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日本語のおさらい:修正する勇気

2019-07-18 07:37:31 | 日記
笹本稜平さんの言い間違い

 小説を読んでいたら見慣れない言い回しにぶつかりました。
こりゃ誤植だな、そう思ったのですが、それは私の大きな間違いでした。
調べたら誤植どころか立派に使われている表現です。
60年以上も日本人をやって来ましたが、この日本語初めて知りました。

 毎週木曜日は日本語をおさらいしています。
今週は「こんな言い方したら周りはどう思うかな?」と悩んでしまう日本語です。

 笹本稜平さんの小説で「のめのめと生きて~」の表現を見つけたのが発端でした。
「おめおめ」の間違いと思いながらも、三省堂の国語辞典を繰りました。
するとあるじゃないですか。
 <普通の人なら恥ずかしくてたまらないはずなのに、平気でいることを表す。>
ついでにネットで検索すると<しなければならないことをしないで何とはなしに時を過ごす様。
転じて恥じらいなく平然としている様を表す語。
おめおめ、のめりのめりと同義。>(コトバンク より)と出て来ました。
 更に文学作品の実用例として太宰治の<よくもまあ僕の前で、そんな阿呆くさい事が
のめのめと言えたものだ。>(ウィクショナリー より)の引用もありました。
 小説相手で良かった、誰かが口にした場面で突っ込んでいたら恥をかくところでした。

誤用の方が多い

 己の無知はさて置いて、逆に日常会話でこれを使ったらどんな反応が来るかを考えてみました。
「のめのめと生き恥を晒して~」と私が口にした途端、「おいおい、そこはおめおめだろう」と
突っ込みを入れてくれるかなあ、友人のUくんは。
しかし普段の会話で相手の言い間違いに気が付いても、実際にはなかなか言えるものではありません。

 「確信犯」を、悪いと分かっていながら罪を犯す、の意味で使っている場面に遭遇した時に、
「それは『正しいことだと思い込んで罪を犯す』のが本来の意味だよ」と言ったら場が白けます。
「話のさわり」が、話の最初、として使われていても、「正しくは『話の要点』」と訂正したら
嫌われます。

 他にも日常会話で知らずに使っている誤った例はたくさんあります。
それを指摘する勇気は私にはありません。
 相手の隙をついて卑劣なやり方で失敗させることを「足をすくう」と表現します。
ところが「足もとをすくう」と使う方が74%いるそうです。(ライフコラム より)
 指揮をする、を意味する「采配を振る」、こちらを使う率は31%。
一方で「采配を振るう」は51%もの方が使っています。
文化庁は前者を正しい使い方として推奨していますが、日常会話では「う」まで言わないと
何かしら物足りなさを覚えてしまいます。
 こんな例はまだまだありますが、訂正された方はへこみます。
正しい日本語の使用と、嫌われない日本人の振る舞いは、なかなか両立しないものです。
 
コメント
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