ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

思わぬ雪山を楽しむ

2009-01-03 | 花と自然
お正月は近くのお寺に参詣に行っただけで、昨日はゆっくりと大学箱根駅伝をみた。東洋大の奇跡の大逆転を楽しんだ。東洋大って、川越市にあるんだよ。知っていた?駅伝を見た後は、毎年楽しみにしている大学ラグビーの決勝戦を観戦した。普段テレビをあまり見ない生活だが、正月のこの番組はなるべく見るようにしている。スポーツもほとんどの競技を見たいとも思わないのだが、マラソンとラグビーだけは見たいと思う。なぜだかわからないけど。

 しかし、二日間もじっとしていると、身体がおかしくなりそうになった。歩くと足が痛む。これではならじと、今日はハイキングを思い立った。2週間ほど歩いていないので、遠くはやめて京都市内の山歩きをしようと、大原の裏山を登ってみようと思った。大尾山(だいびやま)という684mの山がある。近くだし、山も低いし、どうせ杉の人工林だろうから、散歩の延長くらいのつもりで登り始めた。

 自宅を出るときは少し雨が落ちていた。どうも京都の山行きは雨が多いような気がする。これは自分の行いが悪くなったと言うよりは、京都が日本海に近い事によるのだと勝手に思いこむことにした。天気予報は悪くなかったので、そのうち晴れてくるだろうと思って出発した。大原につくと、一面雪景色。せいぜい5cmくらいの積雪なので、まあ大丈夫だろうと歩き始める。散歩のつもりできたので、雪山の道具は何も持ってきていない。スパッツだけはいつもザックの底に入れていたので、スパッツを着けて歩き始めた。

 三千院までは観光客もかなりいる。しかし、そこを過ぎたとたん、雪の量も増え、人はいなくなった。空からは雨とも雪ともつかない細かいものが降っている。音無の滝を越えて沢沿いの道を登る。雪がどんどん深くなってきた。ウサギの足跡、シカの足跡、イノシシと思われる足跡などが雪の中に見られる。雪の無いときには動物の気配もあまりしないが、雪があると動物の気配までしそうな気がする。森が生きていると肌に感じるような気がする。

 沢沿いの道はだんだん細くなり、雪が深くて道が分からなくなる。しばしば道を見失い、必死でルートファインディングをする。道標もほとんど無い道なので、自分の勘がたよりだ。雪の下になった丸太橋を見つけ、平らになった場所を調べ、それでも道が見つからないときは、川の流れの中を歩くしかない。三度目に道に迷ったときは、かなり沢を詰めて標高550mくらいまで登っていた。しかし、どうやらこの雪の多さでは沢を詰めて頂上まで行くのは難しそうだと気がつき、磁石で確かめたらかなり違った方向を向いていることが分かった。どうやら沢を間違えたらしい。


 道らしい道はない。沢の両側はかなり急な傾斜の山で、小さな雪崩が起きたら、少々やばいなと思いつつ、もと来た沢を慎重に下る。雪は膝まで没し、ときどき腰まで潜る。雪の下の岩や倒木が見えないので、足を踏み込むとずぼっと入ったり、岩に滑ったり、木の枝に足を引っ掛けて転んだり、雪と格闘しながら、こけつまろびつ雪だるまのようになって下っていった。

 ようやく道がハッキリしたところに帰ってきて、そこから沢をあきらめ急な尾根を直登することにした。少し歩いたところで、登山者が残したビニールの目印を発見。ほっとする。この道を登れば良さそうだ。急な坂をあえぎながら登る。靴は軽登山靴なので、雪山用ではない。しかし、雪が固く締まるほど温度は低くないので、軽登山靴でもキックステップができる。滑らないように慎重に急斜面を登る。登りついたところが大尾山の頂上だった。



 頂上の眺めはあまり良くない。それはほとんどが杉の人工林に覆われているからだ。しかし、東側が少し開けていて、琵琶湖がよく見える。軽い気持ちで登り始めたので、頂上までは1時間もあれば登れると思ったのだが、この雪と迷い道をしたおかげで、2時間以上掛かってしまった。しかし、雪山の楽しさも味わえたのは望外の喜びだ。しかも、かなりの道が沢登り。この道は夏には涼しい登りが楽しめそうだ。



頂上から比叡山方面に歩き、仰木峠から下山するつもりで歩き始めたのだが、途中でまた道を間違えたらしく、道無き道を一直線に沢を下って、1時間。もとの大原に降りついた。来迎院で藤原時代の作という釈迦牟尼仏、薬師如来、阿弥陀如来の三尊仏を拝観し、観光客でいっぱいの大原に降りてきた。今日は山に入ってから一人の人にも出会わず、人間の足跡一つ見なかった。たった一人で雪山を歩けたのは、大満足。幸先の良い年になるのかもしれない。