世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●官邸が嫌がる豪雨報道 朝日までが腫れ物に触れない態度

2018年07月12日 | 日記
対立の世紀 グローバリズムの破綻
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日本経済新聞出版社

 

[増補版]戦前回帰 「大日本病」の再発 (朝日文庫)
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朝日新聞出版

 

広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM (集英社新書)
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集英社


●官邸が嫌がる豪雨報道 朝日までが腫れ物に触れない態度 

すっかり腰が砕けた朝日新聞、国税査察で麻生に脅かされたか?NHKサイトは、夜中は官邸の監視も緩むからか、被災者情報をデカデカと載せているが、これは、夜中にNHKサイトを閲覧されていないと云う確信の証拠だろう。いずれにせよ、安倍官邸の西日本豪雨災害隠しは尋常ではない。まぁ、それに応じて、腰砕けになっているNHKニュース、朝日新聞は最低だと云える。 他紙も控えめだが、腰抜けまでは至らない。

ちなみに、暇つぶしがてらに、朝日、NHK,読売、毎日、産経の5紙の比較表を作ってみたが、意外に時間を喰った。まぁそれでも、朝日新聞が一番豪雨災害に触れたくない様子に見えたのは俺だけなのか? *産経の長ったらしい見出しには吃驚だが、産経の特殊感が出ていて、個性的で面白い。産経には、何らの圧力も、忖度もなく、安倍応援団を継続している。まさに、わが世の春だろう。日刊ゲンダイにも発行部数を抜かれ、自民党日本会議系からの広告が頼りということか。しかし、朝日新聞やNHKの忖度か何かよく判らないが、その報道姿勢には気が滅入る。

報道ニュースというもの、その情報が読者や視聴者に飽きられた云々で価値を変えていい情報と悪い情報がある。嘘は悪い、隠蔽は悪、国民の生命を蔑ろにする内閣の責任は、次々豪雨災害の中で成立する国民の賛同なき法案への報道はどうなっているのか?それでなくてもノーテンキな国民が多いことを良いことに、棄民的法案を通過させる国会に物申すのがメディアではないのか。それでなくても安倍一強政治が独走しているのだから、メディアくらいは、批判的目線を失って貰いたくないものだ。権力のバランスが悪すぎるじゃないか!毎日のトピックスのバランスが常識的か?

現在の政治情勢が継続すると云うことは、全体主義の方向が決定することを意味しており、気がついた時はファシズム体制の国家になり、いつの日か好戦的になり、米中韓等と戦火を交えるような国家になる可能性がある。グローバル経済の行き詰まり如何では、必ずしも、米国と再び戦火を交えない保証はない。無論、韓国、中国との戦火の可能性の方が高いのは当然だが……。

≪朝日
―西日本豪雨(ごく小さい赤枠)―
・薄まる酸素「もう待てない」 タイ洞窟救出、決断の時
・日大の森前コーチが異議申し立て 内田前監督も意向
・スタンドで国旗・爆買い 広告…中国が変えたW杯の風景
・松井氏、共産元議員に謝罪 「募金から経費引く」と投稿
・iPhone通信料、値下げに期待 ドコモはプラン検討
・錦織、ウィンブルドン4強ならず ジョコビッチに敗れる
・胸に入れ墨、仲間は鑑別所へ 言葉吐き出す福祉ラッパー
・治療薬に空気混入、直前に容疑者はカメラに 連続中毒死
≫(朝日新聞デジタル:トピックス(午前02時03分)


 ≪NHK
―ニュース特設 西日本豪雨(太い青枠タイトル)―
・豪雨被害 175人死亡 62人安否不明
・死亡の老夫婦 留守番電話に「助けて」
・愛媛 ダム放流「下流域の被害は予想もやむをえず」
・金塊換金の1.9億円盗んだ容疑で男5人逮捕
・タイ洞窟から救出 病院で撮影の少年たちの映像公開
・米制裁措置で中国の自動車輸出に影響 米企業にも打撃か
・サッカーW杯 往年の名選手がミニゲーム
 ≫(NHKサイト・トピック)


 ≪読売
ワールドカップ特集(青い太枠)
・西日本豪雨「異常気象の代表」…世界気象機関
・「崩れたら集落壊滅」ため池が決壊の恐れ
・「希望捨てない」不明者公表、情報募る…岡山県
・対話進まなければ軍事衝突あり得る…永岩元空将
・トランプ氏、NATOの国防費負担倍増を主張
・盗撮した人を集団で恐喝「ブラックハンター」逮捕
・イケア、給水容器自主回収…猫の頭ぬけない恐れ
・10年前から噂「黒い巨大なしっぽ」、ワニ捕獲
・白鵬が休場…2日目の取組前に支度部屋で滑った
・錦織、ジョコビッチに完敗…85年ぶり4強逃す  
≫(読売新聞)


≪毎日
―ワールドカップ速報(細い青枠)―
・NHK ネット常時同時配信、総務省解禁へ 実現へ法改正
・西日本豪雨 死者176人不明61人に 猛暑の中捜索活動
・与良政談 記録的豪雨より飲み会!?=与良正男
・米中貿易戦争 報復の連鎖やまず 生活関連品まで追加関税
・オウム 松本元死刑囚の遺骨巡り 妻子らが対立
・警官による制圧死 TBS抗議せず 映像押収認める
・アップル 契約見直し 公取委「iPhone料金拘束」
・マヨナラ粒子 京大グループが実証 同じ動き観測
・タイ洞窟 「水が少年たち救った」病床の少年らの映像公開
≫(毎日新聞)


 ≪産経
(見出しが長いんだよ産経さん)
・「安倍晋三首相の嘘つきは証明されている」 前川喜平前文科次官が講演 「面従腹背は役人必須の技術」と強調 ・総務省、NHKの常時同時配信容認へ 受信料引き下げ、ガバナンス改革…検討課題も
・米政府が注目する「大東亜会議」 狙いは「アジアの心」を知り、対中包囲網構築へ
・アメフト 学連処分に異議申し立て 日本大の悪質反則問題
・西日本豪雨 安倍首相「激甚災害指定へ作業進める」岡山県の被災地視察 即応予備自衛官300人招集、熊本地震以来3回目
・栗本薫さん未発表作発見「中島梓」名義で内省的な私小説
・オウム 「遺骨は太平洋に」 麻原元死刑囚の四女側が意向 国に要請支援
・竹島関連の今年の事業に韓国政府が88億円投入 空港建設などインフラ事業や認知度向上などに利用 ・世界文化賞 カトリーヌ・ドヌーヴ氏ら5氏に世界文化賞 10月に東京で授賞式典
・錦織、ジョコビッチに敗れ、日本人85年ぶりの準決勝進出ならず
 ≫(産経新聞)


保守と大東亜戦争 (集英社新書)
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集英社

 

「右翼」の戦後史 (講談社現代新書)
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講談社

 

在日米軍 変貌する日米安保体制 (岩波新書)
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岩波書店

●報道管制か自主規制か TVニュース死者数計を報道せず

2018年07月11日 | 日記
日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業 (講談社現代新書)
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講談社

 

私物化される国家 支配と服従の日本政治 (角川新書)
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KADOKAWA

 

マスコミ亡国論
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青志社


●報道管制か自主規制か TVニュース死者数計を報道せず

NHKニュースから、急に豪雨災害の死者数の合計が消えた。各県ごとに死亡者数、行方不明者を報じる態勢に変った。見ているこちらは、いちいち足し算をしながら、死亡者数の合計を把握しなければならなかった。一般的に、災害の大きさを把握するためには、死亡者数が一つの災害規模の目安であり、被害の甚大さを計るバロメーターではないか。それを伝えないのには、意図があるのだろう。昨日から、急にテロップで死亡者数を流さなくなった。

タイの洞窟少年の救出は、それはそれでグッドなニュースだが、西日本豪雨災害より優先されるべきニュースバリューがあると考える筈はない。つまり、クローズアップ現代プラスが、このタイ洞窟少年救出の特集を流していたが、変だろう?あきらかに、官邸記者クラブの申し合わせがあったことを窺わせる。マスメディア全体が、政治部に押し切られて、西日本豪雨災害を大きく扱わないのは、安倍らの5日の「赤坂自民亭」での酒盛りを隠ぺいするための姑息な報道管制、または忖度規制なのは明らかだ。


今回の西日本中心とする平成最悪の豪雨災害169人死亡・安否不明が80人が確認されているが、テレビ報道では、県単位の被害報道が、昨日から目立ちだした。遅まきながら激甚災害に指定はしたものの、既に激甚になる可能性が災害を尻目に、5日夜には安倍首相や自民党議員50人が「赤坂自民亭」と称して飲み会をしていたのだから、被害者数を大きく扱わないよう記者クラブの申し合わせがあったのか、官邸から一言あったのか知りたいところだ。

169人の被害、安否不明80人。最悪、200人以上の被害者を出すと云う、大参事である。安倍は、「国民を守る!!!!」とことある毎に、口にしておきながら、まったく行動が伴わない。巷間言われている「嘘つき」を、今回の大災害に際し、あらためて国民に見せつけてくれた。安倍首相の嘘つきや、官邸周りの嘘つきも定着し、安倍内閣が退陣したのち、この安倍政権は、「嘘つき政権」として、歴史に名を残すのは確実だ。

誰が、戦後憲法の改正を初めて発議した政権などと言う評価を与えるものか。どこまでいっても、安倍政権の頭から尻尾まで、そのまわりに纏わりつく、ピンからキリな人間たちすべてにも、「嘘つき」のレッテルはついて回るだろう。最後の最後まで、外遊を画策し、激甚災害を指定した後も、ネチネチと、総裁選対策で県議らと面会したりと、到底、国民を守ると吹聴する安倍晋三ではない。コイツには4、言行不一致が多すぎる。本日、出かける時間が迫っている。安倍の悪口をもっと書きたいが時間切れだ。

*以下に、安倍の嘘つき「国土強靭化計画」の杜撰さ、金儲け主義に走った結果、最もゼネコンが稼げるという原発事業とダム工事だそうだが、ダム関連の記事があったので、参考にしていただきたい。


≪ダム一気に放水、朝5時の避難指示 愛媛・5人死亡の町
 西日本豪雨の影響で、愛媛県西予(せいよ)市野村町では浸水被害で5人が死亡した。上流のダムでは、下流に流される水が90分間で約4倍に増えていた。国土交通省は10日、住民への周知は適切だったとして当時の対応を明らかにしたが、同様のリスクは各地に潜んでいる。
 大雨が続く7日朝、愛媛県西予市野村町を流れる肱(ひじ)川の水かさが、一気に増えた。水流が堤防を越え、約650戸が浸水。住民5人が命を落とした。当時の様子を住民はこう表現する。
 「津波が襲ってくるようだった」
 その直前、約2キロ上流にある多目的の野村ダム(高さ60メートル、長さ300メートル)の放流量が急増していた。
 国土交通省四国地方整備局によると、午前6時20分にダムは満水になりかけていた。当時、毎秒439立方メートルを放流していたが、上流から1279立方メートルが流れ込み、あふれる危険が高まっていた。放流量を増やし、午前7時50分には4倍の1797立方メートルに達した。流入量はその10分前に、過去最高の2・4倍にあたる約1940立方メートルまで増えていた。
 流入量まで放流量を増やす措置は「異常洪水時防災操作」という。
 西予市によると、整備局からこの操作を始める見込みを最初に伝えられたのは7日未明のこと。避難情報の検討をした後、午前5時10分に防災行政無線で住民に避難指示を周知した。
 「川の増水により危険ですので避難して下さい」
 午前5時15分には、野村ダム管理所の11カ所の警報局が順に放水を知らせるサイレンを響かせた。  ただ、住民の女性(60)は「いつもなら空襲警報のようなサイレンの音がするのに、今回は全く聞こえなかった」と証言する。雨音が強く、避難指示は家庭にある防災無線で知った。
 西予市は消防団に頼み、避難指示と同時に川の近くの家を戸別に回った。亡くなった82歳と74歳の夫婦の家にも訪ねていたという。
 西予市危機管理課の垣内俊樹課長は「ダムの放流量を増やしたことや、観測史上1位の雨量だったことが、広域の浸水につながったとみられる」と話す。
 今回の対応について、整備局河川管理課は「河川法に定められた操作規則に基づいて対応した」と説明する。国交省によると、豪雨に備えて3日前の4日からダムの水位を下げ、雨水を貯留できる量を350万立方メートルから600万立方メートルまで増やした。豪雨が降り始めた後は満水近くになるまで放流量を抑えたという。担当者は「雨が強まってからも河川の水位を上げないことで、住民が避難する時間を稼げた」と説明する。
 石井啓一・国交相は10日の閣議後会見で「西予市に対して数次にわたって情報提供を行うとともに一般住民への周知を行った」と述べ、適切な対応だったとの認識を示した。(高木智也、大川洋輔、岡戸佑樹)
「ダムなければ被害拡大」「地域との訓練大切」
 放流急増後、浸水被害が起きた例は珍しくない。
 今回の豪雨でも、京都市の観光地・嵐山で上流にある日吉ダムが6日午前7時に満水に近づき、流入量まで放流量を増やした後、夜になって下流の桂川左岸の道路が一部冠水した。5年前にも台風18号の影響で同じ措置をした後、桂川があふれて渡月橋周辺の旅館やみやげ物屋が浸水した。
 5年前の台風18号では、琵琶湖から流れる国交省の瀬田川洗堰(あらいぜき)が閉じられた。下流の天ケ瀬ダムに流れ込む水が増えたためだ。さらに下流の京都や大阪への被害を食い止める一方、琵琶湖では水位がプラス77センチまで上昇。湖岸近くの田畑が水没し、農作物の被害は5億円余りにのぼった。滋賀県の担当者は「洗堰の全閉の影響だけでなく、台風による総合的な被害と受け止めている」と話す。
  補償をめぐる訴訟に発展した事例もある。
 1997年の台風19号で、当時の宮崎県北川町(現延岡市)などの約700世帯が浸水、1人が死亡した。上流の北川ダム(大分県佐伯市)では、異常洪水時防災操作をして放水量を増やした。住民らは「ダムの管理を誤ったため」として、管理する大分県に損害賠償を求めて提訴した。
 しかし、大分地裁は2002年の判決で「雨量の急激な増加は予見できず、管理上のミスとはいえない」などと訴えを退けた。
 京都大防災研究所の中北英一教授(水文気象学)は、「上流からの流れをダムで調整し、下流に流しているので、ダムがなければもっと大量の水が下流に流れ、大きな被害が出ていたのは間違いない」と話す。
 北海道大学大学院工学研究院の山田朋人(ともひと)准教授(河川工学)は「最近は驚くような豪雨も多くなっており、堤防や遊水池の整備などの複合的な対策のほか、ダム関係者と地域の人との水害に備える訓練も大切になってくる」と指摘する。
 ≫(朝日新聞デジタル:岡田匠、村上潤治)


検証 産経新聞報道
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金曜日

 

情報隠蔽国家
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河出書房新社

 

国土強靭化: 日本、アジア、そして世界における災害と対峙する
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アスペクト

●“本末転倒” 内閣支持率の為に政治を行う安倍政権

2018年07月10日 | 日記
現代社会はどこに向かうか――高原の見晴らしを切り開くこと (岩波新書)
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岩波書店

 

嘘に支配される日本
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岩波書店

 

金融政策に未来はあるか (岩波新書)
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岩波書店


●“本末転倒” 内閣支持率の為に政治を行う安倍政権

NHKの世論調査によると、≪安倍内閣を「支持する」と答えた人は、先月の調査より6ポイント上がって44%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は5ポイント下がって39%で、4か月ぶりに「支持する」が「支持しない」を上回りました。≫、ということのようだ。本当に、我が国の国民の、内閣支持率の実相がこのようなものであるなら、このような国の人々に何を言っても、何かを説得しても無駄ではないかと思う今日この頃だ。

筆者の感覚からすると、そもそも論的に支持政党は概して変わらないものなので、野党に期待する人間が安倍内閣を支持することはあり得ない。政党支持率をみて判ることだが、自民・公明で40.8%、立憲・国民・共産・社民・自由で12%と云うのがNHKの調査結果だ。しかし、最近の衆議院選などの比例区の比較をみると、野党系政党の合計得票は55%で、与党系が45%なのだから、政治的関心が強い層では、40:12と云う政党支持の数値には大きな疑問が生じる。

無論、NHKにも言い分はある。いやいや、「支持なし」の39%が味噌なのですよ。この最大の政党支持率調査の難関が、この40%近い「支持なし層」の右顧左眄で、風見鶏のような調査の方向が決定します。当然、自民系の内閣であろうが、リベラル系の内閣であろうが、内閣支持率は、この「支持なし層」の気分次第でアップダウンするのが現状です。つまり、内閣支持率を確保するためには、「支持なし層」の人気取りを意識して政治を行えば内閣の基盤が盤石になると云うメカニズムです。おそらく、本音は、そういうことだろう。

しかし、NHKの世論調査を詳細に見ていくと、内閣支持率についても、政党支持率についても、重大な見逃しポイントがある。まず、≪全国の18歳以上の男女を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは2075人で、59%にあたる1221人から回答を得ました。≫とあるが、回答をしなかった41%の人々はどういう人々だったかが問題なのだ。①多忙で番号を押す暇がなかった。②政治にまったく無関心、③個人情報が洩れると危惧する人々、④NHKと聞いて拒否反応を起こす人々、等々に分れるのだろう。

つまり、どちらかというと、内閣に非協力的な性向のある人々が、この調査に協力しなかった傾向が窺える。この41%の人々の内閣支持率を4:6と仮定すると、内閣支持率は、支持48.8%、不支持51.2%になる。つまり、現時点でも、内閣支持率は不支持率を上回っていないわけで、そう悲観することはない。ただ、調査に協力しない人々は、投票行動も起こしにくいことに留意する必要もある。

次に考えておきたいのが、個別の質問への回答と、総合点とも言える内閣支持率の間に乖離がある点だ。“働き方改革”では、賛成41:反対47、“カジノ法”では、賛成16:反対34、“参議院定数増”では、賛成11:反対36、“加計理事長の説明”では、納得13:納得せず77、“佐川理財局長告発”では、告発せず16:告発すべき38と云う按配で、どちらかと言うと内閣への風向きは厳しい。

しかし、内閣支持率は6%もアップしているのだから、整合性を認めにくい調査結果が表れている。非回答の人々の性向を加味すれば、6%アップは消えるかもしれないが、それよりも、「支持なし層」の人々が意外に政権に鷹揚であるとみるべきだろう。誰がやっても“似たり寄ったり感”と云う虚無的国民感情というものがあるのかもしれない。或る意味では、政治に頼らずに生きていこうと思っている人々だ。ただ、現実には、起きてから寝るまで、或いは寝ている最中も、我々の生き様には政治が関わっているのが現実なのだが……。

まぁ考え方によれば、個別案件で、まっとうな意識があるのが救いと言えば救いだ。日本人が、安倍政権とは違い、まっとうな感覚は持ち合わせている。ただ、総合点数として評価した時、評価が調整値を含めると、だいたい半々、幾分不支持が多いのが現実なのだろう。こんな風に考えると、NHKの世論調査も馬鹿には出来ないと言えるが、ここまで考えないと、着地点が見つからない世論調査は意味があるのか考えものである。

ただ、現実には、この内閣支持率向上のためだけに、安倍内閣が政治を行っているのは事実で、メディアが注目する政治シーンをこまめに調整修正することで、官邸が政治ショーを行っているのが安倍政治なのだろう。無論、政治ショーに目を奪われる層の国民は、本来、生活に関係する法律や条約が、国会や閣議で決定している事実を知ることはないようだ。国会議員を国会に送りだしているのが、自分たちである意識さえ希薄なのではないのだろうか、不思議な国民である。

いや、不思議と云うのは失礼に当たる。筆者が常々言い募っている「民主主義」の前に米国による植民地と云う国の位置づけが理解されているのであれば、この不思議は、実は当然の帰結だとも言える。このように考えると、案外、国民はすべてを見通したうえで、それぞれに、それぞれの対応で対処していると考えることも可能だ。オウムの死刑囚の処刑にサインした法務大臣が、翌日自民党の宴会部長になっておだを上げようと、平成最大の災害が起きている最中、宴会でおだを上げていようが、こいつらが居ようがいまいが、災害は起きるべくして起きたのだ。

慌てふためいた安倍官邸が、外遊を取りやめても、米国支配に染まりきった霞が関官僚らが、政治を切り盛りしているのが現実で、600人しか災害援助に自衛隊が出動していないのに、21,000人が出動をフェイクニュースを流す政党幹部がいるのだが、そんなことはどうでも良いと、鷹揚に構えるなど、日本国民もたいしたものである。まぁこのような現象をみると、野党が政権政党になった時も、この手は使えるわけで、立憲民主党内で、内閣支持率向上委員、マスメディア監視委員などを選定して、今から対策を練っておくべきなのだろう(笑)。

偽りの経済政策――格差と停滞のアベノミクス (岩波新書)
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岩波書店

 

「安倍一強」の謎 (朝日新書)
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朝日新聞出版

 

安倍政権とは何だったのか (時代への警告)
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ベストセラーズ

●米中経済戦争のゆくえ 軍事衝突は回避できるのか?

2018年07月09日 | 日記
米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ
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ダイヤモンド社

 

アメリカの「反中」は本気だ!
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ビジネス社

 

これからヤバイ 米中貿易戦争
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徳間書店


●米中経済戦争のゆくえ 軍事衝突は回避できるのか?

昨日のコラムで、民主主義と云うものは、どうも、英米主義への従属のプロセスであり、それ自体に、単独の価値観が存在していないのではないのかと云う疑問を提示した。最後の世界大戦(第二次世界大戦)の実質的な勝利者である、英米、特に米国の世界支配を容易にする枠組みとして利用されている政治システムが「民主主義」なのではないか、ということだ。

つまり、英米の世界支配のツールとして「民主主義」は存在していて、セットのような資本主義との組み合わせで、先ずは、経済的安定を与える代わりに、従属を強いる世界支配のメカニズムだったことが見えてくる。民主主義と資本主義のセットが、社会主義のソ連邦を負かせたことで、一気に世界は英米主義に傾斜していった。しかし、この仕組みには、経済のフロンティア地域の誕生と搾取がセットであった。日本、韓国が典型的な事例だが、大フロンティア地域である中国に手を出した辺りから、行き詰まりを見せ始めた。

経済学のことはあまり詳しくないので、大雑把な括りだが、中国のとった政策は、社会主義と資本主義という組み合わせだった。欧米資本は大食漢として幾らでも受け入れるが、国家体制は社会主義と云う全体主義傾向を持ち、自由な民主主義を頑なに受け入れなかった。この点では、中国が、日本やロシアの民主主義と資本主義のセットを受け入れることで、英米支配から抜け出せなくなる教訓を得たに違いない。ゴルバチョフやエリツィンが英米に屈した姿は充分に教訓に値した。無論、わが国に至っては、独立国にふさわしい能力を保持しながら植民地に甘んじなければならない、怖ろしい教訓を目の当たりにしていた。

仮に、植民地的あつかいを受けていても、資本主義経済がフロンティア地域を開拓投資できる環境があるかぎり、永続性があるのだが、そのフロンティア地域が見いだせない状況になった資本主義は、新自由主義経済を持ちだし、ドル基軸を良いことに、新自由主義と金融経済への移行を試み、例えば、日本のような国の資本を、フロンティア地域の代わりに利用する枠組みを考え、日本と云う国のあらゆるものを市場化させ、一種フロンティア経済の代替品にしようとしている。

そんな中、自分勝手な新自由主義経済を実行した結果、国内産業の空洞化と劣化を抱えてしまった米国は、大幅な貿易赤字を抱え、かつ失業者を抱えることになった。このようなベースに現れたのがトランプ政権だ。トランプ大統領は、日本には、恫喝的な新自由主義経済の強要で、日本の民間が持つ富の搾取を試みている。そして、以下の引用記事やコラムのように、ご都合主義の「保護貿易」を取り入れるに至っている。

このトランプ米大統領が中国や世界各国に制裁関税を課す暴挙に出たわけである。中国はじめ各国は、米国の制裁関税に対抗するかたちで、米国に対して同様に制裁関税を掛けることになったが、我が国日本だけは、殴られっぱなし状態で、指を咥えているのだから、まさに植民地国家の証左であるだろう。それにしても、米中の制裁関税戦争は、圧倒的に中国の輸出量が多いだけに、不利なのは確実だ。この不利な戦いに敢えて受けつけた中国の意図は、難しい答えが用意されているように思える。

この米中の経済覇権や産業競争力戦争は、あとには引けない強固な対立になる可能性を秘めているだろう。おそらく、世界はグローバル経済と新自由主義経済により、サプライチェーンは世界に網の目のように拡大しているだけに、単なる貿易戦争の範囲で収まるものか、予断を許さない。単に直近の実体経済に影響するだけではなく、軍事衝突に拡大することも懸念される。

米朝首脳会談の行方も不透明だが、それよりも、歴然と中国との連携を見せつけた北朝鮮・金正恩体制を米国が認めるかどうか、疑わしい面もある。今回の貿易戦争には、北朝鮮を間に挟んだ米中の鬩ぎ合いも見られるわけで、根源的な体制間の争いに発展する可能性もある。南沙諸島周辺なのか、台湾海峡なのか、尖閣諸島なのか、朝鮮半島全体なのか、いずれにせよ、かなり危険な要素が漂う。現実には、米国は中東・イランとの諍いで精一杯の軍事力なのだが、東アジアに軍事展開が可能なようには見えない。

その点で、秋の中間選挙向けの強行制裁のように思えるのだが、なにせトランプ大統領が相手だから、安心はできないだろう。また、常に戦争が理性的にコントロール出来るものではないことは、戦前の日本軍で証明済みなのだから、国家の理性と云うものは、トランプ大統領、習近平国家主席、金正恩委員長、安倍晋三首相、プーチン大統領と、根は好戦的にも見えるだけに、予断は許さない。特に、行政司法メディアの構造が破壊された我が国が、想像以上に好戦性を増幅させている自衛隊をシビリアンコントロール出来るかは、ひどく疑問だ。


≪トランプ政権、対中制裁関税を発動 340億ドル分 全輸入品に拡大示唆  
【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権は6日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を発動した。産業用ロボットなど340億ドル(約3兆8千億円)分に25%の関税を課した。中国も同規模の報復に出る構えだ。トランプ大統領は今後の展開次第では、中国からの輸入品ほぼ全てに関税を課す可能性も示唆した。中国も同日、報復関税を発動すると発表し、世界の二大経済大国が幅広く高関税をかけ合う異常事態に突入した。
 米通商代表部(USTR)は米東部時間6日午前0時1分(日本時間午後1時1分)以降に米国に到着したり、国内の保管庫から取り出されたりした輸入品から関税を徴収すると通知を出した。自動車や半導体、医療機器、産業機械など818品目が対象で、中国のハイテク産業育成策「中国製造2025」の重点投資分野から選んだ。携帯電話や衣料品などの消費者製品は含めていない。
 日本企業が中国の工場から米国に出荷する製品にも関税が上乗せされることになり、企業のサプライチェーン(供給網)に幅広く影響する。貿易取引が滞れば世界経済に悪影響が広がる恐れがある。 






 中国は米国産の大豆や牛肉、車など545品目、340億ドル分に追加関税を課す。米与党・共和党地盤の産品を狙い撃ちにして米政権に揺さぶりをかける。
 米政権は6月中旬、計500億ドル分に関税をかけ、残り160億ドル分は7月末までに企業の意見を聞いたうえで発動するとしてきた。トランプ氏は5日、記者団に「今後2週間」と述べ、発動の前倒しを示唆した。
 トランプ氏は中国が報復すれば追加措置を取ると強調した。500億ドルに加えて2千億ドル、次に約3千億ドルを準備していると説明。合計すれば5千億ドルを超え、中国からの輸入品(2017年は約5100億ドル)全体に関税を課す計算になる。これまでは4500億ドルまで積み増すと警告してきた。
 関税発動を控え、5日の米国株式市場は様子見ムードが漂った。ニューヨーク証券取引所など米主要取引所の取引量を合計した5日の総売買高は18年で3番目の少なさだった。中国が報復対象に挙げる大豆はシカゴ市場で警戒感が広がり、中心限月物終値ベースで約2年8カ月ぶりの安値をつけた。
 米政権は3月22日、通商法301条に基づき、制裁措置を決めた。5月以降に計3回の高官協議を重ねて関税回避も模索したが、ハイテク分野や貿易不均衡の是正を巡って対立は解けなかった。
 米政権の制裁措置は無期限だ。今後も交渉で中国に譲歩を迫るとみられるが「関税発動は交渉での問題解決につながらない」(ホワイトハウス元通商顧問のマイケル・スマート氏)と対立の激化を懸念する声もある。
 ≫(日本経済新聞)

 ≪米中貿易摩擦、身構える世界 米制裁関税6日発動期限
【ワシントン=河浪武史、北京=原田逸策】米国と中国は6日、広範な輸入品に25%の追加関税を発動する期限を迎える。米国が制裁関税をかければ、中国もすぐに報復に動くとみられる。二大経済大国が高関税をかけあう異常事態に突入するかの分岐点となり、世界は保護貿易の連鎖による影響に身構えている。
 米国の追加関税は中国の知的財産侵害に対する制裁との名目で、米東部時間6日午前0時1分(日本時間同午後1時1分)以降にかける。原則として貨物到着後に実施する輸入申告が同時刻以降の品物に適用する。自動車、半導体、産業機械など818品目・340億ドル(約3兆8千億円)相当が対象だ。


 


 一方、中国は米国の発動を確認後に報復の実施を決める。大豆、牛肉、車など545品目・340億ドル相当にかける。
 米中は5月初めから貿易摩擦解消のための正式協議を3回開き、一時は「関税発動を保留する」(ムニューシン米財務長官)と歩み寄ったかにみえた。だが、トランプ米大統領の強硬姿勢は揺るがぬまま6日を迎える。
 トランプ政権は「積年の問題を解決しようとしている」(ロス米商務長官)と拙速な妥協を避ける方針だ。中国も「関税のこん棒を振り回す『貿易覇権主義』は時代に逆行する」(商務省報道官)と批判を強める。
 6日からの追加関税は直前に見送られる可能性もゼロではないが、世界は身構えている。上海市郊外の浦東国際空港では、貨物置き場に北米向けの荷物があふれている。関税が重くなる前に荷物を空輸しようという「駆け込み需要」が6月以降に急増。空港内のスペースでは足りず、近辺の倉庫に置かざるを得ない状況だ。このあおりで中国の航空大手による北米行きの貨物運賃は通常の2倍に急騰したという。
 市場には緊張感が漂う。上海株は1月の直近高値から2割超下落している。上海株の下げに動揺して日経平均株価も5日まで4日続落し、この間の下落幅は750円を超えた。景気に敏感な銅の先物相場も急落している。国際指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物は5日夕時点で6月上旬の直近高値に比べ1割安い。
 マーケットは「米中の貿易摩擦に起因する経済の悪化懸念を織り込んでいる」(みずほ銀行の吉田朋哉調査役)。想定しきれない世界経済への悪影響という先行き不安が垂れ込めている。
 それでもトランプ氏は中国が対抗措置に踏み切れば、さらに2千億ドル分の中国製品に追加関税を課すと脅している。米商務省は中国へのハイテク製品の輸出規制を強化する検討に入っている。中国商務省も「質と量を組み合わせた総合的な対策を取る」と引かぬ姿勢だ。
 ことは米中だけの問題ではない。双方の追加関税によって米中から締め出された品物が他国・地域に流入し、市場の需給構造を乱しかねない。欧州連合(EU)は米国の鉄鋼への追加関税に対応し、鉄鋼製品の緊急輸入制限(セーフガード)を7月中旬にも暫定発動する可能性がある。保護貿易の余波は日本をはじめ世界中に及ぶ。
 経済協力開発機構(OECD)は関税負担の増加などで米中欧の貿易コストが10%上昇すれば、世界の国内総生産(GDP)を1.4%押し下げると試算して警鐘を鳴らしている。
 ≫(日本経済新聞)



≪ 米中経済戦争でどれだけ失業者が出るか…ある経済団体の怖い試算
危険な通商政策の行方

■世界に暗い影を落としている
:「貿易戦争をしかけたのはアメリカだ。中国は国益や経済のグローバル化、世界の貿易体制を守るために反撃せざるを得ない」――。先週土曜日(6月16日)の未明、中国外務省の陸慷・報道局長はこう述べて、アメリカへの報復を宣言した。
:トランプ大統領が5月に掲げた中国の知的財産権侵害に対する制裁の凍結方針を撤回して、500億ドル(約5兆5000億円)分の中国からの輸入品(1102品目)に25%の追加関税を課すと発表した直後のことだ。
:アメリカによる対中制裁は「通商法301条」に基づく措置だ。トランプ大統領は先週金曜日(6月15日)の声明で制裁の正当性を主張したが、実際には、この一方的な措置はWTO(世界貿易機関)ルール違反である。というのは、WTOの紛争処理手続きを経なければ、制裁や報復といった措置を取ってはならないことになっているからだ。
:トランプ大統領がなりふり構わず引き起こす貿易戦争は、地球規模で際限なくエスカレートするリスクがあり、世界経済の先行きばかりか世界平和の維持にも暗い影を差している。
■許しがたい行為、だが…
:トランプ大統領は15日の声明で、「中国との貿易は非常に長期にわたって不公正な状態が続いており、これ以上の持続可能性がない。例えば、中国はアメリカの知的財産や技術を奪うため、いくつもの不公正な手段を用いている」などと述べ、今年3月に発動した「通商拡大法232条」に基づく鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に続いて、「通商法301条」に基づく一方的な制裁に踏み切ることを正当化した。
:そのうえで、中国が巨額の補助金を注ぎ込んでハイテク産業を育成しようとしている「メイドインチャイナ2025」戦略計画を名指しでやり玉に挙げた。この計画を将来の中国経済の成長をけん引する一方で、アメリカ経済の成長を損なう新興先端技術産業の支配戦略だと決めつけて、関係する製品を今回の25%の追加関税の対象に加えると言い放った。
:25%の追加関税の対象品目は、光ファイバーや計測機器、電子部品、電子部品の製造装置、化学素材、産業機械、産業ロボット、鉄道関連製品といったハイテク製品を狙い撃ちにしたものとなっている。トランプ政権は制裁を2段階に分けて実施する方針で、第1弾として7月6日に340億ドル分の制裁関税を発動し、残り160億ドル分の発動時期は今後検討するという。
:ちなみに、今回の「通商法301条」に基づく中国への制裁は500億ドル規模と、今年3月に発動した「通商拡大法232条」に基づく鉄鋼・アルミニウムの輸入制限の約30億ドル(約3100億円)分と比べてはるかに規模が大きい。
:中国が知的財産権をないがしろにしたり、現地企業への出資規制と絡めて外資系企業に理不尽な技術移転を強いていたことは許し難い行為だ。
:しかし、だからといって、中国に貿易慣行の是正を図る狙いで構築してきたTPP(環太平洋経済連携協定)から一方的に離脱したうえ、中国だけでなく、日本、EU(欧州連合)、カナダ、メキシコといった同盟諸国にまで、WTOルールを無視して制裁を掲げるトランプ政権の立ち居振る舞いを国際社会が容認する道理はない。
■二転三転
:しかも、対中政策を巡って、ここまで、トランプ政権の姿勢が二転三転してきたことも周知の事実だ。ムニューシン財務長官と劉鶴副首相が、5月半ばにワシントンで開いた2回目の閣僚協議の際には「当面、制裁関税をお互いにかけない」ことで合意し、両閣僚がテレビカメラの前で「休戦」を発表した。
:ところが、中国通信機器大手のZTEに対する制裁解除交渉を巡って、米議会や世論から交渉姿勢が弱腰だとの批判にさらされると、雲行きがおかしくなった。トランプ大統領が5月末、「6月15日までに制裁関税候補を公表する」と発言し、ちゃぶ台返しの挙に出たのだ。こうした姿勢は中国だけでなく各国のトランプ政権に対する不信感を増幅している。
:中国政府が発表した報復策は、アメリカ産の大豆や牛肉、豚肉、マグロ、自動車、エネルギーなど659品目に25%の追加関税をかけるというものだ。
:対象額はアメリカによる制裁と同額の約500億ドル分で、やはり7月6日に第1弾として約340億ドル分(対象545品目)を発動する。この中で、アメリカ産の大豆はその輸出先の6割を中国が占めており、アメリカの農家にとって大きな打撃になるとみられている。第2段階になると、原油、天然ガス、石炭などのエネルギー関連製品のほか、エチレンなど化学物質や医療器具が含まれる。
:トランプ大統領の一方的な制裁を掲げてアメリカの貿易赤字削減を相手国に迫る外交姿勢は、とどまるところを知らない。
:これまでの経緯を見ても、今年3月には、「通商拡大法232条」に基づいて、日本や中国、ロシア産の鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限を発動し、中国とロシアがすかさず報復に踏み切った。煮え切らないが、日本もWTO提訴を検討している。
:同じ鉄鋼とアルミニウムの輸入制限の猶予措置を打ち切られたEU(欧州連合)やカナダ、メキシコも対抗上、報復関税を7月から実施する決定をくだした。
:加えて今回、アメリカの「通商法301条」に基づく措置をきっかけに中国との間で新たな制裁合戦が勃発したことで、世界1、2位の経済大国同士の「貿易戦争」が泥沼の様相を呈してきた。
:懸念されるのは、トランプ大統領がここへきて、「中国が報復措置に出れば、さらに追加関税を課す」と圧力をかけ、同政権が、さらに制裁関税を1000億ドル分積み増す検討に入ったとされていることだ。米商務省の貿易統計によると、2017年のアメリカの対中貿易赤字は3756億ドル(約41兆円)と全体の半分近くを占めているが、中国からの輸入が5055億ドルに達するのに対し、中国への輸出は1299」億ドルしかない。
■貿易戦争で失業者60万人
:もし、トランプ政権がこれまで2回の制裁に加えて1000億ドル規模の制裁をすると、中国には同等の報復関税をかけるだけのアメリカからの輸入がなく、別の形の報復策を講じざるを得ない事態に直面する懸念があるのだ。
:残念なことに、アメリカ政府は、「通商法301条」に基づく制裁に中国が報復した場合の追加制裁措置だけでなく、日本やEUの主要輸出品である自動車を「通商拡大法232条」に基づく新たな輸入制限の対象とすることや、中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)への制裁、中国企業による対米投資の制限措置導入などの検討も進めていると報じられている。
:トランプ氏が今年11月に迫った中間選挙だけでなく、早くも2020年の大統領選挙を視野に入れて再選を目指して、自身の支持基盤にアピールする外交姿勢をとっているとすれば、こうした通商政策はいずれ実現する可能性がある。
:トランプ政権の中国への新たな制裁実施が伝えられた15日のアメリカ株式市場は、中国の報復措置の発表前にもかかわらず、貿易戦争の泥沼化を懸念して、一時、ダウ工業株30種平均の下げ幅が前日比で280ドル(1%)を超える場面もあった。
:OECD(経済協力開発機構)は米、欧、中の関税引き上げで貿易コストが1割上昇すれば、世界のGDPが1.4%下振れするとの予測を公表した。 アメリカの経済団体には、米、欧、中による貿易戦争がアメリカで60万人を超す失業者を生むとの非公式の試算もあるという。
:トランプ大統領の指名でFEB(連邦準備理事会)議長に就いたパウエル氏でさえ、今年2回目の利上げを決めた先週水曜日(6月13日)のFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見で、「今のところ貿易政策による数字上の影響はみられないが、FOMC内にはその不安が高まっているとの声があった」とトランプ政権の強硬な通商政策に対してストレートに懸念を表明したという。
:大恐慌が第2次世界大戦勃発の遠因になったように、経済や通商の混乱は国家間の軋轢を生み易い。我々は、中間選挙に向けてアメリカの有権者に危機感の共有を働き掛けていく必要がありそうだ。
 ≫(現代ビジネス:国際・町田徹のふかぼり)


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「ポスト真実」の世界をどう生きるか―ウソが罷り通る時代に
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●釈迦の手のひら 民主主義は英米の世界管理の枠組み

2018年07月08日 | 日記
欲望の民主主義 分断を越える哲学 (幻冬舎新書)
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いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃
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●釈迦の手のひら 民主主義は英米の世界管理の枠組み

50年に一度の規模の豪雨災害が起き、死者・行方不明者が100人規模の大災害が起きている西日本豪雨の中、安倍を含む自民党議員は宴会でおだを上げていた。その中には、オウム真理教の麻原彰晃を含む7人の死刑執行を命じた上川陽子法務大臣も含まれていた。国民は、このような奇形な政治集団の無神経さに、何も感じないのか、とても不思議だ。たしかに、豪雨が自民党の責任ではないだろうが、安倍政権が掲げていた「国土強靭化」のお題目を忘れたのだろうか。カルト集団の殺人犯は、憎むべき犯罪だったのだろうが、その死刑執行の夜に、宴会でおだを上げる神経は並みのものではない。

悪魔の上をゆく狂気の宴会なのだが、豪雨災害ニュースの喧騒に打ち消されたようだ。そういえば、「国土強靭化計画」という掛け声の公共工事は、どこに金を注ぎ込んだのだろう。国土強靭化とは、どのような災害が発生しても、被害を最小限に抑え、迅速に復旧・復興できる、強さとしなやかさを備えた国土・地域・経済社会を構築すること。第二次安倍内閣の主要政策の一つである。日本列島、自然災害は起きる前提で、上手に法案は出来ているようだが、被害を最小限度には抽象的で、1000人死んでも、最小限度であり、本来なら1万人死ぬところであったと、今の安倍政権なら言いそうだ。

おそらく決壊した堤防などのコンクリートの経年劣化など、多くの課題が積み残されたままで、都会一極集中のあおりで、地方は「国家強靭化計画」から見逃されているのだろう。トンネル事故以降、高度経済成長期等々に完成した国土のインフラ修理が喫緊の課題と言われたが、都会のインフラへの一極集中で、地方は見放された「国家強靭化計画」のあおりを食った災害といっことが言えそうだ。そんな最中に行われた自民党宴会は、批難に値する。

筆者は最近、欧米社会における民主主義の政治体制とは、英米という第二次大戦の実質的勝利者による国際的枠組み、それを容認した国家に与えられた、“ママゴト”の政治的ショーだと思うようになってきている。つまり、欧米の民主主義とは、釈迦の手の平とも言える英米の手のひらで、我が国は踊りますと約束した国に与えられる“ママゴト政治ショー”だと云うことだ。そのように考えると、釈迦の手の平で踊っている日本の民主主義は“ママゴト政治ショー”なのだから、仏の手の平から逸脱すると云うイデオロギーを持たない限り、どのような政党が政権についても、どのような内閣総理大臣が就任しようと、五十歩百歩なのではないかと云うことだ。

戦後70年以上を経た現在、この問題は回答が出ている問題であり、もういまさら、議論する必要もないという空気が、我が国を覆っているのではないかと思うに至っている。つまり、日本の場合だと、アメリカの支配から逃れることは政治的に死を意味し、日本で“ママゴト政治ショー”をしたければ、先ずは、仏の手の平に乗る資格を得なければならないと云うことだ。そう云う意味では、政治的無関心層の増加は、極めて健全な解であり、批難には値しないのだろう。

この論法の延長線上で考えれば、投票率の低下も、これもまた健全である。ただ、無関心や無気力が蔓延すると、安倍内閣のような、国民を愚弄しても、私利私欲に走るような政権を許すことになるのは考えものだ。国際的に、英米の手のひらに異変が起きていることに気づかないことは、国民的に悲劇だ。英米の手のひらが重い病で震えているというのに、その手の平に縋るだけの政治的態勢は問題だろう。国民がそれに気づかないのであれば、それを、国民に訴えるのが政治の役目であり、学者ら識者の務めだろう。

しかし、残念ながら、日本の政党で対米追随に警鐘を鳴らしているのは日本共産党くらいのもので、他の政党から、対米追随への問題指摘は、多くは語られない。無論、現状で、そのようなイデオロギーを披歴してしまえば、“ママゴト政治ショー”の時点でアウトになるので、本音を隠して“ママゴト政治ショー”を勝ち抜く必要がある。まして、米軍に軍事基地を抵抗して我が国の政治は、驚くほど狭いレンジで、喧々諤々せざるを得ないのだから、情けない。

しかし、他力本願で切ない気持ちになるにしても、中露北朝鮮の奮闘や、EU各国やカナダ、メキシコなどの政治体制の大きな変化など観察すると、近い将来、世界の潮流が、英米の手のひら(英米主義)から、異なる価値観に移行している現実は、否応なくみることになるだろう。我が国では、英米主義で現在のポジションを得てきた人が中心の世の中なので、そのような動きを見せないように努力しているが、いつまでも隠し通せるチャチナ問題ではない。

このような観点に立つと、安倍首相が三選されても、安倍の宴は『祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。 遠くの異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱忌、唐の禄山、これらは皆、旧主先皇の政にも従はず、楽しみを極め、諫めをも思ひ入れず、天下の乱れんことを悟らずして、民間の愁ふるところを知らざつしかば、久しからずして、亡じにし者どもなり……』に等しいと云うことだ。

まぁ、出来るだけ、多くは失わず、多くを傷つけず、3年以内くらいに退陣して貰えば良いのではないのか。そんな風に思うこともある今日この頃だが、それは許し難いと思う人達もいるだろう。しかし、民主主義とは、英米体制の配下になるための登竜門と考えれば、米国が死に物狂いで、民主主義を御旗に、他国に干渉する姿も納得出来る。そのように考えると、デモクラシーを信じていても良いのだろうかとふと考える。


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●小沢と枝野の同床異夢 小泉親子が仕掛ける政治闘争?

2018年07月05日 | 日記
アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理
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●小沢と枝野の同床異夢 小泉親子が仕掛ける政治闘争?

今夜の話はなかば妄想であるが、永田町では安倍官邸を中心に、小泉と小沢が結託して、自民党に手を突っ込むのではないか危惧している。国家は延長はしたものの、サッカーワールドカップで、政治は隅に追いやられ、次々と国家を破滅させるような法案が成立している。会期残り半分は安倍首相の海外物見胡散で潰されるので、実質は、自公維新等々による強行採決で、シャンシャンシャンとなる運びのようだ。

安倍首相にしてみれば、この秋の自民党総裁選は「当確」の速報が出てもおかしくない程、党内の締めつけに余念がない。来年の参議院選においても、地方が泣いて喜ぶような定員6人増の法案も強行採決する方向で、菅官房長官らが当該地方を回り、その手柄を携えて、地方組織の締めつけ行脚に向かうようだ。ここまですれば、もう安倍三選は間違いなしだが、麻生にも、自民党内のフラフラした派閥を脅すように以心伝心で伝わったのか忖度か判らないが、安倍の思い通りの働きをしている。

最近の世論調査では、支持が不支持を上回り、10%近い支持率の回復を見せている安倍政権だが、笑い話ではなく、肝心の安倍官邸が、このようなマスメディアの世論調査を信じていない事実が幾つか判明している。噂だが、自民党による内部調査によると、本当のところ内閣支持率は、それほど回復傾向とは言えない数値が出ていると云う。また、政党支持率では“立憲民主党”に一けた台と迫られていることに危機感を抱いているようだ。

国民民主党(希望と民進)の支持率が、立憲に移動した模様で、この流れが継続するようだと、来年の統一地方選及び参院選はかなり厳しいものになることが考えられると云うのが、現在の自民党執行部のみかただ。このような状況下で、自民党総裁選で安倍晋三が三選した場合、翌週の世論調査で、マスメディアの掌返しを受けないとも限らない不安があるようだ。安倍首相を三選させた上で、憲法改正が容易ではない事態になるようにストーリーが作られているような疑心暗鬼に陥っているようだ。

このような永田町の“一寸先は闇”の格言通りの疑心暗鬼は、安倍三選が決定した後の事実関係だから、もう引き返すわけにはいかなくなるのだ。モリカケ疑惑は、安倍が首相である限り続く問題で、野党はネチネチと突きまくるわけで、この疑惑の終息はないのである。その内、経済界では、安倍の経済財政政策のすべてが的外れで、経済の浮揚に直結しているのは、日銀の異次元緩和だけだが、これも、そろそろ店仕舞を迫られており、年内には引き締め方向に動く気配さえ見えている。

まして、トランプ政権による保護主義的自国主義は、日本の経済界の対米投資を加速させる可能性が高く、その分、国内経済の空洞化も懸念されている。つまり、安倍晋三が自民党総裁に三選されて以降に、自民党が危機に晒される危険が多いわけで、あきらめムード一色の国民も、安倍の三選で、自民党による自浄作用の限界をみる可能性もあり得る。そうなると、小選挙区制度の効果が再びあらわれ、当時の民主党に代わって立憲民主党が、「自民党をぶっ壊す」と云う事態も可能性がゼロではなくなる。

「自民党をぶっ壊す」このフレーズの元祖・小泉純一郎氏の“反原発”な動きも気になる。連動しているかどうか判らないが、倅、進次郎らの「国会改革超党派会議」の動きなども気にかかる。わざわざ、松井一郎が意味もなく小泉進次郎の動きを「途中でケツわるのでは」と言わしめたのには、父純一郎と小沢一郎の“反原発”ワンイシュー戦術による、自民党への揺さぶりが、透かして見えてくる。若い世代は進次郎まかせで、中高年世代は小泉・小沢で……。

ここからは憶測だが、女性票の集票は“立憲民主党”に任せてはどうかという説まで流れる。国民民主党が連合お抱えであることが明白になり、いまや野党とは評価出来ないレベルに落ちただけに、日本維新の会と手柄比べ戦に突入じゃないのかと笑われる始末。政党支持率も0~1%にとどまり、立憲民主党の20%前後とは雲泥の差になってしまっている。国民も、野党の吟味には正常な神経が働き、与党自民党の吟味には無関心という神経が働くのも面白い。

いずれにしても、憶測絡みだが、こんな風に永田町を観察するのも乙なものだ。安倍政権の盗人のような政治に無力感を覚える必要もないが、かといって、民主主義の正義を振りかざし、鉄槌を加えても澱んだ空気を殴っているようなものなのだから、ここはひとつ妄想力を逞しくして、安倍や菅が血反吐吐く姿や、牢屋に収監される姿などを想像して、夢を見ている方がよっぽと健康的ではないのだろうか(笑)。


≪「途中でケツわるのでは」小泉氏を批判 維新・松井代表
松井一郎・日本維新の会代表(発言語録)
 (自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長らが、国会改革をめざす超党派の衆院議員による会議を6月28日に立ち上げたことについて)いいと思うけど、最後までやってよと思うだけ。途中でケツわるんじゃないの、と。国会改革が一番できないのは自民党。参議院でも「(定数を)増やす」と言っているんだから。  旗を振ったら、振ったもんの責任がある。若いから、言うだけで許されるというもんじゃない。自分のポジションをかけてやってもらいたい。
 国会改革は大賛成。ただ、責任あるもんは、もの言うたら腹くくってやってもらわなあかん。(大阪府庁での記者会見で)
 ≫(朝日新聞デジタル)


 ≪国会改革超党派会議、進次郎氏ら立ち上げ
 自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長らは28日、国会改革をめざす超党派による衆院議員を集めた「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」を立ち上げた。来月22日の国会会期末までに週1回のペースで具体策を議論していく考えだ。
 全衆院議員に呼びかけ、この日の初会合には自民党、公明党、国民民主党、日本維新の会を中心に100人超の議員が出席。自民党の浜田靖一元防衛相が会長、小泉氏が事務局長に就いた。会議ではペーパーレス化の促進や、参院がすでに導入している本会議の押しボタン投票の導入などを求める意見が出た。
 終了後の記者会見で、小泉氏は「国会改革は合意されても実行されないという歴史を繰り返してきた。どんなに小さいと言われても一つでも前に進めたい」と語った。
 一方、野党第1党の立憲民主党は「本質的な国会改革ではない」(幹部)として、独自案を検討する党の機関を近く立ち上げる。
≫(朝日新聞デジタル:南彰)


≪小泉氏・小沢氏、30年ぶり協調 原発ゼロめざし、ともに訴え
 小泉純一郎元首相が、自由党の小沢一郎代表が主宰する政治塾で講演することがわかった。自民党時代ににらみ合い、与野党にわかれてぶつかった両者が「原発ゼロ」の実現をめざして足並みをそろえる。原発を推進する安倍政権を揺さぶるねらいもありそうだ。
 小沢氏が塾長を務める政治塾は、新しいリーダーの発掘を目的に2001年に開講した。小泉氏は7月15日の政治塾で、「日本の歩むべき道」と題して講演する予定だ。原発の撤廃や、太陽光など再生可能エネルギーへの転換の必要性などを訴える。翌16日には小沢氏も講義する。
 関係者によると、両氏が手を結ぶのは約30年ぶり。1989年に小沢氏が自民党幹事長に就き、小泉氏が幹事長の下で全国組織委員長を務めて以来の「再会」だという。当時は一緒に全国の友好団体などを回り、夜には酒を酌み交わし、カラオケを楽しんだ仲だったという。
 だが、小泉氏は91年に山崎拓、加藤紘一両氏と「YKK」を結成した。小沢氏が属した田中派や竹下派による利益配分型の政治に対抗。小沢氏とは政治的な対立関係となり、小沢氏が自民党を離党すると、政権の座を賭けて戦う因縁の相手となった。
 小泉氏は朝日新聞の取材に「経世会(竹下派)はなくなっちゃった。40代で小沢さんは幹事長になったから30年経つんだよね。政界ってのは分からないね」と話した。
 両氏を結びつける契機となったのは「脱原発」だ。もとは両氏とも原発推進派だったが、11年の東日本大震災に伴う原発事故を機に「原発ゼロ」の主張に変わった。小沢氏は小泉氏の訴えを「冷静に日本の将来を考える人なら大抵行き着く結論だ」と評価する。
 政治塾での講演につながったのは、与野党対決となった今月10日投開票の新潟県知事選だった。5月23日に新潟県内であった小泉氏の講演に、小沢氏らが支援した野党系候補が出席。当初は講演を聴くだけの予定だったが、小沢氏が「ちゃんと紹介してもらわなければダメだ」と陣営に進言し、小泉氏が候補者にエールを送る場が設定された。
 小沢氏側には、小泉氏と協調姿勢を取ることで政権を揺さぶるねらいも透ける。小泉氏も安倍政権を批判し、講演などでは「原発推進論者は当選させない」と話す。小泉氏は取材に対し、「(安倍首相が自民党総裁選で)3選したとしても参院選が近づいてくれば分からない。一寸先は闇だ」と話した。
≫(朝日新聞デジタル:今野忍、河合達郎)


≪立憲民主、女性限定の公募検討 参院選、統一地方選に向け
 立憲民主党の枝野幸男代表は30日、名古屋市で講演し、来年の参院選や統一地方選での候補擁立に向け、女性限定の公募を検討していると明らかにした。政治家の適性を持つ女性を見いだす必要性を強調し「女性限定で候補者を公募してみようと準備を進めている」と述べた。
 男性に比べ育児や介護を担うことの多い女性の政界進出には、家族の協力や資金面などで高い壁があるとも指摘。「女性の(新人)候補には党からの支援金を一定程度増額し、ハードルを乗り越えやすくしたい」と語った。
 ≫(東京新聞・共同)


世界を戦争に導くグローバリズム (集英社新書)
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未来の中国年表 超高齢大国でこれから起こること (講談社現代新書)
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●“米朝首脳会談”と米中貿易摩擦 「米中大戦」に発展か

2018年07月01日 | 日記
「ポスト・グローバル時代」の地政学 (新潮選書)
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米国覇権と日本の選択―戦略論に見る米国パワー・エリートの路線対立
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核心の中国 習近平はいかに権力掌握を進めたか
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●“米朝首脳会談”と米中貿易摩擦 「米中大戦」に発展か

以下は、中国ウォッチャーで著名な近藤大介氏のレポートだ。観測記事なので、そこに書かれていることが事実と云うわけではない。ただ、“米中朝台”の現在の状況を時系列的に指摘している点は事実である。この事実と、アメリカ社会の変貌とグローバル経済の悪あがき、EUの変節等々を加味して考えていくと、起こり得る事態かもしれないと思う点も多々ある。

北朝鮮を間にして、米中が綱引きをしていると云う推測は、概ね賛同できる。安倍晋三ら日本政府の態度などに関係なく、国際政治はダイナミックな動きをしている。まさに、安倍外交が「蚊帳の外」に確実に置かれていることを意味している。その点は、筆者が再三拙コラムで書いているように、占領国の象徴のような「日米同盟」と云う大枠の中で、「日本国憲法」存在しており、その狭い枠内で日本の民主主義は成り立っているわけである。

つまり、わが国に与えられている民主主義、立法・行政・司法と云う三権分立は、いわばローカルな法体系に位置づけられている。日本国憲法は、「日米同盟」の下部の法律と言う事が出来るのではないだろうか。日本が米国の“頸木”から開放されるのは、残念ながら、自主による独立の獲得ではなく、米国の衰退であるとか、中国の抬頭であるとか、いずれにしても、他力なものであるだろう。しかし、その米国からの開放は、果たして、日本にとって、有益なものなのか否か、これからの日本人の手に委ねられる。

そうなのだ、日本が植民地的国家のままで良い筈がない。しかし、現在の日本人(明治維新後の国民とも言える)は、真の独立に対しての心構えが出来ているのか、出来ていない国民に、真の独立は意味があるのか、ここは考えどころなのだろう。そもそも、真の独立など、戦後70年になる国民にとって“まっぴらごめん”という意識である可能性も大いにある。また、真の独立を得た途端に、逆に滅茶苦茶になることも充分にあり得る。事例として、適切ではないだろうが、世界中で植民地が独立した途端、内戦や独裁政治が現れた歴史の事実がある。

現状は、トランプによる独走が、世界経済戦争を惹き起こしかけているわけどが、特に、米中の経済対立が、世界経済に、際立った影響を与える可能性は大きい。日本の安倍政権は、独り報復もせず唯々諾々とアメリカの制裁に恭順の意を表しているようだが、ここでも「蚊帳の外」が続いている。世界が、トランプの保護主義貿易制裁に異を唱えているのに、自由貿易を唱えながら、トランプの保護主義に明白な反対論を唱えていない点は奇妙だ。

安倍政権が何を考えているのか不思議でならない。アメリカ、否、トランプが左右に外交方針を変えるたびに、三日遅れで、左右にステアリングを切り追尾しているわけだが、自意識がゼロと思われても、もう恥も外聞も忘れて、トランプの尻につきまとう娼婦の様である。このような安倍政権の不様な姿は、一定の国民は苦々しく見つめているだろうが、7割の国民にとっては、サッカーワールドカップの方が興味があるに違いない。

いま世界は、トランプが惹き起こした経済戦争突入前夜なのだが、世界の多くの人々は、トランプも習近平も狂気ではないので、どこかで手が打たれるものと、期待と願望混じりに一挙手一投足を見つめているのだろう。しかし、この経済対立に、米中による北朝鮮綱引き問題を重ね合わせると、米中対立は、新たなフェーズに突入したことを予見させる。

曲がりなりにも成長過程にある大国中国の無期限エンペラー習近平と、かなり衰退の目立つ、8年が最高任期の米トランプ大統領のどちらに分があるか。現在の国家の力量が3:7であっても、勢いで4:6の勝負は可能になるだろう。国家における4:6の力量の差は、必ずしも絶対的力量差とは言い難いものである。中国にとって北朝鮮が米国よりの体制になることは、NATO軍が東の国境線に接すると云う悪夢が発生する。おそらく、何が何でも北朝鮮を中国よりの国家にしておかなければならないのは当然だ。

その為には、非核化の引き延ばしは最低限の線だろう。当然の見返りとして、北朝鮮は、中国の経済制裁解除を要求してくるはずだ。この北朝鮮経済制裁の解除が、米中対決を決定的なものにする可能性はある。中国に追随して、ロシアを含む多くの国が、北朝鮮への経済政策解除を検討することになる。北朝鮮にしてみれば、米国の体制保障と同時に、経済制裁の規律が緩むことは願ってもない国際情勢を演出で来たことになる。

このような北朝鮮を核とする世界の動きは、アメリカ一極主義の揺らぎを、世界に示すことになるのは確実だ。一説では、現在の米軍の軍事力は、一ケ所の戦場以上の維持は困難と言われているだけに、イスラエルを守る中東・イラン、シリアを中心とする戦争で手一杯とだと言われている。そのことが、ここ半年の北朝鮮の動きに深く関わっているとみるのが妥当だろう。つまり、東アジアでことを起こしたくない米国の足元を見ての行動だったという説である。

この先に、台湾を巻き込む東アジア全体、延いてはASEAN諸国を巻き込む米中の闘いが起きるのは半ば当然のようにも思えるが、米中のにらみ合いが、永く続く第二の東西冷戦期に突入する可能背は高まっている。すわ戦闘という事態は、そう簡単に起きないだろうが、冷戦構造が米中という関係で復活する可能性は大いにあるのだろう。おそらく、日本は当然のように西側につくのだろうが、これからの東西冷戦構造は、米ソの場合とは異なり、複雑系外交能力が問われるだろうから、日本は国難を迎えるのだろう。


≪ 米朝会談のウラで実は激化していた「米中決戦」今後の展望
 最終決戦の場は「あの島」か

 ■人口はウソをつかない
:今回は、一つお知らせがあります。本日(6月19日)、25冊目の拙著『未来の中国年表』が、講談社現代新書から発売されました。 『未来の中国年表』著者・近藤大介
:いまからちょうど一年前に、同じく講談社現代新書から出た『未来の年表』、及び先月出た続編『未来の年表2』は、累計65万部を超えるベストセラーになっています。そのコンセプトは、「人口はウソをつかない」。アベノミクスが描く未来の青写真などではなく、日本の人口動態にスポットを当てて、少子高齢化でこの先、何が起こってくるかを予測したものです。
:このヒット作を世に出した同僚の青木肇・現代新書編集長が、3月、私のところへやって来て、おもむろに肩を叩かれました。
「人口から見た中国の未来予測を書きません?」
「はっ?」
:その頃、私は、毎日オフィスのパソコンを、中国中央テレビ(CCTV)のネット生放送に合わせ、北京の人民大会堂で繰り広げられている全国人民代表大会(国会)に見入っていたものです。
:国家主席の任期を撤廃する憲法改正、15省庁も消滅・改編させた省庁再編、引退したはずの王岐山前常務委員を国家副主席に抜擢する大胆人事……。2期目5年の習近平「強権政権」は、いったいどこへ向かうのかと、そればかり考えていました。私の見解は、このコラムで再三、示してきた通りです。
:そんな私を諭すように、ヒットメーカーの青木編集長はこう告げました。
:「中国の政治なんて、共産党の一党独裁で、しょせんはブラックボックスでしょう。軍事なんて、予算から装備まで、もっとブラックボックス。経済は一応、GDPを始め、いろんな指標を公表しているけど、どこまで真実か信用できたものではない。
:そんな中国にあって、人口だけはウソをつかない。そのことは、日本版の『未来の年表』で証明されています。だから、ウソをつかない中国の人口をもとに、『未来の中国年表』を書いてもらいたいんです」
:「なるほど」と聞いていた私は、少しだけ反論したくなりました。日本の25倍もの面積を誇る中国にあっては、人口だってウソをつくのです。
:一例を挙げれば、2010年秋の第6回全国人口調査の際、私は北京で駐在員をしていました。ほとんどの日本人駐在員は、市の北東部の日本大使館近く、いわゆる「日本村」と呼ばれるマンション群に住んでいたのですが、私は中国人しか住まない市の東部に住んでいました。
:ある日、人口調査員のオバサンが訪ねてきました。紙束の袋から一枚を取り出して、生年月日、民族、学歴などを答えてくれというのです。
:私は彼女を遮り、「日本から来ていて、中国人ではない」と答えました。すると彼女は、とたんに眉を吊り上げて、金切り声で言いました。
:「そんなことは私と関係ないわ。私は一人数えるごとに2元(約35円)もらえるんだから、協力してちょうだい!」
:こうして私は、中国人に数えられてしまったのです。
:そんな話を青木編集長にしようかと思いましたが、口元まで出かかって止めました。もう一つ別のことが脳裏をよぎったからです。
:それは、中国の人口調査の歴史でした。中国は、紀元前の春秋戦国時代から、人口調査に大変熱心な国でした。いまから2000年も前の漢代には、何と6000万人近い人口を数え上げています。
:古代において、人口調査というのは、万里の長城建設に次ぐくらいの大事業でした。国民に名前をつけたり、全国津々浦々まで漢字を普及させたりしたのは、人口調査のためだったという説もあるほどです。
:そこまでして人口調査を行ったのは、主に賦役のためと言われています。農民から年貢を取り、男子に徴兵を課すためには、正確な人口把握が必要だったのです。
:ところが、もしかしたら、古代の王や皇帝たちも、青木編集長と同じことを考えていたのかもしれないと思ったのです。
「人口はウソをつかない」――人口を分析すると、国の未来が見えてくるということです。
「その企画、やらせてください!」
:こうして一気呵成に書き上げたのが、本日発売の新著『未来の中国年表』です。
:中国は14億近い人口を抱える、世界最大の人口大国です。そんな中国で、2018年から、建国100年を迎える2049年まで、一体何が起こってくるのか? それらを分析することは、日本の将来を考えることにもつながります。どうぞご高覧ください!
■習近平主席の祟られた誕生日
:先週金曜日、6月15日は、習近平主席の65回目の誕生日だった。これは単に憶測にすぎないが、王岐山副主席、栗戦書全国人民代表大会常務委員長、趙楽際中央規律検査委員会書記、丁薛祥中央弁公庁主任ら、いわゆる「習近平派」の側近たちが、中南海の習近平宅に参集し、主席の「長命富貴」を祝福したのではなかろうか。
:だが、これまでの例で言うと、習近平主席の誕生日は、何かと祟(たた)られているのである。
:2013年6月15日、3ヵ月前に国家主席に就任した習近平新主席の還暦の誕生日を、習主席の最大の趣味であるサッカーで祝福しようと、わざわざ「格下」のタイ代表チームを招いて、中国代表と親善試合を行った。ところが結果は、1対5と大敗し、中国サッカー史に残る汚点となってしまったのだ。
:あまり大きな声では言えないが、中国でサッカーと言えば「賭博」がつきまとう。一体いくらのカネが消えたのだろうと思ったものだ。「習近平大敗」という怨嗟の声が、中国国内に広がった。
:2015年6月15日は、株式バブルの真っ只中にいた。前日まで、上海総合指数は5178ポイントと、8年ぶりの高値に沸いていた。そのため、1億7000万人もの「股民」(グーミン=個人投資家)は、習主席の誕生日にはご祝儀相場があるに違いないと、投資に熱を上げた。
:ところがこの日、上海総合指数は5048ポイントまで一気に下落。その後、3週間で32%も暴落したのだった。それによって、邦貨にして540兆円が泡と消えた。「習近平暴落」との恨み節が聞かれたものだ。
:そして、2018年6月15日である。「習近平新時代の中国の特色ある社会主義」を掲げて初めてとなる習主席の誕生日に、いささかなりとも粗相があってはならないと、中国国内の各部局は神経をピリピリさせた。
:だが、「砲弾」は何と、太平洋の向こう側から飛んできたのだ。この日、米トランプ大統領が、中国を対象とした制裁関税を発動すると発表したのだ。
:「これ以上、対中貿易赤字の拡大に看過できない。そのため、中国の知的財産権侵害に対する制裁措置として、500億ドル(約5兆5000億円)分の中国製品に、25%の追加関税を課す。まず7月6日に、産業ロボットや電子部品などハイテク製品を中心に、計818品目、340億ドル分の制裁関税を発動する。残りの160億ドル分は、発動時期を検討する」
:3月22日、トランプ大統領が500億ドル相当の中国製品への関税賦課を命じる大統領令に署名して以降、米中貿易摩擦のことは、このコラムでたびたび報じてきた。だがあれから約3ヵ月、世界の2大経済大国による貿易摩擦は、新たな段階に入ったのだった。
:言ってみれば今年の誕生日は、「習近平制裁」の日となってしまった。
■目には目を、歯には歯を
:これに対し、中国はすぐさま反撃に出た。
:翌6月16日、普段は土曜日の休日であるにもかかわらず、国務院関税税則委員会が、計500億ドル分のアメリカ産製品に対して、同様に25%の関税をかけるという公告を発表したのだ。具体的には、以下のような内容だった。
:〈 2018年6月15日、アメリカ政府は、関税をかける製品リストを発表した。中国からの輸入品500億ドル分に、25%の関税をかけるとしたのだ。うち約340億ドル分については、2018年7月6日から実施し、同時に約160億ドル分については検討を開始するとした。
:アメリカ側のこの措置は、WTO(世界貿易機関)が定める規則に違反し、中米間の交渉で得たコンセンサスにも、もとるものだ。わが方の合法的権益を著しく侵犯するものであり、わが国と国民の利益を脅かすものである。
:そこで、「中華人民共和国対外貿易法」「中華人民共和国輸出入関税条例」などの法律法規、及び国際法の基本原則に基づき、国務院関税税則委員会は以下のように決定した。すなわち、アメリカ産の659項目約500億ドル分の製品に対して、25%の関税をかける。そのうち545項目の約340億ドル分については、2018年7月6日から追加関税を実施する。その他の製品の実施時期については、別途公布する。
:一.農産品、自動車、水産品など545項目の製品。2018年7月6日より追加関税を実施する。具体的な製品については、添付の表1の通りである。
:二.化学工業製品、医療設備、エネルギー産品など114項目の製品。追加関税の実施時期については、別途公布する。具体的な製品については、添付の表2の通りである。
:三.アメリカ産の添付の表1、及び2の輸入製品の関税をもとに、追加関税25%を加える。現行の保税や減免税の政策は不変だが、今回の追加関税分の関税は減免税しない。
:四.追加関税後の輸入税の計算公式は以下の通り。 関税=現行の適用税率税額+関税後の価格×追加関税税率……(以下、省略)〉
:まさに、アメリカの措置を鏡写しにしたような、「目には目を、歯には歯を」という報復措置だった。アメリカの発表を予期して、用意周到に対抗策を準備していたことがうかがえた。
:私は4月に訪中した際、さまざまな人に「米中貿易戦争」について聞いたが、中国側の受けとめ方は、まとめると以下の3点だった。
①今回の貿易戦争は、単に貿易赤字の問題ではなく、次世代のハイテク産業の覇権を、アメリカと中国のどちらが握るかという「ハイテク戦争」である。
②そのため、短期間で終わることはなく、今後一定期間、アメリカとの関係は悪化しつづける。
③今後、貿易戦争から多方面に、アメリカとの対立が広がっていく。それは台湾、南シナ海、北朝鮮などを含む。
:この3点は、日本としても心しておくべきである。米中の「亀裂」に、日本を含むアジア全体が影響を受けるからだ。
■米朝首脳会談の「裏の目的」
:私は先週、米朝首脳会談の取材で、シンガポールを訪問した。シンガポールでの「主役」はもちろん、トランプ大統領と金正恩委員長だったが、不参加のはずの中国の「影」を感じたものだ。
:どういうことかと言えば、トランプ大統領が今回、金正恩委員長との会談を受諾した理由の一つが、中国への対抗だったということだ。
:ペンス副大統領、ボルトン安保担当大統領補佐官、マティス国防長官ら対北朝鮮強硬派は、「CVID(完全で検証可能、かつ不可逆的な非核化)を北朝鮮が認めない限り、米朝首脳会談を安易に行うべきではない」という意見で一致していた。実際、強硬派の側近たちに外堀を埋められたトランプ大統領は、5月24日にいったん、米朝首脳会談の中止を発表している。
:ところがトランプ大統領は、そこから再び「中央突破」し、CVIDを確約しない金正恩委員長との首脳会談を実現させたのだ。
:一体どうやって強硬派の側近たちを説得したのか。私はその疑問が脳裏を離れないまま、6月12日夕刻、米朝首脳会談が開かれたカペラホテルでトランプ大統領が行った記者会見に聞き入っていた。
:トランプ大統領は、もう一年以上も記者会見を開いておらず、1時間5分に及んだその会見は、トランプ大統領の一世一代のパフォーマンスとなった。トランプ大統領は「もう25時間、一睡もしていない」と言いながら、饒舌に心情を吐露したのだった。
:その一挙手一投足を見ていて、私は一つの仮説を立てた。それは、トランプ大統領が今回、米朝首脳会談を行い、米朝関係を改善させた裏の目的は、北朝鮮を中国から引き剥がすことにあったのではないかというものだ。
:トランプ大統領は5月22日に文在寅大統領と米韓首脳会談を行った際、「金正恩委員長が2度目(5月7日、8日)に中国に行ってから態度が少し変わった」「習近平主席は世界一級のポーカープレーヤーだ」などと、怒りを滲ませて語っている。
:いまにして思えば、これは中国が、「CVIDは必要ない。段階的に時間をかけて非核化すればよい。中国が北朝鮮の体制を保障する」としたことを意味するようだ。
■「米中決戦」今後の焦点
:次に米中の火種になりそうなのは、南シナ海である。
:マティス米国防長官は、6月2日、先週トランプ大統領が宿泊したシンガポールのシャングリラホテルで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアログ)で演説。次のように述べて、中国への対抗を明確にした。
・「自由で開かれたインド太平洋地域」の実現に向けて、アメリカがリーダーシップを発揮していく。
・南シナ海の軍事要塞化を進める中国に対抗していく。
・中国は、南シナ海を軍事化しないとした、2015年9月の米中合意(オバマ・習近平会談)を順守しべきである。
・今年のリムパック(アメリカ軍が主導する環太平洋合同演習)への中国軍の参加を拒否する。
:これに対して、アジア安全保障会議に参加した中国科学院の何雷副院長(中将)は、「わが国が南シナ海で行っていることは、主権の範囲内の行為であり、国際法でも認められたものだ」と反論した。まさに「南シナ海の浪高し」である。
:さらに、最終的な「米中決戦の場」になりそうなのが、台湾である。
:トランプ大統領は3月16日、台湾旅行法を定めて、アメリカと台湾の高官交流促進を促している。
:シンガポールで米朝首脳会談が開かれた6月12日には、台北で、アメリカ大使館の代役を行うアメリカ在台協会(AIT)の新庁舎の落成式が行われ、蔡英文総統が出席して高らかに述べた。
:「台湾とアメリカは、自由・民主という価値観を共有している。同じ価値観を持つ台湾とアメリカの物語の新たな1ページを祝福しようではないか!」
:アメリカからは、ロイス教育文化担当国務次官補が出席し、同様に挨拶した。 「この新庁舎は、今後の米台関係の安定と活力を象徴するものだ」
:中国側は、この台湾での落成式を米朝首脳会談と同日に持ってきたことで、トランプ大統領は今後、蔡英文総統とも米台首脳会談を狙っているのではないかと、疑心暗鬼になった。
:3月16日には台中で、数千人が参加して大規模な台湾独立決起集会が開かれた。独立派が求めているのは、来年4月に台湾独立を求める住民投票を実施することだ。今年11月には、アメリカでは中間選挙が行われるが、台湾では統一地方選挙が行われる。
:台湾が、「米中決戦」の焦点になりつつある――。
『アメリカの「反中」は本気だ』著者宮崎正弘
本文で述べたように、宮崎氏もまた同書で、米朝首脳会談の意味は、アメリカが北朝鮮を中国から引き剥がすためだったという説を展開している。そして台湾危機についても論じている。 本書の後半では、ASEAN10ヵ国と南アジアが米中どちらにつくかを、詳細に論じていて興味深い。宮崎氏は、以前は中国全省を訪問する中国ウォッチャーだったが、いまやアジア全域を訪問する名だたるアジアウォッチャーである。
 ≫(現代ビジネス:国際―近藤大介)



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