世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●平和主義と積極平和主義、似て非なるもの 右翼なら中国にビビるな!

2014年05月08日 | 日記
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●平和主義と積極平和主義、似て非なるもの 右翼なら中国にビビるな!

 安倍首相が、浮かれ気分で欧州訪問をしている。とうとうウクライナ騒乱の元凶、NATO本部でも演説をぶちかました。あいも変わらず二言目には出てくる“お気に入り”な言葉「積極的平和主義」を世界中にばら撒いている。そもそも、平和的外交は「平和主義」が「国益外交」の両極があるだけだ。平和主義に、受け身なとか、能動的なとか、そう云う類の注釈がつくのは欺瞞さを表している。「的」と云う言葉は、文法上、接辞の一種「接尾辞」とされている。

 本来の日本語や中国語における「的」の使い方は、その掛かる単語の意味が「あきらか」である表現として用いられる。この解釈で行くと、“積極的”は「あきらか」であり、能動性を表現している。つまり、思うところに従い、能動的に動き、平和に貢献する行動も辞さないことになる。多くのリベラルな論者が主張するように、「平和主義」は化粧言葉であり、“平和主義”は修飾語に過ぎず、本意は「積極的」と云う解釈になる。安倍の右派的言動や、政権が成立させた法案や、これから成立する法案の概略を見ても、その通りかなと思える。

 しかし、現在の日本語は「的」に関して、本来の解釈とは異なる言葉の変化が生まれ、尚且つ、それを誤りとするわけではなく、是認する方向に向かっている。正しい日本語の普及に努めている人々を除けば、まあそれでも意味やニアンスが通じるのなら、良いじゃないかと考えるのが主流だろう。2000年の新語・流行語大賞に「私的には…」がノミネートされており、「…の方向で」とか「…みたいな」、と社会生活や人間関係で“曖昧さ”が必要な時に頻繁に使われるようになってきている。

 「的」を後者の“曖昧さ”と解釈することも可能で、あくまで平和主義が主体だが、“なんとなくアクティブに”みたいな気分を表していると解釈も出来る。安倍晋三の個人的資質を含めて考えると、筆者は、安倍晋三の「なんとなく」と云う漠たるイメージを表しているような感じを抱いている。ただ、公式な場で官僚が書いたテキストを用いて演説等をうつときは、積極的は「普遍的価値観(アメリカン・デモクラシー)」を堅持する外交防衛の行動を差すと考えて良いだろう。そう云う前提で、安倍のNATOにおける演説を読んでみるのも一興だ。


 ≪ 「中国の対外姿勢、国際的な懸念」 首相NATO演説
 【ブリュッセル=地曳航也】欧州歴訪中の安倍晋三首相は6日午後(日本時間同日夜)、北大西洋条約機構(NATO)本部で演説した。中国の軍拡に触れ 「中国の対外姿勢、軍事動向は日本を含む国際社会の懸念事項だ」と批判。「世界の平和と安定のために日本がどのような貢献をすべきか政府として方針を示し たい」と集団的自衛権の行使容認に理解を求めた。
 首相は中国の軍事費が最近の10年間で4倍に増えていると指摘したうえで「その軍事費の拡大は内容が明らかにされない不透明な形で行われている」と訴えた。「この地域の不安定化の要因とならないよう武器及び機微な汎用品の厳格な輸出管理を改めて強く訴える」と語り、NATO加盟国に中国への武器輸 出を控えるよう求めた。
 「東シナ海や南シナ海では力による一方的な現状変更の試みが頻発している」と沖縄県尖閣諸島周辺での中国の挑発行動にも言及。「日本にとってアジア太平洋地域の平和と繁栄の実現は最優先課題だ。そのために建設的役割を果たそうとするいかなる国とも協力していく」と法の支配を尊重し航行や、上空飛行の自由を守る決意を示した。
  首相は「揺るぎない平和国家としての歩みを礎に、これまで以上に世界の平和と繁栄に強くコミットしていく」と自身の外交・安全保障政策の基本理念である 「積極的平和主義」を説明。「国際社会と協力して地域の世界の平和を確保する。そのために現在、憲法と集団的自衛権などとの関係について議論を進めている」と集団的自衛権の行使容認に向けた政府の議論に理解を求めた。
 歴代政権は集団的自衛権について国際法上保有するが憲法上行使できない と解釈してきた。首相は日本近海の公海で警戒している米軍のイージス艦が攻撃を受けた場合に自衛隊が守れないことを集団的自衛権の行使が認められていない支障として例示。集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更に意欲を示した。
 首相はNATOについて「基本的価値を共有するNATOは『必然のパートナー』だ」と強調。「積極的平和主義を実践する立場から今後のNATOとパートナーシップを発展していく」とソマリア沖・アデン湾での海賊対策を含む安保協力を進める考えを示した。 ≫(日経新聞)


 結局、安倍が言いたかったのは、NATO(アメリカ)と基本的価値観を共有していますから、自然発生的にパートナーシップになる、と言い切っている。NATOにおける、アメリカとEUの温度差が、対ロ問題でこれだけ浮き彫りになっても、なんのその、滑稽である。米軍との集団的自衛権行使においても、NATO(アメリカ)と基本的価値観に基づいて動くので心配しないでください。積極的平和主義を実践する立場から今後のNATOと行動を共にします風な、バカな内容にまで触れている。今のメディアも霞が関も、アメリカンデモクラシーと云う「普遍的価値」の普遍性が「人は必ず死ぬ」と同一基準に見ようとする錯誤から、大間違いは始まっている。正直、個人的には安倍晋三や官僚や経団連の連中の評論をすること自体、“糠に釘”なレベルだと思っている。

 国家主義の「愛国政治家(ナショナリスト)」が、親分が守ってくれているのだから、中国と対峙出来ます、と言っているに等しい発言であり、到底、国家主義とか、国粋主義とは距離があり過ぎる。無論、上記の考えを是認する気はないが、これだけ中国を悪しざまに罵るバックグラウンドが米軍の庇護のもとの括弧付きなのであれば、自分たちの弱さを認めたような「積極的平和主義」であり、“正体ばれた枯れ尾花”のようである。安倍の胡散臭い国際的な場における発言を増やせば増やすほど、「実は日本は弱いのです」と喧伝して回ることになる。中国政府は、安倍の発言にほくそ笑んでいるに違いない。右翼なら、右翼らしい暴言や挑発な態度に出てもらいたいものだ(笑)。結局、安倍晋三は「ごっこ政治家」なのだろう。

民主主義って本当に最良のルールなのか、世界をまわって考えた
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