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2009年1月18日の学習会のご案内
今朝の朝日新聞が「資本主義はどこへ」という次のようなインタビュー記事を掲載しました。「資本主義に基づく経済や社会はどう変化するのか。シリーズで考える」とのことです。期待しましょう。第1回の今日は「ドラッカーなら、ケインズなら」です。
京都大学名誉教授の伊東光晴さんは50年以上、ケインズを研究してきた方だそうですし、ドラッカー学会代表で立命館大学客員教授の上田惇生さんはドラッカーと約30年の親交があるそうですから、お二人はケインズ、ドラッカーを語るには最もふさわしいかたがたなのでしょう。
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私はこの分野はまったくの門外漢ですので、伊東さんも、上田さんも、ドラッカーも、ケインズもお名前だけは存じておりますが、知らないに等しいのですが、「私の環境論」の立場から上の記事に少々コメントしておこうと思います。
伊東さんの発言に、「30年代の大恐慌の際、スウェーデンは・・・・・」とスウェーデンが登場します。また、「もう一つのモデルは、付加価値税で福祉社会を支えている北欧です。・・・・・・日本が向かうべき道はこれです。」という発言もあります。1929年の大恐慌の時の対応の成功例としてスウェーデンをとりあげる経済学者やエコノミストがかなりおります。たとえば、次の小林慶一郎さんもそのお一人のようです。
ドラッカーの著書は2002年に「ネクスト・ソサエティ」(ダイヤモンド社 2002年)を読みました。今のところこの本が最初で最後です。本のタイトルと「本書は、まさに日本のために書かれたというほど説得力がある」というソニーCEOの出井伸之さんのコメントに関心をそそられ、その道の大家が21世紀前半社会をどう見ているかに関心があったのですが、今日改めて、読後のメモをみると、「2002年8月8日読了、環境問題に対する認識はほとんどないに等しい」とありました。20年以上前から、環境問題は資本主義社会(市場経済社会)を揺るがす最大の問題だという認識で、環境問題を論じてきた私には、ドラッカーのこの本の内容には大変失望した記憶があります。次の図をご覧ください。
著書「ネクスト・ソサエティ」に示されたドラッカーの「環境認識」には失望しましたが、朝日の記事の「実行すべきはマーケッティング(顧客の創造)、イノベーション(技術革新)、生産性の向上です。生産性を上げれば、市場が縮んでいるから、午後3時に仕事が終わるかもしれない。」という箇所には同感です。1月7日のブログの「積水化学工業株式会社 環境レポート2002 第三者審査報告委員」という図を参照してください。
そして、彼の著書「ネクスト・ソサエティ」に戻れば、下の図に示したように、「大事なのは経済よりも社会だ」という認識です。この考えには私も同感です。
1987年に、国連の「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が提唱し、1992年のリオサミットで合意された「Sustainable Development(持続可能な開発)」という概念は、日本では「経済の」持続可能な開発、発展あるいは成長と理解されていますが、スウェーデンでは「社会の」持続可能な開発、発展と理解されているからです。
一昨日紹介した 「スウェーデン社会民主党行動綱領」 の90ページの「6-3 使い尽くすことなく利用する」という項には、次のように書かれています。
資源を、いかに使い尽すことなく利用するかを学ばなければならない。エコロジカルな調整は、私たちの時代における最大の社会改革である。国も、自治体も、企業も、市民も誰もがこの挑戦に加わらなければならない。社会のすべての主体が、社会のすべての領域で、あらゆる水準で参加しなければならない。国際的な協力も強めなければならない。
このようにみてくると、これから深刻化すると思われる「21世紀前半の大不況」は、73年前の「20世紀の大不況」(とは言っても経済規模が現在とまったく違いますし、環境問題を考える必要がなかった)と違って、環境問題を十分考慮しなければならないのですから、「今亡き20世紀の巨人なら21世紀前半の社会や経済をどう考えるか」という「後ろ向きの発想」ではなく、伊東光晴さんが「もう一つのモデルは、付加価値税で福祉社会を支えている北欧です。・・・・・日本が向かうべき道はこれです」とおっしゃる北欧、その中でも12年前に「グリーン・ニューディール的対応」を開始し、すでに一定の成果を上げている北欧最大の工業国であり、経済、福祉、環境のバランスで世界の最先端を行く「福祉国家」スウェーデンの行動計画を日本の総力をあげて本気で検証するのが適切なのではないでしょうか。
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