「人が生きる上で本当に取り返しがつかないことは、実のところ、そう多くはないかもしれない。あいはふと、そんなことを思うのだった。」
冒頭の一節は、主人公あいが、夫のために着物を縫おうとしていたとき、裁断の仕方を間違えて男物に仕立てられないと気づいたとき、いやこれは、すこし光方が派手であったし、夫の母の着物にした方が喜んでくれるであろうと、考えを転換して嬉しい気持ちになる様子。。これはそのとき悩んでいたことをこの布の断ち間違いになぞらえて総括して、ポジティブになっていく聡明さの場面です。
洋裁や和裁をするとき、布にハサミを入れる瞬間の緊張。そんなときに悩み事など有ると、つい失敗もあるかと。今はもう自分で作ることはないのだけれど、今も和裁をする友人がいるので、彼女のことを思い浮かべたりも。
取り返しのつかないこと、、、、、無いわけではないけど、そう多くもない。φ(.. )
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和裁の友人とは別の友人に借りている本、高田郁さんの「あい」を読んでいます。
時は1839年(天保10)主人公の少女「あい」5歳。ところは上総国山辺郡前の内村の木立の中で、家族を探し歩いている時に、偶然或る少年の姿を目撃します。その場面はそこで終わり、山桃の若木のそばで少年が醸し出していた深い哀しみの印象だけ記憶し、年月が経ちます。
結局のところ、縁あって、愛は後年その少年と結婚することになります。(盛大に端折ってますw)
昔々のお話という時代背景に、その社会通念や雰囲気が今の自分にはすこしなじめないかなと思い読み進めていますが、万延元年頃のあいの考え方まで読んでいくと、その心の強さとひたむきな生き方に引き込まれています。
あいの夫寛齋は、農家の生まれ。その後医者になり、あいと結婚します。。当時の感覚では、身分の低い家から医者を出すことの色々な大変さが記されていますが、彼の才はそれらを凌いでいました。そして結婚後も江戸に勉強に行きます。さて、14代将軍が家茂になったとき、長崎でコレラがはやり、ついに江戸にも広がりました。そのときの混乱の描写は、10年ほど前にみたドラマ「JIN」を思い出しました。(南方仁先生:大沢たかおさん♪なつかしい)
そんなこんなで、夫、推挙され今度はオランダ人から医学を学ぶため長崎に勉強に行くことになります。そ間子供と一緒にずっと夫とは別居!上総の家を守るあい。(う~。)そしてさらに、期間を終えてあいのもとにもどった夫に手紙。「もう5年長崎のオランダ人から学んで、日本の医学に貢献してほしい」的な内容。しかしそのとき別案件あり。「阿波徳島藩主、蜂須賀斉裕公の国詰め侍医に推挙された。」(斉裕さんて、徳川家斉さんのお子さんらしい)へえ、、、藩の、ご典医ということですか。
(もう!どこでもいいよ、一緒に連れて行ってほしいものですよね、、、ココロの声私。)
と。夫寛齋悩み中。というころまで読み進んでおりますが、、、
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それまでにも艱難辛苦、そんな中、またしても決断が迫られる。こんな背景があって、,あいは注意力散漫になっていたのでしょう。人が生きていく上で、という一文に今日は心揺れて,記憶にとどめたく備忘の為に書きました。(*^_^*)
友人は、このあとの展開で確かめたい部分があるらしいので,今日急ぎ読んでしまう予定です(*^_^*)