絵本と児童文学

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石井桃子氏の死去を悼む

2008-04-07 15:10:39 | 絵本と児童文学
 2日石井桃子氏(101歳)が逝った。氏は、日本の児童文学が良質なものにする基盤づくりに、偉大な功績を残した。
 作家として、創作は多くの人に読み継がれた『ノンちゃん雲に乗る』がある。この執筆は、戦時中の小国民文学時代(国民学校)といわれており、出版は47年におこなわれて、今日まで読み継がれている(現在は福音館書店発行)。
 今日の児童文学に影響を及ぼし、子どもを本の心地良さにいざなった仕事は、翻訳であろう。ミルンの「クマのプーさん」(40年出版)、ピーターラビット、うさこちゃん(今はミフィー、ブルーナー作)と、さきがけて日本に紹介して今日の人気に先鞭をつけたことになった。戦時下にありながら、イギリスの児童文学に接触するという国際性が、他の児童文学関係者とは異なる多様な仕事と子どもへのまなざしのおおらかさユーモアをもたらしたのではないか。
 それに今日の良質な児童文学の指標となっている「岩波少年文庫」「岩波子どもの本」シリーズを岩波書店の編集者として、戦後まもなく本づくりをした。
 また今日では多くやられている文庫活動を、60年代から自宅を開放しおこなった。
 いずれもさきがけての仕事をやりきる実行力は、賞賛されよう。決して気取らず日本の子どものために地道に多様な活動をした。長きにわたるその仕事は、今日の日本の児童文学・文化の良質さを維持する流れへと影響を与えている。
 今後当分関係雑誌などで追悼あるいは評伝のような特集が組まれるので、氏の児童文学に果たした功績を読み解くことにしよう。

*なお石井桃子の業績に触れた直近発行のの本では、雑誌『飛ぶ教室』07年秋号-第11号(光村図書発行 定価1000円)がある。


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