アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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闇サイトとテロ特措法

2007年10月04日 23時11分52秒 | 二大政党制よりも多党制
 NHK総合テレビ「クローズアップ現代」の放送内容が、最近光っているように思います。10月2日放送分も、「追跡“闇サイト犯罪”」というタイトルで、今年8月に名古屋で起こった女性拉致監禁・強盗殺害事件の取材を通して、俗に「闇サイト」とか「闇の職業安定所」と呼ばれる、殺人請負・薬物運搬などの非合法求人情報にアクセス出来るアングラ・サイトが何故蔓延るのか、という事が取り上げられていました。

 この名古屋の事件は、それまでは見ず知らずだった赤の他人の男性たちが、手っ取り早くお金を手に入れる為に、携帯「闇サイト」の書き込みを通して出会い、行きずりの女性を殺害した、というものです。ネットで知り合ったばかりの初対面の人間同士が、互いに自分の本名すら名乗らないまま、共謀して強盗殺人に及ぶ。それも「楽してお金を手に入れたかったから」という理由で。私には到底信じられない世界ですが、そこにもやっぱり経済格差の問題が潜んでいました。

 この事件の主犯格の男は、バブル崩壊で収入が減り、家賃も払えなくなってマンションを追い出され、妻とも離婚し、車中生活を余儀なくされるまで追い詰められる中で、「闇サイト」で仲間を募って強盗を働く事を考えついたと言います。共犯者の新聞販売員の男も、拡販ノルマが達成出来ず、月の手取りが10万円を切る状況まで食い詰めた末に、「闇サイト」のくだんの書き込みに引き寄せられてきました。
 番組では他にも「闇サイト」を利用した事のある男性にインタビューをしていましたが、彼も簡易宿泊所暮らしを転々として日払いの仕事で食いつないでいる人でした。彼らが一様に言っていたのは、「表の求人では、年齢制限や経験の有無などに引っかかってしまって、なかなか職にありつけない。運良くありつけたとしても低賃金で不安定な仕事ばかりで、まともに食っていけない」、だから「年齢・資格制限が全く無い闇の求人に頼るしかない」という事でした。それで、暴力団などの裏ビジネスの介在も指摘される「闇サイト」に、易々と引き寄せられてしまう、と。

 この事件の構図は、それ以前の2003年にあった八尾ヤミ金心中事件の場合と、殆ど同じじゃないですか。この大阪・八尾の事件も、大都会で食い詰めた奄美大島出身の若者たちが、暴力団関係者が経営するヤミ金業者の手先となって、同じ弱者である低所得の高齢者夫婦から大金を巻き上げた挙句に鉄道投身自殺にまで追い込んだ、というものでした。しかもヤミ金業者の方も、同じ離島出身者ばかりを意図的に雇い、彼らの経済的に不安定な立場や社会への恨みつらみの感情をも見透かしながら、彼らを呈よく「下流喰い」「貧困ビジネス」の尖兵に仕立て上げていった。

 勿論、ここで言いたいのは「弱者であれば何をやっても許される」という事ではありません。八尾ヤミ金殺人や名古屋ゆきずり強盗殺人の犯人たちは、自分たちも下流階層出身者でありながら、同じ下流を散々食い物にしてきた「弱者の敵」でしかなく、当事者には一遍の同情の余地もありません。その中でも特に悪いのは、この「弱者共喰い」を陰で操っていたヤミ金・闇サイトの業者や暴力団関係者です。
 ただ、この一連の事件を、単に「モラル・道徳」や「安全・セキュリティ」の崩壊とだけ捉えていたのでは、物事の本質は見えてこないのではないか、という気がします。くだんのNHK番組でも、最後の方でコメンテーターの吉岡忍さんが、国谷裕子キャスターとの対談の中で、「生活困窮者がこんな闇サイトに引き寄せられないようにするには、闇サイトへの規制などの警察的対応だけでは不十分だ。セーフティネットの立て直しなどの経済的・社会的対応こそが一番肝心な事ではないか」という意味の事を仰っていましたが、私もその通りだと思います。

 そして、これらの事件とは一見何の関係も無いと思えるテロ特措法の問題も、実は問われている事は同じではないでしょうか。テロリストを包囲する為には、警察的な対応だけではなく、それを併せて、テロの温床となる経済的・社会的な格差・差別・不公正そのものを根絶していかなければ、テロはなくなりません。アフガニスタンでペシャワール会が取組んだ様な実践こそが、一見地味な様に見えても、テロを根絶していく唯一・確実な道なのです。それをつくづく考えさせられた番組でした。
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