小高い丘の上にぽつんと立つ
世界遺産「カステル・デル・モンテ」
2022.12.18撮影
2019年に訪ねたシチリア島。その州都になるパレルモでは、ノルマン・シチリア王国の絢爛豪華な王宮や聖堂に息を飲みましたが、この王国の創設者ルッジェーロ二世が初代シチリア王として冠を頂き、強大な君主への道を歩み始めてから半世紀余りの後、彼の孫になる上記デルモンテ城を建設したフェデリーコ二世が誕生します。
そもそもノルマン・シチリア王国とは何ぞや?からの話になりますが、詳しくは歴史書を紐解くこととして、簡単に言えば「ノルマン人が打ち立てたシチリア王国」…
キリストから王冠を受けるルッジェーロ二世
マルトラーナ教会にて
2019.12.26撮影
本来なら時の教皇アナクレトゥスから戴冠される図が描かれて然るべきなのに
教皇を飛び越えてイエス・キリストから直接に…
さすがフェデリーコのおじいさん
時は11世紀初頭、人口が爆発的に増えたフランスのノルマンディ地方の若者たちは、長男であれば家督を継ぐことが出来るし、次男であれば裕福な家の養子にでも行けば食べるに事欠かないけれど、三男、四男…ともなれば海外に活路を見出すしかなく、やがて彼らは一攫千金を夢見て、南イタリアで傭兵(ようへい)として働くことになっていきます。
当時の南イタリアでは、諸勢力が覇権を競い、あちこちで小競り合いを繰り返していたし、イスラム教徒の襲撃にも備えねばならないから各地で優秀な傭兵を必要としていたのです。そんな背景もあって多くのノルマン人が故郷を後にして南イタリアを目指しますが、彼らの中には戦略に秀でて武力にも優れた者たちが頭角を現して活躍し、その功績に領地が与えられるようにもなりました。
ノルマン王宮の「ルッジェーロの間」に描かれた
煌びやかな「クジャクと豹」のモザイク画
南国の木々が印象的でした
今更ですが…
2019.12.26撮影
こうなると、一介の傭兵に過ぎないノルマン人が力を蓄えて有力君主に成りあがるのも当然の流れで、その筆頭がルッジェーロ2世の父でした。活字にすると数行の偉業ですが、教皇庁はじめ周辺の覇権を確立しようとする勢力やイスラム教徒とも相まみれ、共に故郷を旅立った兄弟の争いごとにも巻き込まれながらの、それは熾烈を極めた戦いの末でのことでした。ルッジェーロ二世は、この父親の後を継ぎ、念願のシチリア王になりますが、パレルモの大聖堂で執り行われた一連の儀式は、豪華な衣装を身にまとったローマ・カトリックのみならずギリシャ正教の高位聖職者たちがずらりと並び、群衆が歓声を上げる中、それはそれは厳粛かつ壮大なものであったとか。
デルモンテ城の資料室に描かれているフェデリーコ2世
なんかねぇ
彼の頭上にある王冠そのものがデルモンテ城…
そんなルッジェーロ2世の血を引くフェデリーコ2世…ここからは妄想ストーリーです。
kazu:フェデさん、初めまして
フェデ:おーkazu殿、祖父から聞いておる。先年はパレルモに行かれたとか
kazu:はい。もう凄い豪華な王宮ですね。キンキラキンで目がパチクリしました
フェデ:私の趣味ではないのだが。。。
kazu:けれど大聖堂で奥さんと永遠(とわ)にご一緒に居られて良かったと思います
フェデ:ふむ。私の棺にも手を合わせてくれたとか…かたじけない
-続く-