acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

古賀志山・猪落しカンテル-ト

2019年02月09日 21時20分09秒 | 山行速報(アルパイン)

2019/2/3 古賀志山・猪落しカンテル-ト


最近、新入会のメンバ-が増えて来て、嬉しい限り。
クライミング経験者の方は、もちろんウェルカム。
初めてクライミングをやる人だって大歓迎です。

と、いうことで。
今回は新入会のisiさんと。

2月といえば、冬季登攀シ-ズン真っ只中。
寒すぎるこの時期に、気軽に楽しめるマルチピッチはないかなぁ、と。
思い浮かぶのは、子持山獅子岩と二子山中央稜。

しかしながら、数日前に降雪。
平地では積もらなかったけど、ちょっと不安。
そこで古賀志山で面白そうなとこないかなぁ。。。

と、調べてみたらありました。
「猪落としカンテル-ト」
今は登る人も少ない、いにしえのアルパインル-トのようです。

真冬ながら、杉の伐採が進んだ南面でポカポカ。
ひと通り、クライミングの確認などが済んだら、クライムオンです。

isiさんは登山講習を1年半受講しひと通りのクライミング技術は習得済み。
聞くと、昨年はヨ-ロッパアルプスにも行かれたとのこと。

1ピッチ

ふたつの洞穴の右リッジから。
最初は階段状だけど、随所に垂壁が出てくるので慎重に。
支点は少な目。
ハンガ-ボルトは無く、ハ-ケンは一部サビがひどいので要注意。
ル-ト中、0.5~1くらいのキャメが使えます。
最後は立木でビレイ。
isiさんも不安なく登ってきた。

2ピッチ

立木から岩塔左に回り込む。
すると、目の前に登山道。

・・・まじか。

登山道には降りず、ピナクルを回り込み、フェイスをひと登りでリッジへ。

3ピッチ

ここが核心。
カンテ左のフェイスをひと登りし、あとはカンテ沿いに行く。
ハ-ケンは多いけど、いわゆるアルパイン的な支点が多いので要注意。
数手、ホ-ルドスタンスが見極められずA0。
要修行です。

猪落としの登山道の傍らが終了点。
登山者と挨拶しながらビレイ。
パラグライダ-がプカプカと気持ちよさそう。

するすると手繰れるロ-プ。
あれ、もしかしてisiさん。フリ-で抜けました?(汗)

ここからはダブルで懸垂下降2ピッチ。(45m+30m)
ポカポカ陽気の中、クライミング談義などしながらランチタイム。
あとは、フリ-の岩場に移動。
isiさんも程よく楽しめた一日だったようです。


山岳会に入会いただいた方から、「なんで、いろいろ教えてくれるんですか?」と聞かれる時があります。
たしかに、講習料金かかる訳でもないし、交通費はワリカンだし、時間をつくってまで教えてくれるの?

「何かウラがあるんじゃない?」

そう思っても不思議ではありません。(笑)

でも、私たちの思いはシンプルです。
それは、、、

山仲間が増えるといろんな山に行けるから、です。

一人だけでは行くことが叶わない困難な山もあります。

自身憧れのル-ト踏破実現に向けてのパ-トナ-育成。
加えて新たな登山スタイルとの出逢い、そして発見があるからなんです。

とはいっても普通の社会人の集まりですから限界もありますが、

とにかく、みなさん。
積極的にどんどん、いろんな山に行きましょう!

 

sak

 

 

acc-j茨城 

acc-j茨城は、クライミング・沢登りを中心に活動している社会人山岳会です。
山々の織り成す風景に、絵になるシ-ン。
ちょっとドキドキハラハラなハイキングから、華麗なクライミングデビュ-まで応援しています。

次はあなたが主役です!

現在2019年会員募集中。詳しくはこちらまで


裏妙義・木戸壁右カンテ

2018年12月20日 18時30分00秒 | 山行速報(アルパイン)

2018/12/15 裏妙義・木戸壁右カンテ

事前の山行募集に呼応いただいたのはS子さん。
「S子さん、久々にクライミングどうっすか?」という目論見で木戸壁を提案。
この計画に乗ってきたのが、kakさん。
そう来なきゃ。

最終3名でのクライミング。
同年代のメンバ-だからこそ、の思いが頭をよぎる。

裏妙義木戸壁は12月でもクライミングのできる貴重な存在。
5ピッチほどのマルチクライミングではあるが、高度感はなかなかのもの。
また、岩の不安定性で慎重な行動を要するため決して気の抜けない登攀となる。

S子さんの華麗なリ-ドを拝みたかったのですが、sakがリ-ドを拝命。

「頑張らせていただきます。はい。」


予想以上に壁は立っているものの、アバタ岩がそこかしこにあるので困難さはない。
しかし、ドアノブ状には荷重負担をかけないように気を使う。
フリクションは効くし、着実に足を求めて行く。

ハンガ-ボルトはこまめにあるので、ヌンチャクの数を確認しながら登っていく。
途中、ピッチ切りを見誤る場面もあったが、順調な登攀。

松の木テラスから右カンテを行くところ(たしか4ピッチ目)は痛快です。
振り返ると裏妙義の岩塔が林立する奇景。
ほかにも登られている岩塔があるのだろうか。

5ピッチで終了し、同ル-ト下降。
ドアノブ岩への引っ掛かり対策で50mロ-プ1本での懸垂下降。

ピッチ切りはこまめに行くのが吉。
要所の懸垂支点に捨てビナがあるのでわかりやすい。
懸垂下降2本目、下に見える懸垂支点へ行くと、次が斜め懸垂になりそう。
それを嫌ってショ-トカットして松の木テラスへ向かったが、5mほど足りず不安定な場所で切る。
面倒がってはいけませんね。

無事に取付。
途中、雪がちらつく場面もあったけど、南面なのでさすがに寒さは感じなかった。
登攀終了後「もぐもぐタイム」
それぞれに想いを晴らした山行となったのではないだろうか。

S子さんとは谷川、八ヶ岳など幾つも山を越えたものだが、現在は膝の怪我もあり苦難の時期。
kakさんも、先の西大星で味わった苦渋払拭の思いがあったと聞く。
sakとて体の衰えに立ち向かう年頃。

クライミングはやっぱり楽しいですね。
そう言える、それぞれの再起を願って。


sak


乾徳山旗立岩

2018年12月01日 00時03分00秒 | 山行速報(アルパイン)

2018/11/22 乾徳山旗立岩


わすれもの。

わすれものをする、ということ
それは悲しくなること
自分に腹が立つこと

そして、それにどうにか対処しようとすること


-山行前夜の出来事-

私事。
ここの所、忘れ物が多いなぁと薄々感じてはいたが、集合場所で山服に着替えているとクライミングパンツを忘れたことに気付く。

「自分の忘れ物もとうとうここまで進化したか・・・」

もはや開き直るしかない。
とはいえ、アンダ-ウェア(下)だけで山に行くわけにもいかず、この時間でもジャ-ジが買えるは店ないだろうかと脳内検索中。
パ-トナ-のkozくんから「これでよければ」と、手にはジャ-ジが。

「神かっ! 君は、神か!」

聞けば、この日の昼に行ったフリ-クライミングで使ったものが車中にあったらしい。
所々にチョ-ク跡が生々しいが、kozくんのナイス(な放置)プレイで事なきを得た。

このご恩は忘れません。
必ずお返しします故。

 

-山行当日の出来事-

道の駅まきおかで一泊。
暗いうちに大平牧場に移動して、もうひと眠り。
すっかり明るくなった6:45に出立。

大平牧場のおばちゃんに駐車料金を払って、適当に牧場を横切り林道に出る。
本当は林道を歩くのが正解みたい。

少し歩くと牧草地帯に石畳の登山道。
登山道はしばらく林道を縫うように行く。

黙々登ると扇平。
ここは月見石が程よい展望台。
雲がかかっているが、晴れていれば富士山が良く見える。

そこからは岩場が目立つようになる。
鎖や道標もありル-トは概ね判りやすい。

ケルンのある眺望良い大テラスを左に見て、その5m先を左に入ると正面に旗立岩。
なかなか立派だね。
このあたりまで来ると急に風が強い。
強風と防寒対策に留意して身繕い。

懸垂支点から50m一杯の懸垂下降。
途中のガレ場は落石注意。
そこから徒歩で下降。
岩場を回り込む形で基部に着く。

今日のメインイベントはkozくんのリ-ド&ツルベ検定といったところか。
ということで、クライムオン。

1P(Ⅳ:25m:フォロ-)

リッジ左側を登る。
支点は豊富、岩も安定しフリクションに不安はないが、岩が冷たく指が痺れる。

リッジ左上部が、核心か。
小ハングは右から。
落ち着いて足場を拾えば問題はない。
kozくん、淀みなくナイスリ-ド。

2P(Ⅲ:35m:リ-ド)

リッジを快適に。
困難はないが、支点は少ない。
キャメで支点構築してビレイ。

3P(Ⅲ:20m:フォロ-)

リッジの突端まで。
上から見ても下から見ても、見栄えのするピッチ。
なんかお買い得。

そこからは先行し、歩いて安定したテラス(「雨乞岩」とあった)。
ボディビレイでkozくんを迎える。


乾徳山の山頂は一投足だが、山頂を回り込んで頂上岩峰直下へ移動。
ここは登山靴で1ピッチ。Ⅲ級程度。(25mフォロ-)
途中、雨がパラついてくる。
明日にかけ寒気が入るとの予報が出ていたが、その前兆か。

山頂は数組がランチタイム。
我々は寒いし、雨がミゾレっぽくなってきたしで早々に下山開始。
幸い雨は強まることなく上がった。
往路を忠実に下って大平牧場。

登攀もあっという間で少し物足りなさもあった。
しかし、kozくんのリ-ドも安心して見ていられたし、ツルベの登攀手順も問題なし。
確実に収穫はあったはずだ。あとは場数です。

そして何より、すっきりしたリッジクライミングの快適さにクライミングを始めたあの頃を想い出す。
山はやればやるほど、行きたい山やル-トは増える。
しかし、時間の制約や仕事・家庭との両立など限界があるのも事実だ。

何か言い訳にして諦めてはいまいか。
自分を納得させてはいまいか。
そして、忘れようとしてはいまいか。
帰路、「行きたい山とル-ト」を問われて、ハッとした思いだ。

わすれもの。

わすれものをする、ということ
それは自我を守ること
あなたが今を生きているということ

そして、いつか取り戻すこと

 

-山行翌日の出来事-

kozくんから連絡。
「車中に自分の財布ないでしょうか?」

探してみると、助手席の下に財布発見。
さて、どうしたものかと一考。
適当な理由を作って仕事中にkozくんに届ける。
ということで、ジャ-ジの借りは早々に返せたわけだ。


自分のわすれものは、あとひとつ。
取り戻すのは、いつになることか。


sak


子持山獅子岩

2018年10月30日 20時11分07秒 | 山行速報(アルパイン)

2018/10/28(日) 天気:晴れ

メンバー:szt(CL),koz

装備:8.6mm × 50m ロープ×2,登攀具一式.

6:20道の駅こもち発→6:45 3号橋手前分岐スペース→7:10 7号橋登山口→7:53取付き着→8:00頃登攀開始→12:00頃頂上岩壁トップアウト→12:36取付き着→12:42下山開始→13:45基点P

 

 マルチピッチクライミングの練習として子持山に行ってきた.

前日は雨.よって予想されることは,ルートの大渋滞.初めは7:30に道の駅こもち集合としたが,念のため1時間早める.事前の情報から7号橋まで車で行けないことはわかっていたものの,どこから上がれるかイマイチよくわからなかったが,車でずんずん入っていくと適度に駐車できるスペースがありホッとする.

ただ,車はすでに5台ほどとまっており,どのくらいクライマーがあがっているかわからないので取付きまで黙々と歩く.7号橋直前の道が流されて,でかい岩が横たわっている.今までの駐車場までは多分もう上がれなくなるんだろう.

旧林道をふさぐ岩.多分もう道は整備しないでしょう.

獅子岩はここからアプローチ.ちょっと間違えそうになりました.

「この先危険」の方へむかうと...

取付きにたどり着けば先行は1パーティのみ.我々の直後に1パーティ.我々が登っている間に続々とやってきて,その後来たのは6~7人くらいいたのではないだろうか?見上げてみれば,岩はばっちり乾いてそう.

取付きより

到着時はご覧のような賑わい.この後も続々と参りました.

できればツルベで登りたいと思っていたが,1P目から前も後ろも渋滞の様相を呈し呑気に練習できる雰囲気はなし.空気を読んで1P~3P目はわたくしがリード.

1P目は途中の支点で一休み

このルートは全ピッチリードしているはずだがすっかりムーブは忘れている.リードしたピッチでは1P目と3P目がちょっと難しく感じた.クライミングスキルが落ちたのかな?

3P目途中.

3P目が終わったところの支点から先では,工夫すれば後続パーティをかわせそうだったのでここでパートナーにリードを交代.見た目にも容易そうな右のルートを進むことにする.

初リード?ガンバって~!!

後続パーティもやってくる

一旦区切ってさらに藪を進んでもらう

敢えて登れるところをと思い木や石を落とさないようにしながら藪の中を進んでもらい,頂上岩壁下でピッチを区切る.最後はやっぱりパートナーにリードを託しトップアウト.

ここのピッチ,登りづらいと思うのは私だけ?

上までくれば,毎度のことながら眺めが素晴らしい.ハイカーの方々や後続パーティもやってきて狭いながらもそこそこの賑わいに.せっかくなので記念撮影もしたりして.

安定しているのに,ロープを外すと途端に怖くなるのは私だけ?

記念撮影されるハイカーの方々

腹ごしらえをしたら,装備をばらし取付きにデポした荷物を回収して下るだけ.最近は安定した晴天が多くこの日もクライミング日和でした.

下部の派生ルートに取付くパーティ.今度はここを登りに来てもいいかも?

帰路は尾根の道から.青空に岩壁が映えますな~

この奥にも退避スペースがあり3台ほどとまっていた

ツルベで登るという目的は果たせなかったが,それは宿題ということで.課題があるから登山は楽しめる?

帰りの道中では久しぶりに温泉につかり,別行動となる相方と別れひとり下道でつくばへ帰ったのでした.次はどこに行こうかね~~

szt


谷川岳・一ノ倉沢4ルンゼ

2018年10月22日 00時58分06秒 | 山行速報(アルパイン)

2018/10/13 谷川・一ノ倉沢4ルンゼ


~ 山行前の回顧録 ~

山行の数日後に込み入った仕事が控えていて、念の為にと前日同僚と仕事を共有。
これで大丈夫。と安心した反面、

「あれ?これってなんか身辺整理?」

と思い至り、少しだけ嫌な予感があったのだけれども、パ-トナ-には黙っておくことにした。

- おしまい -


紅葉シ-ズンの谷川。
ロ-プウェイの駐車場は夜間閉鎖のため、臨時駐車場は夜明け前から相当な賑わい。
続々とヘッドランプが隊列を組んで進んでいく。
これはもしや、たいへんな混雑かも。

ヘッドランプが暗闇を切り裂くこの感じ。
あの頃のような高揚も意志もないけど、やはりこうでなきゃ。

マチガ沢あたりで前後を行く灯りもなくなる。
「警笛ならせ!」の道路標識を過ぎると、眼前に広がる一ノ倉の舞台。

2ルンゼ、3ルンゼとトレ-スしたならば、やはり次は4ルンゼ。
本谷バンドを渡って上部に抜ける計画。
初イチノクラのkojくんとsztmさんと。

テ-ルリッジはいつも通り。
秋空に紅葉も映えるが、「紅葉アタリ年」ではないみたい。

前日の雨の影響もあり烏帽子スラブは結構濡れていた。
南稜テラスまで、烏帽子奥壁の取付き確認などsztmさんは予習に余念がない。
kojくんはテンションが高め。
sakも初イチノクラのときは興奮したなぁ、と郷愁。

本谷バンドをロ-プを出してトラバ-ス。
トラバ-スしてたら、下部からパ-ティ-が上がってきて、本谷の雪渓が消えた事を知る。

自身、下部は以前登っていることもありノ-マ-ク。
今年は春先に残雪が多いとの情報が頭に残っていて、情報収集もしていなかった。
kojくんは下部の幻の大滝に興味がありそうだったので申し訳なかったなと反省。

F滝はいつも水量がショボショボだけど、今日は水流多め。
左を巻き気味にリッジにを行く。

F1はガイドでは右からとあるけど、支点が見当たらず不安なので、sztmさんには確実に支点のある左草ルンゼを上がってもらう。
後続は水流沿いをフリ-で我々を追い抜いて行った。一番合理的なのかもしれない。

後塵を拝し、あわてても仕方ないのでここで休憩。

F2は水流左。
F3も水流左。
完全に沢登の世界だ。

F4に着くと、先行パ-ティ-が登り始めたところだった。
しばらく様子を伺う。
ル-トは明瞭だが、確実に濡れる。
しかも頭から水流を被っている。


~ 核心部での個人的な回顧録 ~

一段上がってのトラバ-スは支点プアのチョイ怖。

シャワ-となる場面では支点も豊富だが、ヌメっているので慎重に。
早く抜けてぇ-。
と気が急くものの、確実に足を置いて水流を渡るとひと登りで終了点。

しかしながら、支点はボロボロ。
足元の岩にスリング巻いてビレイ。

そしてここからが(心理的な)核心。
とにかく寒い。
寒すぎて、もう下山後のラ-メンのことしか頭に浮かばない。
「家系が喰いてぇ。」

そんな中、セカンドのkojくんがシャワ-登攀で吼えるのを聞いて、「若いっていいな」と”ほっこり”した。

- おしまい -


F5は乾いた右岸リッジを巻き上がり、F6手前の広場で登攀は終了。
思い思いに靴を履き替え行動食を口にするが、寒くて咀嚼がぎこちない。

ここから右手の草付を適当に登っていく。
適当に、というものの時に結構な傾斜があるので、要注意。

草付を登り始めて1時間ほどで一ノ倉尾根の踏み跡。
そこから40分ほどで一ノ倉岳。

「みんな、今日も覚悟してね♪」

抱返り沢に続いて、ヘッデン山行が濃厚。
kojくんは2度目の会山行ながら、「ヘッデン率100%」
それよか、バテないんだから凄いよねぇ。


~ ヘッデンについての回顧録:sakの場合 ~

ヘッデン山行を指折り思い起こすと、”マイベスト山行”がズラリと並ぶ。
それらに共通するのは、「出し切った」と思える爽快感。

苦しい思いは誰しもしたくはない。
反面、自身の成長を実感できるのもこういう時なのではないだろうか。

それが「苦闘の美味」かと思う。

- おしまい -


ガスが濃くなる中、明るいうちに肩の小屋。
ヘッデン頼りでの岩場下降を嫌って、下山は天神尾根から田尻尾根。
これは、大アタリ。
さしたる困難もなく、肩の小屋から2時間半で下山。

ヘッドランプが暗闇を切り裂くこの感じ。
繰り返しの日々も、孤独と戯れる時も
あの頃のような高揚も意志もないけど、今も僕を歩かせる。
やはりこうでなきゃ。

sak

 

~・~・<感想>~・~

 去年登ったのは幽ノ沢だったので,一ノ倉に来たのは2年ぶり.なんだかんだで今年は4ルンゼを登り,結局毎年谷川の岩壁を楽しめているのは間違いなくsakさんのおかげです. 今回は骨のあるピッチをすべてフォローだったので楽させてもらいました.

 F4のトラバースをしているときに,数年前の二ノ沢の大滝と同じような冷た~い水を浴びるピッチのリードを振って申し訳なく思っていましたが,計画を立てたのはsakさんなので大丈夫っしょ!と勝手に一人納得してました.

 チャンスがあれば来年以降に,本谷下部から4ルンゼをつなげに来られればいいかなぁなんて思ってます.その時のパートナーはkojさんはじめ期待の新人さんたち...かな?

szt(m)


白馬岳主稜

2018年05月12日 21時25分08秒 | 山行速報(アルパイン)

・ 期間:2018年4月28日

・ メンバー:sasa、S田

・ アクセス:自家用車、4月26日に白馬岳線交通規制解除により猿倉まで通行可

・ コースタイム:6:05猿倉-7:45白馬尻小屋-11:00八峰-14:40二峰-15:30白馬岳山頂-15:55白馬山荘-18:15白馬尻小屋-19:00猿倉

・ コース状況及び危険個所:

白馬尻小屋付近で左側の沢筋からデブリあり。

尾根末端からの登りはトレースがあり、踏み跡が階段状になっていた。

八峰への登り、その後も五峰あたりまでは、ところどころで雪が割れていて、ブッシュや脆い岩が出ている。

雪が大きく割れているところは、雪の段差があったり雪と斜面との間に隙間があったりして、通過するのに苦労した。

雪割れ箇所では雪があるところを辿って迂回する、跨ぐ、出ているブッシュや岩を伝うなどして通過した。

八峰、六峰~五峰あたりではテントが張れるスペースがあった。

頂上直下の急雪壁にも踏み跡はあったので、なるべく登ってから50mロープを使用した。

今回使用しなかったが、左側の岩にハーケンが2本あった。

大雪渓の下りは昨年2017年の同日昼頃に雪崩事故が起きているので、特に雪の緩んでいる昼の時間帯に通過しないこととした。

・ 記録:

白馬尻から大雪渓を横断し、尾根末端より取り付いた。

白馬尻方面がよく見える。

日差しが強く、暑い。半袖で登る人もいた。

テーブル状になっている雪でひとやすみ。

八峰までの斜面で最初に出てくる雪の割れ目は段差が大きく、左からブッシュを伝って通過した。先行パーティは右に巻いて雪のあるところを進んでいた。

八峰前には数張テントが張れるスペースがあった。

八峰越しに主稜ルートを眺める。

その後も何回か雪の割れ目があって緊張した。

時間の経過とともに徐々に雪は緩み、割れ目自体も下の方に深く切れ込んでいたり、空洞ができていたりと踏み抜く不安がよぎった。

ブッシュや岩、土の出ている箇所では短いブッシュをつかんで土の露出面をトラバースした箇所もあった。

幅が狭かったリ、傾斜が急な雪稜は緊張したが、雪の割れ目の対処の方が怖かった。

昼を過ぎると雪が緩んでいるのがはっきりとわかった。

六峰辺りから上には、3パーティがテントを設営していた。

二峰から頂上方面を眺める。

 

二峰には14:40頃到着。1張ツェルトが設置されていた。

日が陰り、緩んでいた雪面が固くなり始めた。

頂上直下の60mの雪壁にも踏み跡があり、なるべく登ってから50mロープを使用。

スノーバーで支点を作った。

結果として頂上より約30m下に支点を作っていたようだった。

同じく約30mのところで左にある岩にハーケンを2本発見。ハーケン周辺の踏み跡なし。

頂上へのピッチ後半は傾斜がさらにきつくなるが、雪庇はなかった。

 

頂上からは主稜がよく見えた。

頂上は風が強く、長居はできない。

白馬山荘は4月28日から営業開始だが、レストランはやっていないようだ。

大雪渓は凹凸があり、表面が固くなりかけていることからシリセードするとお尻が痛い。

スキーのシュプール箇所は特に表面が固く、スリップに注意した。

白馬尻小屋地点にはテントが数張あった。

(S田)


湯俣から北鎌尾根、小槍から槍ヶ岳 継続登攀

2017年10月19日 21時59分59秒 | 山行速報(アルパイン)

・ 期間:2017年10月7日~10月9日

・ メンバー:sasa,S田

・ アクセス:自家用車、七倉~高瀬ダム上までタクシー利用(2,100円/台)

・ コースタイム:

10/7 7:45七倉-8:10高瀬ダム-11:05湯俣-14:10千天出合-17:20北鎌沢出合

10/8 4:35北鎌沢出合-6:40北鎌のコル-9:35独標-13:20北鎌平-14:15槍ヶ岳-15:00槍ヶ岳山荘-15:25小槍取付き-17:25槍ヶ岳-18:15槍ヶ岳山荘-20:35水俣乗越-23:30北鎌沢出合

10/9 8:30北鎌沢出合-11:30千天出合-14:00湯俣-16:15高瀬ダム上-16:30七倉

・ コース状況及び危険個所:

1)湯俣~北鎌沢出合

雨の影響で水量が多く、渡渉にはストックを使い、スクラムで行くことがあった。

2)水俣川出合の吊橋からの巻き道

巻き道は川から高い位置にあり、ザレた足場の悪い箇所を通る。

何箇所目かのザレたトラバース道でトラバースするロープと河原へ続くロープの両方が出てくる。ここで下りても先へ進めるようであれば下りたほうがよい。トラバースすると、その後河原へ降りるのに灌木を伝いながら苦労して下りることになったからだ。

3)千天出合の高巻き

大高巻か小高巻かで2ルートあった。目印は赤布(大高巻)とフィックスロープ(小高巻)で、両方とも右岸にてほぼ隣接している。

往路小高巻は見るからに悪そうだったため、大高巻を選択。大高巻は踏み跡を辿って上がった尾根から踏み跡が不明瞭。尾根からは熊笹を藪漕ぎしながらルンゼ状をトラバースして尾根伝いに下ると小高巻ルートに合流した。河原への下り口に赤布あり。

帰路は小高巻ルートを通った。道はかなり不明瞭であり、狭く、崩れているところもある。目印である赤布が色あせて木や葉と紛れてしまっていた。往路で大高巻ルートを進んだ時は、ある程度トラバースしてから小高巻ルートに合流したおかげで悪い箇所を通らずに行けたものと思われる。

4)北鎌沢出合~北鎌のコル

北鎌沢出合からしばらくの間は水が流れていた。

5) 北鎌尾根_独標直登ルート

取り付きへは切り立ったピナクルを天上沢側からハイマツを踏んで回り込むと、頭上に古いスリングが下がっている。ここでロープを出した。スリングが下がっているチョックストーンを超える箇所が悪かった。

6)北鎌尾根_P14周辺

P14手前にある白くザレたピークの所ではロープを出して登った。ロープは20mもあれば間に合うと思われる。

P14の登りはザレているので直登せずに千丈沢側を少しトラバースしてから尾根へ戻った。ガレ場が多く怖い思いをしたので、トラバースせずに直登した方が良いと感じた。

7)北鎌尾根_槍ヶ岳穂先直下

下部チムニーを右側から回り込んで登り、上部チムニー付近ではスリングに誘われて右へ行ってしまった。その後、左へルートを取り直し山頂へ上がった。

8)小槍~槍ヶ岳

小槍からの懸垂下降では50mロープ1本だと、足場の安定したコルまで少し足りない。残地スリングを利用してコルへ降りた。

曾孫槍、孫槍のピッチには中間支点が少ないためカムでランナーをとった。各ビレイポイントはしっかりしている。

孫槍を過ぎ槍ヶ岳頂上までのピッチは、50mロープだと長さが少し足りないため2ピッチで登った。

・ 記録:

1日目:10月7日 雨 一時くもり

 

水俣川に架かる吊橋
今回、1名は渓流シューズ、1名は月星ジャガーシグマの装備。

  

水俣川出合の吊橋からの巻き道
ザレた足場の悪いトラバース道

水俣川
ロープがたくさん垂れ下がるへつり 

 

千天出合から少し手前の右岸_大高巻入り口
小高巻ルートが見るからに悪そうだったため、大高巻ルートを選択した。

P2入口
千天出合の高巻後左岸に渡渉して少し進んだところにあった。
テン場があり、木の幹にピンクテープが巻いてある。
近くにはレリーフもあった。

北鎌沢出合
目印にケルンがあり、周囲はテン場。
この日は7張ほどあった。

2日目:10月8日 晴れ

北鎌のコルへの最後の草付き
2,300mを過ぎた所にある二又でピンクテープのない右側の沢を進んだ。
あとはコルと思われる場所を目指して、登りやすい所を選んで登った。

北鎌のコル
ピンクテープの左側の沢も尾根道に行くが、北鎌のコルへ行くなら赤布と沢筋の方向に注意したほうがよい。

  

独標付近からの北鎌尾根全景
「北鎌尾根は基本直登、回り込みは千丈沢側」の方針で攻略。

独標取り付きから上を見る
最初が悪いが、そこを越えるとザレているが登りやすい。

白いザレの登り
P13~P14あたりの白いザレ場はヒヤヒヤする。

P14はザレているので直登せずに千丈沢側を少しトラバースしたところ
傾斜のあるガレ場

P15の尾根に登りあげる。

P15のレリーフ

 

穂先下
最後の直登。下部チムニーは右から回り込んで登った。
上部チムニー付近ではスリングに誘われて右へ行ってしまった。1段登った後左へルートを修正した。

山頂からの槍ヶ岳山荘方面
3連休の紅葉シーズンのため、登山客でにぎわう。

槍ヶ岳への登山道よりルンゼを下る
小槍基部と同じ高さまで下り、トラバースする。

 

小槍基部
カンテを登り、途中からクラックを目指してフェースをトラバースする。このフェースにはハーケンが3ヶ所あった。
身体ごと入れるクラックを抜けた先にしっかりとした支点がある。さらに5mほど上部にもしっかりとした支点がある。ここが懸垂下降の支点でもある。

小槍からの懸垂下降
小槍から降りてきた時点で16時を過ぎていたが、続行することにした。

孫槍のフェース
小槍・曾孫槍が見える。

孫槍ピークからの眺め
雲海に沈む夕日

 

孫槍ピナクル
ここから大槍取り付きまではフリーでクライムダウンした。

大槍への1ピッチ目

槍ヶ岳山頂
頂上に打ってあるリングボルトを確保支点にした。
なんとか明るさが残っているうちに登頂することができた。

槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳山荘より水俣乗越まではしごが多く、水俣乗越からは傾斜のきついザレ場。
ザレ場の下りでは踏み跡が出てくるまで気が抜けない。

3日目:10月9日 晴れ

テン場周辺の紅葉
1日目の沢装備は乾いていないため、着るのがつらい。

 

千天出合の高巻後、振り返る。
写真左にフィックスロープの小高巻ルートがある。

水俣川出合にある吊橋近くに続く高巻へロープを伝って上がる。

 

水俣川の紅葉
湯俣到着後は早足で下山。高瀬ダム16:15到着。
高瀬ダム~七倉間のタクシー通行時間はこの時期6:30~17:00だが、高瀬ダムに待機しているタクシーは16:30七倉に引き上げるそうだ。間に合ってよかった。
(S田)

 

 


谷川岳 幽ノ沢左俣 滝沢大滝

2017年07月18日 21時27分23秒 | 山行速報(アルパイン)

 

2017/7/15(土) 天気:晴れ

メンバー:sak,szt

 

 sakさんに7/15の沢登りの希望をメールで聞かれ,返した内容が,,,

 

~ がっつり登攀系を希望。

  ハードな感じ,嫌じゃないです。 ~

 

なんてしてみたら,出てきた計画が幽ノ沢滝沢大滝.よくよく情報を集めてみると,なんだか大変そうな予感...

おまけにすごく暑そうだし,雪渓処理が気になるし,実は竜喰谷に行く前から少し緊張していたのです.

 

 3:30に白毛門の登山口駐車場に待ち合わせ,自分の車は残置してベースプラザの駐車場へ向かう.予定通り4:00に駐車場を出発.旧道を進み一ノ倉の出合で装備を付けて,幽ノ沢の出合には5:25到着.これから向かう滝沢大滝が黒い筋の中に一本の白い線となってよく見える.

一ノ倉沢は何度か来ているが,私にとっては幽ノ沢のデビュー戦.この時期ならさすがに出合から雪渓はないよね.

私の足回りはアプローチシューズ.今までのアクアステルスと違い濡れた岩のグリップはイマイチなので慎重に進む.

10分もかからずに登ったところで左岸から展望台への藪漕ぎが始まる.少し先には雪渓が見えている?

藪を漕いで展望台には6:00頃に到着.これから進む左俣がよく見える.雪渓だってドーンと残ってますぞ.

二俣をめがけてやや右に回り込むようにして藪を下り,適当な灌木を使って懸垂下降で二股に降りる.

二俣から左俣に入り,しばらく沢筋を行くがすぐに右岸の藪を登ることに.ここらへんの藪漕ぎは,前日の睡眠時間の少なさと当日の蒸し暑さ(藪の中だと余計に暑く感じる)で正直なところ体力を奪われる.体力落ちたな~..

雪渓にうまく乗れそうなところで藪から谷へ向かってトラバース.小休止の後,軽アイゼンをつけひとまず雪渓を大滝に向かって詰めてゆく.

滝の基部まで向かうものの,雪渓はクラックが入りまくりで危ないのでもう一度下って左岸のリッジ沿いから取り付きへ向かう.正直この雪渓の処理(特に下り)が道中で一番緊張した.自分の持っている軽アイゼンでは雪渓の移動はちょっとおっかない.今後は対策を考えねば.

岩に降り立ってしまえば,乾いていて一安心.ただ雪渓があるから感じないのかもしれないけど,秋なんかはここらへん意外と怖いのかも??

とにかく取り付き目指して滝の基部へ向かっていく.

安定したところで,ロープを出し,クライミングシューズに履き替えていよいよ登攀開始となる.時間はだいたい8:20頃.

1P目 リード sakさん

今回の計画はsakさんなので,トップバッターはもちろんsakさん.

フォローで続く私.それにしても,雪渓上部は乗っかれないよね~

 

2P目 リード szt

岩はよーく乾いている.支点のハンガーが打ってあるところからやや左に登りやすいところを登っていく.途中,岩角や灌木でピンを取り,ほぼ50mいっぱいロープを伸ばす.よーく探せば3P目の凹角下にハーケンがあったようだが,わからなかったのでやや左の灌木で支点をつくる.

50m伸ばすとフォローの人も小さいな~

見上げてルーファイ.中央やや左に見える凹角を登るのか?

コンディションがいいからか特に怖さは感じない.いまのところは余裕あり.

 

 

3P目 リード sakさん

よーく見ていくと,凹角の基部にいハーケンらしき光るものが見える.支点からはやや右にトラバース気味に登り,凹角目指して登っていく.途中にはハーケンがあり,一か所いやらしいポイントはさらにハーケンを打ってこなしていく.

ロープは15m近く余っていたが,ハーケンが連打しているところで一旦ピッチを区切る.結果的にはこれ正解でした.

こうしてみると,立ってますよね~

 

4P目 リード szt

ピッチを区切ったところから5m程登ると,ちょうど腰の辺りにきもーち軽い音の岩の塊がある.ここに足を置くと楽なんだけれど,体重を預けてこんな岩の塊が落ちてパートナーに直撃したらひとたまりもない.フットホールドをいろいろ探して何とか岩の塊に体重を預けすぎないように突破して体を上げる.

体を上げてみるとハーケンが何本か出現する.リッジを左に回り込みもう少し登ると古いリングボルトが一本ある.下から繋げてたらこれでビレイ?ハーケン打てそうなところもないし,短く区切って正解じゃね??と思いながら高度を上げる.

ルーファイで少し迷うが右の滝の落口にも,左のフェイスにも行けそうなところの灌木で支点構築.

 

5P目 リード sakさん

滝の落口に向かって右へトラバース気味に登る.特にこわいところはなかったように思う.落口からさらに7-8mほど登った安定したところでビレイしてここで一旦ロープをしまい,靴もアプローチシューズに履き替える.

滝の落口で喉の渇きを潤す.そこからビレイポイントをパチリ.

 11:00小休止して写真撮影.ちなみに滝の落口はこんな感じ.

そして落口から上部はこんな感じ.

左岸の登りやすいところを歩いていくと,こんな滝も出現する.

ここも滝には拘らず,左岸の歩きやすいところを歩いていくと二俣?が出現.

左の雪渓が見える方ではなく,正面に見える水線に沿って時に藪を掴みながら登っていく.

でこちらが右俣?の水流.果たしてこれが滝沢なのかはもうよくわからない.

右俣?を詰めていくと雪渓の残る谷に近づいていく.堅炭尾根は右側だから適当なところで枯れた凹角を頼りに堅炭尾根方面へ向かって歩いていく.下の写真では右の岩と笹藪の境目を登っていく感じ.

草原のような感じになってきて,堅炭尾根はすぐそこだ.

途中綺麗な花が咲いていたので,花の名前はよくわからないものの写真を撮りながら堅炭尾根を目指していく.

13:10堅炭尾根に到着.装備を外し大休止してホッと一息.

その後は中芝新道を歩いて一ノ倉岳へ向かい,トマの耳を15:30に通過.

高度が上がって尾根を歩いているときはガスがかかって陽射しはないものの,滝を抜けるまでの暑さや久しぶりの藪の処理が重なって疲労困憊でした.いや~体力落ちてるよね.

それにしても,稜線沿いは花がとってもきれいでした.名前はよくわからないけどご覧の通りで,,,

この時期は,こんなに花が綺麗なのですね~.ただ暑いからここまで来るのが大変だけど.

西黒尾根を下り登山指導センターに着いたのが19時過ぎ.久しぶりの谷川岳バリエーション,体力的にはなかなかの歯ごたえでした.

 

szt

 


剱岳 本峰南壁 A1・A2

2016年09月22日 23時19分44秒 | 山行速報(アルパイン)

日程:2016年9月16日~18日

メンバー:sasa,S田

コース
9月16日:扇沢-室堂-剱沢キャンプ場
9月17日:剱沢キャンプ場4:00-平蔵のコル6:00-A1取付き7:00-剱岳10:00-平蔵のコル10:30-A2取付き11:00-剱岳13:20-剱沢キャンプ場16:00
9月18日:剱沢キャンプ場-室堂-扇沢


岩登りを始めるきっかけとなった場所が剱岳の本峰南壁。
去年入会したS田さんも剱岳の本峰南壁がきっかけとなったみたいだ。
連休の後半は天気が崩れる予報なので、17日のワンチャンスで源次郎尾根から本峰南壁A1を登る計画で現地へ向かった。

16日、扇沢の無料駐車場からのんびりと9時のトロリーバスで出発。
室堂から夏道を歩くのは本峰南壁A2へ行った以来、実に20年ぶり。
当時の記憶はすべて無くなっているので、まるで初めて来た山を歩く感覚だ。
剱沢キャンプ場にテントを張り、雪渓の状態を確認するため剱沢を下り平蔵谷出合まで偵察に行く。
平蔵谷出合の雪渓はズタズタに割れていて、源次郎尾根に取付くことはリスクが高く不可能と判断した。
源次郎尾根は諦め、明日は本峰南壁A1・A2に計画を変更する。

17日、3時30分起床、剱沢キャンプ場を4時に出発。前剱の登りで薄明るくなり5時にはヘッデンを消して歩ける。
平蔵のコルに余分な物をデポし身軽になって雪渓の無い平蔵谷のガレ場を下る。
岩棚のあるA2の取付きを確認してから、さらに30mくらい下りA1の取付きへ。

1P目、フェースからもろいチムニーを越えた場所で一旦切る。ロープで落石を誘発したり、ハーケンが少なく岩を掴めばグラつくので緊張する。
2P目、右に回り込んでから灌木を掴んで登り凹角の基部へ。ルート図の1P目終了点に着く。
3P目、凹角から左のリッジへ。上部にはハーケンが多いので快適に登れる。
4P目、リッジから緩傾斜のハイマツ帯を抜け岩峰の基部まで行き、岩にスリングをかけてビレーする。
5P目、フェースからリッジ。ルートから外れないようにライン取りに注意。
6P目、易しいリッジ歩き。岩峰の基部にたどり着くとロープがまだあるのでフェースをひと登りしてからピッチを切る。
7P目、リッジを左から巻いてリッジへ。
8P目、易しいリッジ歩き。ここからコンテで踏み跡を10分くらい歩き、剱岳頂上の祠へとび出て終了。

剱岳頂上には10名くらい。今日の夕方から雨の予報なので連休にしては少なめだと思う。
すぐに下り始め、ハシゴがあるカニのヨコバイでは4名ほど順番待ちをしていた。
この辺で懸垂下降で降りられそうな場所を探すと左側に使われていない登山道跡がある。
下には登山者がいなかったのでここをクライムダウンで降り、カニのタテバイ登り口に出た。
平蔵のコルで軽く飲み食いしてから平蔵谷のガレ場を下りA2の取付きへ。

1P目、凹角からフェース。スッキリした岩で快適に登れる。
2P目、易しいリッジから岩の基部へ。
3P目、リッジ。いろんな所にハーケンがあり、ルートが分かりにくい。
4P目、リッジ。リッジの右側を登る
5P目、易しいリッジ歩き。ここからコンテに切り替えリッジの右側を巻いてからリッジ上に上がる所で簡易ビレー。リッジ上に出たら踏み跡があるので歩きやすくなり、10分くらいで剱岳頂上。

本峰南壁は全体的に岩が脆く、ビレー点のハーケンはほとんど効いていない物や浅打ちハーケンが多い。
一見どこでも登れそうな岩場には、ルートから外れた所にハーケンが目立つのでルート図をしっかり見る必要があると思った。

剱岳頂上には3名くらい。ガスが湧き視界が悪くなりはじめた。平蔵のコルに着くと雨が降り出し、雨具を着込んで下山する。
剱沢キャンプ場のトイレにロープやガチャ類をデポしてテントへ戻った。

18日、雨の中テントを撤収し剱沢キャンプ場を出発。登山道はちょっとした沢になっている。室堂に着いた頃にはパンツまで濡れていた。

 

紅葉が始まる室堂

剱岳 本峰南壁

平蔵谷出合の雪渓はズタズタで非常に悪い状態

平蔵のコルから平蔵谷のガレ場を下りA1の取付きへ

1P目、もろいチムニーを越える

2P目、灌木帯

3P目、凹角から左のリッジを登る

8P目、易しいリッジ歩き

剱岳頂上と祠

カニのヨコバイとカニのタテバイの中間にある旧登山道をクライムダウン

A2の取付きへ

1P目、スッキリした岩場を快適に登る

3P目、ルートが分かりにくい

4P目、リッジ沿いに登る

雨の中、剱沢キャンプ場へ戻る

 

 

 


谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁 凹状岩壁

2016年09月13日 22時05分36秒 | 山行速報(アルパイン)

2016/9/10(土) 天気:晴れ

メンバー:W辺,szt

 

 前週に続き谷川岳.今回のパートナーは5月に中央稜を一緒に登ったW辺さん.私のリクエストは変チ,中央カンテ,凹状のどれかでお願いしたら,凹状に行きましょうということで今回の山行が実現した.

 3:30起床で4:00ベースプラザ駐車場を出発.5:00に出合に到達しハーネスを装着.ここまでは一番乗り.他のパーティがいないのが不思議であった.

取り付きに向けて出発するが,先週に比べ岩の湿り気が増していて靴が止まらない.テールリッジを登って行っても気が休まらないし,疲労度は先週の比ではない.週の半ばは台風が来ていたし,晴れたのだって昨日くらいだからそういうことなのだろう.

6:58中央稜の取り付きに到着.だいぶ気を使って登ったのでとても疲れた.ここで一休みしていると,2パーティ登ってきた.ダイレクトカンテ,中央稜に行くみたいなので我々のルートにはあまり関係なさそうで一安心.

たっぷり休んで重い腰を上げ,凹状岩壁の取り付きに向かい7:45いよいよ凹状岩壁の登攀開始である.

1P目,リードW辺さん.右へバンドをトラバースし左上していく.トラバースではハーケンがあるが,左上していくラインではハーケンなど全くなし.私はセカンドで登ったが,恐ろしことこの上ない.W辺さんよく登るよな~と思っていた.

2P目,リードszt.登りやすそうなところを上がっていくと,中央カンテに分かれるペツルの支点がよく見える.それにしても事前の情報通り浮石が多い.下に落とさないよう気を付けないとな~

3P目,リードW辺さん.凹角上の立った壁の基部まで.ここら辺の記憶はあまりなし.特に厳しくも感じなかった.セカンドだから当たり前か?

4P目,リードszt.もともと今日の岩のコンディションは微妙に湿気っているのであったが,凹角だけあって岩の濡れかたもひどい.おまけにプロテクションは見当たらないし,上に行けばどんどん立ってきそうだし,登る前から嫌な感じ満点である.

とはいえ,まぁ行くかという感じで登る.予想通り岩は濡れているし,ランナウトしているし,そのうえ岩は動くし,とにかくおっかない.ここで足を滑らせれば大けがは間違いなさそうだし下手したら...とにかく集中して登っていくと途中リングボルトが見つかってようやくヌンチャクをかけられた.

一息つけたといいたいが,リングボルトなんて埋まっているのはごくわずかなことを思い出す.とにかく集中して丁寧に足を探しながら登り,ハーケンを見つけて2本目のヌンチャクをかける.ふぃ~,支点まで集中集中と心の中でつぶやいて,何とか立った壁を抜けられた.

5P目,リードW辺さん.ここだって岩はグズグズな感じである.おまけにハング越えはどうやって登るんだ?W辺さんは直上してハング手前を右にトラバースしていたが,トラバースに使ったフットホールドなんて信じられるシロモノとは言えないぞ?

リードで抜けたW辺さんを尊敬するとともに,全く気の抜けないルートである.

6P目,リードszt.事前に考えていたポイントはここかと思っていたピッチ.

見上げれば崩壊跡がありのっぺりとしていてどこがルートかちっともわからない.カンテ沿いに行くとⅢ級だがランナウトするらしいが,そのカンテがどこなのかよくわからない.

ひとまず支点から右へトラバースし,トポに書いてある通りリッジを超えて凹状を登るつもりで行ったのだが,ここでルーファイミス.よくよく考えれば藪だらけなのだからわかるはずだが,トポの文章を気にしすぎておそらくカンテを超えてしまい,ルートを外れてしまう.5P目までのクライミングで気力を持っていかれたのもあるかもしれない.

岩壁登攀でなく,傾斜の急な藪山登りとなってロープがいっぱいになったところで灌木ビレイ.

それにしたって足元は全然安定しない.

7P目,リードW辺さん.ひとまず正規ルートは左の方にあるはずだから,目印となる灌木めがけて藪を左上しながら突っ込んでいく.W辺さんごめんなさい.

目指した灌木は正規ルートの支点にする木であったようで,本来のルートに戻った雰囲気に少しホッとする.上を見ればクラックがあり,ハーケンも何本か目視できる.今までのことを思えば天国にいる気分.

8P目,リードszt.事前の情報通り岩は今までに比べしっかりしていてとっても安心できる.でもここまでのタフな登りでココロはよれ気味なため,出だしのスラブは体が思うように上げられない.気持ちを落ち着けて左の灌木にスリングをかけ,クラックに取り付いていくがここも微妙な感じでかぶっている.ハーケンが連打されているからそれほど恐怖感はないが,ココロがよれているから体もヨレヨレの呈である.

ムーブ的にはどうってことないが,最後の最後でけっこうしんどかった.詰めていけば凹状岩壁の終了点に到着したのであった.

結局終了点にたどり着いたのは12:30.ルートを外れた割にはまずまずなのか?

ここで水分補給&栄養補給をして谷川岳方面を眺める.今年はここら辺に5回も来てるんだな~

ひとまず終了点まで来たら,最近抱えていたちょっと悲観的な考えやココロのわだかまりやモヤモヤしていた気持ちがストンと抜け落ちて,やけに前向きになっている自分がいた.

何だこれ?大げさかもしれないが,必死の思いで登ってきてケガなく無事でいられることを喜んでいる自分に気がついたとでも言うか...

とはいえ安全圏にいるわけではなく,下降が残っている.下降は中央稜で行くか北陵で行くか迷ったのでひとまず中央稜の終了点まで移動することに.中央稜の終了点の移動までだっておっかないのだ.

下降路は相談して13:00頃より中央稜を降りることに.下降の途中で凹状岩壁のルート取りを振り返る.明らかに右へ回り込みすぎだよな~,,,

中央稜の下降は順調に進み,14:00には中央稜の取り付きに到着.

ふと横を見れば,ダイレクトカンテを登っている.

テールリッジの下りは朝に比べれば,幸せなフリクションにあふれている.なんてステキなんでしょ.

出合までは先週と同様にヒョングリの滝を下って行ったのであった.

順調に下って出合には16:30に到達した.

場合によっては死ぬかもしれないことをしているのにこの清々しさは何だろう?やっぱり今の自分は谷川岳に呼ばれているのだろうか?いずれにしても自分の頭のネジは何本か外れているようだ.外れていたってそれがどうした.今の自分には,一ノ倉の壁のいくつかのルートに挑戦しないと生きている心地がしないようなのだ.

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