテリー〈2〉 (角川文庫)
価格:¥ 580(税込)
発売日:2004-06


6巻中の第2巻。主人公たちの中学入学、野球部入部を描く。

自分が納得できることしかしようとしない巧。それは、中学での教師による管理や野球部での上下関係において激しい衝突を巻き起こす。それは単に巧一人の問題ではなく豪や沢口らにも影響を及ぼす。
豪との衝突と和解は二人の関係を新たな段階へと導くものだ。たとえどんな困難が待ち受けようとも己を曲げない巧の孤高を豪が受け入れたのだ。

野球部の先輩による暴行は、大地を踏みしめてじっくりと進む物語を揺さぶるものだった。
巧という不羈の精神を持つ少年の物語を描くためには、彼の周囲の人々もまた丁寧に描く必要がある。一人一人の存在感があってこそ、巧の人物像が浮き彫りになる。それは巧を支える側だけでなく、彼と対峙する側も同様だ。だが、明らかにそれに失敗した。
子供たちの陰湿さはいつの時代も変わらない。大人にばれないように弱者や気に入らない者をいたぶる行為は常にある。しかし、それが具体的にどんな行動で現れるかは必然性を積み上げたものでなくてはならない。2巻で描かれた暴力行為は非常に違和感を覚えるものだった。
彼らが巧に不快感を持つのは理解できるし、それを行動に結び付けることも自然だ。けれども、実際の行動はかなり暴力的で、途中の段階がすっ飛ばされているように感じた。どうしても物語の進行のために、無理矢理起こしたような出来事に見えた。

1巻同様著者のあとがきは非常に熱いものとなっている。強い想いをなんとか物語として描こうという激情。それは伝わってくる。伝わってはくるが、この巻に関してはそれが空回りしていると言わざるを得ない。
天才投手とはいえ、たかが12歳くらいの少年が、周りの子供たちだけでなく大人たちまでも変えてしまう力を持っている。それは、真摯に考えれば決して特異なことではないが、現実にはほとんど認識されないことであり、フィクションで描けば絵空事めいてしまうことである。絵空事に落とさないための著者の懸命さは伝わっても、作品として成功してはいない。少なくともこの巻では。
著者が描こうとしていることは、認識として普遍性を持っていることではない。少年期の読者はともかく、大人がここからノスタルジックな思いしか読み取れないとしたら著者の狙いは果たせなかったということになる。まだ2巻だから、これからが本当の勝負なのだろうが。著者の想いがどこまで届くのか、最後まで見届けたい。(☆☆☆☆)




これまでに読んだあさのあつこの本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

バッテリー』(☆☆☆☆☆☆)


感想:『刀語 第三話 千刀・ツルギ』

2009年11月29日 21時50分18秒 | 本と雑誌
刀語 第三話 千刀・ツルギ刀語 第三話 千刀・ツルギ
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2007-03-01


異形の刀よりもその使い手に比重を置いた第3話。千本にして一本という無茶のせいでもあるが。千刀ツルギは金偏に殺。

ケレンに彩られた大風呂敷が常識という枠に縛られて小さく折りたたまれてしまうことは他の著者の作品にもよく見られた傾向だが、本書もそれが目立つ内容だった。倫理に囚われない作風なのに、最後の最後に甘さが出てしまう。時代劇という何でもありの舞台で、破天荒さに欠けると物足りなさが目立つ。
難しい問題を提示するに足る世界観ではない。エンターテイメントとしていかに楽しませるかに特化したシリーズのはずである。重いものを持ち出すのは構わないが、処理に失敗すれば楽しめない。今回はそれが上手く出来なかった感じだ。

とがめと七花は正義のヒーローではない。大義を掲げて戦っているわけではない。幕府の命があるといえど、とがめの目的は私欲であり、七花もまたとがめのために戦っているに過ぎない。
その前提がある以上、キレイゴトを並べたところで仕方がない。もっと言えば、二人が勝つことが前提なのである。それでも、読者に納得させ、楽しませることが求められている。
結局のところ、対峙する側の描き方が不十分で、楽しめるレベルに達しなかったということになる。

本書での不満のもう一つが、敦賀迷彩との戦闘だ。迷彩の地形効果・千刀巡りから脱して七花は勝利した。しかし、七花の強さを描くなら、千刀巡りの中で倒して欲しかった。最大の見所である戦闘シーンが迫力不足になってしまっている。
次回は1話から話題として出てきた錆白兵が相手。中盤の山となってくれることを望む。(☆☆)




これまでに読んだ西尾維新の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い』(☆☆☆☆☆)
新本格魔法少女りすか』(☆☆☆☆☆☆)
新本格魔法少女 りすか2』(☆☆☆☆)
クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識』(☆)
クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子』(☆☆☆☆☆)
サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し』(☆☆☆)
サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄』(☆☆☆)
ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹』(☆☆)
ネコソギラジカル(上) 十三階段』(☆☆)
ネコソギラジカル(中) 赤き征裁VS.橙なる種』(☆☆)
ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い』(☆)
新本格魔法少女りすか3』(☆☆)
零崎双識の人間試験』(☆☆☆☆)
零崎軋識の人間ノック』(☆)
化物語(上)』(☆☆☆☆☆)
化物語(下)』(☆☆☆☆☆☆)
刀語 第一話 絶刀・鉋』(☆☆☆)
刀語 第二話 斬刀・鈍』(☆☆☆☆)


感想:『のだめカンタービレ #23』

2009年11月28日 20時10分37秒 | のだめカンタービレ
のだめカンタービレ #23 (講談社コミックスキス)のだめカンタービレ #23 (講談社コミックスキス)
価格:¥ 440(税込)
発売日:2009-11-27


完結。12月からは「Kiss」誌上で「のだめカンタービレ」オペラ編がスタートするようだが、本編はこれで終わり。

コミックからほぼ手を引いていた中で唯一新刊が発売されるとすぐに購入していたシリーズだった。読み始めたのは10巻を越えた頃からだったろうか。ヘンテコな、でも、ヘンテコだからこそ熱いキャンパスライフの楽しさ。「のだめ」というキャラクターのパワーが作品全体をかき乱し、読者の心までかき乱した。クラシック音楽やギャグに彩られてはいるが、まさに青春マンガだった。

Sオケでのベートーベン交響曲第3番<英雄>、のだめと千秋二人でのラフマニノフピアノ協奏曲第2番、R☆Sオケでのブラームス交響曲第1番。著者の音楽の描き方もぐんぐんと洗練され、オーケストラの演奏風景は凄まじい迫力を伴った。そして、のだめのコンクール挑戦と挫折。
物語はキャンパスライフから飛び出し、新たな境地へとたどり着く。才能の世界を舞台とした喜びと苦悩。日本での脳天気な雰囲気から一変し、暗いばかりではないが研ぎ澄まされた空気が漂うパリ編がスタートした。

二人の関係も変化する。
二人とも大人と呼び切れない未熟さを併せ持つ。才能の世界とは、努力が評価の対象とならず、それでも常に評価が付き纏う世界だ。青春群像劇のような展開は、それまでの『のだめカンタービレ』の作風とは異なるが、より音楽を正面から描き、登場人物たちの想いを丁寧に描写した。日本の時のような爽快感はないが、それに代わるものがあった。
そうした群像劇の後の二人の変化は、ついにこの23巻で終結する。たとえすれ違う時があっても、音楽という共通語で分かり合える。もちろん、それは音楽というものの素晴らしさでもあるが、一方で、ひとつのことに真剣に向き合った果てに得られたものでもある。

これまでほとんど登場しなかったヤドヴィが活躍したり、ラストに大きな盛り上がりがなかったりと、予想外の本編最終巻でもあった。特に、のだめと千秋がピアノ協奏曲での共演が描かれなかったことは意外にも感じた。その意味で、物足りなさが残った感はある。それでも、この物語が一応の終幕にたどり着いたことに、そして、何よりそれぞれのキャラクターにとって何かの終わりではなく続きのある物語であるというフィナーレに素直に納得した。

完結を迎えて著者に感謝の意を伝えたいと思える作品だった。読書メーターのコメントに書いた言葉をもう一度記す。音楽の素晴らしさと、愛と笑いに満ち溢れたハッピーな物語をありがとう!


感想:『GOSICK〈2〉ゴシック・その罪は名もなき』

2009年11月28日 19時15分58秒 | 本と雑誌
GOSICK〈2〉ゴシック・その罪は名もなき (富士見ミステリー文庫)GOSICK〈2〉ゴシック・その罪は名もなき (富士見ミステリー文庫)
価格:¥ 693(税込)
発売日:2004-05


ヴィクトリカが20年前の母の無実を晴らす展開。ミステリ形式だが、ミステリと言うよりはキャラクター小説と呼ぶのが妥当だろう。ライトノベルらしい作品だ。ほとんどヴィクトリカの個性だけで持っていると言っても過言ではないくらいだ。
リアリティはないし、構成も桜庭一樹にしては大人しい。設定にもさほど意外性がなく、ストーリーも起伏があるわけでもない。主人公たち以外のキャラクターにも魅力は感じられない。それでも400ページを読ませるだけの力がある。突出したものがなくても読ませる力量。
強く印象に残るようなシリーズとは思わないし、どうしても次が読みたいというものでもない。それでも読んでしまうものを持っていると言えるだろう。少女小説系の感性鋭い作品の魅力とは異なる、エンターテイナーとしての桜庭一樹の楽しさを味わえるシリーズと言ったところか。(☆☆☆☆)




これまでに読んだ桜庭一樹の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet』(☆☆☆☆☆☆☆)
少女七竈と七人の可愛そうな大人』(☆☆☆☆☆)
私の男』(☆)
少女には向かない職業』(☆☆☆☆☆)
赤朽葉家の伝説』(☆☆☆☆)
GOSICK―ゴシック


感想:『彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる』

2009年11月28日 19時13分28秒 | 彩雲国物語
彩雲国物語  黒蝶は檻にとらわれる (角川ビーンズ文庫)彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる (角川ビーンズ文庫)
価格:¥ 540(税込)
発売日:2008-11-29


本編の既刊はこれが最後。12月の新刊発売前になんとか追い付いた形である。まだ短編集「黄粱の夢」は残っているが。

六部のうちこれまで判明していなかった刑部尚書が登場し、官僚組織の面々が勢揃いした。そして、貴族派の旺季の勢力も明らかにされた。
怒涛の展開の中で、秀麗とその仲間たちの立場はどんどんと窮地へと追い込まれる。秀麗が官吏として著しく成長した姿は勇ましいが、それと引き換えのように劉輝はヘタレになっていくし、楸瑛や絳攸は影が薄くなった。オロオロしている3人組といった感さえある。静蘭ですら端役っぽくなってしまい、タンタンの方が存在感があるくらいだ(登場さえしないのに)。若手の中では、秀麗のライバル清雅一人勝ちって有様で、それに対抗できる唯一の存在は燕青くらいだが……。

苦悩する若者たちに比べて余裕のある大人たち。ついに邵可が動き、劉輝を支援する側に立ったが、対する旺季は確固たる地盤を築き上げた感じだ。彼に従う者たちと秀麗との関係は単なる敵対ではないだけに、この劣勢からいかに挽回できるのか興味深いところだ。
人間関係が複雑に絡み合い、単純な善悪の構図ではない。朝廷内だけでなく縹家の動き、秀麗の身体に起きている異変など様々な伏線が苛酷な運命の糸を紡いでいる。ストーリーテラーの本領発揮と言える本書であり、これからの展開をドキドキした気持ちで迎えることになりそうだ。(☆☆☆☆☆☆)




これまでに読んだ雪乃紗衣の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

彩雲国物語―はじまりの風は紅く』(☆☆☆)
彩雲国物語―黄金の約束』(☆☆☆☆)
彩雲国物語―花は紫宮に咲く』(☆☆☆☆☆)
彩雲国物語―想いは遙かなる茶都へ』(☆☆☆☆)
彩雲国物語 漆黒の月の宴』(☆☆☆☆)
彩雲国物語 朱にまじわれば紅』(☆☆☆☆☆)
彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計』(☆☆☆☆☆)
彩雲国物語 心は藍よりも深く』(☆☆☆☆☆☆)
彩雲国物語 光降る碧の大地』(☆☆☆☆☆☆☆)
彩雲国物語 藍より出でて青』(☆☆☆☆☆☆)
彩雲国物語 紅梅は夜に香る』(☆☆☆☆☆☆)
彩雲国物語―緑風は刃のごとく』(☆☆☆☆☆☆)
彩雲国物語―青嵐にゆれる月草』(☆☆☆☆☆)
彩雲国物語―白虹は天をめざす』(☆☆☆☆☆☆)
彩雲国物語―隣の百合は白』(☆☆☆☆☆)
彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく』(☆☆☆☆☆☆)


感想:『レインツリーの国』

2009年11月27日 18時25分43秒 | 有川浩
レインツリーの国レインツリーの国
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2006-09-28


まさに直球勝負。
本書は『図書館内乱』におけるエピソードから書かれた作品である。そのエピソードでは、聴覚障害者の恋愛を描いた本「レインツリーの国」を聴覚障害のあるキャラクターに薦めた図書館員が、メディア良化委員会に拘束され厳しい取調べを受ける。その本を現実に書いたものが本書ということになる。

聴覚障害者の女性と健聴者の男性との交際。捻りもなにもなく、まっすぐにそれを描いた。キレイゴトで済まさない鋭い踏み込みを持って。その痛々しさを緩和するために、男性キャラクターの関西弁が有効に使われている。時にきつく、しかし、感情豊かな表現を持った言葉が、救いとして機能している。これが標準語だったなら、読み進めるのが苦痛になっていたかもしれない。文章としての関西弁はくどく感じられてしまう。それは本書でも免れてはいない。それでも必要だったということだ。

物語のきっかけはブログの書評。ひとつだけ言いたいことが。
感想のメールの題が「はじめまして」だと数多あるスパムメールと一緒に読まずに削除しちゃうよ!

それはともかく。
「ひとみ」じゃなくともブログの記事に感想をもらえればとてもとても嬉しい。うちみたいな毒舌成分豊富なブログだとハッピーエンディングを迎えるような展開は望むべくもないけれど(苦笑)。

本書が『図書館内乱』に登場した本だったように、本書にも本が登場する。「フェアリーゲーム」。参考文献から、笹本祐一の「妖精作戦」シリーズが元ネタだと分かる。惜しむらくは、それを読んだことがないということ。これまで縁が無く笹本祐一の作品は読んだことがない。それを読んでいれば更に楽しめたかもしれないという点は心残りにも思う。(☆☆☆☆☆☆)




これまでに読んだ有川浩の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

図書館戦争』(☆☆☆☆☆☆☆)
図書館内乱』(☆☆☆☆☆☆☆)
図書館危機』(☆☆☆☆☆☆)
図書館革命』(☆☆☆☆☆☆☆☆)
塩の街』(☆☆☆)
別冊 図書館戦争I』(☆☆☆☆☆☆☆)
空の中』(☆☆☆☆☆)
クジラの彼』(☆☆☆☆)
ラブコメ今昔』(☆☆☆☆)
阪急電車』(☆☆☆☆☆☆☆)
海の底』(☆☆☆☆)
別冊 図書館戦争II』(☆☆☆☆☆☆)


感想:『刀語 第二話 斬刀・鈍』

2009年11月27日 18時16分33秒 | 本と雑誌
刀語  第二話  斬刀・鈍 (講談社BOX)刀語 第二話 斬刀・鈍 (講談社BOX)
価格:¥ 1,155(税込)
発売日:2007-02-02


TVアニメの1話分という印象が残る。毎月1冊ずつ刊行ということで、意図的に狙ったものだろう。
意図的な狙いとしては、もう一つ目に付くことがある。他の作品と異なる文体である。過剰にして冗長な饒舌、独特の言語感覚を示す言い回し、会話のみならず地の文でもユニークな比喩が次々と繰り出される。そんな西尾維新らしい文体は本書では影を潜めている。
この第2話で気になったのが、メタ的な視点がところどころで使われていたこと。1話から「現代風に言えば」のような使われ方はあったと思うが、2話では著者によるツッコミが増えている気がする。このシリーズ用の新たな文体の構築を試行錯誤しているのかもしれない。

内容に関しては、キャラクターの内面描写を削ぎ落とし、テンポ良くストーリーを展開していて読みやすい。ストーリー自体の面白さはさほどではないが、バトルに関するケレンの妙味に著者らしさがあって楽しめる。伏線を張るのではなく、著者の言葉として先の内容に言及するのはどうかと思うが。(☆☆☆☆)




これまでに読んだ西尾維新の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い』(☆☆☆☆☆)
新本格魔法少女りすか』(☆☆☆☆☆☆)
新本格魔法少女 りすか2』(☆☆☆☆)
クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識』(☆)
クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子』(☆☆☆☆☆)
サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し』(☆☆☆)
サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄』(☆☆☆)
ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹』(☆☆)
ネコソギラジカル(上) 十三階段』(☆☆)
ネコソギラジカル(中) 赤き征裁VS.橙なる種』(☆☆)
ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い』(☆)
新本格魔法少女りすか3』(☆☆)
零崎双識の人間試験』(☆☆☆☆)
零崎軋識の人間ノック』(☆)
化物語(上)』(☆☆☆☆☆)
化物語(下)』(☆☆☆☆☆☆)
刀語 第一話 絶刀・鉋』(☆☆☆)


感想:『ガンパレード・マーチ 5121小隊の日常』

2009年11月26日 21時23分16秒 | ガンパレード・マーチ
ガンパレード・マーチ 5121小隊の日常 (電撃文庫)ガンパレード・マーチ 5121小隊の日常 (電撃文庫)
価格:¥ 599(税込)
発売日:2001-11


2000年9月28日。プレイステーション用ゲームソフト『高機動幻想ガンパレード・マーチ』はひっそりと発売された。SCEの広告宣伝費はほぼ0。初回出荷数は1000本程度とも言われている。
『電撃プレイステーション』の強烈なプッシュ(その代わり他のゲームの多くがほとんど無視のような形となった)と、加速度的に普及しつつあったインターネットでの口コミを背景に発売当初には予想もつかなかった人気を得ることになった。
ノヴェライズ、ドラマCD、コミック、TVアニメと怒涛のようにメディアミックスされていった。可能な限りそれらを追っかけようと思っても追い付かないくらいに。

ノヴェライズは2000年12月16日という非常に速いタイミングで刊行された。ゲームソフトは発売後しばらく品薄状態が続き、プレイヤー数が拡大したのは、年末から年始にかけてだったので、いくら電撃誌が支援していたとはいえ驚きと言っていいだろう。
この広崎悠意による作品は、かなり素直な、プレイヤー感覚に近い内容となっている。公式サイトでは、ガンパレの設定を使ったゲームが白熱していた頃であり、その複雑な世界設定がようやくプレイヤーに明かされ始めた頃である。

それから1年後、本書が発売された。著者は榊涼介。その後、現在まで連綿と続く小説版ガンパレード・マーチのスタートだった。12月には榊版として21冊目となる『ガンパレード・マーチ 逆襲の刻 東京動乱』が刊行予定であり、今年の夏には『小説版 ガンパレード・マーチ ファンブック ビジュアル&ノベルズ』も発売されている。

本書が発売された2001年12月25日は、既に公式サイトでのファンの熱狂は去っていた。それでもまだ熱意はあった。広崎版がファンの間で話題とされたほどにはこの榊版は取り上げられる機会はなかったが、一部には高い評価も見受けられた。だが、次巻である『ガンパレード・マーチ 5121小隊 決戦前夜』の発売は2002年10月25日とおよそ一年後であり、さすがにファンの熱意もかなり薄れてしまっていた。
TVアニメ化などにより新たなファンの流入が少なからずあったとはいえ、語り尽くした感さえあったファンの気持ちはガンパレから離れていった。コンスタントな続編への期待もできなかったから尚更に。その間もこのシリーズは続々と刊行された。

『高機動幻想ガンパレード・マーチ』を発売日に購入し、やがてファンサイトまで立ち上げた私だが、広崎版は読んだが、榊版は本書を積読し、その後は購入していない。いつかは読みたいと気にしてはいたが、ここまで続くとは予想もしていなかった。8年の積読の果ての感想となる。

本書は短編3作から成る。
「絢爛舞踏―幾千万のわたしとあなたで」は壬生屋を中心に5121小隊の戦いの日々を描く。まだ初々しい小隊の面々に懐かしさを感じた。
「突撃準備よろし」は田代をメインとした話。彼女の個性が上手く表された小品。
「豪剣一閃!」は再び壬生屋がメイン。壬生屋と瀬戸口のやり取りが心地よい。
原作を知らない人向きとはお世辞にも言えない内容。広崎版との大きな違いは、設定への理解だろう。
大きな物語の始まりと言うよりは、エピソードを集めた作品である。広崎版との繋がりはない。これが20冊を越えるシリーズへと成長していく様を見てみたくなる。そんな1作目だった。

それにしても、口絵で登場人物20人が紹介されているのを見て、欠けたキャラクターがいることに気付いてもその名前が出てこなかったのはショックだった。教師3名とヨーコはすぐに分かったが、茜と新井木の名前が思い浮かばなかったのは本当にどうしたものやら。(☆☆☆☆☆)


◇初夢モグボナンザ、開催のお知らせ! (2009/11/24)◇

2009年11月26日 19時37分49秒 | FF11
初夢モグボナンザ、開催のお知らせ! (2009/11/24)

過去二回は5~6月に開催されたモグボナンザ。3回目は12~2月にかけての開催となった。これまでカンフル剤としての役割を果たしてきたが、期待よりも「またか」という思いが勝りかねない感じがする。今回の目玉は「AVドロップ品」だが、モグボナンザの賞品としてではなく、戦いやすい環境作りを整えることの方が本道ではないかと思ってしまう。

☆1等

[1回目]1億ギル、免罪符の胴装備のHQ品8種、アレスキュイラス、スカディクウィリ、薄金腹巻、マルドゥクジュバ、モリガンローブ、リディル、クラーケンクラブ、ホフド、布都御魂、バルキリーフォーク

[2回目]総売り上げギルの50%を当選本数で頭割り、リディル、クラーケンクラブ、ホフド、バルキリーフォーク、布都御魂、アレスキュイラス、スカディクウィリ、薄金腹巻、マルドゥクジュバ、モリガンローブ、ノーヴィオピアス、守りの指輪

[今回]総売り上げギルの50%を当選本数で頭割り、リディル、クラーケンクラブ、ホフド、バルキリーフォーク、アレスキュイラス、スカディクウィリ、薄金腹巻、マルドゥクジュバ、モリガンローブ、ノーヴィオピアス、守りの指輪、シャドウマントシャドウリングボナンザクーポンA(ニヌルタサッシュ、マルスリング、ベローナリング、ミネルヴァリング、布都御魂、オウレオール、ラファエルロッド)=Absolute Virtueのドロップ交換品

☆2等

[1回目]1千万ギル、黒帯、ホマムコラッツァ、ナシラマンティル、レリック装備(ザルカでのドロップ品)15種、ベロシアスベルト

[2回目]総売り上げギルの23%を当選本数で頭割り、黒帯、ベロシアスベルト、ホマムコラッツァ、ナシラマンティル、ボナンザクーポンX (デュナミス-ザルカバードドロップ装備)、白虎佩楯、オーラムキュイラス、オラクルローブ、エンキドゥハーネス、ヘラルドゲートル、ジュワユース、剣の枝、五色の糸

[今回]総売り上げギルの23%を当選本数で頭割り、黒帯、ベロシアスベルト、ホマムコラッツァ、ナシラマンティル、ボナンザクーポンX (デュナミス-ザルカバードドロップ装備)、白虎佩楯、オーラムキュイラス、オラクルローブ、エンキドゥハーネス、ヘラルドゲートル、ジュワユース、剣の枝、五色の糸、バードマンケープ

☆3等

[1回目]100万ギル、レリック装備(ボスディンでのドロップ品)15種、ホマムコッシャレ、ナシラサラウィル、オートクレール、セブンアイズ

[2回目]総売り上げギルの27%を当選本数で頭割り、オートクレール、セブンアイズ、ホマムコッシャレ、ナシラサラウィル、ボナンザクーポンB (デュナミス-ボスディンドロップ装備)、バルバロッサゼレハ、アルゴル、トロッターブーツ、ボイジャーサリット、エルメスサンダル、スターサファイア、アルザビウーツ鋼、与一の組緒

[今回]総売り上げギルの27%を当選本数で頭割り、オートクレール、セブンアイズ、ホマムコッシャレ、ナシラサラウィル、ボナンザクーポンB (デュナミス-ボスディンドロップ装備)、バルバロッサゼレハ、アルゴル、トロッターブーツ、ボイジャーサリット、エルメスサンダル、スターサファイア、アルザビウーツ鋼、バンピリッククロー

☆4等

[1回目]10万ギル、ダマスクインゴット、クロマ鉄鉱、ダマスク織物、ベヒーモスの毛皮、モルダバイトピアス、レインハット、姫帝羽虫の髪飾り、バウンデングブーツ、御方庖丁

[2回目]クロマ鉄鉱、ベヒーモスの毛皮、ダマスクインゴット、ダマスク織物、モルダバイトピアス、バウンデングブーツ、姫帝羽虫の髪飾り、ニーズヘッグの鱗、ウーツ鉱、オリハルコン

[今回]クロマ鉄鉱、ベヒーモスの毛皮、ダマスクインゴット、ダマスク織物、モルダバイトピアス、バウンデングブーツ、姫帝羽虫の髪飾り、ニーズヘッグの鱗、ウーツ鉱、オリハルコン、与一の組緒ヴィルマリング

☆5等

[1回目]ミラテテ様言行録

[2回目]ミラテテ様言行録、ペストリペラント、傭兵キャンプ参加券、秘密特訓場のカギ、舞刀会の招待状、戦餐会の招待状、アダマンタスの像、ベヒーモスの像、ファヴニルの像

[今回]ミラテテ様言行録、ペストリペラント、傭兵キャンプ参加券、秘密特訓場のカギ、舞刀会の招待状、戦餐会の招待状、アダマンタスの像、ベヒーモスの像、ファヴニルの像、闇の王の像




1等は、Absolute Virtueのドロップ交換品やDynamis Lordドロップ品といった海や裏といった活動をするLSに入っていてもなかなか入手が困難な装備品が追加された。布都御魂は前回も賞品ではあったが、侍しか装備できないこともあり、注目度はやや低めと言えたかもしれない。ヘイスト+6%のニヌルタサッシュ、魔法命中率+8のオウレオール、命中+8のマルスリング、被魔法ダメージ-8%のミネルヴァリングなどが注目。これらはレアだがEXはついていないのでバザー・トレード可能。時々被物理ダメージ無効のシャドウマント、時々被魔法ダメージ無効、デス耐性のシャドウリングも優秀な装備品だ。

2等は、バードマンケープが新規追加。これまで入手方法不明とされた装備。「防7 MP+30 CHR+9 レジストパライズ効果アップ Lv69~ 白黒赤吟召青か学」と詩人向けの性能。

3等は、バンピリッククローが追加。フォミュナ水道のNMであるTres Duendesのドロップ品。性能は「D+8 隔+60 追加効果:HP吸収 Lv39~ 戦モ赤シ暗獣忍か踊」。

4等は、与一の組緒が3等から降格。連合軍戦績NM戦で取得できるようになり価値が下落した影響を受けた。また、ヴィルマリングが追加された。ユタンガ大森林のNMであるRose Gardenのドロップ品であり、「INT+1 MND+1 CHR+1 25HPをMPに変換 Lv40~ All Jobs」という性能。

5等は、ミラテテ様言行録、各種スペシャルバトル参加権、調度品。闇の王の像が新規追加となった。