acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

男鹿山塊 大蛇尾川 偵察遡行

2012年09月26日 09時58分05秒 | 山行速報(沢)
2012.08/02(木) 天気:晴れ→曇り

男鹿山塊 大蛇尾川偵察遡行をしてきました。
メンバー:釣師T氏・Appleの2人パーティ。 装備:登攀用具、補助ロープφ6.0×12m(使用せず)

今回の釣り行程は、前夜発車で常磐=北関東=真岡IC=R408=R4=道の駅“湯の香しおばら”まで入る。
車で移動し、6:10林道P~6:35林道終点~8:30取水口入渓~渓流釣り~12:50-12:30取水口~14:10林道終点~14:30林道Pの1日です。


今回は大蛇尾川遡行の下見を兼ねての釣行です。
二俣まで行ければいいかなとの思惑はみごとに打ち砕かれ釣りのみで終わってしまった。
前夜は道の駅で宴会をして軒下でビバークするが、明け方は風が吹いて寒い位だったが塩原特有の吹き下ろしらしい。
大蛇林道はGPSを持っていたので一発で見つけることができた。(^_^)v
林道はひどく荒れていれ四駆で車高が高くないと底をすります。私の愛車は底が傷だらけになった。
終点までは危険で行けず手前の路肩スペースで駐車し林道を歩くことにする。
林道終点の回転路からは山歩きになり道は険しくなる。
おおよそ2時間で取水口に到着するが、途中道が崩壊してるので釣師では熟達者のみが行ける。

取水口から入渓するが岩は白く水はかぎりなく透明に近いブルーで美しい。
さっそく竿を出して釣り上がっていくが7~8寸の塩焼きサイズが多く釣れる。
家族で食べる分の6匹を釣ったら、あとは全てリリースして釣りを止め偵察準備をする。
さて偵察遡行するかと思えば、相棒がなかなか上がってこない。
しびれをきらして戻ってみると疲れたと休憩しているではないか。
こりゃダメだと河原で昼飯の流しソーメン食べて帰ることにし遡行終了となる。




大蛇尾林道終点から山道を歩く。深く長い渓であることがわかる。




取水口です。ここより入渓します。




大蛇尾川に水は透き通って美しい。




岩が白く美しい渓相です。ここまでは流れも穏やかです。




釣行の途中での私です。濁りの無い美しい水です。




釣り上げたイワナです。型は7寸ぐらいの塩焼きサイズです。

by Apple

第一次北海道遠征(羅臼岳・斜里岳・雌阿寒岳)登山

2012年09月24日 18時10分52秒 | 山行速報(登山・ハイキング)
2012.07/13(金)-17(火) 天気:雨・曇り・晴れ・晴れ・晴れ

羅臼岳・斜里岳・雌阿寒岳登山(北海道遠征)をしてきました。
メンバー:N氏・Appleの2人パーティ。 装備:補助ロープφ6.0×12m(使用せず)

13日(金) 電車で羽田空港まで行き、飛行機で中標津空港まで行く。レンタカーを借りて羅臼=熊の湯=岩尾別温泉Pまで行き車中(泊)。

14日(土) 5:00発~6:39弥三吉水~8:52-58羅臼平~10:17-25羅臼岳~11:20-42岩清水~11:59羅臼平~13:38弥三吉水~14:45岩尾別温泉P、車で知床五湖=カムイワッカの滝=ウトロ=斜里町=清岳小屋まで行き車中(泊)。

15日(日) 5:38発~6:37下二股~8:16-21上二股~9:35-10:33斜里岳~11:17上二股~12:11熊見峠~12:55下二股~13:56清岳小屋P、車で移動し道の駅“パパスランドさっつる”で入浴=摩周湖=弟子屈=阿寒湖畔まで行き車中(泊)。

16日(月) 車で雌阿寒岳温泉Pまで移動し、6:06発~7:07四合目~8:51-9:03雌阿寒岳~9:57-11:18七合目~12:26-54オンネトー国設野営場~13:47雌阿寒岳温泉P、野中温泉で入浴し、車でまりも街道を南下する道の駅“阿寒丹頂の里”まで行き車中(泊)。

17日(火) 車で釧路湿原を一周しながら展望台廻りし、釧路で海の幸を堪能して釧路空港より帰路に着くの4泊5日の行程です。


いろんな諸事情の為に行けずにいた北海道の山に行くことになる。
やはり土地勘の無いところを登るのは不安も多い。でも、行けば楽しく過ごしてしまうのは私の特技でもある。
茨城空港から行きたかったが乗継ぎで時間をロスしてしまう為、羽田空港から搭乗し中標津空港に降り立つ。
レンタカーを借り、ここで第一の任務が飛行機に持ち込むことの出来ないガスボンベを購入することだ。
目ぼしをつけていたホームセンターがなかなか見つからず苦労する。そして、スーパーで水や食料の買出しをすませる。
準備完了したら羅臼に向けて一路国後海峡の海岸を北上する。天気はあいにくの小雨模様で国後島は見ることは出来なかった。
羅臼でウニイクラ丼を食し、熊の湯の露天風呂で汗を流し、夜に羅臼岳登山口の岩尾別温泉に到着する。
途中ヒグマを見るが怖い感じはしなかった。

暗いうちから起き出し日の出とともに出発する。湿気の多い樹林帯を登っていくがヒグマ出没多発区域の看板に出くし、さすが知床の山という感じがする。
出会い頭にヒグマに遭遇しないようにうるさい感じで登って行くと、第一の水場“弥三吉水”に到着する。
ここは地中から水が出ているのでエキノコックスは心配ないようである。地元の人もそのまま飲んでいる。
勾配が緩くなり開けた感じのところが極楽平である。木々に覆われているので視界はあまり良くない。
仙人坂のを登りはじめると朝靄が晴れ知床連山やオホーツクの海が見えるようになる。
しばらくすると第二の水場“銀冷水”に到着するが、ここは沢水のようであり飲む時は要煮沸である。
いよいよ雪渓にでるが、雪は凍ってなくアイゼン無しで登れそうなので、そのまま登ることにする。
上から冷気が落ちて来て涼しい快適な登りとなる。雪解けした場所には高山植物の花畑が広がり美しい。
羅臼平から上はガスの中で視界は悪そうだが、雨の心配は無さそうである。
這松の中をかき分けるように登り、羅臼温泉への分岐をすぎると岩清水がある。苔むした岩から水が滴り落ちて風情があり、冷たくて美味い。
途中雪渓のトラバースがあるが注意して渡れば危なくない。岩稜帯の急登になりしばらく登れば羅臼岳山頂である。
山頂は狭く周りは断崖になっている。小雨模様で視界はゼロなので記念写真をとったら早々に下山する。
岩稜帯の途中のテラスでランチをしようとザックを下ろしたら、上からおじさんが落ちてくる。
運良く目の前の岩で止まった。目測をあやまって足を踏み外して転落したようである。
すぐに容態を確認すると幸いにも骨折はなさそうであるが、左手指を脱臼している。
歩けるか確認すると大丈夫だというので、安全地帯まで付き添って下り応急手当をする。
先に行っていた息子さんに引き渡す。これで山で人を助けたのは三度目になる。
いやはやドラマの様な出来事があったが、ランチのラーメンを食べしばらく休憩する。
下山後の道中も長いので、あんまりのんびりできないので一気に下山することにする。
雪渓の下りは安全のためにアイゼンを装着し快適に下る。

下山後は岩尾別温泉の露天風呂で汗を流す。知床五湖に向かうが有料なので、そのままカムイワッカの滝に向かう。
知床半島に沿った道はかなりのダートで距離もあり四駆でないと厳しい。
そしてウトロに向かいホッケ焼定食を食べオシンコシンの滝を見て斜里岳に向かう。
斜里町の道はまっすぐでおまけに直角に曲がるのでスピードの出し過ぎ注意である。




岩尾別温泉から少し登ると木下小屋がある。ここで登山計画書を提出して入山する。




樹林帯の中をしばらく登るとヒグマ出没多発区域の看板が、さすが知床の山と注意をしながら進む。




二番目の水場“銀冷水”を過ぎて雪渓に出る。羅臼平直下まで続きけっこう勾配もあるので注意です。




羅臼平に到着するが、あいにくガスの中で視界は悪い。




天場近くにはフードロッカーがある。ヒグマはエサを求めてテントをあさるからである。




岩清水の水場です。苔むした岩の隙間から滴り落ちる水は冷たくて美味い。




山頂直下の岩場。雪渓をトラバースし岩稜を登るともうすぐ山頂です。




羅臼岳▲1,661mです。残念ですが山頂だけガスで視界ゼロである。




下山途中からは知床五湖が見える。その先はオホーツク海です。




カムイワッカの滝です。ここまで来るには結構なダート道を走ります。




上部の源泉から温泉が流れてきてますが、ここでは水がぬるいです。




オシンコシンの滝に寄ってみました。すぐ海に流れ込む滝でなかなかの名曝です。



駐車場の車の前で朝食を食べていると、ぞくぞくと車やバスが上がってくる。
車が少ないなと思っていたら、ここは深夜はトイレが使えなくなってしまうので下で泊まってくるらしい。
準備もできたので出発する。清岳小屋に登山計画書を出して小屋脇より入山し林を抜けると林道歩きになる。。
林道終点に看板と広場がありここから沢沿いの登山道になるが普通の登山靴で歩ける。
何本か滝の水流脇を登ったりへっつたりするが、危ないところにはロープがあり問題なく登れる。
上二股で休憩をとり細くなった沢の中を登っていくと水流が無くなったところで登山道にでる。
沢から上がったとたん太陽の直射をあび汗だくで登ることになる。おまけに急登でガレ場が稜線まで続く。
稜線にあがると風が通るようになり涼しくなる。ここでも休憩をし眺めを楽しむ。
地元の中学生がへばった仲間を励ましながら登っている。ほほえましい光景だ。
あとは最後の一登りで山頂だが、途中でシマリスが私の周りで落葉を集めているのでしばし観察する。
ぜんぜん逃げるどころか足下に寄ってくるではないか。やはり動物には良い人はわかるようである。
シマリスを見送って山頂に着くと快晴360度の展望です。ここでランチのラーメンを食べ至福の時間を過ごす。
山頂から見える三井コースがヤセ尾根の岩稜帯ですばらし登山道だ。歩いてみたくなる。
見飽きない風景であるが、きりがないので下山することにする。
登って来た道を戻り上二股から新道コースで下山する。こちらは雪解け後の高山植物がすばらしい。
途中から斜里岳の全体を見ることが出来る。熊味峠を過ぎると急降下の道で滑りやすいので注意だ。
下二股で沢沿いのコースに合流し往路戻るが、偶然にも昨日救助したおじさんと遭遇する。
処置が良かったのであまり腫れなかったと感謝された。

下山後は、道の駅“パパスランドさっつる”で入浴し摩周湖に向かう。
下界は晴れているのに摩周湖への道を登って行くとガスの中に突入する。第三展望台から順に見て行ったが湖は見えなかった。
しかたがないので摩周湖第一展望台のドライブインで地元のB級グルメを堪能し阿寒湖に向かう。




林道終点にには斜里岳道立自然公園の看板があり、この先の広場をすぎると沢歩きになる。




羽衣の滝です。このような滝が何本もあり涼しく快適な登りです。




上二股を過ぎると沢の流れも細くなり沢の中を進むと斜里岳の稜線が見える。




稜線の鞍部から別海岳と羅臼岳が雲海の浮かぶ島のように見える。




斜里岳山頂はもうすぐです。地元の中学生の団体が励まし合って登るほほえましい光景がありました。




振返ると凛々しい稜線がつながっている。登山道がありそうだが廃道になったらしい。




シマリスが沢山の落葉をほおばりながら私の足下へ。動物は良い人はわかるらしい。




斜里岳▲1,545m山頂です。快晴で360度の展望でしばらく絶景を眺めていました。




山頂から見る三井コースです。ヤセ尾根の岩稜ですばらしい登山道です。




下山中の新道コースから斜里岳を見る。ここからだと岩稜の稜線であるのが判ります。




熊見峠に向かう稜線です。午後になると雲と風がでてきます。




摩周湖に寄ってきました。下界は晴れているのに霧で何も見えません、霧の摩周湖は本当でした。



昨夜は阿寒湖畔で車中泊したが、アイヌコタンの祭典があってにぎやかだった。
夕食は阿寒湖のワカサギの天ぷらを食したが抜群に美味かった。やはり水が綺麗だとこうもかわるもの?
朝になり雌阿寒岳温泉の登山口に移動して朝食をとる。するとまたまた救助したおじさんに遭遇する。
登山口で登山計画書を出して、まばらな樹林帯の中をサクサクと登る。
今回は道東三山の中で一番楽な山なのでお気楽ハイキングです。樹林帯を抜けると這松帯になり景色が良くなる。
このころ同じペースで登る外人夫婦と抜いたり抜けれたりとなる。たぶんオーストラリア人だ。
六合目を過ぎると樹木はなくなり火山特有のガレ場を登るが、下界は朝靄で隠れて眺望はいまいちである。
外輪山につくと硫黄の匂いがするようになる。ここを登る唯一の危惧が火山ガス発生による入山禁止であった。
あまり長くいるのはリスクが高くなるのでサクサクと登り山頂に到着する。
しばし景色を堪能したら外輪山を周回して下山する。安全地帯の七合目でランチをとり昼寝をする至福の時である。
さっぱりしたところでオンネトーに向かって下山する。湖畔のキャンプ場休憩所でミルクティーを飲み雌阿寒岳温泉に戻る。




雌阿寒岳温泉の駐車場です。広くてトイレもあり快適なスペースです。




二合目の唐松林の中を登る。今回はお散歩のようなハイキングなのでお気楽です。




樹林帯を抜けると雌阿寒岳の裾野がよく見える。ガスがどんどん押し寄せてくる。




裾野をぐるっと回り込んで行くとフップシ岳が見える。




六合目を過ぎると樹木はなくなり火山特有のガレ場になる。




外輪山に着くと噴火口内には、もくもくと噴煙が吹き出している。




雌阿寒岳▲1,499m山頂です。雲は多めですが360度の展望が楽しめました。




山頂より阿寒湖と雄阿寒岳を望む。距離はありますがこちらの湖畔からの登山道もいい感じです。




外輪山を周回すると眼前に阿寒富士が見えます。立派な山容です。




オンネトーコースを下山すると湖が見えます。神秘的な湖です。




オンネトー側の登山口ですエゾマツ林の中を歩きます。




キャンプ場を抜けオンネトー湖畔を通り、谷沿い道を通り台地を越えて戻る。



昨夜は道の駅“阿寒丹頂の里”で車中泊し、温泉に入って無事道東三山の登頂を祝して乾杯した。
丹頂鶴を見ることはできなかったが気分は上々である。
予備日の今日は釧路湿原を周遊することにする。まずは北の端コロッタ展望台に向かう。
道は空いており飛ばし放題であるが取り締まりがよくあるので注意だ。
展望台にのぼると釧路湿原が見渡せる。う~ん広い~が第一印象だ、あとは無い。
鉄道から見る湿原で有名な細岡展望台に向かう。う~ん広いが同じ様な風景だ。
じゃ~腹も減ったので釧路市街に和商市場で向かい有名な勝手丼と花咲ガニを食する。美味かった~っ。
すこし時間があったので“くしろ水産センター”を見学して釧路空港に向かい帰路につく。




コッタロ展望台入口です。トイレになっており写真など展示してある。




コッタロ展望台より釧路湿原の南東方面を見る。ほんとに広い。




コッタロ展望台より釧路湿原の東方面を見る。あの川にはイトウがいそうである。




細岡展望台より釧路湿原の中央方面を見る。見渡す限り湿原です。




和商市場で花咲ガニを食べる。鮮度が良いここで食べると絶品です。




釧路空港より羽田空港に向かって飛び立ちました。釧路の街が雲海に埋まり幻想的な風景です。

by Apple

奥利根・柄沢~下ゴトウジ沢下降~ブサノ裏沢遡行

2012年09月22日 20時13分39秒 | 山行速報(沢)
奥利根・柄沢~下ゴトウジ沢下降~ブサノ裏沢
2012年9月15日~16日
メンバー:Nykさん、Grさん、Nak
 一週間前には怪しそうだった天気だが太平洋高気圧ががんばってくれそうなので念願の奥利根へ向かった。集合に少々手間取ったものの朝5時半に清水の柄沢橋にメンバーが揃った。今回のコースは1泊2日しっかりと歩くコースである:
1日目:柄沢遡行5.5km、標高+1218m、下ゴトウジ沢下降4.8km、標高ー800m、
2日目:ブサの裏沢遡行4.5km標高+950m、巻機山井戸尾根5.6km、標高ー1160m

コースタイム:
9月15日:
国道291号柄沢橋(6:08)~柄沢1200m支流分岐(9:00)~1809mピーク付近(11:00)~下ゴトウジ沢1310m二俣(12:30)~1180m二俣(13:25)~奈良沢川本流出合幕営(15:00)
9月16日:
幕営地(6:40)~ ブサノ裏沢ゴルジュ入口(7:30)~20m魚止め滝(7:50)~上ゴトウジ沢出合(8:50)~1400m二俣手前の20m滝(10:30)~60m大滝(13:00)~巻機山・牛ヶ岳鞍部(15:30頃)~巻機山避難小屋(16:20~40)~米子沢橋(19:00)~柄沢橋(19:55)

2012年9月15日  晴時々曇り、稜線付近やや強風、夜一時雷雨
 国道291号清水の奥の柄沢橋から歩き始める。単独の男性遡行者が先行して行った。我々と同じルートで奈良沢川まで行き上トトンボ沢を遡行するのだそうだ。上トトンボ沢をつめると牛ヶ岳までゆるやかな稜線の笹薮漕ぎは方向もわかりづらく大変だろうと思うが、どうなのだろう。
 天気はまずまずだが上空の雲の動きが早い。橋から入渓するが水の流れはまったくない。厚く岩石の堆積した河原を歩く。横には工事用の作業道路が見えていた。あとでわかったが、この作業道路を辿ればもっと楽であっただろう。
 一時間ほど歩くと建設中のダムがあり、袖の部分の岩盤を削っているところであった。そのすぐ先に、地形図に載っていると思しきスリットダムがあった。
魚道の脇を登り最後にザックを先に放り上げて石垣のようなところを2mほど攀じ登って越える。
 標高1200m付近で右岸の支流に入る。最初は、やや急なナメ滝をブッシュを掴みながらしばらく登る。柄沢コースで唯一とも言える滝であった。だんだん両岸のササが覆いかぶさり背を屈めてトンネルをくぐるようになり徐々に本格的なササのやぶこぎになる。途中から傾斜は緩くなるが、いいかげんにいやになってくる。だれだ!こんなルートを提案したのは!と、自分に文句を言いたくなる。
 1809m峰から続く湿原の南端で国境稜線に出た。池塘もあっておだやかな天気ならばゆっくりしたいところ。もし少し南に出ていたら稜線はすべてササの海だったので、まずまずのルート取りのようだ。稜線沿いにかすかな踏み後があった。稜線上は風が強く体が冷えるので、すぐに下りにかかる。

下ゴトウジ沢の原頭部は スキーだとさぞ楽しいだろうと思われる広い適度な傾斜である。 全面草付きで足元がよく滑る。尻滑りもできる。

やがて一直線のガレ場のような谷筋になる。
風もなくなり汗がほとばしる暑さの中を単調な下り。矢木沢ダムの湖岸だろうか、水位が下がって黄色い土の側面がひどく目立つ。

 ところどころに見える赤茶色い岩盤は柔らかい。

1150mあたりから緩やかな河原、広い川幅いっぱいに岩石が堆積している。炎天下の明るい谷なので熱中症になりそう。忍耐で下る。
魚はまったく見かけないし、水があまり冷たくないのが沢らしくない。

 ようやく奈良沢川本流出合に到着。出合すぐ手前、下ゴトウジ沢左岸上の砂地にターフを張る。
釣りをしてみたが、かかるのはウグイのみであった。水温が高くて渇水だからか。すぐにあきらめて飯の準備にかかる。沢泊まりを楽しむには少々コースがロング過ぎて疲れたかな。予想に反して夜9時ごろから弱い雷雨、しばらく降り続いた。

9月16日 晴時々曇、稜線上は霧と強風
 寝過ごして6:40ごろ出発した。下トトンボ沢は小さい角度で出合っていてわかりにくかった。最初のゴルジュに入ってすぐの滝を左から巻く。



その先、滝壺の中に大きな魚が一匹悠々と泳いでいた。20m魚留め滝手前で残置ハーケンにシュリンゲをかけて側壁をへつる。

20m魚留め滝は、 Nykさん空身トップで左壁を1ピッチ登る。Nak は下部でひとつ小さいスタンスを見つけられず苦戦した。

 このあと、岩の色が白っぽくなりさらに明るい渓相になる。大きくて深い淵が緑色できれいだ。

平凡な上ゴトウジ沢出合を過ぎると、チョックストーン滝。Nyk氏が空身で登り、Nakはお助け紐を出してもらった。5mナメ滝はルート図通り右から小さく巻いた。標高1400m付近で右岸から滝が合流している20m滝は左岸から草付きの踏み後を辿って巻く。






 二俣直後の2段10mの滝は流芯右のクラックを登るがあまり良くない。Nakは途中のハングしているところでブッシュを掴んでの強引な乗越しができず、ロープを垂らしてもらってザックを後で荷揚げした。上のG氏にも下のNyk氏にもサポートしてもらい多大な労力と時間をかけてしまった。このあと、懸垂下降で沢に戻る。
 標高1500m付近にある大滝に到着したのが13時、だいぶ時間が遅くなってしまったが、天候は大丈夫そうなのであせらず行こうと思う。巻機山からはヘッドライトでも下れるだろう。
 大滝はまず右に回り込んでから意外に悪い草付きと岩のミックスを左へトラバースして2段目はホールドのしっかりとある左を登った。右俣に入ってからすぐの10m滝は左から巻こうとしたが草付きが急すぎるので一旦退却して滝を直登した。その次の8m滝もシャワー浴びながらまっすぐ登った。

これ以降の滝は、どれも水量が少ないので流水沿いにルートを見つけられた。
途中、雪渓の残骸が少しあり左岸側の泥壁を20ー30mほど巻いた。このあとは草原の中のおだやかな源流の様相である。

稜線直下は霧で展望がなかった。 巻機山・牛ヶ岳のコルに出たのは15時半ごろ、ヘッデン下山を覚悟した。


 巻機山避難小屋で登攀具や沢靴をしまい、最後の登りをニセ巻機山へ向かう。風は相変わらず強いが新潟県側は天気がよい。18時すぎにヘッドライト装着し、20時前に車に到着した。みなさん、お疲れさまでした。

小川山烏帽子岩左稜線ほか

2012年09月18日 20時03分32秒 | 山行速報(フリ-)
小川山烏帽子岩左稜線 ほか
9月10日~11日の2日間、小川山で遊んできた。メンバーは、ジムのおじさん3人組であ
る。なんせこのおじさん3人組といったら、来年になると計200歳にもなる元気なおじさ
ん達である。私以外の2人は、フリークライミング志向なので、小川山には何回もきて
おり詳しい。私は数回しか来たことがないので、アプローチを案内してもらう。
10日は、私の希望である小川山ストーリー、小川山ストリートを登る。登攀形式はトッ
プロープを張らず、全員リードで登る。超人気ルートらしく快適そのものであった。次
の私の希望ルートはカサブランカであり、マラ岩目指して登りなおす。しかし残念なが
ら、カサブランカは講習で使っており空きそうにない。カサブランカは諦めて、川上小
唄を登りマラ岩頂上に立つ。といってもあまりにも細すぎるリッジで、立つことはでき
ず跨ぐのがやっとであった。その後、卒業試験とセンター入試を登り下山することにし
た。もうひとつの楽しみである宴会のため、ナナーズというスーパーに買い出しへと向
かう。このスーパーはそれなりの大きさで品物は揃っていた。


小川山の超人気ルート 小川山ストーリーをリードするガストン


卒業試験をリードするS氏


センター入試をリードするK氏


川上小唄をリードするS氏 ビレーしているのがガストンです


マラ岩頂上のナイフエッジ(怖くてとても立てない)後は明日登る烏帽子岩

11日、本日はマルチピッチの烏帽子岩左稜線に向かう。テント場を8時頃出発したのだ
が、取り付きに迷い1時間ほど時間ロスする。取り付きは10時過ぎになってしまう。こ
の1時間ロスが最後の最後で影響してしまった。左稜線は、5.5~5.8位のクラックとフ
ェースとリッジが連続する長くて楽しいルートである。残置ハーケンも少しあるが、カ
ムを最大限利用して登って行ける。高度感も素晴らしく、360度の展望をほしいままに
登攀することができる。昨日登ったマラ岩なんて、はるか下に小さく見える。おおむね
易しいので、ランナアウトするから決して失敗は許されない。登攀終了までは20ピッチ
近くあり、3人だと時間がかかるので、トポ通りではなく1ピッチ間のロープを伸ばせる
だけ伸ばす。昼飯も食わず登りっぱなしだったが、最後2ピッチを残し15時になったの
で、ここで本日の登攀を終了とする。なぜならば、上まで行くと、多分下りは暗くなっ
てしまうと思われたからである。ここからは簡単にエスケープすることができるので、
いい塩梅の所でもある。30分ほど休んで、遅い昼飯とコーヒーを頂く。テント場に着い
たら17時だったので、あそこでの登攀終了は正解だったろう。毎週のように通いたいと
は思わないが、たまには小川山でのフリークライミングも楽しいものだと感じた2日間
でした。


烏帽子岩全景


4ピッチ目くらいの5.8フェース


安定したテラスでくつろぐK氏とS氏


烏帽子岩に向かって登っていく


この岩稜を延々と登ってきた


烏帽子岩頂上まであと1ピッチ

カサブランカは超人気のルートなので、平日といえども空きがない。事実、私達が下る
ときも、明日の登攀の優先権を得るためと思われるトップロープが、今日とは別なパー
ティによって張られていた。う~ん!気持ちは分かるが、ちょっと考えさせられる行為
ではあった。次回はカサブランカを是非登りたいものである。
                                 ガストンガニマタ



添付ファイル






奥多摩・倉沢谷「マイモ-ズの悪場」

2012年09月13日 17時35分45秒 | 山行速報(沢)
奥多摩・倉沢谷「マイモ-ズの悪場」

いつか行かねばならない場所。
マイモ-ズ。
奥多摩最難と謳われるゴルジュ。

わずか数歩。それが、及ばなかった。


F1

倉沢谷F1

そうだよ、この陰鬱さだよ。
さらに激しく放出される水流の圧力で気圧さえ高くなっているかのような重苦しい雰囲気。
仄暗い水面を湛える大きな釜を見て昨年の事を思い出した。
正直「なんでまた来ちゃったんだろう」と思ったよ。

パ-トナ-はmatくん。
「ゴルジュをやってみたい」という言葉に背中を押された形となった。
・・・・。後悔してない?(笑)

F1は高さ6mほどながら水量は多い。明らかに水流右を人工で行く。
一見し水量が多いか?と感じたが、どうやら釜が深くなったようだ。

肩まで浸かりながら、ハ-ケンを打てそうな場所を探してはトライしてみる。
しかし、なかなか入らない。
何という地味さだろう。ハンマ-を振るう腕もビリビリと痺れる。

浅打ち、タイオフで何とか1本目。
水中に揺らめくアブミに乗り込む。

2、3本目は左にトラバ-ス。
すぐ左上に4本目を打つが、アブミに乗り込むと外れ、釜に沈む。


F1上から

立て直して、4本目を打ち込み乗る。
この時点でようやく上半身が水中から出る。
すると、途端に寒くて震えがくる。

左に大きく体を振ると、見覚えのある残置ラ-プ。
そこからは水中を脱するが、この後もハンマ-は欠かせない。支点構築しながらの地味な人工登攀が続く。

「これはもうね、大工さんになれるよね。」と心中、ボヤく。

とはいえ、途中には錆びで今にも欠けそうなハ-ケンや、頭が曲がり3ミリスリングを要するハ-ケンなど、ありがたくも癖のある残置が出てくる。

しっかりしたリングボルトまで到達したならF1終盤戦。
外傾したナメ岩に立ち込んで支点構築。
頭上の倒木を目指す。


matくん

F1のフォロ-はユマ-リング。
matくん、初めての経験で消耗したらしい。
ハ-ケンを回収できなかったということで、sakが一旦懸垂下降しながら回収。
あとはユマ-リングで再度登り、F1終了。
3時間ほどかかっただろうか。


F2

F2(1m)左岸はすべすべ。胸下まで浸かるが、流心を突破するほうが楽。


F3

F3(2m)は手前の右壁を一段登ってテラス。
この右壁が物凄いスベスベぬるぬる度。アブミ動員。


スベスベぬるぬる度MAX。テラス上から

テラスで一休み。

見上げれば倉沢橋。出発前に見下ろしたその場所だ。
遅々とした進捗だが、見上げる倉沢橋の向こうには夏空。
安心感はそこにある。

F3左岸をトラバ-ス。
するとすぐに右折し、釜の大きなF4(5m)。

F4は左岸のスラブ~外傾ナメ岩を行く。
一定間隔でリングがあるが、ちょっと遠い。

乾いたスラブは快適。
上部の立ったところはアブミ動員。
最上段に立っても次のリング+スリングに届かない。
アブミのリストル-プとリングボルトに立ち込み、何とか届く。


F4

さて、問題はこの先だ。

昨年もこの場所に立っていた。
後になってしまえば「他に策があったのでは?」と悔やまれた。
自分の引き出しが少なかったのだとも思う。
正直なところ、ちょっと悔しかった。

外傾ナメ岩トラバ-ス。
リングボルトから1歩2歩。ガバ目のカチを取る。
ココから左下の遠い一歩。ホ-ルドなく嫌な感じで外傾し、苔も多い。


F4上から

支点が取れれば、思切り良く行けそうなのだが、昨年はハ-ケンを打てず、雨も強まり敗退した。
今年にしてもそのいやらしさは同様だ。

場所を変え、ハ-ケンの種類を変えてトライするが、そのどれもが受け入れてくれない。
「何とか入ってくれぇ~頼むぜ、頼む。」と悲痛な心の叫びとともにハンマ-を振るう。
ハ-ケンは火花散らすばかり。

おおいに逡巡と躊躇を繰り返し、一進一退。
状況を変えたのがスカイフック。
苔に隠れた極細ヘアクラックにカチリとハマった。
しかし、下に引かねば効きはしないし、いつ外れるかともわからないシロモノ。
ゆっくりと体重をかけ、張力をかけたまま体重移動。

何かしら、ヨガポ-ズのような体勢で、ようやく届いた岩穴にアングルが効いてくれた!
「あぁ、神よ。あなたはこんなところにいらしたのですね」という気分だ。


この辺をヨガポ-ズで抜けた

この難局を乗り切れば、あとは沢ヤなら何とかなるだろう。
それでも沢床に下降するのにアブミや長めのスリングを使う。


倉沢橋を見上げる


F4上から上流


もうすぐゴルジュ終わり

この滝場を越え、S字にうねった小滝をいくと、ゴルジュは終了。
見覚えのある倉沢谷本谷の入渓点。
右岸のガ-ドレ-ルまでひと登り。
駐車場所までわずか30mほど。


倉沢橋

とびきり短かな遡行距離。
しかし、要した時間は、わずかではない。
まさにマイモ-ズ(蝸牛)だ。

とにかく、届いた。
今はそれだけでいい。


sak

谷川岳・一ノ倉沢3ルンゼ(中退)

2012年09月07日 22時27分19秒 | 山行速報(アルパイン)
谷川岳・一ノ倉沢3ルンゼ(中退)



早朝、目覚ましの音。
おもむろに起きだし、パ-トナ-ともども無言で支度を始める。
イチノクラに入る前はなんとなくそんな気分。

寝不足もあろうが、決して陽気にはなれない。
それはやはりイチノクラだからだろう。

ロ-プウェイから歩いて一ノ倉出合。
天気予報では曇りからの下り坂。
正直ダメでもともとと諦め半分であったが予想に反してカラリと晴れている。



今日はイケるかもしれない。
期待が膨らむ。



下部は雪渓が途切れ秋道を行く。
本谷にクライムダウンをしてテ-ルリッジ。
息が上がりながらも中央稜取付き。
誰もいない烏帽子スラブのバンドをトラバ-スして南稜テラス。

少し雲が出てきた

ここはちょっと考え所。
状況によっては南稜への転進も考えていたが、過去何度となくここまでで3ルンゼは退却していた。
今までになく視界はいい。
しかし、天気予報~午後から下り坂~が引っかかっていた。

時計は8時前。
上手く行けば昼には抜けられる、と思った。
反面、頭の片隅にこの「上手く行けば」という期待感ほどアテにならない、ともあった。
結局は、ダメでもともとと本谷バンドを行く。



matくんとは先日も同様に3ルンゼを目指したが、雨で中央稜取付きで退却した。
谷川ル-トの初完登なるか。

本谷F滝は左からとあったが、水流跡ちょっと左を行く。
支点なく、また浮石も多い。
滝上に支点があったが、スル-して右岸側の4ルンゼとリッジで隔したルンゼに入る。
岩のルンゼから草付ルンゼとなり、4ルンゼ側のリッジにビレイ点を見るが、どうやらロ-プがいっぱいらしい。
10m手前のプアな支点をカムで補強しビレイ。



このころから上部のガスが発生しては消え、ポツリポツリと始まった。
matくんを迎え、そのまま10m先のビレイ点まで行ってもらう。

いろいろな事前調査では、このあたりの地形がわかりにくいということであったが、我々も例外ではなかった。
左に草付凹角、右15mほど下に4ルンゼ。
正面リッジを右から回り込めばと思ったが、支点も見えず判然としない。
この先に3ルンゼはあるのだろうがなかなかその姿が確認できないのだ。

ガスは次第に下がってきて雨の間隔も短くなり、また粒も大きくなってくる。
一時、容易そうな左凹角を少し行ってみるが支点はない。

待てよ。この雰囲気は確信が持てない。
上手くいけば抜けられるかもしれないが、山は、はたしてバリエ-ションはそれほど「ウマく」行くものじゃない。

ということで、「撤退します」

matくんには悪いことしたが、「なんとか登りたい」というのと、「安全」は別物。
潔く懸垂下降2回でF滝下に降り立つ。



あわよくば南稜をと考えていたが、南稜テラスにつくなり、物凄い雨。
「これじゃあね」と二人顔を見合わせた。

しかし、ここからが核心。
雨は勢いを増して、さながらイチノクラはあたり一面が滝となる。
見上げれば、3ルンゼも当たり前のように白波打つ流れ。
F滝上を順調に、「上手く」抜けていたなら、この流れに翻弄されたかもしれない。
と、ちょっぴり自分を納得させる。

というより、問題は下降だ。
ただでさえ下降に注意を要する烏帽子奥壁スラブのトラバ-スもナメ滝と化している。
ググッと視線を下げれば、ヒョングリあたりも濁流に見える。

「こりゃ、ゆっくり時間をかけていきましょう」
ということで、しばらく雨宿り。
といっても宿るところはほとんどないので、雨具を着込んで雨に打たれる。

ふと思い立ち、携帯電話を見ると、アンテナマ-ク!
南稜テラスは電波がつながるという、ちょっとした発見。
ふと着信があり、拍子に受けてしまった。
相手は、まさかこちらがこんな場所、シチュエ-ションで電話しているなど露も知らないことだろう。

そうこうしているうちに雨も少し弱まる。
また雨が勢いを増さないうちに下降を始める。
それでも小さい流れが行く筋にも形成され、変チ取付きあたりはまさに「天から降る滝」。もちろん落石注意だ。



中央稜取付き下で靴を履き替え、テ-ルリッジを下る。
中間スラブで振り返れば、もはや雨はなく、視界もすっきりと高曇り。
これから天気が回復するんだろうなあという恨めしい予感の元、下部スラブは懸垂下降。
幸い本谷は難なく渡れ、登り返しでロ-プを引く。


しかし、3ルンゼが遠い。
下部のル-トは下降時にアタリをつけられた。
あとはぐるぐる回る地球のご機嫌だ。地球にやさしい生活でご機嫌を取りましょう。

ということで、一ノ倉出合からの「環境を守る乗合ワゴン(ガソリン車)」に一瞥。
「環境に配慮するなら電気自動車とかエコカ-にすべきじゃねぇ-の」とアンチテ-ゼ。
山ヤたるもの自分の足で歩くのだ。

帰りしな車の中から見る上越方面は黄金色の夕日に山並みのシルエットが一際くっきりと映った。

sak

吾妻・前川大滝沢

2012年09月04日 22時45分05秒 | 山行速報(沢)
吾妻・前川大滝沢

見上げる空に夏の雲。
癒しの沢旅で、風の流れを遡る。
そんな山もまたイイ。

-板谷峠-
板谷街道は1548年(天文17年)伊達晴宗の米沢居城以降整備され、江戸時代には米沢藩主の参勤交代に通った街道である。
吾妻山塊の北麓に位置する急峻な街道の最高所が板谷峠。
奥羽本線開業後は日本屈指の難所として知られるようになり、近現代史で重要な役割を担うこととなる。

車は一路、板谷街道を走る。
トンネルをいくつも越えると板谷峠。
ここで国道を離れる。
板谷駅、峠駅を越えて滑川温泉方面へ。
峠駅はスノ-シェッドで屋根があるので、前夜泊には有効だ。

-峠駅-
なんにもない。
この地に立った人ならば、おそらくは誰しもがそう感じる光景。
峠駅はスノ-シェッドに覆われた奥羽本線の無人駅。
昭和初期まではわずかに湯治客が乗降する程度であったが、木材の搬出及び滑川鉱山と共に活況を呈する。
しかし国道13号など自動車道の整備や滑川鉱山廃坑に伴い、今では日に数本の列車が停車するだけの秘境駅となった。
この秘境的な無人駅を山形新幹線が通過する様は現代と近代の狭間を行き交うエアポケットのようでもある。
今はなきスイッチバックに想い馳せる鉄道マニアも少なくはない。



滑川温泉手前の橋を渡ったところに駐車スペ-スがある。
道路標識は全方向的に温泉というスバラシサ。



嬉しいことにアプロ-チはゼロに等しい。
尾根上に索道跡の鉄塔を見る。
滑川橋の下には明るいナメが広がり大滝沢が出合う。











いくつかのナメ滝を思い思いに越えて行けば滑川大滝。
まさに圧巻のスケ-ル。
ただ見上げるほかない。



-滑川大滝-
滑川大滝は山形県米沢市にある日本の滝百選のひとつ。
「落差100m、幅17m」といわれているが実際にはそれ以上のスケ-ルの大きさに圧倒される。
阿武隈川の支流、松川の上流標高860m付近に位置する。地質は流紋岩層。
ナメの柔らかさが伝わるような特徴的な大型滝。



大滝下右岸を高巻く。
踏み跡は明瞭だが、上部での草付トラバ-スは滑落すれば命はない高さだ。慎重に。



滝上からはこれでもかというナメとナメ滝が続く。
中でも幅広のナメ滝は正面からが美しく、落ち口の川床が平坦で、なお美しい景観だ。







ナメで水を蹴りながら歩く。ナメ滝を小さく巻く。時に泳ぎも交えて越えていく。
すると、はるか上空に吊り橋を見る。
その上流にトロッコの車輪が悠久の時を過ごし、鉱山の歴史を残していた。



-滑川鉱山-
滑川鉱山は吾妻連峰の東大巓の北東、標高約1300メートルに所在した。
薬師森と久蔵森とに東西からはさまれた大滝沢の谷あいに位置し、凝灰岩と安山岩とからなる地質で、鉱床は褐鉄鉱床。
採掘される鉱石は、鉄の含量53%とかなりの高品位だったらしい。
また、鉄鉱石の推定埋蔵量は65万トンと推定され、全国に占める割合の約1.3%にもおよぶ。
同鉱山の鉄鉱資源はけっして小さくはなかった。
鉱山発見の経緯については明らかでないが、林山鉱業株式会社社長・平林誠個人の試掘権により開発に着手。
1940年に同社がこれを譲り受け、1941年に試掘権から採掘権に転願して本格的な採掘を開始。軍需資源として操業が続いた。
「第一鉱床」が久蔵森直下の大滝沢左岸にあり、鉱床最下部には吊り橋が架かって沢の右岸に渡れるようになっている。
橋から数十メートル程度登った台地上には、「元山事務所」と2棟の宿舎が建っていた。
さらに上流部には「第二鉱床」があり、事務所のそばとのあいだには「鉱石運搬軌道」(全長270メートル)が敷設。
軌道終点からは、吊り橋の左岸側まで「自動交走索道」(全長230メートル)が架設され、ここから峠駅まで「青空索道」(全長5300メートル)が架設されて
いた。
敗戦後も1万トン以上の生産量を維持していたが、1970年に閉山となった。



さらに上部では温泉が流れ出ていたが残念ながら水温は低い。
もしかして・・・。
湯船を掘っての入浴を期待していたが、夢と散る。

-滑川温泉-
前川の渓流沿いにある一軒宿。
寛保年間に発見され、胃腸病・切傷・婦人病・リウマチに効力がある。
吾妻特有の「湯の花」が多く、硫黄香が強く、温泉らしい温泉。
宿舎も歴史を感じる創りで混浴。まさに秘湯だ。
大滝沢上部でも河原に湧き出るのを見ることができるが、水温は低い。



登山道横断点を過ぎるとほどなく潜滝。
なるほど、確かに潜っていて面白い造形だ。

幾人に大滝沢を勧められたことだろう。
どんなガイドにも★がいくつもついている。
たしかにスバラシイ癒し沢だ。
そして、歴史を紐解いていく楽しさがココにはある
何にも予備知識がなくてもこれだけ楽しめる。
後になって調べる楽しさもまたイイ。



峠の力餅をお土産に・・・。

-力餅-
いまだ駅で立売りしている峠の力餅は明治34年創業。
その昔、奥羽の難所越えは、4駅連続スイッチバックに象徴されるように汽車といえども困難な峠越えであった。
飛び切り馬力を要する機関車。しかもトンネルの続く峠越えは煤煙に悩まされ、決して快適なものではなかったのだろう。
そんな客を慰め、喜んでもらおうという心づかいで生まれたのが名物「峠の力餅」。
列車が5分停車した当時は売行がよかったが、電化に伴う通過列車が大部分で往時ほどの活況はない。
しかし、峠の力餅を名指しして買ってゆく客もまだまだ多い。


見上げる空に鉄の道
彼の地の遺構は未来を夢見た残骸とでもいうのだろうか。
癒しの沢旅で、時の流れを遡る。

sak