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感想:『彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計』

2009年09月14日 20時54分52秒 | 彩雲国物語
彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計 (角川ビーンズ文庫)彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計 (角川ビーンズ文庫)
価格:¥ 480(税込)
発売日:2005-07-30


あとがきによると、影月編開幕の巻。秀麗の半年振りの王都貴陽帰還が話の軸となる。
わずか半年の間に見違えるように美しくなった秀麗の姿と、それ以上に官吏として自覚した様に、周りが時に狼狽するほど。もちろん彼女の変化をしっかり受け止める人々も。
秀麗の意志とは関係なく、彼女の縁談話が次々と舞い込み、一方で劉輝のそれも喧しい。それでも二人の間に信頼関係が成立しているから安心して見ていられるが、その未来は決して明るいわけではなく……。
縹家の動きや邪仙教といった不穏な存在が暗雲を暗示している。更に影月に忍び寄る暗い影も。構成が上手いとは思わないが、ストーリーテラーとして様々な伏線を張り巡らそうという仕掛けの厚みには気を惹かれる。秀麗の成長は、この物語の屋台骨を支えるキャラクターとして成長した姿を表している。今後の展開が楽しみと言える物語は実は少ないだけに、現時点ではその少数の側に分類できることを嬉しく思う。