この機会に犀星(←室生犀星)の面白い話を書いておきたい。
犀星は怒ると顔の表情から、体全体が固まってしまう。
或日犀星から、亡くなった夫人の句集が送られて来た。
たいへんにいい句があった。
次に犀星の家に行った時、礼を言い、そのことを言うと、傍にいた朝子が「随筆集もあるんですよ」と言った。
すると犀星は、小さな手焙りに両手をかざしたまま固まってしまった。
こちこちになってしまって、自分でどうにもならないらしい。
真鍮の手焙りと一緒に全身が固まってしまって、まるで手焙りに掌をかざしている、犀星の銅像のようである。
朝子は大いに困って、あたふたしている。
二分位も経っただろうか、ようよう犀星の固まりは解けて、もとの生きている犀星に還った。
ふと、固まりが解けて、表情が還って来た時の、ホッとした気持は、忘れられない。
犀星は夫人の随筆集を気に入っていなかった。
それを私に言って貰いたくなかったのだ。
その二分程の時間の長かったこと、今思い出しても自分の体が固まって来そうになるほどである。
はい、こういう場面に遭遇して、
「何を怒ってるのよぅ、気に入らないなら「気に入らない!」ってハッキリ言っておいてくれればいいじゃないのぉ!」
って言うのは、情緒無しなのよねぇぇぇ。
察して黙って感じてるのがいいわけ。
おまけにそういうこと言ってしまうとこういう人って「追いつめられちゃう(気持ちがキツくなっちゃうの)」んだよね。(多分そう)
だから察して「多分こういうことなんだろうな・・・」って考えて、「フフフ・・・(可愛いわね・・・くらいに)」って思っておくくらいがいいんです。
犀星は怒ると顔の表情から、体全体が固まってしまう。
或日犀星から、亡くなった夫人の句集が送られて来た。
たいへんにいい句があった。
次に犀星の家に行った時、礼を言い、そのことを言うと、傍にいた朝子が「随筆集もあるんですよ」と言った。
すると犀星は、小さな手焙りに両手をかざしたまま固まってしまった。
こちこちになってしまって、自分でどうにもならないらしい。
真鍮の手焙りと一緒に全身が固まってしまって、まるで手焙りに掌をかざしている、犀星の銅像のようである。
朝子は大いに困って、あたふたしている。
二分位も経っただろうか、ようよう犀星の固まりは解けて、もとの生きている犀星に還った。
ふと、固まりが解けて、表情が還って来た時の、ホッとした気持は、忘れられない。
犀星は夫人の随筆集を気に入っていなかった。
それを私に言って貰いたくなかったのだ。
その二分程の時間の長かったこと、今思い出しても自分の体が固まって来そうになるほどである。
はい、こういう場面に遭遇して、
「何を怒ってるのよぅ、気に入らないなら「気に入らない!」ってハッキリ言っておいてくれればいいじゃないのぉ!」
って言うのは、情緒無しなのよねぇぇぇ。
察して黙って感じてるのがいいわけ。
おまけにそういうこと言ってしまうとこういう人って「追いつめられちゃう(気持ちがキツくなっちゃうの)」んだよね。(多分そう)
だから察して「多分こういうことなんだろうな・・・」って考えて、「フフフ・・・(可愛いわね・・・くらいに)」って思っておくくらいがいいんです。