acc-j茨城 山岳会日記

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山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

四阿山

2011年02月24日 00時55分18秒 | 山行速報(登山・ハイキング)
四阿山



10年ひと昔とはよく言ったものだ。
ずいぶん前のようでいて、よく考えるとそれほどでもないかと思い直す。
雪の四阿山を菅平から目指したのも、ひと昔前ということになる。

あづまや温泉から幾分寝坊して山を目指す。
数日は好天が続いているようで、トレ-スもしっかり残っている。
深雪対策などまったく必要ない。



突然視界が広がる。気持ちの良い雪原。牧場だ。
四阿山の真価は裾野の伸びやかさにある。
スキ-で下ればさぞかし気分がいいだろう。

牧場を歩き終えると疎林の緩斜面。
時に急登となるも、僅かなものだ。
森林限界に出れば、その先に四阿の頂が峻立している。



ひと昔、ラッセル訓練にこの山を選んだ。
自然の中に人力など、ちっぽけなものだと痛感したものだ。
今となっては良い想い出である。

10年。
あの頃の若さが今あったなら、どうなるだろうか。
あの頃の自分に問いたい。
おそらく、もう10年後にも同じことを考えているだろうとボンヤリと思い描きながら、往路を戻った。

sak

KAJITAX

2011年02月16日 22時28分21秒 | 会員日記
KAJITAX

カジタックスといえば、アイゼンやピッケルなどの山の金物ツ-ルの国内屈指メーカー。
創業は1961年。
「カジタックス」をそのまんま「カジタ」と呼んでいる方々も多いのではなかろうか?

sakも縁あって、カジタのアイゼン、ピッケルをいくつか所有している。
特にアイゼンには愛着があって、12本爪のXIは雪山を始めたときからのパ-トナ-である。
雪稜に雪壁。幾つ越えてきたであろうか。



カジタといえば、質実剛健。
この10年、不具合なし。手を入れたのはバンドの交換やビスの締めなおしくらいなものだ。
本当はもっと扱いよく持て成せばいいのだろうが、使いっぱなしでも今のところ問題ない。

代々引き継がれてきた鍛冶屋の技術(鍛造)を駆使し、ニッケルクロム鋼の焼入れ、焼戻し処理によって、軽くて高強度。
さまざまに酷使し続けてきたものの、ガタツキなし。基本構造がしっかりしている証拠である。
まさに創業者・梶田民雄氏の職人魂に触れるかのような逸品だ。

平成22年5月末日、カジタが廃業した。
1961年創業から49年。
「梶田民雄氏は73歳もの高齢となり後継者も居ない等で、この厳しい用具の製造に責任がもてなくなり廃業を決意」とあった。



「KAJITAX JAPAN」のバンドにはナショナリズムがある、といったら言い過ぎか。
「日本製」という言葉にどれだけの人々が誇りを持ってきたか。
果たして現代はいかがなものか。さびしい時代になりつつある。

思い立って、アンチスノプレ-トが入手できないか調べてみた。
現在、唯一の連絡先はメ-ル。( kajitaxtk@sky.plala.or.jp )

廃業からすでに10ヶ月。
ダメでもともととあきらめていたが、在庫ありの報せ。ありがたい。
これでしばらくは、職人技たる安心感と共に壁に取っつける。

そして続報。
モンベルがカジタの技術を引き継いで行くらしい。
手始めに「軽アイゼンRK-Ⅳ 発売」とあった。

全てが引き継がれるとは思いにくい。しかし「カジタックス」の名が残るのは一筋の希望でもある。
できることなら、質実剛健さが残ってもらいたいものだが。

雪山に入ったら、是非足元を見てほしい。
そして見届けていただきたい。
「KAJITAX JAPAN」の文字が何時まで受け継がれていくのか。

sak

那須・朝日岳東南稜

2011年02月08日 21時21分43秒 | 山行速報(雪山・アイス)
那須、朝日岳東南稜

那須には幾度訪れたものだろうか。
季節は冬。
初めての雪山で難儀したも、重量感のある冬靴を使い初めしたも、初めてヘッデン下山したも冬の那須だった。
そしていつも強く風が吹いていた。

朝日岳東南稜は3度計画したことがある。
しかし、都度にその強風に流された。

2月8日、晴天、微風。
打ってつけの好機に恵まれた。



大丸駐車場から峠の茶屋、峰の茶屋手前の「こんなところに高山植物が」案内板が下降の目印。
そこから明礬沢に下降する。

正面に見えるのが東南稜、なかなか立派なものだ。
東南稜は、下部のギャップ、山頂直下のスラブと2つの登攀がポイント。
冬のライトなアルパインとして登られている。
年が明けて山にいけていないというのもあった。また久々のアイゼン登攀には丁度良いという思惑もあった。
そして、この好天。沢筋を2つ横切って取り付く。

概ね、岩と雪のミックスだが、岩の硬度は低く、下部などはピッケルで突付けば割れるような岩質。
ゆっくりと高度を稼ぐ。



ギャップ手前の岩塔でようやく登攀らしくなる。
ここは、右から巻くこともできるらしいが、数少ない登攀ポイント。
せっかくだからと取り付くが、久々の立ち込みに肝を冷やす。

ギャップへは懸垂下降。30mロ-プで丁度いい。
ギャップの底からの登り返しが核心。
たしかに岩が出張っていて威圧感がある。空身&素手でトライ。

ポイントは2.3手だが、ホ-ルドはガバ、スタンスもアイゼン前歯がピッタリはまるほどに削れているので明瞭。
快適な登りだ。
ザックを引き上げて岩塔を越えれば、しばらくはガレ場。
とはいえ、下部は切れ落ちているので、転倒などできない。足運びは慎重に。



あとは朝日岳直下のスラブ。
程よく雪が付いているので、ピッケルを振るう。
刃先が快適に食い込む。冬壁のこの感覚は夏の登攀では味わえない快適さだ。



朝日岳山頂から見る東南稜は、その内容はともあれココを登ってきたんだなと感慨。
茶臼岳の雄大さも際立つ。
これで時間はまだ昼前。
手軽な冬山アルパイン。
オススメですが、強風にはくれぐれもお気をつけて。

sak