肩の凝らないスローライフ

ようこそtenchanワールドへ。「一日一笑」をモットーに・・・日常生活の小さなことを笑いに変えるtenchanの雑記帳

祖母の着物

2012-02-20 14:25:50 | 自分のこと・思い出
着付けを学ぶようになり、約一年が経とうとしている。

習いたての頃は、
引出しを開けて手にした物を、ザザッと引っぱり出し、
小物は毎回同じ物。
色合わせも何も考えずに持って行ったのだが、
近頃少し欲が出てきたのだろうか。
次のお稽古にはどの着物を持って行こう、
帯はどれを合わせよう。
帯揚げと帯締めは何がいいかしら?
と、前日にあれこれ選ぶのが楽しくなってきた。

お稽古に通っていることは
実家の母にも知らせてあった。

綺麗に着られたかどうかは別として、
とりあえず袋帯は一人で結べるようになったよ。
今度、お母さんにも「コツ」を教えてあげるね。

なんて、浮かれて電話したものだから、
母は相当嬉しかったようだ。
だって、私ったらそれまで着物着るっていう時は、全部母にお任せ。
でくの坊みたいに突っ立ったままで、
巻き付けてもらっていたんだからね。

そんなんだから、
お正月に実家に帰った時、
母がいきなり「これ、持って行って~!」
と、箪笥から引っぱり出してきたのには
「どうしよう・・・・・仕舞うところないわ。」
と、一瞬焦ったが、
そうだ、お稽古の時に着られるじゃない、ラッキー。
と、ちゃっかりもらうことにした。




淡いベージュ色の「あられ小紋」と、
一度も締めたことのない袋帯。

もともと祖母が着ていたのを、母が譲り受けたのだそうだ。



和裁が得意だった祖母は、着物を全て自分で仕立てていた。

私が結婚する時に持たせてもらった着物は、
殆ど祖母が縫ってくれたものだそうだ。

祖母はどんな思いで、
嫁ぐ孫のために一針一針縫ったのだろう。

それなのに、
「箪笥には着物を入れるスペースが少ないから。」
「自分で着られないから、宝の持ち腐れになる。」
など、何やかんや文句を言いった挙げ句の果てに、
「着物はこれ以上要らないってば。」
と、もっと持たせようとした母に釘を刺したような気がする。

若気の至りだな~と深く反省。

実際、嫁して20年というもの、
着物を着る機会は
結婚式やお宮参りくらいで、
袖を通したことは数少なかった。

しつけ糸で綴じたままのものも何枚かある。

でもね、祖母が手縫いしてくれた、というのを聞いてしまっては、
宝の持ち腐れなんかにしちゃだめだ、と思い直した。

着付けの手順も随分覚えて、
帯を締め上げるまで、
だいたい30分くらいで出来るようになった。

裾を合わせ、お端折を整え、衿を合わせる。
絹が擦れる度、祖母の息づかいを感じる。

着付け教室のお仲間にも、
「素敵な着物と帯ねぇ。」と、褒めていただいた。

ありがとうございます。これ、祖母が縫ってくれたものなんです。

誇らしげにそう答える。

おばあちゃん、ごめん。
生きているうちに
着物姿をもっと見せてあげればよかった。
でも、これから練習して
ちょっとしたお出かけの時に、ささっと着ていけるよう頑張るから。
そして、ひ孫のちび姫にも譲れるよう、
もらった着物大切にするからね。