ショスタコーヴィッチ交響曲第9番
バーンスタイン交響曲第3番<カディッシュ>
東京都交響楽団
指揮/エリアフ・インバル
語り/ジェイ・レディモア
ソプラノ/冨平 安希子
新国立劇場合唱団 東京少年少女合唱団
(合唱団の総勢120名ほど)
驚いた、こんなにすごい演奏だとは思わなかった。
おそらく都響の歴史にも名を残すような名演奏だったと思う。
指揮者のインバルさんは昨日の2月16日がお誕生日で88歳の米寿になられたそうだ。
渾身の一曲になるわけだ。
今日のコンサートはショスタコーヴィッチの交響曲第9番があったから選んだようなものだったが、バーンスタインのカディッシュの方を聴いたら、ショスタコーヴィッチの方はぶっ飛んでしまった。
かなり変則的な交響曲だった。
演奏と同時に語り(ナレーションというより演劇に近いものだ。)が入り、いわばソリストのような役割を担う。ソプラノのソリストもいる。
合唱団もただ歌っているだけではない、踊りこそないが、ある種の演劇的要素も入る。
そう、踊らないミュージカルのような雰囲気もある。
さすがはバーンスタイン芸が斬新。
語り部のジェイ・レディモアさんの言葉は、いつしかバーンスタイン自身がそこで語っているかのように思わせる。
なんだかよくまとまらなくなったがいろいろな要素を持つ曲と演奏だった。
「カディッシュ」とは死者のための祈りだそうだ。
亡き父のために、息子がカディッシュを捧げる。
そういうのがユダヤ教にはあるのだそうだ。
バーンスタインのカディッシュには、もっと広い意味がある。
ウクライナやシリア、ガザなど、世界では、紛争に巻き込まれ、理不尽にも命を落とす子供や一般市民が絶えない。
この曲はそんな彼らにささげる祈りのメセージなんだそうだ。
いかにもバーンスタインらしい。
バーンスタインは、かつてベルリンの壁が崩壊した1989年のクリスマスに、東西両陣営の楽団、音楽家と共に東ベルリンの劇場でヴェートーベンの第九を演奏した。
伝説となった演奏会は、そんなバーンスタインだからこそ出来たことだ。
まあ、そんな話まで語らせてしまうほど今日の演奏会はよかった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます