ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

台風とともに旅は続く

2011-09-18 | 日記風
台風15号がのろのろと沖縄をねらって進んでいる中を、ボンバルディアのプロペラ機で伊丹から高知空港へ向かった。予想通り、小さな飛行機は揺れた。がたがたするのは雲の中を通るときだが、エアーポケットに落ち込むときは、思わず拳を握りしめる。何年乗っても、飛行機のこの感覚は、嫌なものだ。そういえば、子供の時もエレベーターに乗るのが嫌だった。落ちていく感覚が。

 高知はやはり雨だった。時折驟雨が雨脚を白く光らせながらはりまや橋の広い道路を駆け抜けていく。雨は確固とした意志のないように、あがったり降ったり、傘を出したり仕舞ったり。台風を感じさせる風と、南国の湿ったような暖かい空気を動かしているような、高知という場所の今を思い出させる風が吹いている。

 主催する少し気の張った会合が終わり、ほっとした気分で高知の街を歩く。台風はどうやら迷走しているらしい。沖縄へ行こうとして立ち止まり、あらためて今度はこちらの方向へ針路を定めようとしているらしい。道理でいつまでたっても台風の風がやまず、雨も同じような降り方を繰り返している。歩くときは雨のやむ一刻をねらって素早く出かけるしかない。高知市内には、東南アジアの国のように、街の大きい通りに、屋台レストランが軒を連ねている。来た最初の晩は、それを知らずに食事をするところを探し歩いた。酒を飲まない私には、夜の食事をするところを探すのが一苦労だ。こんな屋台街があれば、食べるところを探すのは苦労しない。昔は日本のどこの街にもこんな屋台店がいっぱい並んでいたはずなのに、なぜ無くしてしまったのだろうか。衛生面の懸念を並べ立て、潔癖症に冒された日本人たちが、こんなに楽しい屋台街を無くしてしまった。

 この後、東京へ行き、それから隠岐の島へ行く予定だが、台風はどうやら勢力を強めているらしい。そして、ゆっくりと本州に近づくという。予定通りの行動ができるかどうか、10日間に及ぶ旅の行方がちょっと心配だ。でも、なるようになるだろう。それが旅の楽しみでもある。