環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

判断基準を変えれば、別のシーンが見える、改めて 日本は世界に冠たる「省エネ国家か」?

2009-10-11 13:38:44 | 温暖化/オゾン層
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このブログの目的は、「私の環境論」に基づいて、私の関心分野に次々に登場する様々な現象や事象を分析し、解説し、皆さんにもう一つの視点を提供していこうという試みです。

まず、「私の環境論」に共通する「環境問題を考える際の7つのキーポイント」を掲げます。環境・エネルギー問題を議論するときの共通の出発点として共有していただければ幸いです。



今日は、21世紀の環境問題を考えるときには、上の図の「③総 量」が、「GDP当たり」や「原単位当たり」という「相対量」よりも重要かつ適切な指標であることを示し、皆さんの議論の材料とします。それでは、今日のテーマである「日本はほんとうに世界に冠たる省エネ国家なのか?」を考えてみましょう。まず、次の図をご覧下さい。



この図の上半分は日本の産業界が、IEA(国際エネルギー機関)の統計資料の数値をそのまま引用し、いかに日本が他の国に比べて省エネが進んでいるかを示す資料として作成した図です。下半分は、実体経済に近づけるために国際機関などの統計で使われている「物価水準」を反映させた「購買力平価」でGDP当たりの排出量を示したもの です。

同じGDP当たりのCO2排出量も、物価水準を反映させると、日本が必ずしも世界一ではないことを示しています。このように、判断基準を変えれば、別のシーンが見えてくるのです。

詳しくは次の記事をご覧下さい。
●「25%削減」きしむ産業界(朝日新聞 2009年10月6日 1面)

●揺らぐ「省エネ世界一」 計算法違えれば欧州以下に(朝日新聞2009年10月6日  2面) 

日本の内閣府の政策統括官室が2年前にまとめた報告書では、購買力平価方式でも計算していて、日本は70年代にはCO2排出効率がよかったものの、原油価格が低迷した80年代後半以降は足踏み状態が続いた。04年は米国よりはよかったが、英国やフランス、イタリアよりも劣っていた。報告書は「先進国の中で相対的に高い排出効率を維持するためには一層の努力が必要である」と指摘していた。・・・・・


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●NHK解説委員室  視点、論点「“乾いた雑巾”は本当か」(2007-05-17)

●大和総研 経営戦略研究レポート CSR(企業の社会的責任)とSRI(社会的責任投資)  日本は環境先進国なのか? 2008年3月10日
世界銀行が2007年10月に公表した温暖化対策を評価した報告書において、 日本は70カ国中62位、先進国では最下位という衝撃的な結果が示された。
洞爺湖サミットで環境立国日本を標榜し、世界のリーダーシップをとるのであれば、日本は環境先進国、という思い込みを捨てて積極的かつ大胆な温暖化対策を早急に進める必要がある。



大和総研の経営戦略研究レポートは、結論を導くまでに “エコノミストにわかりやすいように(?)” 複雑な論を展開しておりますが、そのようなことをしなくても「環境問題を考える際の7つのキーポイント」の「②経済活動 経済活動は金の流れではなく、資源/エネルギーの流れで見る」と「③総量」という原則で考えれば、簡単に、しかも正確に同じような結論を導くことが出来ます。

今私たちが理解しなければならないのは、京都議定書の規定も、ポスト京都議定書の規定も、温室効果ガスの「総量」削減であって、日本の産業界が求めてきた「原単位の改善」などの「相対量」の向上ではないのです。


   

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