acc-j茨城 山岳会日記

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山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

谷川岳・中央カンテ

2008年05月25日 18時53分11秒 | 山行速報(アルパイン)

2008/5月下旬 谷川岳・中央カンテ

白眉

さしもの一の倉も平日の今日は写真家が数人。 
天気も、雲が掛かっているものの、このくらいは好条件の域である。 
そしてなんといってもこの条件下、クライマ-の姿がない。 
まさか一ノ倉を貸切?

雪渓を快適に登って中央稜取り付き。 
出合からテ-ルリッジまでずっと雪渓通しは快適だ。

中央カンテは一の倉、烏帽子沢奥壁1.2の人気ル-ト 
下部は凹状と同じル-トを辿り、上部は変形チムニ-と合流する。 
オリジナルとしては3.4ピッチの浅いカンテ~フェースだけだが、このオリジナルがル-トの白眉 
楽しみな部分でもあるわけだ。 

 
凹状 

取付きは前夜の雨の影響か、飛沫が酷い。 
岩陰に身を寄せながらなんとか回避。 
この先、少々思いやられる。

1P・フォロ- 
取り付きからバンド状を右へ。 
行き当たりを左上。細かいフェ-スだが、ウォ-ミングアップには丁度イイ。 
硬い体で少々ぎこちなく。

2P・リ-ド 
数mフェ-スを登ると一気に視界が広がる。雄大なスラブ。 
先には凹状ル-トが明瞭。 
カンテはスラブを左上しカンテの基部でビレイ。 
ここは凹状からの落石が多いらしい。迅速な行動が望まれる。

カンテ

3P・フォロ- 
カンテを超えてフェ-ス。 
幸い岩は乾いており、快適そのもの。 
いい具合に体もほぐれて、ホ-ルドとフリクション便りに大胆なム-ブ。 
あくまでここは痛快に。

4P・リ-ド 
乾いたフェ-ス。 
3Pと比べれば困難さはないが、その分、リラックスしながらのノンビリ登攀。 
小チムニ-下でビレイ。 
5Pからは変形チムニ-同様のル-トをトレ-ス。


 
核心

この頃から上部のガスが晴れ、この上ない青空に。 
小チムニ-を大胆に越え、簡単なフェ-スを行きあたれば、核心。 
最初の垂壁は奮戦むなしくA0。 
最後に右へ一歩出すのに度胸がいる。

その上のコ-ナ-クラックは、予習通りのム-ブでフリ-突破。 
アンダ-からレイバック気味に体を上げ、中間部で左カンテで耐え、右のガバをデッドで取れれば、後は豪快に。 
いやあ、痛快ですなあ。

下部の垂壁は今後の宿題としておこう。

 
回収確認

凹角、スラブ、最後の小垂壁をいけば終了点。 
ここからは空中懸垂。さかぼうが先行。

さかぼう下降後、回収確認するもなかなかロ-プが流れない。 
よくある話だが、ロ-プの引っかかりやすい溝ができている。 
下と上でああでもないこうでもないと様々な画策の末、パ-トナ-も降りてきた。 
これら数々の画策の賜物で何とか重いザイルを引いて回収できた。 
ここで回収できないとなると、登り返しは出来ないので、ホッと一安心。 
シ-ズン初めで踏み跡もつたない笹原を南稜終了点まで。

なんだかんだで好条件の一の倉を貸切。 
すかさず、パ-トナ-は「ここの貸切代金は、自分が払っておきましたので」とのたまう。 
ひとしきり、軽口をたたきあい、笑いとともに緊張が解かれていく。

なんとも愉快な、痛快な一日はあっという間に過ぎてしまう。 
このすばらしい今日という日は、この広い世界中にふたつとない。 
喜びは笑いとともに。 


sak


尾瀬・景鶴山~至仏山

2008年05月15日 18時49分46秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2008/5月中旬 尾瀬・景鶴山~至仏山

時代

新しい時代だそうだ。 
着々とススんでいるのだそうだ。 
乗り遅れるとイタイんだそうだ。 
きみたちも気をつけたほうが良いのだそうだ。 
よくもまあ、次々と新しい時代がやってくるものだ。日々是々。

鳩待峠。 
駐車料金には驚かされるが、復活の山にケチケチしてはいられないのである。

久しぶりの残雪山行。 
諸々の状況で、直前まで中止かどうか悩んだが、今となっては、来てよかったと思える。 
時代は変わっても、気分転換は必要であると言うことだ。 
鳩待峠から山ノ鼻、尾瀬ケ原から目指す景鶴、至仏を仰ぎながらいくらか気分的に楽になっていくのがわかった。 
 

景鶴

ヨッピ橋から残雪を拾って適当な尾根に取り付く。 
この辺りの適当さはこの季節ならでは。道読みも楽しめるところだ。 
上部で熊の足跡が多数。近くにいるのは間違いない。 
熊よけに適当な流行歌など口ずさむ。

♪~ 
風に吹かれて。ときに空を見上げて。

東電小屋からのトレ-スと合流すればあとわずか。 
景鶴山頂は岩峰。尾瀬の山々はモチロン、平が岳に会津駒、丸山岳・・・。実に眺めがいい。

 

らしさ

景鶴からは大白沢山へと向かう。景鶴の岩峰群とヤブはナカナカ。お助けロ-プがあればよかった。 
肩まで降りて、今度はなだらかな森。コンパス歩行。体はモチロン、ときに頭も使うのである。

残雪を気分良く踏む。天気も上々。快適、カイテキ。 
大白沢山は山頂に草原。深山の風格を感じさせる雰囲気を持っている。 
このテの山には目がないのである。 
願わくば、秋にチャレンジしてみたいものである。

続くススケ峰でガスが出てきた。 
少し早めではあったものの、ここで幕とする。 
準備が整ったら、明るいうちから冷たいイッパイ。 
くぅ~っ!!!。 
そんでもって昼寝。うひゃあ。こりゃタマランわい。

生き返る場面。らしさを取り戻すには、こんな時間が必要だ。 

 

消耗

さすがに18時就寝の夜は長かった。 
とはいえ、しっかり5時まで。11時間の冬眠。 
生憎、ガスは晴れない。仕方ないのでまたもやコンパス歩行。 
幾分高度を下げると目指す至仏が見えてきた。 
いやあ、この高度差はこたえるなあ。

最低のコルからは地道な登行。それでも残雪が繋がっている所までは良い。 
とうとう、ヤブに突入。 
這い松に石楠花、その他諸々の植生に空中戦の連続。ヤブⅣ級。2時間。ほとほとここで消耗した。

上部に出れば、なんとか残雪を拾いながら岩稜を行く。 
最後は尾瀬側を回りこんで至仏山。百名山ゲットだぜ! 
 

特に感慨もなく、展望もないのですぐに下山。 
今までの行程を噛み締めながら、またこれからを考えながらダルダルと鳩待峠。 
ちょっとした感情の漣に気分次第の山行。結構効きますよ。 
(使用上の注意は必ずお読みください)

新しい時代にも、陽は昇り、空は蒼く、水は滾々と流れる。 
そして大地に花が咲く。

何も特別なことなどない。 
ただ、我々のほうが振り回されているだけなのだ。

 

sak