BAMBOO-JET  ~うみの部屋~

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精霊の木

2007-12-20 23:21:46 | 読書感想文
上橋奈緒子のデビュー作。
ファンタジーですが、SF見たいな感じ。
遥か未来で人類が環境汚染により地球を壊して、
宇宙へと移住していった結果、
とある星の先住民を意図的に絶滅させていく話。
物語はこの先住民の生き残りが主人公。
それまでその星の移住の民として何の不安もなく平凡な生活をしていた少年少女が、ある能力に目覚めることにより、突如自分の置かれていた状況・自分の属してた民族の歴史を知っていき、徐々に変わっていく話。
しかしここで出てくる先住民というのもある種の異星人で、彼らの民族が持つ不思議な精霊のパワーを持ってテレポーテーションしてこの星にたどりついてる。
お話は作り物でも、テイストがアメリカやオーストラリアの白人により先住民への差別や圧迫にも似てて、すくなからず考えさせられるものがあります。
人類の身勝手さが描かれていて、まるで私たちの未来を見てるかのよう。
また精霊と心を交わすことのできる民族の生活はなんともいえない魅力があります。
作者がアボリジニーなどを研究する人類学者だからか。
お話はすごくテンポが良くて面白いです。不思議な能力に目覚めた少女が夢で過去にあったことを体験していくに従い、歴史を昔から今までさかのぼって真実が一つ一つ見えてくる様子などどきどきしました。
孤独な老人が未来の子孫へ向けて歌うメッセージはすごく切ない思いがします。
これがデビュー作とはすごすぎる。

○精霊の木 上橋菜穂子 偕成社1200円


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