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『最高の本! 2010 完全保存版―Book of The Year』

2009年11月19日 21時38分04秒 | 本と雑誌
最高の本! 2010 完全保存版―Book of The Year (マガジンハウスムック)
価格:¥ 580(税込)
発売日:2009-11


マガジンハウスムック、ダカーポ特別編集。
新聞・雑誌の書評担当者が選んだ”最高の本”ランキング、人気3ジャンル(国内ミステリー・海外ミステリー・女子読み恋愛小説)ベスト10、ジャンル別最高の本ベスト10、本の虫・書店スタッフ10人が選んだ今年のベスト5、旬の話題がわかる5テーマ50冊など。

”最高の本”ランキング1位は言わずと知れた『1Q84』。今年最大のトピックだから当然と言えるだろう。村上春樹は初期三部作しか読んでないが、機会があれば読んではみたい本。
2位は水村美苗『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』。発売当時から気になっていた本ではある。
3位山田詠美『学問』、4位吉田修一『横道世之介』、5位川上未映子『ヘヴン』。3位5位は話題になった本。4位は知らなかった。この辺りは苦手なジャンルと言える。
6位奥田英朗『オリンピックの身代金』。『空中ブランコ』等の伊良部シリーズが面白かっただけに、この著者の他の作品にも手を出したいと思っている。
7位天童荒太『悼む人』は新聞で書評を読んだ。この著者は『永遠の仔』を読んだことがある。
8位野中広務・辛淑玉『差別と日本人』。いつも閲覧するブログでこの本の感想を読んだ。
9位池谷裕二『単純な脳、複雑な「私」』は脳科学の本。初めて知った。
10位橋本治『巡礼』。橋本治もほとんど読んだことがない。

国内ミステリベスト10の1位は佐藤正午『身の上話』。この著者自体を知らなかったりする。このミスとの対比が気になるところ。
2位に飴村行『粘膜蜥蜴』。新聞の書評で見かけた程度だが、前作の『粘膜人間』ともども読んでみたいと思った。
3位に米澤穂信『追想五断章』。「小市民」シリーズや『インシテミル』で著者への評価は著しく低いが、リドルストーリーという点には興味が。
4位道尾秀介『花と流れ星』。短編集。この著者は読んだことがない。
5位佐々木譲『暴雪圏』。現在、『わらう警官』が映画化されて公開中。ただ『わらう警官』は物足りなさを感じた。
6位黒川博行『煙霞』。大阪が舞台らしいので読んでみたい。
7位乾ルカ『プロメテウスの涙』。この著者も初耳。新人だから仕方ないけれど。
8位東野圭吾『新参者』は加賀刑事シリーズの連作短編集。
9位柳広司『ダブル・ジョーカー』は『ジョーカー・ゲーム』の続編にあたる連作短編集。
10位大門剛明『雪冤』も新人の作品。

海外ミステリはほとんど読まないので詳しくないが、1位のスティーグ・ラーソン『ミレニアム』は他のページでも取り上げられ、かなり気になった作品。読んでみたいけれど、上下巻の三部作という大著。

女子読み恋愛小説は知らない作家のオンパレード。ただ読んでみたい気にはなった。
1位は瀧羽麻子『左京区七夕通東入ル』。紹介でも、万城目学、森見登美彦の名が出ているのでその系統かな。
2位角田光代『くまちゃん』、3位中山可穂『悲歌―エレジー』、4位飛鳥井千砂『アシンメトリー』、5位桐野夏生『IN』、6位冨士本由紀『しあわせと勘違いしそうに青い空』、7位佐野洋子『クク氏の結婚、キキ夫人の幸福』、8位本多孝好『WILL』、9位豊島ミホ『リテイク・シックスティーン』、10位上原小夜『放課後のウォー・クライ』。半分くらいは読んでみたいものだ。

ジャンル別。グランプリとなった作品だけ挙げる。
日本文学では辻原登『許されざる者』。
海外文学はアラン・ムーア『フロム・ヘル』。先日教えてもらったばかりのコミック。米Amazonで中の絵を見たが、慣れないと読みにくそう。
歴史小説は下川博『弩』。時代小説は荒山徹『徳川家康』。
ノンフィクション・エッセーは小林信彦『黒澤明という時代』。小林信彦はなぜかこれまで読む機会がなく、読みたいとは思っていたのに。
ビジネス書は外山滋比古『思考の整理学』。古典だけれど、なぜか今年ヒットした。私も昔買って読んだ。
タレント・芸能本は愛甲猛『球界の野良犬』。愛甲はもちろん知っているが、この本のことは初耳だった。
写真集は『桜庭ななみ写真集「N・P」』。
マンガはこうの史代『この世界の片隅に』。『夕凪の街 桜の国』から読んでみたいと思っているのだけれど機会がない。
詩歌・俳句は高岡修『火曲』という詩集。
評論は笠井潔『例外社会』。

興味があったのは、”最高の本”ランキング、国内ミステリベスト10、女子読み恋愛小説あたりだが、担当編集者が思わず読みたくなったベスト10の1位に輝いた宮下奈都『よろこびの歌』も関心を持った一作。素敵な本と幸福な出会いが訪れますように。




☆”最高の本”ランキング
1Q84 BOOK 11Q84 BOOK 1
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2009-05-29
1Q84 BOOK 21Q84 BOOK 2
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2009-05-29

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2008-11-05

学問学問
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-06-30

横道世之介横道世之介
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-09-16

ヘヴンヘヴン
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2009-09-02

オリンピックの身代金オリンピックの身代金
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2008-11-28

悼む人悼む人
価格:¥ 1,700(税込)
発売日:2008-11-27

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)
価格:¥ 760(税込)
発売日:2009-06-10

単純な脳、複雑な「私」単純な脳、複雑な「私」
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2009-05-08

巡礼巡礼
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2009-08-28


☆国内ミステリベスト10
身の上話身の上話
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-07-18

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)
価格:¥ 700(税込)
発売日:2009-08-25

追想五断章追想五断章
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2009-08

花と流れ星花と流れ星
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2009-08

暴雪圏暴雪圏
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2009-02

煙霞煙霞
価格:¥ 1,750(税込)
発売日:2009-01

プロメテウスの涙プロメテウスの涙
価格:¥ 1,600(税込)
発売日:2009-04

新参者新参者
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-09-18

ダブル・ジョーカーダブル・ジョーカー
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-08-25

雪冤雪冤
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-05-29


☆女子読み恋愛小説
左京区七夕通東入ル左京区七夕通東入ル
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-07-23

くまちゃんくまちゃん
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-03

悲歌  エレジー悲歌 エレジー
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-09-18

アシンメトリーアシンメトリー
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-09-25

ININ
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-05-26

しあわせと勘違いしそうに青い空しあわせと勘違いしそうに青い空
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-07

クク氏の結婚、キキ夫人の幸福クク氏の結婚、キキ夫人の幸福
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2009-10-07

WILLWILL
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2009-10-05

豊島ミホ『リテイク・シックスティーン』幻冬舍から11/27発売
放課後のウォー・クライ放課後のウォー・クライ
価格:¥ 1,200(税込)
発売日:2009-02-19


☆ジャンル別
許されざる者 上許されざる者 上
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2009-06-19
許されざる者 下許されざる者 下
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2009-06-19

フロム・ヘル 上フロム・ヘル 上
価格:¥ 2,730(税込)
発売日:2009-10-10
フロム・ヘル 下フロム・ヘル 下
価格:¥ 2,730(税込)
発売日:2009-10-10

弩
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2009-05-11

徳川家康 トクチョンカガン 上徳川家康 トクチョンカガン 上
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-09-18
徳川家康 トクチョンカガン 下徳川家康 トクチョンカガン 下
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-09-18

黒澤明という時代黒澤明という時代
価格:¥ 1,750(税込)
発売日:2009-09-11

思考の整理学 (ちくま文庫)思考の整理学 (ちくま文庫)
価格:¥ 546(税込)
発売日:1986-04-24

球界の野良犬球界の野良犬
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2009-07-24

桜庭ななみ写真集 N・P桜庭ななみ写真集 N・P
価格:¥ 3,150(税込)
発売日:2009-09-10

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)
価格:¥ 680(税込)
発売日:2008-01-12
この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)
価格:¥ 680(税込)
発売日:2008-07-11
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
価格:¥ 680(税込)
発売日:2009-04-28

高岡修『火曲』はAmazonでは取り扱っていない模様。
例外社会例外社会
価格:¥ 4,200(税込)
発売日:2009-03-19


☆担当編集者が思わず読みたくなったベスト10の1位
よろこびの歌よろこびの歌
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2009-10-17



感想:『人類は衰退しました』

2009年11月19日 20時34分59秒 | 本と雑誌
人類は衰退しました (ガガガ文庫)人類は衰退しました (ガガガ文庫)
価格:¥ 600(税込)
発売日:2007-05-24


人類が衰退し、妖精さんに地球の主役の座を譲った世界が舞台。人は多くの知識を失い、人口もどんどんと減少している。
教育機関である学舎の最後の卒業生の一人である主人公。彼女は畑仕事より楽だからという理由で調停官という職に就く。それは祖父の職でもある。調停官は人と妖精との調停を行う者。とはいえ、現在では閑職となっている。

集団では驚異のテクノロジーを持ちながら、忘れっぽく自由気ままでただ楽しいことだけを求めて生きる妖精さんたち。個々はとても頭が良さそうには見えないが、ほとんど幼児レベルに見えてしまうが、つい忘れてしまいそうになるが、時々とんでもない能力が垣間見られたりする。

本書はそんな妖精さんたちの観察日記。感覚としては、ポピュラスやシムシリーズなどAIで動く無数の仮想人類が思い浮かんだ。そして、本書はそんなゲームのプレイ日記のように感じる。つまり、他人のブログを読むようなものだ。
そこで大切なものは、楽しく見せる切り口であり、観察者本人の面白さだったりする。クソ真面目なプレイじゃすぐに読むのに飽きる。いかに飽きさせない工夫ができるか。

その意味で、実は妖精さんよりもこの主人公の造型がこのシリーズの鍵を握っていた。本書にはほぼ独立した2話が収録されているが、どちらも主人公が妖精さんたちに接触し、一押ししてその後の反応を書き記すという体裁になっている。主人公のとぼけた味わいが妖精さんたちと上手く絡み合い、楽しめる作品に仕上がっている。

ただし、現時点ではストーリー性は皆無。謎もあるにはあるが、それを解き明かそうという雰囲気はない。エピソードは面白いが、インパクトには欠ける。後に残るような何かがあるわけではない。癒し系と言ってもいいかもしれないが、これで癒されるかは知らない。脱力系SF風ラノベってところだろうか。(☆☆☆☆☆)