奇想庵@goo

Sports, Games, News and Entertainments

感想:『図書館戦争』

2009年08月08日 16時07分08秒 | 有川浩
図書館戦争図書館戦争
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2006-02


ゼロ年代のエンターテイメントの最高傑作。あえてそこまで言い切っていい。少なくとも私が接した中でこれを越える2000年以降の作品はない。

アニメは半分ほど見ているので、本書の7~8割の内容は既知のものだった。それが評価にどう影響しているかは未知数だが、アニメとか関係なく本書を高く評価している。

有川浩を読むのはこれが初めてで、この一冊だけで評価し切れるのかどうか分からないが、ゼロ年代最高の作家であると感じられた。
手放しの褒めようだが、それに見合う作品だから仕方がない。

三人称だが節によって視点が変わる。過度の内面描写に陥ることなく、それでいて必要な内面描写をきっちりと押さえ、非常に効果的に使われている。
キャラクターの成長と人間関係が話の軸だが、他のライトノベルなどとの大きな違いは、キャラクターたちが大人であるという点だ。それは年齢的なものではなく精神的な面で。
主人公の笠原郁は猪突猛進の典型的なキャラクターではあり、子供っぽい面を随所に見せるが、それでも大人としての弁えがある。頭の良し悪しや単純さとは無関係に、自覚や責任感をキチンと持っている。
ガキの無分別が物語の展開を生むスタイルの多いライトノベルに対して、本書では背景(特に政治的背景)を描写することで物語を展開させている。これではストーリーによるカタルシスを作りにくいが、キャラクターの葛藤にリアリティを付与できる。それがキャラクターの厚みとなり、質の高いキャラクター間のやりとりを生むことができる。

本書はライトノベルと呼ぶよりも、一時代前のエンターテイメント小説の最良の後継者と呼ぶべきだろう。設定には甘さがあり厳密にはSFと言えないが、SFっぽいエンターテイメントが謳歌した頃の匂いも感じられる。『星へ行く船』シリーズ、『ぼくの地球を守って』など作風は異なるが似た匂いがする。
有川浩の他の著作もどんどんと読んでいきたいところだが、図書館ではどの作品にも予約がいっぱいついていてすぐに読めないのが難だ。


アニメ感想:咲-Saki- 第18話「繋がり」

2009年08月08日 15時19分32秒 | 2009春アニメ
東三局。親は咲。
しかし、風越の池田のエピソードの後、吹っ切れた彼女がツモってハコからは安全圏へ。

東四局。親は加治木。
加治木のエピソードの後、彼女が天江衣を直撃して上がり1本場に。

ここで、咲が普段の自分の姿を取り戻すため靴と靴下を脱ぐ。
そして、安手で上がり始める。

加治木の親が流れ、南場突入。池田の親も咲の安手であっさり流れる。続く天江の親も咲によって流れ、南三局に。
ここで親の咲が得意の槓で倍満を上がる。これで一気に差を詰めたとはいえ、天江との差はまだかなりある。

クライマックスではあるが、思いの外ストーリーが進行する。池田、加治木の見せ場もあって、まだ戦いはこれからといった感じも。
天江衣は一度も上がれず、彼女の神通力も効果を発揮しない。特に、王牌は彼女の支配が及ばないという言葉ににやりとさせられる。咲の力はその王牌を支配しているのだから。

ただこのまますんなりと咲の追い上げが決まるのかどうか。もう南三局とあとはない。今回のラストは天江衣が追いつめられ、むしろ彼女が主人公のように描かれた。彼女をも上回る怪物に対して、どう立ち向かうのかという感じに。
演出といいストーリーといい先の読めない展開に相変わらずわくわくしてしまう作品だ。

咲 -saki- 麻雀牌 ver.2.0咲 -saki- 麻雀牌 ver.2.0
価格:¥ 10,290(税込)
発売日:2009-08-25