ファイナルファンタジー20周年記念のこのアルティマニアシリーズも3冊目。予定ではこれで完結となるわけだが。
ページ数は約50ページ増量。ただしその分価格も200円ほどアップしている。
『File2:シナリオ編』の巻末予告にはこの3冊目は、『File3:バトル/エクストラ編(仮)』と書かれていた。しかし、蓋を開けてみるとバトルのみとなった。それだけでもこのボリュームなわけだが、エクストラ編は別にまた出る可能性も。
なお、3冊の帯についている応募券を集めて送れば抽選で200名に「
オリジナル20thメモリアルブックマーカー」がプレゼントされる。
それでは内容を見ていこう。
目次2ページに続いて、バトルシステムの歩みとして、見開きで13作品の戦闘画面と簡単な解説、キーワードが掲載されている。バトルの基本システムも見開きで、FFのバトルシステムの進化を図解している。成長システムも見開きで、能力固定パターン、ジョブ選択パターン、カスタマイズパターンの3種類に分類して13作品の流れを解説している。
◇ファイナルファンタジー(24P)
イラストと共に戦闘画面、メニュー画面が掲載されている。バトルキャラクターでは、6ジョブとそのクラスチェンジ後の画面写真と解説が書かれている。画面写真はオリジナル版とPSP版の両方を掲載。
バトルシステムでは、戦闘画面の見かたやシステムについての解説がされている。Iでは、ターン制バトル、レベル、隊列、ジョブが取り上げられている。また、リメイク版でのおもな変更点も。
魔法では、使いかた、習得方法などに加え、全魔法リストや「Impressive Magic」としていくつかの魔法がピックアップされている。魔法リストはレベル、名前、簡単な効果の説明程度だ。
アイテムも、使いかた、所持方法などに加え、全アイテムリスト(リメイク版のものも含む)や「Impressive Item」としていくつかのアイテムが取り上げられている。アイテムリストはウェポン、命中率(武器)、アーマー、重さ(防具)、おもな特徴。消費アイテムやだいじなものも解説付きで掲載されている。
モンスターは、特徴、固定エンカウント、戦利品の解説のあと、オリジナル版、GBA版、PSP版の全種のモンスターの写真(写真はFC版とPSP版)とHP、攻撃、特徴が記されている。いくつかの敵はコメント付き。
★ジョブの歴史(2P)
13作品の「ジョブ」のあり方と、ナイト、忍者、シーフ、竜騎士の各作品での描かれ方を取り上げている。
◇ファイナルファンタジーII(24P)
イラストと共に戦闘画面、メニュー画面が掲載されているのは同じ。続いて、パーティーメンバーの移り変わりとして、仲間になるメンバーがどの時期に加わり離脱するかを図式で表わしている。
バトルキャラクターでは、仲間になるキャラクターたちのイラスト、FC版とPSP版のゲーム写真、戦闘の視点から見たそのキャラクターの特徴などが書かれている。
バトルシステムでは、戦闘画面の見かたやリメイク版でのおもな変更点の他に、能力値の成長、命中率と回避率、隊列、熟練度というトピックが取り上げられている。
魔法は「Impressive Magic」でアルテマなどについて語られている。
アイテムでは「Impressive Item」でブラッドソードが。
モンスターもIと同様に、FC版とPSP版の写真付き。
★魔法の歴史(4P)
ジョブの歴史同様、13作品の魔法の描かれ方に触れた後、フレアー、ホーリー、アルテマ、メテオの作品ごとの違いを解説している。また、シリーズ全作品登場を逃した魔法たちとしてコラムが1ページ。
◇ファイナルファンタジーIII(38P)
パーティーメンバーの移り変わりが無くなったが、バトルキャラクターでは各ジョブの解説、FC版ゲーム写真、DS版の4人のイラスト、オリジナル版とDS版でのコマンドと解説が6ページにわたり書かれている。
バトルシステムのトピックは、ジョブチェンジと召喚魔法。
魔法はこれまで同様の取り上げ方だが、IIIからアビリティと召喚獣についてもコーナーが設けられるようになった。アビリティでは「Impressive Ability」で竜騎士のジャンプとDS版で追加されたバイキングのちょうはつが取り上げられている。召喚獣は、8体のイラスト、FC版とDS版の写真、解説や攻撃内容が記載されている。
アイテムはI、IIの3ページから4ページへと増えた。
モンスターでは、特殊能力、盗めるもの、落とすものについて解説されている。ゲーム写真はFC版とDS版となっている。
★召喚獣の歴史(4P)
13作品での召喚獣の位置付けの後、シヴァ、イフリート、ラムウ、オーディン、リヴァイアサン、バハムート、カーバンクル、フェニックス、アレクサンダーというおなじみの召喚獣の作品ごとの描かれ方が紹介されている。
◇ファイナルファンタジーIV(42P)
パーティーメンバーの移り変わりがまるまる1ページとなっているのがIVらしいところ。バトルキャラクターはSFC版とDS版の写真付き。
バトルシステムのトピックは、ATB。リメイク版の変更点については、GBA版とDS版が別枠となっている。
魔法、アビリティはそれぞれ2ページ。
IVでは幻獣としてコーナーが設けられ、6ページにわたって大きく取り上げられている。SFC版とDS版で攻撃中のゲーム画面を見ることができる。
アイテムは5ページに増え、イージータイプやGBA版、DS版で増えたものも掲載されている。
モンスターはSFC版とDS版がメインだが、GBA版のみのものも。なお、コラムとして「かいはつしつ」に現れるモンスターたちも。
★伊藤裕之氏に聞く「ATB」(2P)
ATBの考案者で、FFIVのバトルディレクターだった伊藤裕之氏へのインタビュー。
◇ファイナルファンタジーV(40P)
バトルキャラクターでは、22+4ジョブを紹介。ただし、ゲーム画面ではなく5人(一部は4人)のイラストを掲載。
バトルシステムのトピックは、ジョブ、アビリティ、ATB。
魔法は2ページだが、アビリティは4ページに増加。召喚獣は5ページでゲーム画面はSFC版のみとなっている。アイテムも4ページに減っている。
モンスターもSFC版の写真だけになり、5段は変わらないが1段3体から5体へとスペースが狭くなった。
★アビリティの歴史(2P)
13作品でのアビリティの位置付けと、ぬすむ、しらべる、みやぶる、あんこく、れんぞくまの歴史を解説している。
◇ファイナルファンタジーVI(44P)
VIも基本的にゲーム画面はSFC版のみ。バトルキャラクターでは、各キャラクターのオリジナルコマンドと隠し必殺技の画面が掲載されている。
バトルシステムのトピックは、魔石、オリジナルコマンド、隠し必殺技。
魔法とアビリティは2ページずつ。幻獣は、27+4種類。アイテムは4ページ。
モンスターはV同様5段×5体ずつとなっている。
★アイテムの歴史(2P)
アイテムの歴史では位置付けのコーナーがなく、ポーション、フェニックスの尾、ギサールの野菜、ねずみのしっぽ、エクスカリバー、マサムネの歴史が記載されている。
◇ファイナルファンタジーVII(44P)
当然ゲーム画面はPS版のみ。
バトルシステムのトピックは、マテリア、リミットブレイク。インターナショナル版でのおもな変更点も記載。
魔法とアビリティは2ページずつ。召喚獣は16体。アイテムは5ページで、うち1ページをマテリアに充てている。
モンスターは4段×4体に変更。ただ画面が暗くてやや見難い。
★歴代常連モンスターズ(4P)
ゴブリン、ベヒーモス、プリンなど、ボム、モルボル、クアール、アダマンタイマイ、鉄巨人、アーリマン、トンベリ、サボテンダー、マジックポット、デスゲイズ、アルテマウェポンの歴史が記載されている。コラムは、歴代最強モンスターズ。XIはなし。AV最強説もあるけどねぇ。
◇ファイナルファンタジーVIII(34P)
バトルシステムのトピックは、ジャンクション、魔法、ドロー、特殊技。
魔法とアビリティは2ページずつ。ガーディアン・フォースとして、22体の召喚獣が登場している。アイテムは4ページ。
モンスターは4段×4体で、129体と数も少ない。
★青魔法の歴史(2P)
13作品での青魔法の位置付けの後、ホワイトウインド、マイティガード、レベル5デス、????の歴史が解説されている。
◇ファイナルファンタジーIX(34P)
バトルキャラクターではトランス時の写真も。
バトルシステムのトピックは、アビリティ、魔石力、トランス。
魔法とアビリティは2ページずつ。召喚獣は12体。アイテムは4ページ。
モンスターでは、精霊モンスターについて取り上げられている。IXはクリアしたものの精霊モンスターは全く記憶にないけれども。
★歴代『FF』戦術集(4P)
Iは補助魔法の活用、IIは決定とキャンセルのくり返しによる熟練度かせぎ、IIIは「トード」か「ミニマム」の連発、IVはアイテムの有効活用、Vは「はなつ」4連発、VIは「ネコキック」+かいでんのあかし、VIIは命中率が255の武器+「ひっさつ」、VIIIはモンスターのレベルを低く保つ、IXは「たたかう」の強化、Xは「カルテット9」+連続ヒット攻撃、X-2は無限チェイン、XIIは範囲魔法+リフレク状態を取り上げている。
◇ファイナルファンタジーX(42P)
バトルキャラクターではオーバードライブ技のゲーム画面が。
バトルシステムのトピックは、CTB、スフィア盤、オーバードライブ技、召喚。インターナショナル版でのおもな変更点も記載。
魔法2ページ、アビリティ3ページ。召喚獣は8体。アイテムは7ページで、武器防具に関しては、装備キャラクター別の効果による名前の決定条件の表が掲載してある。例えば「先制」効果の武器は、ティーダ用ならヴィジランティで、ユウナ用はコンダクターとなるといって具合。
モンスターはインターナショナル版まで含めた244体。
★土田俊郎氏に聞く「CTB」(2P)
XのバトルディレクターでCTBの制作者である土田氏へのインタビュー。
◇ファイナルファンタジーX-2(44P)
パーティーメンバーの移り変わりはなく、キャラクター3人のドレス17+2種類が掲載。完全にコスプレショーですが。
バトルシステムのトピックは、ドレス、スペシャルドレス、空間。インターナショナル版でのおもな変更点も記載。
魔法は2ページ、アビリティは6ページ。召喚獣はなく、アイテムが4ページ。
モンスターでは、インターナショナル版でのクリーチャークリエイトについて紹介されている。
★歴代『FF』あんなシステムこんなシステム1(4P)
状態異常(ステータス異常)の歴史を振り返るが3ページ。毒、混乱、カエル、死の宣告、バーサク、ゾンビについて取り上げた後、状態異常がどの作品に登場したかのリストがある。また、属性の歴史を振り返るが1ページ。作品ごとの特徴や、属性がどの作品で登場したかの表もある。
◇ファイナルファンタジーXI(44P)
バトルキャラクターは5つの種族の紹介と各ジョブの所持スキルなど。
バトルシステムのトピックは、リアルタイムバトル、ジョブ、戦闘スキル・魔法スキル、属性、ウェポンスキル、パーティと4ページにわたる。
魔法は6ページで、2008年5月までに実装されている魔法が掲載されている。アビリティも6ページで、各ジョブのアビリティと特性、またウェポンスキルも書かれているが、どちらも名前と効果のみなのであまり利用価値はない。召喚獣は9体。アストラルフロウ時のそれぞれの攻撃がゲーム画面で紹介されている。アイテムは4ページ。当然数千種類というアイテムリストは掲載されず、武器や防具などの系統名と代表的な装備などが記載されているにすぎない。
モンスターは、現在ヴァナに存在する131種について写真で掲載している。更に細かな種別では2000を悠に越えるため、仕方ない措置だろう。同一種でも獣人などは姿形の変わる数種類の写真がある。また生息地で大きく姿の変わる亜種も取り上げている。
★歴代『FF』あんなシステムこんなシステム2(4P)
バトルに関係するこまかなシステムの歴史を振り返るでは、バトル開始時の特別な状況、隊列、バトル中の前列・後列のチェンジ、バトル中のメンバー交代、バトル中の装備変更、逃げる方法、「ぼうぎょ」コマンドについて13作品の扱われ方を表にしてまとめてある。
勝利ポーズの歴史を振り返るでは、XIを除く12作品の勝利ポーズの写真を掲載している。
◇ファイナルファンタジーXII(56P)
バトルシステムのトピックは、ADB、パーティー、ライセンス、ガンビット、ミストカートリッジ、ミストナックと4ページにわたり、インターナショナル版でのおもな変更点も紹介されている。
魔法2ページ、アビリティに替わりライセンスが2ページ、召喚獣が13体、アイテムは9ページ。うち最後の1ページはガンビットリストとなっている。
モンスターは5段×4体の表記となり、インターナショナル版まで含め474体と数も多い。
★北瀬佳範INTERVIEW(4P)
「FFらしさ」といった話から、次回作のXIIIの話など。
以上が本作の内容。
システムなどはもうあまり覚えていなかったりするが、モンスターを見ているといろいろと思い出すことも多い。嫌な思い出が残る敵はなかなか忘れられないようだ。
このFile3も前2作同様に、またプレイしてみたいと思わせる内容ではある。懐かしい気持ちを思い起こさせてくれるのは確かだ。
しかし、前2作同様にもどかしさも感じてしまう。攻略的な記述も少なくはないが、攻略本としては成り立っていない。それでいて攻略的な視点以外のものが乏しいため、視覚的には満足できるが読み物としては物足りなく思えてしまう。
ゲームを語る言葉の乏しさを垣間見た気がする。
1作ごとに進化し、1作ごとに大きく変貌を遂げてきたファイナルファンタジー。毎回大きな挑戦をしてきたがゆえに、特別な思いを抱く昔からのFFファンにとっては価値のある一冊かもしれない。