
カゼルタ宮殿入り口
ナポリからバスでも列車でも行けて、駅やバス停からすぐ、宮殿は目の前にある
私はバスで行きました
理由は…
列車が行ってしまったから
乗り遅れた、とも言う
ナポリの郊外に、17世紀ブルボン王朝が絶頂を極めた頃に建てられたカゼルタ宮殿があります。この時の王、カルロス七世がフランスのヴェルサイユ宮殿を理想として建てた宮殿です。2013年12月23日、そのカゼルタに行きました。幸せなことに晴天です。
カゼルタには、鉄道でもバスでも行けるのですが、私は列車を選びました。バスは高速を走るようなのですが、ナポリの町の交通事情を目の当たりにすると、渋滞のない列車の方がいいかもと考えたのです。あるいは、アマルフィ海岸のバス酔いがトラウマになっていたのかも知れません。
駅へ行って時刻を確かめると列車は10分ほど遅れている様子、その間に明日乗車するイタロの発車ホームを確かめておこうとイタロのオフィスに行ったのですが、戻ってみると、列車は出た後でした。うっそーと思わず声が出た私。遅延の表示は誤りだったのか、それとも私の見間違い?どちらにしても遠ざかるカゼルタ行きの電車を見送るしかない私なのでした。

宮殿の大階段
映画「天使と悪魔」のバチカンの階段シーンがここで撮影されました
まっこんなことはよくある、いやないない、と一人でボケてつっこみながら、さてどうするか…次の列車は一時間後とあるので、待つのがいいか、それともバスか…外を見れば、駅前のバス停「ガリバルディ」に沢山の人が集まっています。これはバスが来るのだと判断して切符を買いに走ったのでした。カゼルタ宮殿への行き方は簡単なのですが、列車の時刻を調べるときにちょっとしたコツもあるので又あとで詳しく書きたいと思います。
さて、バスを降りたらすぐ目の前、畑の中にでーんっと立つのっぺらぼうの宮殿は、外観からするとちょっと期待はずれですが、宮殿内のスケールときらびやかさは、否が応でも当時の王朝の栄華を思い描かせます。

大階段を上がった正面に
この宮殿を建てたカルロス七世が
ライオンにまたがった像があります
この宮殿を建てたカルロス七世が
ライオンにまたがった像があります

そのライオン…何だか叱られた後のような、情けなそうな顔をしていますが、余り強面にすると王がかすんでしまうからかも知れません(あっ勝手な想像妄想です^^;)。百獣の王にまたがる王様~カルロスの権勢は推して知るべしというところでしょうか。なお、個人の写真撮影は、ここまで。

王の謁見の間
「ローマナビ」より
実は大階段を上ったあとに入ることになる絢爛豪華な部屋は撮影が禁止されています。なので上記の写真はネットからお借りしましたが、宮殿は1200室あるうち、30余りが見学可能です。一つ一つ見て回りましたが、華やかなロココ調の装飾には、カルロス王がいかにヴェルサイユ宮殿に憧れ、それを模そうとしたか、いや、先年訪ねたヴェルサイユ宮殿にそっくりやん~と私は思わずつぶやいていました。それは、庭、といっても往復の道のり7㎞にもわたる宮殿内の庭園もヴェルサイユを理想として造られているのは明らかで、フランスのルイ14世と同じく、ナポリの絶対王政の象徴として、この宮殿が築かれたことを物語っていました。
続く
余談

ここを訪れた人たちは、取りあえず宮殿前で、来訪の記念写真を撮る
私も、バスで一緒になったご夫婦に撮っていただきました
実は、この宮殿前に置かれた赤い彫刻、一体何なのか、さっぱり分かりませんでした。写真を撮っている人にも聞いてみましたが、皆一応に知らないといいます。想像力の乏しい私にはどうみても赤唐辛子にしか見えない。そういえば、ナポリの下町に「コルノ」というお土産が沢山売られていましたが、それにもよく似ているし…

ナポリのお土産物屋に売られているコルノ
コルノは、角を表しているらしく、人からプレゼントされることによって厄除けになるとか。
しかし、赤唐辛子を宮殿前に置く意味が分からん……もしやカルロス王の好物か?などと私の頭の中では下世話な話にもなっていき、ハテナマークが灯ったままでしたが、真相が分かったのは帰国前夜のことでした。
実はペルージャ在住のブログのお友達のなおこさんが、私が滞在するホテルにお電話を下さったのですが、何でも、この彫刻を宮殿前に置くことによって新旧のバランスの妙を図ったのだと教えてくれました。早い話がこのコルノに似た彫刻は、前衛美術なのでした。旧い歴史のある世界遺産カゼルタ宮殿と最新の造形物の融合といったところなのでしょう。この芸術作品は新聞でも取り上げられて賛否両論だったのだそうですが、当時を偲びしばし栄華の夢を抱いて宮殿や庭園を散策したいだけの私にとっては、ただただ困惑する異物としか映りませんでした^^;。