世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

政権交代と押尾学逮捕劇

2009年12月14日 | 日記

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政権交代と押尾学逮捕劇

元俳優・押尾学容疑者は合成麻薬を使用したとして麻薬取締法違反罪に問われ、執行猶予付きの有罪判決を受け11月17日に有罪が確定した。
ところが、警視庁捜査1課は12月7日、同じ麻取法違反を適用し再び逮捕状を執行した。今回は合成麻薬MDMA譲渡事件としての逮捕のようだが、MDMAを譲り受け飲んだ知人女性が薬物中毒で死亡しており、同課は保護責任者遺棄の疑いでも押尾容疑者を追及する構えのようである。

先ず一般的に今回の押尾の再逮捕は『一事不再理』と呼ばれる刑事訴訟法の大原則から逸脱した警察の勇み足と云う感想が浮かんだ。しかし、よく調べてみると、初めの麻薬取締法違反は押尾の麻薬の『使用』に関する容疑であり、今回は『譲渡』の容疑と云う理屈のようである。勿論、当面の本丸は保護責任者遺棄罪の適用が可能かどうかだと思われる。

実は、押尾容疑者のようなチンピラがどんな罪で何度逮捕されようと全く興味はないのだが、この改めての逮捕劇に謎めいた幾つかのドラマが隠されている可能性があると思われるので、敢えて書くことにした。

そもそも、同時期に起きた酒井法子夫妻の覚せい剤使用事件をマスメディアが呆れ果てるほど、大々的に報道したのに比べ、押尾事件が扱いが小さい事に違和感を持っていた。
いやしくも女性が一人死んでいるのである。常識的に押尾事件の方が酒井法子事件よりも重要事件である筈だった。
しかし、8月の矢先押尾の事件は起きたが衆議院は解散しており、8月30日には投票日を迎えると云う天下分け目の戦いの真っ最中の出来事だった。
その時期に、この事件を報道から隔絶しようとしたと云う事は、衆議院選挙に影響を及ぼす危険があるからという警察庁の配慮を否定できない。
結果的に押尾事件の情報が得られないマスメディアは選挙も押尾も押しのけて、酒井法子事件を大々的に報道しまくった。特に各テレビ局の報道スタンスは異常だったし、違和感だらけだった。

それが今度は一転、押尾容疑者を同一の事件で判決まで出ている同一の法律を使い、その異なる条項であらためて逮捕と云うのは『一事不再理』に必ずしも抵触しないが、拘留中に再逮捕するのが通例だ。では何故こんな奇妙な同一事件で二度逮捕などと云う状況が生まれたのかと云う事になる。

おそらく、これこそが政権交代による警察庁や警視庁の立ち位置の違いと云う事なのだろう。
当初より押尾事件の現場に有名人や自民党の大物の関係者が顔を出していたりして捜査がどこまで伸びるか疑問視されていたが、押尾個人の犯罪として一件落着目指していた警視庁なので当然の結果だった。

押尾事件をほじくると、自民党大物政治家の息子とか、警察の天下り先である押尾と繋がりが強い企業とか、押尾が所属していた音楽事務所とか、色々政治絡みで厄介なので、止めておこうと警察が自粛したかもしれない。時には政治的な圧力が迂回する形で加えられていたかもしれない。

ところが、予定通りか、想定外か判らないが、自民党が総選挙で惨敗、民主党政権が誕生。9月に民主党政権がスタート、国家公安委員長に民主党の中井洽氏が就任している。
警視庁捜査一課がその政権交代の9月に押尾事件の捜査体制を一新して、女性の死亡にスポットを当てた捜査をやり直したというのが真実に近いようだ。
今回の逮捕は押尾個人の犯罪を掘り下げると云うよりも、異なったターゲットに迫ろうとしているのかもしれない。
大物政治家の恥部をほじくるのか、音楽業界の闇に迫るのか、パチンコ業界に迫るのか、これからの捜査に注目せざるを得ない。

警視庁捜査一課の名実ともに実力が試されている。政治家や圧力組織に遠慮せずに久々全力で捜査する姿を見たいものである。政権交代と云うモノ、こういう影響力もあるわけで、安保、経済だけが政権交代の目安ではなく、幅広くその影響を国民が享受する楽しみを味あわせて欲しいものである。

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