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●大越キャスター、人様の言葉を拝借し、官邸の心をロシアに伝える
「ロシアの声」アンドレイ・イワノフ解説員のコラムは、若干のプロパガンダとロシアの正当な主張が混じりあってはいるが、対NATO情報が貧弱な以上、筆者が敢えて、拡散してやる義務はあると考えている。弱きを援けるのが、理屈抜きにジャーナリズム。たとえ悪人であっても、弱い悪人なら塩を送るのが礼儀である。ロシアは十分に冷静であり、日本と米国の立場がどうなっているか理解したうえで、オバマの顔を立てる程度のロシア制裁は致し方ないだろうと寛容さをみせている。今秋にも実現するかもしれないプーチンの訪日に、何らかの含みを持たせた書きっぷりは、プーチンの安倍晋三への密書になっているかもしれない。
昨日のNHK「ニュースウォッチ9」の大越キャスターのモスクワ取材は、奇妙な雰囲気だった。とてもアメリカのメディアには出来ない類の取材報道だった。大越は十二分に親米なキャスターだが、今回のモスクワ現地訪問取材は、ロシア側の立場からみたウクライナ問題の問題点を、少なくとも炙りだそうと云う姿勢が見えた。おそらく、プーチンに官邸が胡麻を擂ったのだろう。「TVでた蔵」サイトは以下のように番組を紹介している。
≪ モスクワ 2014年5月6日放送 21:00 - 22:00 NHK総合 ニュースウオッチ9 (ニュース)
軍事作戦の影響が市民にも及んでいる。ウクライナ軍から銃撃をうけ殺害された看護師になりたての女性の葬儀がクラマトルスクで行われ、多くの市民が集まった。激しさを増す暫定政権と親ロシア派の対立は憎しみばかりが募っている。
アバコフ内相は「対テロ部隊が隠れていたテロリストらの武装集団を発見した。武装集団は大口径のものを含めた武器を使い、追撃砲なども使っていた」と会見した。自治権拡大を求めて親ロシア派は住民投票を計画している中、暫定政権は軍事作戦を強化している。戦闘の影響は市民にも及び、怒りの声が上がっており、 ロシアのメディアも軍事作戦の強化を批判している。親ロシア派の武装集団も暫定政権に徹底抗戦する構えだ。
混迷するウクライナ情勢に最も大きな影響を及ぼすのはロシアではないかと思われる。ウクライナ問題をきっかけとして欧州とロシアの対立は新しい冷戦の始まりかとも一時は言われた。人々の心の中にはクリミア編入以来ある種の高揚感が生まれているのを感じている。プーチン大統領の支持率も急上昇している。ある壁に描かれたクリミア半島はロシア国旗の色で色付けされており、クリミアとロシアは永遠に一緒にとも書かれていた。その横には対ドイツの戦勝記念日を祝う映像が流れていた。
一方ロシア化の進むクリミアでは、1日メーデーのパレードでウクライナの旗でなく、ロシアの国旗で埋め尽くされていた。観光地のヤルタもロシアからの観光客が目立つ。市民生活もロシア化が進んでいる。さらに金融分野にも及んでいる。ウクライナの銀行が撤退し、ロシアの銀行が進出しており、ロシアの銀行は引き出せなくなった預金を保証すると発表した。しかし、ロシアからの支援が届かない分野もある。ウクライナの国営の水道会社が水の供給を停止、水の確保に危機感を募らせている。
多くの市民からの期待と同時に混乱も抱えながらクリミアのロシア化が進んでいる。プーチン大統領は「クリミアが抱える問題を解決するために支 援する」とも発表。プーチン政権はクリミアとロシア南部を結ぶ橋を建設を計画している。発電所や道路などのインフラ整備として年間3000億円のクリミア への支援策を打ち出している。
ウクライナ情勢に対する国民の心理がクリミア編入が正しかったと支持し、プーチン大統領の支持も高めている。プーチン大統領の強硬対応の背景には欧米がロシアの影響圏のウクライナの領域に勝手に入ってきているということがあるからと解説している。
スーパーでは商品の価格の高騰しており、野菜は20%、果物は10%の値上がりをしている。価格高騰の理由はルーブルの下落にある。ウクライナ情勢の緊迫 化やロシアへの経済制裁の影響でドルやユーロに対して10%下落した。通貨の下落で輸入食料品の価格も上昇し、つられて国産品の価格も上昇している。追加 の経済制裁に対してもプーチン大統領は強気だ。製造業にも影響が及んでいる。製薬会社では原材料の価格が上昇し、輸入設備の投資は経営の重荷となっている。レーピック社長は「経営計画を立てるのが難しくなる」と話した。ロシアではウクライナ危機を受け、少なくとも600億ドルの資金が国外に流出している。当初+2.5%と見込んでいたが経済成長率 も+0.5%に下方修正された。ウリュカエフ経済発展相は「経済成長率0.5%は非常に心配」と会見。政治学者ムーヒン氏は「プーチン大統領は妥協する政治家ではなく、欧米諸国にとって難しい交渉相手であることを理解すべき」と述べた。
ウクライナ・オデッサで追悼集会があったが、参加者が暴徒化し親ロシア派のデモ隊が警察署を襲うなどした。ウクライナ暫定政権が親ロシア派の67人を釈放した。ウクライナ暫定政権は「外国の干渉行為によって引き起こされた」との見方を示している。ウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相は「新しい形の戦争に我々は直面している」と語った。ロシアのプーチン大統領とドイツのメルケル首相は電話で会談し、効果的かつ国際的措置が必要との認識で一致した。OSCE 議長国スイスの大統領が7日にモスクワ入りする。 ≫(TVでた蔵HPより抜粋)
補足だが、クリミア半島とロシアをつなぐ橋の建設が、中国系企業によって行われるとも伝えている。中露の連携強化のオバマへのメッセージであることは、昨日のコラムで言及している。筆者は水野和夫氏同様、海洋国家の覇権の終焉、大陸国家の時代輪廻の法則が動き出している、と云う歴史観に立つので、中露の連携強化は、欧米天下時代の終わりの始まりをウクライナに見ることが可能だ。今回のNHKのモスクワ発のニュースは、現地記者の発言や、他のロシア系論者の言を借りた報道の手法だが、ロシア側、ロシア国民の言い分は、一定量カバーしていたと言える。
NATO勢力の足並みは千々に乱れている。ネオコン傾向の強い、米国務省、CIA、FBIのロシア騒乱、傀儡政権樹立。まったくエジプトにおけるクーデター傀儡政権樹立までのシナリオと寸分変わらないのだから笑ってしまう。特に、メルケル独首相が米国の奇妙な動きに反応している。「オバマさん、アメリカ政府関係者のかなりの人々が、直接・間接にキエフ政変に関わり、その上、今ではウクライナ暫定政権に命令を出している証拠があまりにも多過ぎるのよ。私はつき合いきれないわ」そのような流れの芽が出てきたのは事実から推測可能だ。
今回のウクライナ政変の当面の落としどころは、当面、NATO,ロシアのどちらにも属さない「中立宣言」しかないのだと思う。勿論、最終的にウクライナ国民の民主的手続きで、大統領選で正当な大統領を選んだうえ、落ち着きを取り戻し、じっくり考える時間を設けた方が賢明だ。アメリカ一国主義に追随することが、今後の世界でも有効なものかどうか、中露勢力の抬頭はあるのかないのか、見極める時間を留保するのがベストな選択である。
最後になった、NHKがロシアの主張を伝える情報を流した点で、NHKの方針転換か?と云う言葉も聞かれるが、多分違う。ただ、30%程度、ロシアへの肩入れもしている、と云う姿勢を安倍官邸はプーチンに伝えたい意図があったと読む。超親米の大越が仕切り、親ロな人々がロシアの意を語る。このNHKの報道姿勢は、欧米敗れたりと云うニアンスではなく、プーチンさんのことも忘れていません、日本はと云う意味なのだろう。つまりは二股外交ということだ(笑)。最後になったが、冒頭の「ロシアの声」のコラムを掲載しておく。
≪ 西側が挑発するウクライナ危機に対してロシアを処罰しようとする試みは、尖閣諸島問題を悪化させる恐れがある。 日本は米国の圧力のもと、ウクライナを巡るロシアの行動を非難し、部分的に対ロシア制裁を支持してきた。
恐らく米国のオバマ大統領は最近行われた日本訪問で、ロシアがクリミアを編入したことに続いて、中国が日本から尖閣諸島を奪う恐れがあると安部首相を脅したことだろう。
米国は尖閣諸島が中国に奪われることを阻止するため、同諸島を日米安全保障条約の適用範囲に含め、同盟国としての義務に従う用意がある。日本はこれに対する感謝の印として、「他国の領土を奪って」中国に悪い例を示しているロシアに対する制裁を支持しなければならない。 だがこのような「論理」には、適切な政策をとるうえで障害となる重大な欠点がある。ロシアは、ウクライナからクリミアを奪ってはない。クリミアに住むロシア人、ウクライナ人、タタール人、ギリシャ人などが自ら、政権を奪った民族主義者や盗人の一味を合法的な政府として認めることを拒否し、数百年にわたってクリミアが栄えたロシアの構成主体に戻ることを決めたのだ。
クリミアの住民たちは自主的にロシアへの編入を問う住民投票を行い、喜びと共にロシアへ戻った。そして、クリミアの住民たちが自主的にロシアへの編入を望んだことは、国際監視員たちによって確認された。「自由な」ウクライナ、米国、欧州のマスコミが報じたように、クリミノアの住民たちは、「ロシアの侵略者たち」に銃を突き付けられて脅されたのではないのだ。 またウクライナ南部・東部の住民たちも、ウクライナ政権のもとで暮らすことを望んではいない。ウクライナの「軍事政権」は、南部・東部の住民を「武装分離独立主義者」や「テロリスト」と呼び、鎮圧のために軍、戦車、大砲、航空機、ヘリコプターなどを派遣した。
そして米国と欧州連合(EU)は、この行動を支持した。だがつい最近、ウクライナの合法的な大統領には、厳しい制裁で脅しをかけ、非武装の警官たちを野球のバットや鉄の棒、チェーンなどで攻撃し、火炎瓶を投げつけたキエフの「平和的なデモ参加者」たちに対して武力を行使し、憲法秩序を回復することを禁止した。
ポーランド、バルト三国、そしてウクライナ西部の施設で訓練を受けたこれらの「平和的なデモ参加者」たちは、キエフ政権が創設した国家親衛隊となり、「分離独立主義者」や「テロリスト」と呼ばれる人々を殺害するためにウクライナ南部・東部へ派遣された。
多くの観測筋は、同作戦から注意をそらすために、キエフ政権はオデッサで残酷な挑発を企てたとの確信を示している。オデッサでは、労働組合の建物が放火された。この建物には、怒り狂った民族主義者の集団から逃れるために、キエフ政権に反対する人々が避難していた。公式情報では46人が死亡した。
また、人々は頭にガソリンをかけられ、火をつけられたことも分かった。燃え広がる炎から逃げるために建物から飛び降りて、死亡した人々もいた。キエフではこの残忍な行為が、「武装テロリスト」対策における成果として歓迎された。
だが、米国やEUが支持しているにもかかわらず、西側のマスコミは、「自国民と戦うキエフ政権との連帯は正しいのだろか?」と、現キエフ政権の残酷な行為に疑問を呈するようになっている。
「対テロ作戦」と呼ばれるものが実施されているウクライナ南部・東部を訪れたフランスや米国のジャーナリストたちは、テロリストはおらず、ロシアが介 入している気配もないことを認めている。
ジャーナリストたちは、キエフ政権に従うことを望まず、自分たちの土地を懲罰者たちから守るために立ち上がった一般市民を目にしただけだった。 今では米国の情報機関や外交機関の元職員でさえ、あたかもロシアがウクライナ情勢に干渉しているとして、世界に対ロシア制裁の強化を呼びかけるオバマ大統領の政策は誤っていると批判している。 最近、米中央情報局(CIA)、米連邦捜査局(FBI)、米国務省の元職員たちは、早急にロシアのプーチン大統領と会談し、東欧へのNATO拡大を放棄し、それによってウクライナの内戦を防ぐようオバマ大統領に呼びかけた。元職員たちは、ロシアとの仲たがいは米国にとって極めて不利だと指摘した。その理由の一つは、尖閣諸島問題をはじめ、中国に影響を与えることができるのはロシアしかいないからだ。 ≪(ロシアの声:アンドレイ・イワノフ)
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