絵本と児童文学

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絵本の読み聞かせ向上のために

2008-09-13 21:00:56 | 絵本と児童文学
 絵本の読み聞かせの個別レッスンをした体験を下に、子どもに絵本の世界を語って伝えられるようになっていく道筋の目安を作ってみました。
 読み聞かせを向上させていくことは、端的に言うと
 ①演じるような表現をするのではなく、聞き手に伝えよう、届けようという対話姿勢を持つこと。
 ②話を連続させながらドラマ性を伝えるために、間の取り方と話の展開が変わる時の気持ちの切り替え(結果として声の表情が変わる)の工夫をする。
 ③文字を読むことから語りにするためには、象徴的には擬態語(ちょっと、たんたん、ぶらぶら、といった言葉)と周辺言語(言葉のニュアンスにそった表現。たとえば長いが、なが~いというように)をそれらしい調子で表現できる。
 と要約されます。

 これらは多くの人が個性を持ちながらも、技術として獲得できることです。
 この段階別に示したことは、向上するための自己診断に役立たせるためのものです。知り合いや友人と語り合い聞き合いを、大いにすることが大事です。

【初級】
1 自分の声がどのような声であるか特徴を知る。自分の好きな絵本あるいは自分の声に合っている分野の絵本の読み聞かせ体験を積む。どのような分野が自分にあっているかを診断する。当面は自分の声にあっている分野のものに習熟していく。
  分野例 ぁ子どもの活気に満ちたもの 作品例『ぐりとぐら』
       ぃ物語性があり静的な感じのもの 作品例『しろいうさぎとくろい      うさぎ』 
       ぅ大人が子どもに読んでやることにウエイトが置かれているもの。 作品例 乳児向けや知識に関する絵本
       ぇドラマ性の強いもの 作品例『スーホーのしろいうま』 
2 登場人物のキャラクターを区別して声を出す。
  登場人物ごとに気持ちを切り替えると、声も少し変わる。演じるように声を変えなくてよい。
3 フレーズ読みをする。
  文章のフレーズごと、または内容のかたまりとして読む。語りで重要な間が生まれる。
4 ストリーが連続する場合と、場面が変化する場合の読み方。
  *ストリーが続く場合でも、淡々としたり高揚するなどがある。その場合次の
   ページへの続き方によって、最後の言葉の高さを「さげる」「そのまま」
   「上げる」を使い分ける。声をさげる場合は、そのストリーが一段落して次
   の展開になるとき。声をそのままの場合は連続しているとき。声を上げるの
   は次のページが高揚するとき。
  *めくり方の早さは、ストリー展開にそったものになる。
  *ストリーの途中で場面が変わる場合があるが、気持ちを切り替えてそれにと
   もなって声の調子が変わるとよい。
5 その場面にふさわしい言葉の使い方ができる。
  周辺言語といわれているもので、長いが「なが~い」と言う、あるいは擬態語
  をその状況にふさわしい声の表現をする。
6 声の高低の使い分けをする

【中級】
1 双方向的読み方ができる。
  自己表現が前面に出るのではなく、聞く人に対して伝えるという感覚で読める。
2 絵本のテーマにふさわしいムードをつくり、声の調子を変えられる。
  絵本の全体にながれているテーマ性にふさわしいムードで始まり、ストリー展  開や登場人物によって声調や声を変えたりできる。ただし語りであり、声を変
  えることにウエィトをおくような演じることは避ける。
3 絵本の読み手の解釈を子どもに伝える。
  読み聞かせをする人は、作品を子どもに伝える介在者であるので、絵本のテー
  マ性などを読み解き、それを内に秘めながら伝えようとする。
4 対象(年齢、人数)と状況(室内、外、クラスなど)によって、声の大きさを  変える。
5 自分の好きなものありいは声にあったものだけでなく、様々な分野の絵本を読
  むことができる。

【上級】
1 経験をたくさん積んで、対象と状況に対応できる。
  絵本の持っている感情に流されることなく、表現することができる。たとえば
  絵本の内容の悲しさで涙ぐまずに、その感情を表現できる。
2 絵本の解釈ができる。
  絵本のテーマ性、場面の展開の機微にわたる解釈し表現できる。
3 下読みをしなくても即興でも読めるようになる。
  文章のフレーズを一瞬で読み取り、聞き手の側を向いて語れる。


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