知っていそうで知らないノーベル賞の話 (平凡社新書) | |
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●地に落ちたノーベル賞の価値、政治的受賞が多過ぎる 国際機関が貰ってどうするのだ
2013年のノーベル平和賞が化学兵器禁止機関(OPCW)に決定した。村上春樹同様、前評判の高かったパキスタン人の少女、マララ・ユスフザイさん(16)が受賞を逃した。マララさんがノーベル平和賞受賞と云うのも、何だかな?と思っていたが、OPCWなんて国際機関が受賞するのも、何だかな?だと筆者は感じる。国連の機関が受賞したり、事務局長が選ばれたり、見せかけの“密約沖縄返還”を実行した佐藤栄作元首相が受賞したり、バラク・オバマ大統領が受賞したり、何が、どのように世界の平和に貢献したのか、意味不明な部分が多過ぎる。こんな賞は取りやめにした方が穏当な解決策ではないか、とフト思った。
毎日新聞が、以下のようにOPCWが何をしたというのか?と云う記事を書いている。化学兵器禁止機関(OPCW)が国連において全会一致で、シリアで大手を振って活動できるようにお膳立てをした人物を排除して、化学兵器禁止機関(OPCW)にノーベル平和賞を与えたノーベル財団の愚行は、何を意味するのだろう。筆者の穿った推理だと、まさか介在役としてオバマをシュンとさせたプーチンこそ、平和賞に値するのではないか。少なくとも、OPCWの活動はロシア・プーチン大統領の介在が功を奏したのである。バラク・オバマの口先平和原則とは話が違う。
≪ <ノーベル平和賞>OPCWが何をしたというのか…シリア
【カイロ秋山信一】シリアで化学兵器の廃棄に向けた活動を続ける化学兵器禁止機関(OPCW)のノーベル平和賞受賞が11日、決まった。だが、シリアでは連日、激しい戦闘が続き、市民の犠牲者が増え続けている。「平和」とかけ離れた生活を強いられているシリアの人々の目には「世界はシリアの現実から世界は目をそらせている」と映っている。 「化学兵器禁止機関がシリアで何をしたというのか。砲撃は続き、毎日、市民が殺されている」
8月に化学兵器が使用されたシリアの首都ダマスカス郊外のグータ地区に住むムハンマド・タイブさん(21)は、毎日新聞の電話取材にあきれたように言った。タイブさんによると、11日も政府軍の砲撃は続き、自宅周辺は停電しているという。
グータ地区の反体制派の野戦病院で働く男性は「化学兵器と通常兵器の何が違うのか。ミサイルや銃撃で苦しみながら殺される方がむしろ残酷だ」と指摘。化学兵器を特別視する国際社会への不満を表した。
在英の反体制派組織「シリア人権観測所」によると、アサド政権と反体制派の武力衝突が始まった2011年3月以降の死者数は、9月までに11万5000人を超えた。化学兵器による犠牲者は、このうち1~2%程度でしかない。
国連によると、国外に逃れた難民は約217万人、国内避難民は約500万人に上る。人口の約3分の1が自宅を追われた計算だ。内戦が続けば、14年末には難民が500万人を超えるとの試算もある。
自宅に残れたとしても生活は過酷だ。ダマスカス郊外の反体制派支配地域では12年11月以降、電気や水道が遮断されている。政府軍が包囲しているため、食料や医薬品が欠乏し、飢餓の懸念も高まっているという。
タイブさんが言った。「本当にノーベル平和賞にふさわしいのは、内戦を終結させられる人たちだ」 ≫(毎日新聞)
毎日は筆者と異なる観点で、OPCWのノーベル平和賞授与に疑問を呈している。産経新聞は、インタファックス(プラウダはもっと怒り露わで、アメリカ型民主主義は野蛮な国家のマヤカシのカウボーイ・デモクラシーだと主張している)など、ロシア・メディアの憤懣を揶揄的に報道しているが、思惑は別にして、プーチン大統領がいなければ、オバマは一層の窮地に陥ったわけで、憎きプーチンが救いの神(渡りに船?)であったのは、紛れもない事実だ。
≪ ロシアでは反発の声「プーチン氏こそ」
【モスクワ=遠藤良介】シリア内戦下での化学兵器の廃棄作業に着手した化学兵器禁止機関(OPCW)にノーベル平和賞の授与が決まったことについて、ロシアの有識者からは11日、「シリア問題で功績の大きいプーチン大統領こそが受賞するべきだ」といった反発の声が上がった。
インタファクス通信によると、政権派のコブゾン下院議員は今回の決定について、「世界の世論に耳を傾けず、米国一派の意思に従うノーベル賞委員会の、愚かさと無力を示した」と主張。「シリアの化学兵器廃棄に関する仕組みを始動させたのも、(同国の)アサド大統領に化学兵器禁止条約への加盟を説得したのもプーチン氏だ」と述べた。
同議員は9月、ノーベル賞委員会にプーチン氏を推薦した一人で、今後もプーチン氏を候補として推し続ける考えだという。
政権派の政治学者、マルコフ氏もラジオ局「エホ・モスクブイ」に、「今年の主要な平和への貢献は、シリア内戦の拡大が食い止められ、化学兵器の廃棄プロセスが始まったことだ。その基本的な功績がプーチン大統領のものであることは疑いない」と語った。
アサド政権を擁護するロシアは9月、シリアの化学兵器を国際管理する案を打ち出し、米国などが検討していた対シリア軍事介入は当面、遠のいた。プーチン氏をノーベル平和賞候補に推す声は、米国への「外交的勝利」に酔いしれる露エリート層の空気を反映している。 ≫(産経新聞)
口先平和介入のバラク・オバマがノーベル平和賞を授与されたのであれば、ロシア・プーチン大統領も、ノーベル平和賞を授与される資格はあるのだろう。この辺のことは、拙ブログ10月3日付コラム「プーチンのノーベル平和賞に現実味 オバマを救い、中東を救い、イスラエルを封じ込めた」http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/a8a356779de1680c4cc1db2d672c2883で既に書いている。
ただ、今回のOPCWのノーベル平和賞授与は、結果的に、その機関の活動が国際的認知とアサド大統領の確認の中で行われて事実がある以上、介在者である人物を連想させることは容易だ。OPCWのノーベル平和賞授与が、却ってプーチン大統領の存在価値を間接的に高めている。
ノーベル賞はスウェーデン、ノルウェー両国に跨る委員会で選出されるのだが、最近ではアメリカの意向とリンクしている臭気がタップリで、今年の受賞者など眺めていると、何だかな?の感は否めない。もう、ノーベル賞云々で、お祭り騒ぎをするのはやめた方が良いような気にさえなってくる。来年か再来年、北朝鮮・金正恩が、核放棄を宣言し、ノーベル平和賞でも受賞するような、トンデモナイ笑い話まで起きそうな按配だ。韓国の唯一のノーベル賞授与者・金大中(キム・デジュン)も貰ったのだから文句あるまい(笑)。
しかし、ノーベル賞授与者の国別一覧を眺めてみたが、アメリカが断トツで他を寄せつけない。英国やスイス、スウェーデン、ドイツ、フランスも多いが、奇妙に多いのがイスラエルだ(笑)。ロシアや中国など旧東側諸国のノーベル賞授与は異様に少ないようだ。これだけでも、ノーベル賞が政治の道具と化している部分を照らしている。ロシア(旧ソ連)の文学・科学等々が、驚くほど遅れていると云う証明にはならない。故に、韓国が未だに授与者が一人だけだからと云って、指さすように、遅れている国と云う評価は意味を持たない。
ノーベル賞辞退者の中で、ピカピカと輝いているのが、“ジャン=ポール・サルトル”だ。サルトルの辞退について、「naverまとめ」は以下のように語っている。
≪ノーベル賞を辞退した人:ジャン=ポール・サルトル(1905-1980) 1964年にノーベル文学賞を受賞。しかし「いかなる人間でも生きながら神格化されるには値しない」と言って辞退した。他にも「ダイナマイトなる非平和的発明をした人の作った賞などは受け取れない」「受賞することで、人々の彼への評価・関心が彼の文学そのものから、″ノーベル賞受賞者サルトル″になってしまうのを嫌ったから」とも言われている。フランスの哲学者、作家。いわゆる「実存主義」の代表的な論客として、1960年代に各国の若者に大きな影響を与えた。≫と紹介している。
もう一人、なるほどと唸らせる政治家がいる。レ・ドゥク・ト(1911-1990) 1973年、パリ協定(停戦とアメリカのベトナムからの撤退 —)での交渉における尽力を理由にヘンリー・キッシンジャーと共にノーベル平和賞を受賞。しかし1973年当時「まだベトナムの真の平和は得られていない」と述べて賞を辞退したベトナムの政治家である。(naver参照)村上春樹も辞退者の一人になったら目茶かっこいいのだが、その時を愉しみにしておこう。筆者の勝手な感想だが、村上作品は、同氏が翻訳家としても超一流なだけに、あらゆる有能作家のエッセンスが身となり、肉となり、血となっている為に、本当の村上春樹が迷子になっているのだはないのか?と云う疑問符を常に持ちながら、作品を読んでいる。
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