acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

西上州、物語山・メンベ岩

2012年11月11日 21時03分30秒 | 山行速報(薮・岩)
西上州、物語山・メンベ岩


サンスポ-ツランドから見る物語山とメンベ岩

西上州に物語山という、何とも趣のある名の山がある。
いかにも何がしかの伝説が伝わっていそうだ。

物語山ものがたり
くわしくはこちら



ということで、今回は冷静に事の次第を確認してみよう

◆物語山の名の由来
 ・メンベ岩に伝わる戦国の悲劇を今に伝えることから「物語山」
 ・琵琶楽の語り部、琵琶法師がこの山で行をしたから「物語山」

◆物語山の伝説 
 ・メンベ岩には今でも武将の遺体、鎧、冑と刀は風雨に晒されてそのままこの岩上に残されている
 ・戦国時代、メンベ岩の頂に財宝を埋めた
 ・戦国の埋蔵伝説を聞きつけて、財宝目当てにメンベ岩を登る者は 必ず墜死の憂き目に遭う

つまり・・・。

物語山に伝説あり。伝説はメンベ岩にあり。
伝説を伝えるメンベ岩を抱く、最高峰の山が物語山。

という事なのであろう。
それでは、メンベ岩登らずして物語山を語ってはなるまい。

はたまた、かの伝説は・・・?
やはり興味はそこにあろう。


そこで・・・・。


★メンベ岩に登ってみた★


第一次メンベ岩学術登攀隊メンバ-はガストンさん、matくん、sakの3名。
「伝説検証」という学術的に興味深い、山行価値を理解されている知性派メンバ-だ。
決して「篤志家」とか、「酔狂な」とかそういうんじゃないですからね。

下仁田サンスポ-ツランドから登山道をしばらく歩く。
メンベ岩を仰ぎ見てから、少し進み沢の右岸側の支沢に入る。
しばらく進むと涸れた小滝。
この手前、右岸側のズルズル急斜面を尾根目指して行く。
当然、道はないので要注意。


右岸の支沢

尾根に小岩壁が見える。その上を目指して登る。
尾根に出たらそれを忠実に詰めていく。
ピ-クを一つ越えるとメンベ岩の基部が見えてくる。
基部を右に回り込む。

南面のクラックル-トを仰ぎ見る。
下部には支点や古ぼけたロ-プも見える。
登られてはいるようだ。


クラックル-トを行く

残置のRCCボルト、リングボルトそして古いロ-プを辿っていく。
下部のクラックには灌木もある。
思いのほか立っており、Ⅳ級クライミング。
諸々の不安も手伝って、早々にA0を決める。
 【諸々の不安①=「財宝目当てにメンベ岩を登る者は 必ず墜死の憂き目に遭う」という伝説。】
 【諸々の不安②=見えない上部への不安。】
 【諸々の不安③=岩の脆さに対する警戒。】
クラックには、キャメロット(#0~#2)が有効。残置とキャメで支点を取りながら行く。


上部を望む

クラックを終えると、フェイス。幾分傾斜もゆるむころ小バンド。
バンドを数m右にトラバ-スして浅い凹角を直上。
上に行くにしたがってハ-ケンも多く、ル-トを見出すには十分な間隔で打たれている。
しかし、先出のロ-プが通されており、クイックドロ-をセットできない。
前進用の3mmスリングが活躍する。

また、ロ-プが腐っている。テスティングすると、容易く切れた。
充分な注意が必要だ。

終了点は灌木で取れる。
1ピッチ、40m。


セカンドmatくん

セカンドmatくん、ガストンさんはフリ-で。

メンベ岩の上は物語山西峰から見たときに感じたほど広くない。
細い薮のリッジといった様相。
一番高さがありそうな西の突端はいくらか平らになっており、眺めは抜群だ。


メンベ岩から物語山西峰


影メンベ

懸垂下降で取付きに戻るが、枯れ木が多いので支点選択に要注意。
懸垂支点にスリングとビナを残置。


懸垂で下降

ピッチ数はないものの、クライミングとしては楽しめた。
西上州にしてはグズグズの脆さを感じさせない一本だ。

物語山(西峰)へはそこから急な尾根をしばらく上がり、山頂直下で右にトラバ-スすると、西峰の展望台。
メンベ岩が一望できる。


メンベ岩


物語山

西峰、本峰を経由して登山道を下山する。



◆物語山の伝説

・メンベ岩には今でも武将の遺体、鎧、冑と刀は風雨に晒されてそのままこの岩上に残されている
 →確認できず。
・戦国時代、メンベ岩に財宝を頂に埋めた
 →確認できず。
・戦国の埋蔵伝説を聞きつけて、財宝を目当てにメンベ岩を登る者は 必ず墜死の憂き目に遭う
 →安全なクライミングに留意すれば、大丈夫。


メンベ岩

結論
・鎧兜や財宝は確認できず。
・すでに持ち去られた可能性も否定できない。
・メンベ岩は財宝目当てでなければ、登れる。

物語山ものがたり。
戦国ロマンとメンベ岩の言伝え。
物語山とは良く言ったものだ。


sak

西上州 大ナゲシ北稜

2012年11月05日 20時31分34秒 | 山行速報(薮・岩)
西上州 大ナゲシ北稜
大ナゲシには、北稜と言っても良い尾根が2本ある。
① 大ナゲシ西北西の肩から北に向かい、1356峰~1073峰を通り胡桃平に続く尾根。
② 大ナゲシから北北東に向かう、赤岩沢本流と悪谷との中間尾根。
① を登り②を下降する計画でいたが、Yが昨夜から熱を出し、車で待っていることになった。早く帰るため短時間で戻ってこられるよう、②を登り登山道経由で降りることに急きょ変更した。
11月4日。メンバーはGとガストンの2名。駐車スペースから少し登山道を歩き、適当な所から取り付く。少し登ると目印があった。かすかな踏み跡も確認できる。あれ!以前登っている人がいるのかな?と半信半疑でそれを辿ってみることにした。やたらと目印が多い。そのうち悪谷を横断し、だいぶ登ってから、これは林業用の物かも知れないと感じてきた。でも、今登っている尾根は悪谷の左岸尾根で、1330mで①のルートに合流する支稜のはずなので、このまま登ることにする。これらの目印は支稜に出たところで完全に消えた。やはり林業用の物だったようだ。この1330mピークには古い祠があった。


1330mピークにあった古い祠(昔の人は、ここまで材木を背負って上げたんだろうと思うと、凄いの一言だ)


1330mからの懸垂

この先は垂直の壁になって切れ落ちており懸垂するほかない。25m一杯で降り立つ。懸垂場所を間違えると25m2ピッチする必要が出てこよう。昨日の大屋山北稜のようなナイフエッジはないが、とにかく急な藪岩稜で、ルートファインディングに気を使う。大ナゲシ手前のピークでは頂上岩壁が良く見え、どこにルートを取ったら良いか相棒と話し合う。岩登りをする気は充分で、クライミングシューズもザックに入っている。


大ナゲシ頂上岩壁が観えてきた

やがて大ナゲシの肩に着いた。さてどこにルートを取ろうかと話していたら、ピンクテープが目に入った。あれ!ルートがあるみたい、とガッカリした間もなく、なんとすでにそこは、ハイキングルートに合流していたことが分かった。まっいっか!と大笑いした。頂上には3人の登山者がいた。


頂上でのG氏


綺麗な三角錐のピークが観えた

帰りの登山道では、スーパー袋一杯の本シメジをゲットした。

車(6:15)-尾根取り付き(6:25)-支稜上(7:25)-1330m(8:20)-1356m(9:20)-頂上手前のピーク(10:10)-頂上(10:50~11:20)-赤岩峠(11:50)-車(13:15)

ガストンガニマタ

西上州 大屋山北西稜~北稜下降

2012年11月05日 20時12分06秒 | 山行速報(薮・岩)
西上州 大屋山北西稜~北稜下降
11月3日、大屋山北西稜に行く。メンバーはY、G、ガストンの3名。
ネットで探しても敗退記録はあるが、登った記録は見つからなかった。地図上から判断するには、頂上直下は悪いかも知れないが、他は悪いようには思えない。登ってみることにした。
勝手知ったる道場の駐車スペースに車を停める。毛無岩に行く道と分かれ、東に向かう沢を行く。「山と高原地図」には、こちらからも毛無岩に行く道が記載されているが判然としない。適当な所から北西稜に取り付く。


この先付近から尾根に取付く


尾根に出ると歩きやすくなる

砕石の急斜面は足元が崩れ歩きにくいが、樹林帯のため日が射さず藪がないので助かる。尾根に出ると歩きやすくなる。地形図では確認できないが、頂上手前に小ピークがある。20m位下降し、登り返すと頂上岩壁に付き当たる。壁の弱点は正面の凹角で、これは登れる。


頂上岩壁が見えてきた。登るなら正面の凹角だろう


岩壁直下まで来ると、登攀意欲の湧かない凹角だった

しかし残念ながら登攀意欲が湧くルートではなく、左から藪の急斜面を登る。ポンと飛び出た所は頂上の一角の北西の端で、景色が非常に良い場所であった。道場集落が真下に見える。頂上標識まで行き小休止。


頂上の北西端から観た道場集落


頂上でのY氏とG氏

その
その昔に登った碧岩北西壁が正面に観えた

北稜を下降する。北稜は、地形図には道が記載されているが、今は全く確認できない。それに、地形図で見るよりはるかに痩せており、一番細いナイフエッジは藪が無く幅50センチである。風が強いと、とても怖くて歩けないだろう。最初のナイフエッジは5m懸垂したが、灌木があるのでクライムダウンできるだろう。次の怖いナイフエッジ先は、しっかりした支点が得られず少し戻り東側の灌木帯を巻く。その先も緊張したクライムダウンがあるが、灌木があるので懸垂しないで済んだ。


北稜でのクライムダウン

北稜のコルからは、西側の沢を降りる。問題となるところは無く、今朝通った場所に合流した。


道場集落手前の、この木橋は、去年までは渡れたが、今年は怖くて渡れなかった

車(7:40)-北西尾根取り付き(8:10)-頂上手前小ピーク(8:55)-頂上岩壁直下(9:05~9:15)-頂上(9:40~10:00)-北稜コル(10:40)-車(11:30)

                                                ガストンガニマタ