acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

剱岳・本峰南壁A2稜

2024年07月20日 23時24分42秒 | 山行速報(アルパイン)

2024/7/18(木)〜2024/7/20(土)

(1日目) 扇沢〜雷鳥沢テント場〜新室堂乗越〜剱御前小屋〜剱沢テント場

(2日目) 剱沢テント場〜前剱〜平蔵の頭〜A2取付〜剱岳山頂〜剱沢テント場

(3日目) 剱沢テント場〜剱御前小屋〜雷鳥沢テント場〜扇沢

メンバー: azm, nksさん

記録: azm

 

ACC-J茨城に昨年秋ごろ入会した2人で、剱岳の本峰南壁A2稜に行って来た。

今日まで会の皆さん、とりわけsakさんには山行を通して本当に色々なことを教えていただいた。

まだまだ未熟な我々であるが、今回の山行は自立した登山を行えるようになるためのマイルストーンとなるよう意識して励んだ。

 

南壁への取付。雪渓が想定していたよりもかなり残っていた。

平蔵のコルからは雪渓の角度が急でチェーンスパイクで下るのは無理そう。平蔵の頭から斜面を谷側に下降し、雪渓をトラバースすることにした。

トラバースも滑り出すと止まらなさそうで怖い。

ピッケルとストックを補助に使いながら、平らになっているところを足掛かりに渡っていく。

一ノ倉沢でsakさんに「雪渓はこう歩くんだよ」と教わった経験が生きた。とはいえ今回一番怖かったのは間違いなくこの雪渓横断だ。

 

(P1: azmリード)

雪渓をトラバースし、赤丸の雪の窪みの地点から岩を眺めてみる。

残置支点などはなかった。おそらく本来の取り付きは雪渓の下なのだろう。

登山大系の解説には「取り付きはA1との間のルンゼの左側の顕著なスラブ」とあったので、この時点ではルートはもう少しルンゼ側にあるのだろうと認識した。

雪渓から岩への乗り移りはなんとかできそう。

ここでハーネスを装着してロープを出し、azm先行でルンゼ側へ岩をトラバースして見に行ってみることにした。

あとから振り返ると、雪渓から岩に乗り移った先でそのまま上へ行ってしまっても良かったかもしれない。

 

(P2: nksリード)

A1との間のルンゼを認めて、A2の右端あたりに到達したところでピッチを切る。

nksさんリードで行ってもらうと残置ハーケンが見つかり、やっとルートに自信が持ててくる。

ロープをなるべく伸ばしてもらい、次のピッチへ。

 

(P3: azmリード)

フェースの残りを登っていくとどこかで聴いた光景。

「ハイマツをつかんでリッジに移る。」(登山大系)

こういう追体験は楽しい。

 

(P4: nksリード)

リッジを進んでいく。

 

(P5: azmリード)

さらにリッジを進む。左右にもルートを取れるがなるべくリッジを選んで登る。

少し難しそうな凹角を手前にピッチを区切る。

 

(P6: nksリード)

核心部をnksさんがトライ。しかし、思ったより悪いらしく1ピン目をかけた後どうにも手が進まず...消耗してしまい交代の打診。

古いハーケンが連打されていて、先人もここを嫌がったのかなあと思ったり。

 

(P6リトライ: azmリード)

核心部を交代してリトライ。左側にあるオフィズスサイズのクラックをうまく使って登ることができた。

触りながら見つけたクラック内部のホールドを使ったり、腕をスタックさせたりして楽しめた。

 

(P7: nksリード)

リッジの残り。ロープを伸ばし切りたいところだったが、重たくなってしまいもう1ピッチ。

 

(P8: azmリード)

ザレ場の手前まで。P8の終了点からコンテで少しだけ進むとロープなしでも進めそうなことが分かったので、ロープを解いて進んでいく。

ザレ場を数メートル進むと一般登山道と合流できそうなのが見えた。山頂方面へ直接登ってゴール。

 

振り返って、今回の山行は2人で出来うる限界ギリギリくらいだったように思う。

雪渓の状況などもう少し条件が悪かったら...

同じルートを辿っているけれど、山行の内容は毎日変わる。

記録や残置物だけを頼りにするのでなく、状況に応じて自分で見出したルートも組み合わせることで山行を成し遂げる。

そんな経験がちょっとだけ出来たような気がして嬉しかった。


谷川岳・一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜

2024年07月13日 22時03分45秒 | 山行速報(アルパイン)

イチノクラ
この響きは何度聞いても特別だ

いつだって山行前はナ-バスになる
心の奥底に臆病な自分がいる
その彼が何か伝えようとしている
そんな気がしてならないのだ

道の駅・水紀行館で仮眠
3:30起床
皆、無言で身支度を始める
今日への意気込みが伝わってくる

ロープウェイ駐車場に移動して装備を整え出発
一ノ倉出合を目指す

烏帽子沢奥壁・南稜は一ノ倉の人気ル-ト
快適なリッジやフェ-スの続き、乾いていれば快適の一言に尽きる

nksさんたちから「一ノ倉の南稜に行きたい」
そう聞いたとき、「まあ、そうなるよね」と思った

思い返せば自身もそうであった
アルパインクライミングの舞台として誰しも憧れる場所だろう

一方で不安もあった
3人を引率することへの不安だ
個々が最低限の自立した技術と知識は持ち合わせてほしい

一ノ倉は彼らがこれまで経験してきたクライミングルートとは一線を画す場所
タクティクスと装備は指定し、厳守とした
登れるかどうかではない
無事に下山ができるかどうかが重要だと諭した

メンバーは4人
skmさんは一度経験があるとのこと
nksさん、azmさんは一ノ倉デビュー
そしてsak

南稜は、一ノ倉の全体像を知る意味でとてもいい場所にある
所々でレクチャーを入れながら行く

一ノ倉沢出合駐車場で装備を付ける
河原をしばらく歩いて右岸の踏み後へ入る

沢へと復帰し、ゴーロを行くと前方に雪渓
幸いテールリッジまでつながっており、雪渓通しでいく
衝立沢側は降りられそうもないので本谷側を少し登ってテールリッジ末端
そこから衝立沢側に回り込んでからフィックスに導かれてリッジの上の出る
このあたりは知らないと思わぬ苦労をするだろう

テールリッジのスラブも一部濡れてはいるものの、フリクションは十分効いている

新人を連れてここを歩くのは何回目だろう
新しい仲間が増える度、先人の務めとして幾度となくこの道を歩いた
「連れて行ってあげれば」自ら学んでくれるだろうという期待もあった
しかしながら、多くはそうならなかった

「連れていってもらった」山行は、次への要望へと繋がっていく
つまりは「消費者」を増やしたに過ぎず、勿論長続きはしなかった

自立した登山者の育成には「主体的な学びの実現」が必要だと悟った

そういう経緯から今回のメンバー3人には厳しく指導した
もしそれでついてこられないというのであれば、遅かれ早かれ遠のいていくのだろう
時に厳しい言い方で指導したこともあり、本当に申し訳ないと思っている

「楽しい」だけではない
自分で作り上げる山、その先の景色を見てほしい
その一念あってのことなのだ

中央稜取付きでクライミングシューズに履き替える
烏帽子沢奥壁基部のトラバース
中央カンテ、凹状、変形チムニー、南稜フランケの取付きを指呼しながら南稜テラス

ロープを出して登攀体制
先発:skm-nks、後発:sak-azmでツルベ登攀

1P(リード)
南稜テラスから直上し右に少しトラバース
チムニー手前で切る

2P(フォロー)
チムニーを抜ける

3P(リード)
フェースを右上気味に

4P(フォロー)
草付き(笹原)を踏み後に従い歩く

5P(リード)
フェースから大岩を回りこむ
先発が大岩で切っていたので、その先(リッジの基部)まで伸ばすよう指示

6P(フォロー)
コールの声から先発は馬の背の途中で切った様子
azmさんには、先発より上(垂壁手前)まで伸ばすよう指示して送り出す
しかし、途中でロープが重かったらしく馬の背途中で切っていた

7P(リード)
馬の背リッジ後半、垂壁手前まで
最終Pはazmさんにリードしてもらうために切る

8P(フォロー)
リードのazmさん、最後のところで少し苦労したけどフリーで抜けた
sakも4年ぶりなので新鮮な気持ちで楽しめた

終了点から少し上がった場所で休憩
強烈な紫外線に皆干上がり、早々に下山にかかる

【6ルンゼ下降の備忘録】

下降は南稜終了点から6ルンゼ方向に少し歩いた懸垂支点から
6ルンゼ懸垂下降の注意点は3つ

① ピッチ切りに注意する(特に懸垂下降3ピッチ目)
② ロープの回収(特に懸垂下降1.3ピッチ目)
③ 斜め懸垂の危険個所(懸垂下降3ピッチ目)

①はハンガーボルトと鎖で構築された支点を繋ぐと無駄がない
南稜テラスへの最終ピッチは50mロープで、10mくらい足りないので、チムニーの下で切る

②は懸垂1ピッチ目の回収時にルンゼ内部へロープが入り込みやすいので「一定リズムで淀みなく」回収する
また、懸垂3ピッチ目は大岩の目線高さにある支点を使うとスタックしにくい

③は懸垂3ピッチ目の大岩手前を降りるとき、6ルンゼ側に引き込まれやすいので注意(先に降りた人は補助する)

無事に南稜テラスまで降りる
残置していた装備を回収したら、烏帽子沢奥壁基部のトラバース
基部バンドまでの下りは結構怖いので、南稜フランケの取付から50m1本で懸垂下降
変チの取付きあたりに流れるわずかな水を啜って水分補給する

中央稜取付きまで戻ってひと心地
靴を履き替え行動食を口にするが、すでに行動水はない
唾液分泌量が少なく、嚥下に苦労する

そうなるとテールリッジの先に見える雪渓の末端から流れる水を求めて下るのみ
テールリッジ末端から雪渓へ乗り移る
ここは「沢登」的な身のこなしが必要
ほかのメンバーは少し戸惑ったかもしれないけど、これが総合的な登山なんだと思う

雪渓は念のため持ってきた軽アイゼン着用でサクサクと
振り返れば、衝立岩が大きい

雪渓末端で念願の水分補給
1.5Lくらい補給しただろうか

最高に冷たくて、最高に美味い
そして皆、最高の笑顔

まだまだ、課題は少なくない
それでも今は皆の笑顔を噛みしめたい


岩壁を振り返る
いつだって登り終えた後の山は
ちょっとだけカッコよく見える
ここに来るたび今日を思うことだろう


sak




霧来沢前ケ岳南壁V字第二スラブ

2024年07月11日 15時31分45秒 | 山行速報(アルパイン)

梅雨入り前、前線が北上するらしい
この知らせをもって奥秩父・鶏冠谷から計画も北上

だいぶ前から「行きたい場所リスト」に入っていものの機を逸していた前ケ岳南壁
「やっぱり秋かなぁ」と思い描いていたものの、条件が揃ったときこそ「ベストタイミングなのだ」と言い聞かせる

- 会 越 -

会越は豪雪に磨かれたスラブと険谷に守られた未開が多く残されている
また近代交通事情から観光地化した山域とは一線を画す
その奥深さゆえの静かな山、そして自然の造形が美しい貴重な山域と言っていい


道の駅かなやまで夜を明かして霧来沢沿いの御神楽岳登山口まで移動
しばらくは登山道を歩く

本日のメンバーはskmさん、nksさん
共に会越の山は初めてとのこと
山の特性、植生などレクチャーしながらそぞろ歩く

八乙女の滝を越え鞍掛沢の手前、八丁洗板のナメ床から入渓
なかなか優雅な風情である

思いのほか素晴らしい渓相に気をよくしながら遡っていき、霧来沢本流へ
630mで右の支流へ入るとゴーロの急登
雪渓の残る崩壊地を過ぎ、滝場が出てきて左岸の小さなルンゼから巻くが藪頼りで腕力を要する

滝上からはV字スラブへと誘われていく
下部スラブを思い思いに登っていくと、広いテラス
ここでロープを繋ぐ

わずかに濡れる水流沿いを行けば容易だろうが、ここは右岸岩壁の凹角を登る
登攀は沢靴でも問題ない

この後も念のためロープで確保をしながらスラブを行く
振り返れば会越の山波に切れ込むスラブ、残った雪渓が独特の景色となっている

都合、5ピッチほどロープを出して稜線直下まで
最後のひと登りはフリーで不安なく登れる

と、ここまではよかった

この先は登山道まで藪漕ぎ
踏み後も薄く、1145峰先で少し彷徨
さすがに初夏の藪漕ぎは濃く暑い
まだ地に足がつくだけマシだろう

前半の気持ちの良いナメ歩き
乾いたスラブ登攀の記憶が、酷暑の藪漕ぎに塗りつぶされる

やはり、秋か
そんな思いを口には出さず黙々と藪を漕ぐ
これはこれで、訓練と思えばいい

会越
雪に磨かれたスラブと険谷に守られた奥深き山々
踏み後も疎らな径を行く
そういう山登りがここにはある

会越初見参のメンバーにはどう映ったのだろうか


sak



 

 


片品川水系・泙川湯之沢~広沢下降

2024年07月09日 18時14分10秒 | 山行速報(沢)

24/6/5-6 片品川水系・泙川湯之沢~広沢下降

6月になると、無性に「ひとり沢旅」に行きたくなるんです。
それは森の息吹や命の躍動に触れたくなるからだと思います。

「ひとり沢旅」ですから人気のないところを選びます。

孤独?
それは、全然気にならないですね。
心が満たされていればいいんですから。
もちろん、道義に反することはダメですよ。

 

前夜、泙川林道のゲートまで
ゲート前は車を止めると迷惑になりそうなので、少し手前の広めの路側帯に車を止めて一夜を明かす

装備を付けたら、しばらく林道歩き
自転車で行くこともできそうだけど、この道の崩落・落石具合を考慮すればあまりメリットはなさそうに思えた
もっとも青空に気をよくしながら行けば、歩きも存外楽しいものだ

平滝の手前から入渓
開けた流れにナメが美しい

堰堤を2つ左岸から越えていくつかの滝を巻き気味に通過すると湯之沢出合
湯之沢出合の滝は水量多くなかなかの迫力

左岸から龍ノ沢
大滝を見に行く

湯之沢は前半に滝が集中するが、おおむね巻くことができる
残置ロープに縋っての下降を2度こなすと流れは平凡になる
あとはとにかく河原歩きに徹すると広沢に出合う

シダの群生する左岸台地に居住まいを定めて幕を張る
宿が定まったならば、あとは周辺を徘徊
陽もまだ高いので湯之沢をしばらく詰めてみる

湯之沢は若干白濁した流れ
名の通り湯之沢上流から温泉成分が流れ出ているものかと思ったが、この白濁は鈴小屋沢からのものらしい
鈴小屋沢を分けてからは透明感あふれる流れとなった

それからは10m前後の滝がいくつか現れる
苔生した滝に清冽な流れが気持ちいい

1か所巻き気味に上がった以外は階段状
滑りに気を配れば問題ない

1420mの二俣で本流から離れ右俣へ
次の二俣も右へ進むとCo1598峰と1703峰の鞍部に出る
ここは気持ちの良い笹原となっていて、吹き抜ける風が心地よい

笹を踏む音
森のざわめき
蝉時雨

山や谷で自分だけの時間や情景に出会えた時
とても満たされるんです。

このためにここまで来たんだ!
これは運命だ!って。

ちょっと、言い過ぎですかね?(笑)


名残惜しさを残して下降を開始
尾根をまたいで広沢へ

広沢の下流は特に難場はない
幕場に着けばやることはたくさんある
そう思えば、自然と足も早まり湯之沢に合流

ここからはノンビリと、と言いたいところ
だけど余念なく沢旅の一夜を過ごすためには、ここからがなかなか忙しい

闇に咲く紅蓮花
熾火を肴に黒松仙醸

今宵、いずこに宿るかを知らず

熾火を見てると、想いは巡ります。
過去のこととか、これからのこととか。

明日があるなんて保証は何処にも無いんですけどね。
今日を生きた自信っていうのかな?
もちろん、単なる思い込みですよ。

でも、本当は不安なんです。
だから、いろいろ考える。
そして心を整える。
誰だってそういう時間が必要なんじゃないかな。

きっと明日もいい天気
樹幹から覗く星空に想いを馳せる

 

明けて見上げれば青い空
幕場に別れを告げて、往路を戻る
昨日歩いた渓も角度を変えれば違った色に見える

これからどうなるかなんてわからない
それでも未来に向かって歩き出す
一夜の余韻を背に歩く

生きていくって、選択の連続ですよね。

山でも、社会でも。

いろんな場面で、どう行動するか。

「善き行い」を選べば「偽善だ」と揶揄されるかもしれない。
「誰かの意見」に沿わなければ「自分勝手な奴だ」と批難される。

答えなんかないんです
あるとすれば、「誰のために行動するのか」ってことですよ

自分のため?
愛する人のため?
困っている人のため?
それとも、あなたを利用しようとしている人のため?

「大いなる自己満足」
それでいいんじゃないかなって。

sak



 


足尾・仁田元沢~中倉尾根

2024年07月02日 17時00分31秒 | 山行速報(沢)

2024/5/25 足尾・仁田元沢~中倉尾根


独りの沢旅というと「ナメだ」「湿原だ」と、計画段階でついつい欲張りすぎてしまう
もっともこの「創造しながら計画を練る」時間は楽しい
一方、何処に価値を見出すのかという課題に直面するときでもある

欲張りな計画は、時に本来あるべき沢旅の価値を失っているのではないか
そうして選んだのが仁田元沢だった

沢を歩く、径を行く
そこにある、輝きを見つけに


前夜、銅親水公園まで入って車中泊
5:00起床、銅親水公園の駐車場はすでに満車
林道を中倉山の登山道へ向かい、さらにその奥へとすすむ

林道は次第に荒れてきて、土砂に埋もれて踏み後だけとなる
さらに進むと自然と沢に降り立ち、堰堤が立ちはだかる
左岸から巻いて立ち木を支点に5mほどの懸垂下降
結局、ロープを出したのはここだけだった

しばらくゴーロ歩きをすると程よい小滝が出てくる
時に直登して濡れるも楽しい

遡れば遡るほどに森の若葉が幼くなってきて、季節を遡っているかのよう
鳥の囀り、若葉揺れる葉音、湧水が重なり合って奏でるせせらぎ
ここには癒しの音色が溢れている

左岸に中倉山へ突き上げる支沢の滝を見送ると平凡となるが、渓の煌めきは霞まない

次第に左岸斜面が笹原で覆われていて美しい
駆け上がっていきたい衝動に駆られるが、ここは本流筋を行く

最後は軽い藪漕ぎをしながら窪を行くと庚申山と中倉山の稜線に出る
陽射しは強いが、風は爽やかで気持ちいい

ここからは笹原に径がいくつもついていて少々迷いやすい
稜線を行くと皇海山や足尾や日光の山々を眺めが良いのでお勧めだ

オロ山まで来ると道も明瞭となり、あとは稜線漫歩
沢入山を越えると山人も多くなる
中倉尾根は近年大変な人気の山となっているらしい
かくいう私も沢歩きと稜線歩きを同時に楽しもうという魂胆

笹原の林間に蝉時雨が清々しい

比して左は荒々しい岩峰の重なり
この対比が独特の景観となっているのだが、これは過去の爪痕
足尾本来の姿ではない

 

木陰でひと休みしながら、今日の山行を振り返る

松蝉の讃歌を浴びて巡る径

自分の足で歩く
悲しみより生きる喜びを大切にしたい
その想いが未来を紡ぐ


sak