acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

毛渡沢大滑沢白板スラブ

2013年09月29日 22時16分39秒 | 山行速報(アルパイン)
はじまりはあの時だ。
ガストンさんのあの一言。

「あのさ、白板スラブってのがあんだよね。」

話はこう続いた。

「ちょ----っと興味あんだよね。」

すでにその時、今日という日は約束されていたわけだ。

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2013/9/27 毛渡沢大滑沢白板スラブ


土樽PAで車中泊。
翌朝、ゆっくり起きて大滑沢まで車で移動。
アプロ-チゼロ。
身支度を整えたら、即入渓。



メンバ-はガストンさん、sak、hagくんの3名。
なんとhagくんはバリエ-ションデヴュ-。



薮の気になる平凡な沢を遡ること約1時間。
右岸に広がるそれが、白板スラブ。
前日の雨の影響で、幾分濡れてはいるが概ね状態は悪くはない。



白板スラブは真中に薮の尾根状があり、右スラブ、左スラブを分ける。
登攀するなら断然、すっきりとした右スラブだろう。



右スラブへ上がる沢には滝がかかる。
1段目はsak、hagは左岸ルンゼ、ガストンさんは右岸草付を巻く。
1段目を越えるとすぐに2段目の滝。
ココも左岸を巻く。
その上からがスラブの始まり。



ロ-プを出して水流右目を行く。
しっとりと濡れたところでもアクアステルスはフリクション抜群。
フラットソ-ルを出すまでもなく、快適に登れる。
支点はないので、右の薮に求めて薮とのコンタクトラインをいく。



4ピッチ目でスラブ中央へ左上するところがとても快適。
この登攀で唯一見つけた残置支点、リングボルトが打たれていた。
大バンドに出て休憩。



そこから、ほぼ直上。
クラックに草が生えているのでつないで行く。
それが途絶えてからが、核心。



あそこまで行けば・・・
という数歩で逡巡したが、わずかな草とフリクションを頼りに・・・。
なんとかカチに届いた。

支点をとれていないので、しばらくは緊張感漂うものがあったが、ハ-ケンを打てる場所を見出し一安心。
あとは快適なフリクションクライミング。
って、思ったらロ-プが足りない!!
上段バンドの薮まで届かず、途中ハ-ケンとカムで支点構築。

sakの苦労した場所もhagくんは淀みなく上がってくる。
なかなか、やるじゃないの。



上部バンドからは、
①左岸尾根に上がる
②左スラブ-右岸尾根へトラバ-ス
③直上してスラブ上部の滝を巻登る
という選択肢。

見回してみると①が距離もなく容易そう。
②は距離もあり、なにより幾分立って見える左スラブのトラバ-スはちょっと避けたい。
そこで、ここまで来たならと③を行く。

1ピッチ伸ばして滝下。
そこから滝を左から回り込んで、薮を手掛かりに強引に尾根に上がる。
ここでロ-プを解いて登攀終了。



一休みしてから、薮尾根を直上。
ちょっとくらい踏み跡あるんじゃない?
という淡い期待は裏切られ、なかなか手強い。
空中戦を交えた、薮漕ぎは久方ぶりだ。



次第に視界も開けて来て、谷川の山々を見通せる。
そこが下降路に想定していた右岸尾根とのジャンクションピ-ク。

やれやれ、これでヤブコギも幾分、楽になろうかいのぉ・・・。
という淡い期待も裏切られ、なかなか手強い。
空中戦に次ぐ、空中戦。
これでもかと、言わんばかりの輪舞曲。



薮に気をとられ、細い尾根を踏み外すような場面も。
ガストンさんの判定、薮グレ-ドⅣ+。

それでも淡々と薮をこなしていくが、すでに陽も傾き加減。
薮の尾根を放棄し、進行方向左の沢筋へ下降。
ロ-プを出すことなく降りるが、草付を灌木頼り、時にシリセ-ドのようにして高度を下げる。

傾斜もゆるくなると、沢床が出てきてしばらく沢沿い、薮の薄い樹林を拾って下る。
最後に10mほどの滝を巻き下って林道に至る。
大滑沢の入渓点から、わずか5分位の場所だ。

アプロ-チもなしに、容易な沢登、快適な登攀も楽しめる。
薮は、この際忘れるとして(!)この満載感。

白板スラブ、おすすめです。


sak

東黒沢白毛門沢遡行

2013年09月26日 22時53分01秒 | 山行速報(沢)
2013年9月22日   メンバー Nak、
1ヶ月半ぶりの山行である。酷暑の間はジョギングもさぼってたので体力的に不安だ。
やや雲があるものの午前中は青空が見えてなんとか持ちそうな天候だ。
装備:ロープ、ハーネス、ハンマー、ヘルメット等とその他日帰りの沢登装備

時間記録:6:00土合ー6:46ハナゲの滝ー7:06白毛門沢出合ー8:10タラタラのセン1段目8:17-8:36タラタラのセンを巻くー9:25二俣>右俣ー9:53右から支流>水量の少ない左側へー11:18山頂11:44下山開始ー12:19松の木の頭ー13:25>1154mピークー14:47駐車場



入渓してすぐ、なかなかいい雰囲気のエメラルドグリーンへ水を流し込むトイのような流路を持つナメ床が現れる。



ハナゲの滝、なかなか大きくて立派、面白い形です。水流際の左を登りました。



ハナゲの滝の最上部、水流の勢いと高度感があるので初心者はロープ出したほうがよい。



白毛門沢の出合、どちらもナメ滝となって合流している。



ここでは珍しいタイプの滝です。



こんな感じのナメがかなり続きます。



タラタラのセンの最上段かな?、左から巻きました。



二俣。水量のやや多い右へ入ります。



イチゴを少し頂きました。いい熟れ具合です。



右から入っている沢のほうが水量が明らかに多い。左は涸沢に近く、伏流になりそうである。右の支沢で水を補給して、左を登る。



抜きつ抜かれつしていたソロのイケメン大学生に写真をとってもらいました。もちろん、僕も撮ってあげました。昨日まではナルミズ沢を一泊で行ってきたそうです。あすは西ゼンに行くそうです。若い人は元気があるなあ。



最後までひつこく沢型をたどります。最後は草付き混じりのスラブです。無造作に登って何も手がかりのない凸型のスラブに入り行き詰まりそうになったりすることもあります。



頂上につきました。曇りでほんの少しカエデ類が黄色です。



一の倉沢も霞んで見えます。
このあと、土合までの下りは、膝の押さえが効かず、ゆっくり下りました。
遠くの稜線と青空を望みながら、明るい開放的な沢登りができました。
筋肉痛で悲鳴です。。。。

中ノ岐林道から平ケ岳

2013年09月24日 11時28分05秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

2013/9/12-13 平ケ岳


中ノ岐林道を行く。
とにかく行くのだ。
進め!

期待とか夢というのは膨らむもの。
まして4か月ぶりの山ともなれば、厳選に厳選を重ねてしまうもの。

あ----。
それを満たす山行といったら。
それは、ハ-ドル高目だわさ。(笑)

「日本の行止りの道100選」
なんて篤志家向けな”選”があったなら、おそらく中ノ岐林道は堂々ランクインすることだろう。
そんなハ-トフルな中ノ岐林道を行く。

出発は昼過ぎ。
きょうは、ポレポレ。
アプロ-チで終わりなのだ。

とはいえ、重荷に三時間半の登り勾配はなかなか大変。
久しぶりの鈍った体には堪える。
結局は休み休みで4時間ほど。

いったん、中ノ岐林道の行止りまで行ってから、すこし戻って金山沢と思しき沢に入る。
しかし、この沢に架かる橋は「剣が倉沢橋」とある。
「剣が倉沢はもっと上流ではないか?」という思いから確信が持てなかったが、中ノ岐川へと下る。

本流を少し歩くと池ノ沢出合。
本来はココを詰めて平ケ岳に行く予定だった。

適当な幕場がなく、事前の記録などから本流を少し遡ったところに幕場はあるらしい。
ということで、本流を少し遡る。

ははは。予想外。
なかなかな滝場が続く。
ここで、戻ればというのは、後の祭り。
久々の滝場にアツくなって、微妙なバランスでヘツリを2・3度。
それはそれで、面白いことこの上なかったのだ、が。
「あ---戻るの大変だなあ。」

闇の迫る頃ようやく、幕場を見出したが、明日の予定が微妙な位置だ。
池ノ沢へいくには、一旦平ケ岳への登山道まで遡り林道を金山沢まで戻るのが妥当。
それなりに滝場もある池ノ沢ではタイムスケジュ-ルも余裕はない。
ということで、翌日は中ノ岐から平ケ岳を往復することにした。

朝は明るくなってから。
さわやかな秋空。

ゴ-ロ帯を少しで平ケ岳への登山道が沢を横切る。
増水対策の「渡し」もあって親切設計。
荷物を整理して沢筋を離れる。

中ノ岐林道からの登山道は程よく整備されていて実に歩きやすい。
それもそのはず、地元民宿に宿泊すると林道をバスで送迎してもらえるという特典付き。
そうなると、平ケ岳への最短ル-トとして人気が高いから、まあ頷ける。

途中、剣が倉山の威容を遠望。
あの向こうに利根の源流があるのかと懐かしい思いがよみがえる。
空が開けてくるとひょっこり木道に飛び出す。

は----。
この風景だよ。うん。
と、なんだか独りで納得。

たまご石-姫ノ池-平ケ岳をぐるりひとまわり。
は----。
これだよ、これ。
と、またまた独りで感嘆符。

さわやかな秋風に吹かれて、ゼ-タクなひととき。
クロマメの実が、それはもうたくさん付いていて、摘まんでは食べ、摘まんでは食べ。
甘酸っぱさが口いっぱいに広がる。

たしかに、沢からこの草原にポンと出たならば、感動だろうなあ。
と、ちょっとだけ池ノ沢遡行出来なかったことを後悔したが、それも実力ってことか。
幾分詰め込み過ぎの計画も、ちょうどいい具合にゆとりができたというものだ。

往路を忠実に戻ってあっという間に林道終点。
金山沢まで戻れば、とっておきの秘密兵器が待っている。


ふふふ。


自転車サイコ-。
気持ちよく風を切りながら、走る走る。
ペダルを大して漕いでないけど、走る走る。
ちょっと、ブレ-キを酷使しすぎて心配になるけど、走る走る。

疾走感がスバラシイ。
「”車輪”というのは大発明だよなあ」といまさらながら、先人に敬意を表す。
真っ赤な雨池橋がみえたら、この旅も終わりが近い。

とにかく行くのだ。
進め!


sak


天子山塊全山縦走(本栖湖~雨ヶ岳~毛無山~天子ヶ岳~白水山~身延線稲子駅)

2013年09月23日 19時51分03秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

天子山塊全山縦走(本栖湖~雨ヶ岳~毛無山~天子ヶ岳~白水山~身延線稲子駅)
全山縦走といってもワンプッシュではなく4回に分けて歩いたものであり、スッキリしない面もあるが、一応本栖湖から稲子駅までを一本の線で繫ぐことができた。読むにあたっては、縦走日に注意して読んでいただきたい。

9月20日(本栖湖~竜ヶ岳~雨ヶ岳~毛無山~地蔵峠~雪見岳~湯之奥猪之頭トンネル)
昨日は竜ヶ岳登山口に午後2時前に着いた。天気快晴でなにもすることなく、日陰を見つけて一人宴会を始めた。当然4時半頃には完全にできあがってしまい、さっさと寝ることにした。しかし、電話がかかってきたり、メールが入るはで、寝そびれてしまう。電源を切りたい所ではあるが、仕事のことで急ぎの用事がないともいえないので切るわけにもいかなかった。1時起床1時45分出発。とんでもない時間の出発は私のいつものことである。テッドランプの照らす所だけを見てモクモクと歩く。空は満天の星空、雲ひとつ無い。ここで私の誤算が起きた。それは、竜ヶ岳がクマザサの山であるため、夜露に濡れた葉を掻き分けて歩いているうち全身がびしょ濡れになってしまったのである。それも、パンツから靴の中まで大雨に遭ったと同じ状態であった。立ち止まると寒いので歩き続ける。この天子山塊縦走中、端足峠から雨ヶ岳までの標高差500mの登りが一番キツク感じた。雨ヶ岳で夜が明ける。富士山がきれいだ。やがて毛無山頂上に着くが、山頂標識は壊れ、あまり人が来ている気配がない。変だなあ!と思いながら少し行くと立派な標識があった。現在は、標高は低いものの三角点があるここを頂上としているようだ。同じようことがこの先の地蔵峠にもあった。第2地蔵峠には立派な看板があるが、地蔵様が鎮座し、本当の地蔵峠と思われる第1地蔵峠は質素なものに感じた。このころになって濡れた衣服が乾きスッキリした気持ちになれた。この先、先日の台風18号のつめあとと思える倒木が多くあった。猪之頭峠を経て湯之奥猪之頭トンネルに降りる。今日も愛車のミニバイクが私の帰りを待っていてくれた。この愛車がなければ私の縦走の完成はあり得ないのである。

竜ヶ岳登山口(1:45)-竜ヶ岳(3:35)-端足峠(4:10)-雨ヶ岳(5:20~5:25)-毛無山1964m(6:55~7:00)-毛無山三角点(7:10)-第2地蔵峠(8:05)-第1地蔵峠(8:15)-雪見岳(9:10)-猪之頭峠(9:40)-湯之奥猪之頭トンネル(9:55)

この熊笹の道を歩かなければならず、夜露で全身びしょ濡れになった

竜ヶ岳に着く(満月に近い月明かりで富士山のシルエットも見えた)

端足峠

雨ヶ岳手前で夜明けを迎える

この縦走中一番辛かった雨ヶ岳のピークに立つ

寂れている1964mの本当の毛無山の頂上

三角点のある毛無山の頂上

第2地蔵峠

珍しい富士山が見えたのでパチリ

地蔵様のある本当の第1地蔵峠

雪見岳

湯之奥猪之頭トンネルで私を待っていてくれた愛車


9月19日(湯之奥猪之頭トンネル~猪之頭峠~熊森山~天狗岳~長者ヶ岳~天子ヶ岳~天子ヶ岳登山口)

前夜はクラブの集会に出席して早引きして来たものの、下山口にバイクをデポしたりしているうち、結局登山口に着いたのは2時半になってしまった。集会場から5時間もかかったことになる。
目が覚め、食事など一連の準備を終わしてすぐに出発。猪之頭峠付近は台風18号の影響が大きい。落葉、落枝、倒木で歩きにくい。熊森山までの登りが少々辛かったが、その先、長者ヶ岳までは大きなアップダウンもなく、富士山を左に見ながら、雲上(ちとおおげさ?)のプロムナードという感じである。途中にある湧水峠に水場は無い。かって知ったる天子ヶ岳を経て登山口に降りる。前回登った時はヘッドランプだったので、昼間はこんな場所だったのか、と思える所が何ヶ所かあった。車に戻るまで時間の余裕があるので、長者ヶ岳登山口を偵察したり、キョロキョロ観光しながら湯之奥猪之頭トンネルに向かった。

湯之奥猪之頭トンネル(6:10)-猪之頭峠(6:30)-熊森山(7:10)-天狗岳(8:05)-長者ヶ岳(9:10~915)-天子ヶ岳(9:45)-天子ヶ岳登山口(10:55)


湯之奥猪之頭トンネルから登山開始


熊森山


水場は無い湧水峠


長者ヶ岳からの富士山


この山塊の名前にもなっている天子ヶ岳

4月14日(天子ヶ岳登山口~天子ヶ岳~西沢のコル)
昨日は、石神峠西沢林道分岐点にバイクをデポし、途中のコンビニで酒と肴を買い込み、
天子ヶ岳登山口に15時半に着いた。直ぐに車中にて一人宴会を始めたが、18時には完全に酔っぱらって寝てしまった。夜中1時に目が覚めた。3時まではシュラフの中でゴロゴロしていたが我慢できなくなり起きだす。さてどうしようかといろいろ考えた末、退屈なのでヘッドランプを点けて歩きだすことにした。歩きながら、そんなに急ぐ登山でもないのに、俺はなぜこんなに早く出発しなければならないんだろうか、と自問自答を繰り返す。やっぱ俺って変わり者なのかも知れない。歩きやすい道をヘッドランプの明かりを頼りに、ただひたすら頂上を目指す。頂上直下に見晴らし台があった。ちょっと立ち寄ると、白々してきた空に富士山がとても奇麗に見えた。天子ヶ岳頂上の一角にL字アングルと境界石があり、目印が2つ木に縛り付けてあった。ここから登山道と離れ県境を南下する。このあたりも、急斜面とヤブに苦しめられた記録を見たことがあるので覚悟はしてきていた。安全のためピンソールをつける。しかし、急斜面であるが切り開きがしてあり、非常に歩きやすく拍子抜けしてしまった。私が思うには、この切り開きは防火帯ではないかと思う。なぜならば、広い場所では幅10m以上切り開いてあるからだ。この後も切り開きは続き、897,1mコブで切り開きは西北西方向の尾根に続いていた。私は切り開きのなくなった南の尾根を西沢のコルに降り立つ。ここからは、昨日歩いたばかりの踏跡を西沢に降り廃屋の前で小休止。荒れた林道をキョロキョロしながら歩いていると、ワラビのありそうな斜面を見つけた。登ってみるとドンピシャリ、ワラビがあったのだ。まだ早朝と言っていい時間なのに登山活動は終わってしまったのである。ワラジ採りをしないわけにはいかない。それでも林道分岐点のバイクには9時前に着いてしまった。時間もあるので、天子湖大橋までバイクツーリングを楽しんだ後、車回収に向かった。

天子ヶ岳登山口(3:25)-天子ヶ岳(5:15)-県境分岐点(5:25)-897.1mコブ(7:00)-西沢のコル(7:25)-林道分岐点(8:35)


天子ヶ岳展望台からの富士山


まだ夜が明けきっていない天子ヶ岳頂上


道が無いと思っていた稜線は、とても歩きやすい状態だった


きちんと切り開きがしてあるのは、防火帯になっているのかも知れない


西沢のコル(仮称)から東に降りると廃屋があった


4月13日(西沢のコル~稲子駅)
早朝、身延線稲子駅(いなこえき)にバイクをデポし、車で出発する。石神峠方面と西沢方面への林道分岐に車を止め歩きだす。鉄砲水でも出たのか、だいぶ荒れた西沢林道を歩く。偵察の時、この林道に車で入り込んだが前進できず引き返した。引き返すとき、簡易舗装の中がえぐり取られて大きな空洞になっていることがわかり、よく俺の重い車で崩れ落ちなかったものだ、と冷や汗をかいた。西沢出合には廃屋が2軒あった。間伐材で歩きにくい斜面を西沢のコル(仮称)まで登る。資料では、この先稜線に出てからヤブがうるさいと書いてあったが、茨城県境で鍛えた自分にとっては苦になる程のものではなかった。視界の全くない飛行機山に着く。腐れかかった道標には多分「飛行機山」と書いてあるのだろう。いったいなぜこんな名前がついたのか知りたいものだ。歴史ある石神峠は立派な林道が通過しており、傍らには石仏が鎮座していた。石神峠から白水山まではハイキングコースになっていて歩きやすかった。白水山から南に進むとハイキングコースは左に折れ、ユートリオ温泉に向かって降りていた。私は稲子駅まで県境稜線に拘るつもりである。ハイカーが間違えないようロープで通せんぼしてあるが、これをくぐりヤブ道に入って行く。先駆者はこの先、間伐材に前進できず、大きく巻いて右の沢まで降りてしまっている。間伐帯を通過するには体力よりも根気が必要である。茨城県境ではこの根気を鍛えてきた。一にも根気、二にも根気である。酷い所は1時間で500mも進めない。左側は有刺鉄線と100m以上あるかと思われる採石場の絶壁で、その周りには間伐材が無造作に倒れている。確かに歩きにくい。しかしよく観察してみると、有刺鉄線ギリギリのところに、人が歩いたのか獣が歩いたのかわからないが歩きやすいところがある。ここを進む。最初覚悟していたほどの苦労もなく進める。途中、ワラビ畑を見つけた。携帯を見たらバリ3なので自宅に電話を入れると、家内はワラビが欲しいので是非採ってきてくれとの事。しばらくワラビ採りの時間になってしまった。最後の鉄塔より、やはり間伐帯の歩きにくい場所を適当に下って行くと、すでに偵察済みの身延線の線路に出て、睦という集落を通って稲子駅に着く。

林道分岐点(5:55)-西沢のコル(6:40)-飛行機山(7:30)-石神峠(8:25)-白水山(9:25)-稲子駅(12:25)



西沢を詰め西沢のコル(仮称)に向かう


道標に飛行機山と微かに読めた


白水山頂上(ここにはハイキングコースがあり、登る人も多いようだ)


途中からの素晴らしい富士山


身延線の線路を渡ると、後は一路稲子駅を目指すのみだ


天子山塊縦走の終点、稲子駅に着く

総括
天子山塊全山縦走をワンプシュでやるには、雪がある時期は別にして、水の確保が問題となるであろう。水が取れるのは、湯之奥猪之頭トンネル付近と西沢のコル付近だけである。私にはできなかったが、ワンプッシュで縦走している人がいたら、敬意を表したい。

                                  ガストンガニマタ