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感想:『GOSICK―ゴシック』

2009年11月14日 00時24分13秒 | 本と雑誌
GOSICK―ゴシック (富士見ミステリー文庫)GOSICK―ゴシック (富士見ミステリー文庫)
価格:¥ 630(税込)
発売日:2003-12


久しぶりの桜庭一樹。そのライトノベル作品。シリーズ第1作。

著者の持ち味である構成の巧さは本書でもいかんなく発揮されている。本編各章の間のモノローグによってもう一つのストーリーが描き出され、本編とうまく絡み合っている。
このシリーズは著者の作品では珍しく少年の視点から描き出されている。戦間期ヨーロッパの架空の国ソヴュール。その聖マルグリット学園に留学した少年久城一弥。彼が振り回されるのは、まるで人形のような可憐な少女ヴィクトリカ。パイプをくゆらせ、普段は図書館の最上部で本を読みふける天才。この二人の瑞々しい冒険ミステリ。

秀才とされる久城一弥が、ヴィクトリカの天才性を引き立たせるために秀才に見えないという欠点は気になったものの、全体としては楽しめる内容となっている。ミステリとしての面白さではなく、キャラクターの魅力と設定の奇抜さが見事。
桜庭一樹はテーマ性の強い作品を多く読んだが、こうしたライトな作品も手堅い印象を受けた。(☆☆☆☆)




これまでに読んだ桜庭一樹の本の感想。(☆は評価/最大☆10個)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet』(☆☆☆☆☆☆☆)
少女七竈と七人の可愛そうな大人』(☆☆☆☆☆)
私の男』(☆)
少女には向かない職業』(☆☆☆☆☆)
赤朽葉家の伝説』(☆☆☆☆)