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acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


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下田山塊・粟ケ岳

2025年04月12日 18時52分49秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2025/4/10 下田山塊・粟ケ岳


粟ケ岳の山頂から望む景観は爽快だった

下田・川内の山波
越後平野と日本海、そして佐渡
南に大きく守門岳が横たわり、その先に上越・奥利根の山々が見える

前日、私は上越国境・奥利根の縁にいた

想いは過る
他に選択肢はあったのではないかと


北五百川から祓川の傍らを遡る
途中、支流を渡るのがアクセントとなり飽きることなく歩ける
粟薬師小屋への登り途中から雪が出てくる
キックステップを刻んで小気味よく高度を上げる

粟薬師小屋は屋根が落ち、屋内は雪だらけで到底使えそうもない
小屋前でひと休みしたら目の前の尾根に向けて急登をこなす
程なく視界は広がる

雪に塗られた粟ケ岳の山頂
そこに至るまでの雪稜が美しい曲線を描いている

来てよかった
つくづくそう思った


雪を利用して奥利根を徘徊する
2年前に辿った場所と交差するラインを計画していた

そして決行した山行は出鼻で挫かれた
序盤は雨に打たれて、上越国境では風雪に叩かれた

アウターは凍り付き、地図を取り出すにもジッパーの開閉が困難だった
それでも稜線を跨げばやり過ごせるという思いはあった

しかし、空と地面の境目もわからない世界で柄沢山からの下降点を見出せなかった
これから向かう柄沢山北東尾根直下には多数のクラックが走っていると直近の記録にあった
私は奥利根の縁に立って、そこへ身を投じることを躊躇った

想い入れのある山ほど、撤退は難しい
判断が難しいのではない
想いを断ち切るのが辛いのだ


そうして今、粟ケ岳に立っている
いつか行きたいと思った場所に期せずして佇む

想いの丈をぶつけた山
そればかりが喜びとは限らなかった

生末を自分で決める
その先に喜びが待っている

あの時、稜線を跨いでいたら

妥当な判断だったと言い聞かせながらも後悔はあった
周りは騙せても、自分は騙せない

稜線を越えた並行世界の私は今頃どこにいるのだろう
山は逃げずとも歳月は過ぎ行く
後悔というよりは願望だったのかもしれない


粟ケ岳から望む景観はそんな愁いを忘れさせてくれるものだった
山波は青里岳、矢筈岳へと続く
そしてその先へ

また一つ、標を立てる
この先、あまり永くないとわかっていても、だ
ひとの思惑はここに及ばない、それが心地いい

思い通りにならないからこそ尊い

下山後、八木ケ鼻を望みながら湯に浸かる
高曇りの空にボンヤりと透ける太陽が少し眩しかった


sak

 

 

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