acc-j茨城 山岳会日記

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山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

八ヶ岳東面・権現岳東稜

2005年01月25日 17時09分47秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2005/1月下旬 八ヶ岳東面・権現岳東稜

 

ココロの靄

ヤマというよりはココロの靄のような 
取っ掛りのない引っ掛かりというべきか 
一度手をつけてしまった課題への宿命か 
そこへの悲願や憧れ、こだわりはなくとも執着はあったかと今にして思う 
この緊張感はいうまでもない 
昨年の敗退はその後を変えた

鋭くスピ-ド感溢れるナイフのような旭岳東稜に対峙して鈍くも力強く重座する権現岳東稜 
そのバットレスの威容に懐かしさを覚える 
正直、まだまだ足りてはいない 
そんな気分がココロを逆なでする 
なんて思ったところで叶うものではないけど 
様々な人生訓はいくらかでも今の自分に役立っているのを実感したりもするわけだ


 
トレ-ス

出合の小屋よりごく最近のトレ-スを踏んでいく 
しかしそれは願いもむなしく旭岳東稜へと進む 
さあ、ラッセルだ

ゴルジュまでは膝上ほど 
そこから稜線にあがるルンゼの雪壁を一歩一歩スタンスを作りながらの登高 
気の遠くなるこの作業で時に気分は萎え、何度撤退を言いかけたことか 
しかしこの山行が空振りに終わったとしても仕方がない。そんな覚悟はあった 
そしてそれが自分をそこに留まらせた

 
ラッセル職人

そこからはひたすらラッセルに終始する 
それは腰まで、傾斜があれば胸まで 
雪のステップをつくり一歩ずつ地道に歩を進める 
時にとてもやりきれないときもなくはないが、不思議と次第に当然のように思えてくる

暮れてもラッセル 
夜な夜な一杯やっては肴に唸り 
明けてもラッセル 
青空への階段を造り続ける

ラッセル職人への道 
それは意外に微妙なバランスと足裏感覚を必要とする 
無駄に動かず効率的に進む、実に洗練された行軍である

バットレス

急な尾根を登りきれば細いリッジ。 実に思い出深い場所である 
嫌な感覚はよぎったが難なく越え、バットレスの基部に着くころにそんな気分もとうに吹き飛んでいた

基部からは左に回りこみカンテでビレイ 
そこから左のフェ-スを行くがピンが少なく10mほどのランアウト 
いやぁ、ここで落ちたら終いだね 
一時は傾斜も緩まるが小ハングの乗り越しで少し手間取る 
雪のついた草と岩の緩傾斜で潅木を支点にビレイ解除 
いつしか降り始めた雪と風に壮大な風景は次第に掻き消されていく 

 

オリオン

細いリッジを2ピッチほど行く 
小ギャップのクライムダウンは少し嫌なところであったがあとはリッジを忠実にたどれば終了点 
シャリバテの体にようやくアンパンの御褒美 
とはいえ、折からの強風。押し込むように流し込んだらそそくさと下山

嫌な予感は当たるもの 
縦走路でラッセル、下山のツルネ東稜でもラッセル 
出合小屋に着くころ、空にはオリオン座が瞬いていた


白き嶺峰

記憶の奥底に沈めたこともある 
突然の悲劇に一筋の雫も頬を伝う事はなかった 
それは心のどこかで安堵を感じていたから 
人に優しいココロの本質はどこにあるのだろうか 
なんてことはない。自分が一番知っている

ココロの靄に彷徨えば、思わぬ場面が蘇る 
さあ、自信を持って立ち上がろう 
それはいつか必ず晴れる時がやってくるから 
きっと届くと信じた想いが何よりの証明だ

白き嶺峰を振り返ったとき 
澄み切った空気に息は白く、空は青く、なにより森は静寂を讃えていた 
 

sak


八ヶ岳西面・中山尾根

2005年01月15日 17時07分22秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2005/1月中旬 八ヶ岳西面・中山尾根

未来想像図 


時は1975年。さかぼうの幼少時代。 
そのころ想像する2005年の未来は、とても科学的な、まさに鉄腕アトムの世界であった。 
ただ実際には、どうもピンとこないと言うのが正直なところではあった 
それと同様に今から30年後、つまり2035年などと言われたとしても なんだか現実離れしていて遠い目をしてしまうばかり

今ただ一つ、未来に関して想像でき得る現実的なコトといえば、 これから向かう中山尾根。 
終了点に着くころにはきっとヘロヘロなんだろうなあということ。 さかぼうの近未来想像図はなんだかとってもヘボかった  

前代未聞

下部岩壁 
取り付きからいきなりはじめの一歩が出ない 
早くも「ヘボ」の二文字が。取り付き一歩目敗退とは一体。我ながら前代未聞の由々しき事態。 
ふうぅ。「ちかれたびぃ」(1975年) 
開き直って思わずノスタルジ-

と、一筋の光明。半身をずらして凹角へと続くラインが見えた 
ガシガシ登ってビレイポイントを一つ見送り、微妙な凹状フェ-スは左カチと右プッシュ。ボディテンションを生かしてなんとか通過。 ロ-プ一杯使って上のダケカンバでビレイ 
そこから上はしばらく雪稜が続く 

 
意外

上部岩壁 
今年初めのアイゼン登攀もずいぶん慣れてきて意外や意外、気分よくカツカツと前歯に乗り込む 
前歯一本での立ち込みなど、スタンスの引っかかりはクライミングシュ-ズのそれと異なるが これはこれで充分信頼に足る。 
なおさらこの好天。痛快、爽快なクライミング。この調子でその後の小ハングもサクサク進み、終了点

いやはや快適な登攀にフト思い出す近未来想像図 
おぉ、ヘロヘロじゃあないじゃん。全く我ながら見る目がねぇなあと気分良く笑う。 
こりゃあ「インド人もびっくり」だ!(1963年)

近未来想像図

2035年 
いよいよワシもこんな歳かぁ。と孫に向かって若かりし頃の思い出話を繰り返す日々 
お茶の淹れ方にはなんだかこだわるおじいさんにでもなっているのだろうか 
社会はどうなっているかなどとてつもなく考えつかなくって「とりあえず自動車は空を飛ぶのかぁ」と ありきたりの想像をしてみる

見る目がねえなぁ 
近未来も言い当てることのできないさかぼうに未来想像などとても無理 
まぁ、そういうことはとりあえず後にして、いまは今宵の宴に想いを馳せる

そうそう、さかぼうの近未来 
今宵は気分の良い登攀に乾杯。普段にもまして杯は進み酩酊するがよし。 
これはハズせない。

マチガイない。


sak