acc-j茨城 山岳会日記

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山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

西上州・鹿岳一ノ岳南壁

2022年11月23日 11時55分10秒 | 山行速報(アルパイン)

時は巡り、たとえ道が変わったとしても魂は消えない。
そして、萌える。

鹿岳一ノ岳南壁を初めて知ったのは、2009年。
山登魂山岳会・鮎島さんの記録だ。

初出記録は「クライミングジャーナル2号」(1982年7月号)
富岡労山により拓かれ、”西上州岩場調査隊ルート”として発表されたとあった。


2022/11/12 西上州・鹿岳一ノ岳南壁


道の駅で合流して、南牧村鹿岳登山口(下高原)手前の駐車場へ。
立派なトイレがあり、すでに数台の車が止まっていた。

そこから少しだけ車道を歩いて、標に従い登山道へと入る。
杉林を30分ほど行くと、右手の樹幹越しに岩壁が見えてくる。
その基部目指して登山道を離れガレをトラバース。



岩壁基部には祠が二つあり、取付きはそこから20mくらい先で立木に水色のスリングが巻いてある。
そして被った岩壁にボルトラダー。

さらにその奥10mにメスねじアンカーがある。
偵察でボルト径も確認しており、これに持参のボルトを差し込んでいくことも検討していた。
しかし、不確定要素も否めないことから確実に上まで繋がっているリングボルトで登攀することにした。

とはいえ、状態は良くない。
3本目はリングの腐食がひどく、色褪せた3mmスリングが垂れている。
4.5本目はリングが飛んでいる。
しかし、それも想定内。
あとは踏ん切りがつくかどうかだ。


◆1P(sak)15m A1

3手目はリングに錆びが目立つものの、テスティングしてリングを使う。
4手目はリング欠損用ハンガ-(「PIKA」と刻印がある)をセット。
リング穴にステンレスカラビナを入れて外れ防止策とする。
5手目はリング穴にちぎれた金属片が詰まっていて外れ防止策が取れないので、件のハンガーを引っかけて祈るように立ちこむ。
スピーディーに6手目に支点をとって一安心。
そしてフォロー用に3mmスリングをセットしておく。
後は比較的状態のいい支点を繋いでリングボルトが3つ打たれたビレイステーション。
手数は10手と記憶。

◆2P(sak)8m Ⅳ-

ビレイステーションからトラバースして直上。
足場が脆いところもあるので要注意。
途中の立木下までトラバース。支点をとって、立ち木を手がかりに一段上がる。
フェイスをさらに直上し、テラスまで。
ここで、右からフリールートが合流する。

◆3P(sak)35m A1 Ⅳ-

左上の小ハングを人工で越える。
1手目は目の前にあるが2手目が見つからない。
ピナクル状の岩に上がって上の様子を窺うと小ハングを乗越した岩上にリングボルトとアングルハーケンが見える。
状態は悪くない。


2手目は完全にアブミにぶら下がる。
安定体制を保つには足が遠くて苦労した。

人工登攀は4手で終了。
スラブ状を行くとリングが3本。(A1後、ここまではⅢ)
本来、ここで切るのかもしれないけど、先に見えるリッジのテラスまで伸ばす。



リッジ手前は傾斜も増してきて、岩も所々で不安定。
支点もなく、脆岩ゾーンに入り込んでしまいハマりかける。
この辺りはルーファイによっては、苦労するのかもしれない。
ちなみにこのテラスに支点はない。(ハーケンで構築)

◆4P(isi)40m Ⅳ-

リッジを右上。
しかし、岩が脆く支点は灌木以外は少ない。
頭上にハング。途中でハーケンの連打がありここで切る。
ハーケンは錆がひどいので、キャメで補強。
グレード以上に悪さが際立つピッチ。

◆5P(sak)40m Ⅳ

右斜上するハング下のフェイスを右上。
岩は安定、支点も散見。
途中、支点に誘われ右のリッジへ回り込むが、最終的にフェイスに戻る。
フェイスへ復帰するトラバースでA0。

この辺はハング上に鳥(ハヤブサ?)の営巣があって、フンが落ちてくるので要注意。
フェイス上部で再度右に回り込んで凹角を松の木右脇のテラスまで。
支点はないので、ハーケンとキャメで構築。

◆6P(isi)45m Ⅲ+

頂上まですっきりとしたフェイスが広がる。
比較的岩は安定しているが、時に浮岩もあるので要注意。
スタンス、ホールドは豊富。フリクションも抜群。
だけど、灌木以外に支点はなく、小さめのキャメ、ボールナッツ、ハーケンで支点構築。

◆7P(isi)40m Ⅳ

夕暮れを迎える。
日暮れまでにリードは上まで抜けておきたいので、登攀巧者のisiさんにリードを託す。
彼はオーダーに応えてくれて闇に巻かれる前にトップアウト。
流石だ。

岩は安定していて、ホールドスタンスも状態はいい。
しかし、残置なきリードは心理的タフさが要求される。
支点は小さめのカムデバイスでとれるが、ランナウトする場合は十分に注意したい。

ヘッデンを灯して、フォロー。
途中でロープがイワヒバにハマり、ザイルアップに苦労しているのがロープの動きでわかる。
日暮れに追われながらの登攀でも、パートナーは適宜カムで支点をとっていた。
寡黙な彼の冷静なる登攀に敬意を表す。

闇中の壁は高度感が薄れて大胆に行けるが、最後まで岩のテスティングに気を配る。
藪が出てきたら、実質登攀は終了。
isiさんと再会の挨拶。

あとは、一ノ岳の肩(展望場)まで10mくらいの藪岩歩き。
肩がらみでisiさんを迎えて握手。
パートナーに感謝。

しかし、時間がかかりすぎた。
慎重さは必要だが、遅延は大きなリスクだ。
支点構築などスピーディーに対処できないと厳しい。
反省。


前半、不安を覚える支点でのエイド。
後半は心理的なタフさを要求される登攀。
様々な要素を併せ持ったクライミング。
こういうのも悪くない。


山登魂山岳会・鮎島さんは、登攀を終えこう締めくくった。
「いい山登りの良し悪しの基準とはビビるかどうかだ」(黒部の怪人、和田城志氏による言葉)としたら、
今回のクライミングも間違いなく、「ビビったクライミング」=素晴らしいクライミング=「魂のクライミング」だったのです。


登攀後、互いの無事に安堵しながら暗闇をヘッデンで切り裂いて歩く。

時は巡り、たとえ道が変わったとしてもこの日は決して変わらない。 
そこに、言葉は要らない。


sak


動画も

 

 


裏妙義・中木川烏帽子沢左俣~烏帽子岩・赤岩

2022年11月13日 23時20分31秒 | 山行速報(沢)

2022/11/2


裏妙義・中木川烏帽子沢左俣~烏帽子岩~赤岩~丁須ノ頭


秋暮るる、ようよう寒し。
静かに御殿が輝く。

11月。
藪岩に沢を織り交ぜてみる。
自由律な山旅に心躍る。

国民宿舎裏妙義跡から籠沢沿いを歩く。
植林から次第に岩壁や岩塔に囲まれる。
紅葉の盛りはもう少し後だろうか。

木戸壁を過ぎて、「木戸」の標識から100mほど進む。
鎖場がいくつか続いた先、右岸から入る烏帽子沢。

登山道から離れ、詰めていくと最初の8mチョックストン。
これがいい目印となる。

この滝は左岸ルンゼから巻き。
川床への復帰は泥壁の灌木頼りで悪い。

妙義は上越や南会津のように灌木が手がかりとして信用ならない。
これは降雪が少なく、冬に乾燥するためだろうか。
樹に粘りがなく折れやすい上に、岩の間隙に張る根は浅い。

烏帽子沢は晩秋ともなれば水流も少なく、沢というよりはルンゼといった風情。
断続的に滝も現れるが、岩は脆く、逆層が多い。
ガイドには「初心者向」とあるが決して容易ではない。
枝沢も多く、ルーファイも含めて沢や岩の技術向上に良いかと思う。
地形図の烏帽子岩と風穴尾根の頭の中間鞍部を目指していく。

滝は直登と小さな巻きで越えていく。
前述の通り、灌木には注意が必要だ。

詰めは落葉の乗るザラついたナメを用心深く登る。
右の支尾根に上がれば登山道までは一投足。

一休みしたら、今度は藪岩モード。
以前、西大星から見た岩と藪の塔、烏帽子岩と赤岩へと向かう。

烏帽子岩の手前を右にトラバースする登山道から離れて、岩壁に向けて登っていく。
正面岩壁は取付くしまもないが、踏み跡に従って岩壁基部を右にトラバースする。
上部に行くと傾斜も増して、足元が切れ落ちてくるので少し緊張する。
立木も豊富だが、やはり腕ほどの立木が根元からポキりと折れることもあり要注意。

頂の視界は少ないが軽井沢方面がよく見える。
浅間山の頂あたりは雪で白い。

下降は往路を懸垂下降。
40mロープ1本を使って2回。
あとはクライムダウンで何とかなる。

登山道を赤岩へ向かう。
赤岩基部のトラバースはフォトジェニックな場面。

一度、赤岩を右からやり過ごし、「赤岩」という標識がある所から今度は左に回り込み戻るような形で赤岩の尾根に乗る。
踏み跡は次第に不明瞭になるが、テーピングに導かれていく。
岩はともかく、ズルズルの泥壁に気を遣う。

赤岩の主尾根に乗るとテーピングも消えるがあとは尾根を登っていけばいい。
頂の北端に上がるところは、踏み跡こそあれ、灌木も脆弱。
切れ落ちた高度感に足も竦む。

これを越えると平坦となり、南端の頂まで。
全方向とはいかないが、眺望もすばらしい。
往路を戻るが、登り以上に慎重さを要したい。

あとは丁須ノ頭を経由して籠沢を国民宿舎跡まで。

夕暮れに向かって歩く。
谷筋は思いのほか暗い。
しかし、見上げる樹幹の先に空はまだ青い。

-誰彼 我莫問 霜月 君待吾-

斜陽を受けて浮かびあがる影が、落葉の絨毯に滲んだ。


sak

動画も↓

 


<拾得物のおしらせ>

2022/11/2(朝)
国民宿舎裏妙義跡の駐車場で、モンベルの沢用グローブ(M)を拾得しました。

お心当たりの方は、こちらよりご一報ください。
着払いにてお送りいたします。