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シングルマザー・レジスタンス

2011年02月01日 19時13分09秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク〈8〉 (文春文庫)
石田 衣良
文藝春秋

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 1月30日に大阪市内でシングルマザー問題に関するシンポジウムがあるのを知り、私も飛び入りで参加してきました。このシンポジウムは、「シングルマザーの孤立と貧困 ~幼児放置死事件を契機に、その背景を考える」と題して、去年夏に大阪市西区のマンションで起こった幼児放置死事件の背景にある母子家庭の問題について考えていこうというものです。
 この事件は、容疑者のシングルマザーが風俗嬢だった事もあって、当時マスコミやネットで話題になりました。しかし、事件直後の報道は単なる容疑者叩きに終始したものが大半で、後からようやく、その背景にある母子家庭の孤立状況や貧困問題にも目を向けたものが出てきたように思います。

 斯く言う私も、もうそんなニュースはすっかり忘れていました。それが、たまたまこのシンポジウムの事をネットで知って、以前読んだ石田衣良の「池袋ウエストパーク物語」シリーズ最新作「非正規レジスタンス」(文春文庫)にも、ちょうど同じ様なシングルマザーの話があったのを思い出し、参加する気になりました。
「千川フォールアウト・マザー」というその話にも、夜勤パートで食いつなぐシングルマザーが登場します。それが主人公マコトの姉のユイで、仕事と家事・育児に体をすり減らす中で、たった一日コンサートに出かけた隙に、3歳のカズシを自宅ベランダから転落させてしまう。幸いカズシの怪我は軽症で済んだものの、ダメ母とマスコミや世間に叩かれる。その挙句に、ヤクザ崩れのスカウトマンによって風俗業に引きずり込まれようとしていたのを、マコト親子やゲートボーイズが助け出す・・・とまあ、そういう話ですが。

そのシンポジウムの会場となった谷町四丁目の大阪司法書士会館には、既に百人ぐらいが詰め掛けていました。マスコミも取材に来る中で、コーディネーターと4人のパネラーが、それぞれの立場から話をされました。それぞれの話に触れていたら到底この紙数には収まりません。ここでは、その中で一番印象に残った「シングルマザーと性風俗産業」の話について書く事にします。

● 今はもう「離婚は親の身勝手」だけでは片付けられない。正社員から非正規雇用への置き換えが進む中で、結婚出来ない、結婚しても生計を維持できない家庭が増えている。それがDV(家庭内暴力)や離婚、児童虐待を生み出している。
● 2008年の離婚件数25万件超、その8割が母親が親権者で、そのまた8割が就労者。欧米に比べ、就労者の比率が高いのが日本の母子家庭の特徴。
● しかし、その実態は非正規雇用。正社員といっても実際はフルタイムのパートや日給月給。平均月収12万円、児童扶養手当を含めても月20万円。そこから税金・社会保険料・家賃を引かれる。当然それでは生活出来ないので、Wワークや内職をやる人も多い。これで一体どんな子育てが出来るのか。
● そこに高収入や一時の癒しをエサに風俗が忍び寄る。今や売春防止法は形骸化し、個室浴場(ソープランド)や派遣型ヘルスが風営法や風俗営業適正化法で公認され、出会い系サイトが盛況を極める。男性が処罰されるのは児童売買春のみ。→ (以下は私の感想)多重債務問題の構造と余りにもよく似ている。食っていけない低賃金、銀行は金持ちにしか貸さない、公的融資制度の貧困の中で、サラ金・街金が増殖。やがて問題噴出、今の規制強化の流れに至るが、根底にある貧困問題が放置されたままなので、ヤミ金に流れるのみ・・・それと全く同じなのでは?
● それに対し国の施策は、自立支援・就労支援が中心。言葉だけは綺麗だが要は「自己責任」「個人・家庭・地域の責任であって国の責任でない」。しかも実際やって来た事は、公営住宅建設の打ち切り、公的融資制度の縮小、社会保障費の削減、婦人保護事業(施設)の廃止・縮小、大企業(法人税)減税に庶民(消費税)増税。→(以下は私の感想)これではまるで「介抱するふりして逆に虐待しているだけ」ではないか。
● この問題に対する国民の意識も、「離婚する奴が悪い」「風俗や依存症に嵌る奴が悪い」というのみ。しかし、そう仕向けてきたのは一体誰か?
● 子育ても、もはや家族だけに任しておいて良いのか?戦後の高度成長と相次ぐ農業切捨て・減反政策によって、農村部では、過疎問題が顕在化、一家離村・限界集落の広がり、地域の衰退。一方、都市部でも、かつての核家族が少子高齢化で、今や団地が丸ごと老人ホームやゴーストタウンと化しつつある。標準家族モデル(専業主婦と子ども2人)そのものが崩壊しつつある中で、家族中心の見方(家族幻想)にいつまでしがみついているのか。シングルマザーの生活も、家族だけではなく社会全体で支えていくべき時に来ているのでは。

   

 最後に、冒頭で述べた去年夏の大阪市西区での幼児放置死事件容疑者の残したブログ(今も存在するが、この問題を単なる容疑者バッシングで終わらせたくはないので、名称等は敢えて秘匿)の、最後の記事、何の変哲もない記事ですが、今や3千を超えるコメントがついている、その大半がゴミのようなコメントですが、その中に一つ珠玉のようなコメントがあったので、それを紹介して終わりにします。

3255 ■初めて
ブログのぞきにきました。
このコメントも××さんが読む事はないかもしれないけど…。
最初から読んだけど、母親ですよね、他の母親と変わらず我が子に愛情を持ってる母親だったんだなと感じました…。
どうして?
あんな事が起きちゃったのか…
××さんも苦しんで精神的におかしくなっちゃったんですね…。
そうなる前に助けてあげたかった。
××さんを救えたら尊い2人の命も守れたのに。
あなたがした事は決して許される事ではないけど
こうなる前に近くにあなたを支えてくれる人がいたら、
あなたの心の闇に気づいてくれてたら
本当にそう思います。
もうすぐクリスマス
××さんが、かつて愛してた2人のこども達の事を思ってあげてください。
毎日忘れないであげてください。
ひとみ 2010-12-21 21:06:09
コメント
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