ロマンシング サガ -Minstrel Song-
SFC版、WS版に続く3度目のロマンシング サ・ガ。
SFC版は、多数の致命的バグ、異常に多い敵の数とエリチェンでの復活、最低限度を下回る世界観やクエストに対する説明量、中盤以降の理不尽なまでの敵の強さ、すぐにお金が持ちきれなくなる最悪の仕様、その他多種多様な欠点のあったRPGだった。FFシリーズで人気のあったスクウェアの作品ということでセールス面は悪くなかったが、これらの欠点により「クソゲー」として葬り去られてもおかしくなかった。しかし、一部のプレイヤーが熱狂的に支持し、未だに根強いファンを保っている。SFCではその後2本の続編が作られ、PSではサガ・フロンティアシリーズとして2作、PS2でもサガの名を冠した作品がリリースされている。またロマンシング サ・ガはWSにも移植された。
もともとGBで魔界塔士サ・ガシリーズとして出発し、高い評価を受け3作目まで製作された。SFCで、ロマンシング サ・ガとして登場したときは、ストーリー性重視のFFとは明らかに異なるコンセプトを示し、レベル・経験値の廃止などシステム面の斬新さや、複数の主人公を置いて様々な視点から世界や物語を描こうという姿勢を提示した。
特にこの作品では、プレイヤーの分身である主人公は一冒険者であり、世界や物語との関わりは他のRPGに比べて薄い。プレイヤーと関わりなく世界は事件が起き、やがて解決する。行けない場所、解けない謎が多数あり、それによってむしろ世界の広さを実感できる。情報は非常に少ないが、かえってプレイヤーの想像をかきたてている。ほんのささいな言葉の端々からキャラクターの性格や世界のあり様が垣間見える、絶妙なバランスが存在していた。
8人の主人公が用意されているが、セリフやイベントで個性の差をぎりぎり描き切れた部分はやり込んで初めて気付いたりする。また、キャラクターの育成や、イベントの選択など、プレイヤーが自由に狙っていける余地があり、それが楽しみにもなった。クイックセーブなどインターフェイスの面は充実していたので、意外とやり込みにストレスがかからなかったということもある。
WS版はシステム面はそのままに、バグ修正と若干のシナリオ追加という内容だった。しかし、今回のミンストレルソングは、ロマサガ2で発明された「閃き」の導入をはじめ、過去のサガシリーズのシステム面を継承している。現在、アルベルトスタートで中盤までプレイしているが、簡単に評価してみたい。
○グラフィック
物議を醸した個性的なグラフィックだが、すぐに慣れた。まあ成功かどうかは微妙だが、キャラクター以外は美しいので、大きな問題ではない(?)。
○音楽
山崎まさよしのテーマソングもいいし、なにより音楽に定評のあるサガシリーズの魅力満開な感じ。
○音声
かなり悪い。ナイトハルトなど酷い感じ。全体的に声に重みがなく、世界から浮いている感じが強い。
○移動
視点が自動修正で、自由に変えられないので辛い。敵の位置や、方角などが非常に把握しづらい。地図があれば、楽にはなるけど。それ以外は比較的いい感じ。案内などは分かりやすい。
○キャラクター
キャラクター自体は変わりないが、仲間にできる人数がひとり減った点が非常に大きな変更点。これによりミリアムがレギュラー落ち(笑)。
○戦闘
BPシステムがいい感じ。慣れるまでは分かりにくいが、慣れると戦いに戦略性が出て面白い。連携はハマれば強力だが、敵に使われると辛い。けっこう成長も早く感じる。
○育成
スキルを上げるのにジュエルが必要なのだが、貯まりにくい。まあマップアビリティを使って上げる方法もあるがめんどくさい。クラスはなかなかいいシステムだと思う。MPが存在しないので魔法は使いやすい(BP消費が大きいものはそうでもないが)。
誰にどんな役割を持たせるか早めに決めてそれに特化して育てるのがよさそう。
○マップアビリティ
非常にユニークなシステム。ダンジョンなどを探索するのに有利なアビリティが用意されており、17種類の中から5つをセットしておくことができる。サーチ系で宝箱や薬草などを発見したり、発掘系で財宝や鉱石を発掘、移動補助でジャンプやクライミング、敵に発見されなくなる忍び足やステルス、宝箱を開けるためのワナ解除やカギ開け、敵との戦闘を回避するアイテム交渉と多岐に渡ったアビリティが存在する。5つはちょっと少なすぎる気もするが、移動優先かお宝狙いかなど目的に応じてセットできるので、かなり重要な役割を担うシステムとなっている。またスキルを高める必要が出てくるので、最初のうちに優先して上げておいた方が良さそうだ。
○武器防具
ロマサガのように武器固有に技を覚えるのではないので、より良い武器に変えていく必要がある。武器の種類は14種類+体術+盾と多いが、技は共有しているものも多い(例えば大型剣で覚えると両手大剣でも使える技がある)が、他のキャラクターに引き継ぐことはできない。
武器にはEPが設定されており、技によってはBPとともにEPも消費する(スキルが上がれば消費量が減ったりゼロになる)。EPがなくなるとその武器は使えなくなるので、回復させる必要がある。武器防具は鍛冶屋で鍛えることができるが、武器は鍛えるとEPの回復にアイテムが必要となったりするので、序盤では買い換える方が良さそう。
一人4つの武器を持てるが重量が加算されるのであまり必要ないかも。一部の武器はEPの代わりにLPを消費するので、代用の武器を持ってるといいかも。
ショップに3系統の所属先があり、利用するとレベルが上がるシステムだが、狙って上げるほどの必要があるのかどうかはよく分からない。
武器にはモードがあり、アタック・ディフェンス・トリックと3系統用意されているが、変える意味合いが今のところ見出せない。もう少しやり込まないと分からないかな。
○モンスター
10系統で戦っていくうちに強いモンスターが登場。系統の違いはフィールド上での索敵や追いかけ方の違いにもなっているので覚えた方が逃げやすい。視覚・聴覚感知ってほとんどFFXIの世界(笑)。また絡まれた時に敵同士が近いとチェーンとなり、連戦を強いられる。
○フィールド・ダンジョン
移動でも挙げたが視点移動がオートなため歩きにくいのは事実。フィールドは比較的敵に絡まれにくい感じ。
ダンジョンはあの嫌らしいマップ構成や広さ、敵の多さは影を潜め、ひとつひとつのダンジョンはかなり小さい感じ。ただ狭いので、感知遮断系のマップアビリティを使わないと避けるのは難しいところが多い。
○シナリオ・イベント
いくつか追加・変更されたシナリオも。特段違和感のあるシナリオはない。またプレイヤーノートとしてかなり細かく状況が記されるのは便利。パブの詩人がサイドストーリーを語ってくれたりするのも世界観を知れていい感じ。
イベントは独特のアニメーション形式となることもある。派手というほどでもなく、世界観を崩すようなものではない。
○気がついた点
ウロの町の名前がウソに変わってる。またガレサステップを経由せずにニューロードを移動できるようになった。時々妖精の森という場所があちらこちらに現れ、出るとワープしてたりも。当たり前だが、お金の持てる上限がアップ(上限は不明)。すぐに持ち切れないということはないっぽい。
○現時点での評価
やり込んでみたいと思わせる要素は満載。HDに入れたので読み込み等は不明(私は快適)。移動の不満も慣れればある程度はなんとかなる。街だと▲ボタンでのショートカットがあるし、クイックセーブの読み込み時間がやや長いが、ストレスを感じるほどではない。ソフトリセットは当然の機能。
ロマサガ未体験の人にお薦めできるかどうかはまだ不明だが、少なくとも私は非常に楽しんでいる。ゲーム的な面白さは十分にある。若干の不満はあるが、プレイする価値のあるゲームだと思う。
○FFXIとミンストレルソング
以前、FFXIとロマサガシリーズの共通性について書かれた書き込みを見て以来、FFXIはFFシリーズというよりサガシリーズの血を受け継いだ部分が多い気がしていた。ジョブやクリスタル、チョコボといった要素はFFを引き継いでいるが、もともと一本道のFFよりMMO向きとも言えたサガの方がストーリーやシステムに影響を与えているような気がする。そして、このミンストレルソングはFFXIの後継オフラインゲームという感じもしてしまう。マップアビリティのステルス、忍び足はまんまインスニだし、ところどころになにかFFXIっぽさを感じてしまう。
MMORPGを経てオフラインRPGが切り開こうとしている地平をこの作品から感じると言い換えてもいいかもしれない。それはドラクエからは感じなかったものだ。新作だったドラクエがノスタルジー的な意味合いしかなかったのに対し、リメイクである本作がノスタルジーでなく新境地を目指そうとしているというのもある意味皮肉な結果だ。
SFC版、WS版に続く3度目のロマンシング サ・ガ。
SFC版は、多数の致命的バグ、異常に多い敵の数とエリチェンでの復活、最低限度を下回る世界観やクエストに対する説明量、中盤以降の理不尽なまでの敵の強さ、すぐにお金が持ちきれなくなる最悪の仕様、その他多種多様な欠点のあったRPGだった。FFシリーズで人気のあったスクウェアの作品ということでセールス面は悪くなかったが、これらの欠点により「クソゲー」として葬り去られてもおかしくなかった。しかし、一部のプレイヤーが熱狂的に支持し、未だに根強いファンを保っている。SFCではその後2本の続編が作られ、PSではサガ・フロンティアシリーズとして2作、PS2でもサガの名を冠した作品がリリースされている。またロマンシング サ・ガはWSにも移植された。
もともとGBで魔界塔士サ・ガシリーズとして出発し、高い評価を受け3作目まで製作された。SFCで、ロマンシング サ・ガとして登場したときは、ストーリー性重視のFFとは明らかに異なるコンセプトを示し、レベル・経験値の廃止などシステム面の斬新さや、複数の主人公を置いて様々な視点から世界や物語を描こうという姿勢を提示した。
特にこの作品では、プレイヤーの分身である主人公は一冒険者であり、世界や物語との関わりは他のRPGに比べて薄い。プレイヤーと関わりなく世界は事件が起き、やがて解決する。行けない場所、解けない謎が多数あり、それによってむしろ世界の広さを実感できる。情報は非常に少ないが、かえってプレイヤーの想像をかきたてている。ほんのささいな言葉の端々からキャラクターの性格や世界のあり様が垣間見える、絶妙なバランスが存在していた。
8人の主人公が用意されているが、セリフやイベントで個性の差をぎりぎり描き切れた部分はやり込んで初めて気付いたりする。また、キャラクターの育成や、イベントの選択など、プレイヤーが自由に狙っていける余地があり、それが楽しみにもなった。クイックセーブなどインターフェイスの面は充実していたので、意外とやり込みにストレスがかからなかったということもある。
WS版はシステム面はそのままに、バグ修正と若干のシナリオ追加という内容だった。しかし、今回のミンストレルソングは、ロマサガ2で発明された「閃き」の導入をはじめ、過去のサガシリーズのシステム面を継承している。現在、アルベルトスタートで中盤までプレイしているが、簡単に評価してみたい。
○グラフィック
物議を醸した個性的なグラフィックだが、すぐに慣れた。まあ成功かどうかは微妙だが、キャラクター以外は美しいので、大きな問題ではない(?)。
○音楽
山崎まさよしのテーマソングもいいし、なにより音楽に定評のあるサガシリーズの魅力満開な感じ。
○音声
かなり悪い。ナイトハルトなど酷い感じ。全体的に声に重みがなく、世界から浮いている感じが強い。
○移動
視点が自動修正で、自由に変えられないので辛い。敵の位置や、方角などが非常に把握しづらい。地図があれば、楽にはなるけど。それ以外は比較的いい感じ。案内などは分かりやすい。
○キャラクター
キャラクター自体は変わりないが、仲間にできる人数がひとり減った点が非常に大きな変更点。これによりミリアムがレギュラー落ち(笑)。
○戦闘
BPシステムがいい感じ。慣れるまでは分かりにくいが、慣れると戦いに戦略性が出て面白い。連携はハマれば強力だが、敵に使われると辛い。けっこう成長も早く感じる。
○育成
スキルを上げるのにジュエルが必要なのだが、貯まりにくい。まあマップアビリティを使って上げる方法もあるがめんどくさい。クラスはなかなかいいシステムだと思う。MPが存在しないので魔法は使いやすい(BP消費が大きいものはそうでもないが)。
誰にどんな役割を持たせるか早めに決めてそれに特化して育てるのがよさそう。
○マップアビリティ
非常にユニークなシステム。ダンジョンなどを探索するのに有利なアビリティが用意されており、17種類の中から5つをセットしておくことができる。サーチ系で宝箱や薬草などを発見したり、発掘系で財宝や鉱石を発掘、移動補助でジャンプやクライミング、敵に発見されなくなる忍び足やステルス、宝箱を開けるためのワナ解除やカギ開け、敵との戦闘を回避するアイテム交渉と多岐に渡ったアビリティが存在する。5つはちょっと少なすぎる気もするが、移動優先かお宝狙いかなど目的に応じてセットできるので、かなり重要な役割を担うシステムとなっている。またスキルを高める必要が出てくるので、最初のうちに優先して上げておいた方が良さそうだ。
○武器防具
ロマサガのように武器固有に技を覚えるのではないので、より良い武器に変えていく必要がある。武器の種類は14種類+体術+盾と多いが、技は共有しているものも多い(例えば大型剣で覚えると両手大剣でも使える技がある)が、他のキャラクターに引き継ぐことはできない。
武器にはEPが設定されており、技によってはBPとともにEPも消費する(スキルが上がれば消費量が減ったりゼロになる)。EPがなくなるとその武器は使えなくなるので、回復させる必要がある。武器防具は鍛冶屋で鍛えることができるが、武器は鍛えるとEPの回復にアイテムが必要となったりするので、序盤では買い換える方が良さそう。
一人4つの武器を持てるが重量が加算されるのであまり必要ないかも。一部の武器はEPの代わりにLPを消費するので、代用の武器を持ってるといいかも。
ショップに3系統の所属先があり、利用するとレベルが上がるシステムだが、狙って上げるほどの必要があるのかどうかはよく分からない。
武器にはモードがあり、アタック・ディフェンス・トリックと3系統用意されているが、変える意味合いが今のところ見出せない。もう少しやり込まないと分からないかな。
○モンスター
10系統で戦っていくうちに強いモンスターが登場。系統の違いはフィールド上での索敵や追いかけ方の違いにもなっているので覚えた方が逃げやすい。視覚・聴覚感知ってほとんどFFXIの世界(笑)。また絡まれた時に敵同士が近いとチェーンとなり、連戦を強いられる。
○フィールド・ダンジョン
移動でも挙げたが視点移動がオートなため歩きにくいのは事実。フィールドは比較的敵に絡まれにくい感じ。
ダンジョンはあの嫌らしいマップ構成や広さ、敵の多さは影を潜め、ひとつひとつのダンジョンはかなり小さい感じ。ただ狭いので、感知遮断系のマップアビリティを使わないと避けるのは難しいところが多い。
○シナリオ・イベント
いくつか追加・変更されたシナリオも。特段違和感のあるシナリオはない。またプレイヤーノートとしてかなり細かく状況が記されるのは便利。パブの詩人がサイドストーリーを語ってくれたりするのも世界観を知れていい感じ。
イベントは独特のアニメーション形式となることもある。派手というほどでもなく、世界観を崩すようなものではない。
○気がついた点
ウロの町の名前がウソに変わってる。またガレサステップを経由せずにニューロードを移動できるようになった。時々妖精の森という場所があちらこちらに現れ、出るとワープしてたりも。当たり前だが、お金の持てる上限がアップ(上限は不明)。すぐに持ち切れないということはないっぽい。
○現時点での評価
やり込んでみたいと思わせる要素は満載。HDに入れたので読み込み等は不明(私は快適)。移動の不満も慣れればある程度はなんとかなる。街だと▲ボタンでのショートカットがあるし、クイックセーブの読み込み時間がやや長いが、ストレスを感じるほどではない。ソフトリセットは当然の機能。
ロマサガ未体験の人にお薦めできるかどうかはまだ不明だが、少なくとも私は非常に楽しんでいる。ゲーム的な面白さは十分にある。若干の不満はあるが、プレイする価値のあるゲームだと思う。
○FFXIとミンストレルソング
以前、FFXIとロマサガシリーズの共通性について書かれた書き込みを見て以来、FFXIはFFシリーズというよりサガシリーズの血を受け継いだ部分が多い気がしていた。ジョブやクリスタル、チョコボといった要素はFFを引き継いでいるが、もともと一本道のFFよりMMO向きとも言えたサガの方がストーリーやシステムに影響を与えているような気がする。そして、このミンストレルソングはFFXIの後継オフラインゲームという感じもしてしまう。マップアビリティのステルス、忍び足はまんまインスニだし、ところどころになにかFFXIっぽさを感じてしまう。
MMORPGを経てオフラインRPGが切り開こうとしている地平をこの作品から感じると言い換えてもいいかもしれない。それはドラクエからは感じなかったものだ。新作だったドラクエがノスタルジー的な意味合いしかなかったのに対し、リメイクである本作がノスタルジーでなく新境地を目指そうとしているというのもある意味皮肉な結果だ。