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acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

五頭・大荒川本谷

2023年09月15日 21時37分01秒 | 山行速報(沢)

2023/8/27 五頭・大荒川本谷

やっぱり沢は好い
そう思える一日だった

・・・・・・・・・・・・

前夜、茨城から五頭・魚止ノ滝駐車場まで
下道をノコノコと行くので流石に遠い

続く熱帯夜
途中、道の駅で寝る気になれず、登山口まで
ここまでくれば幾分過ごしやすく、幕を張って就寝

駐車場から登山道を行く
登山道が左折するところから直進する踏み跡に入る
途中草藪に埋もれているが迷うようなことはなかった

堰堤上で装備をつける
今日は久しぶりにsztさんとの沢登
気心知れたパートナーとの山は良い
数年ぶりのことであっても、あの日の奮闘は鮮明に残っている

大荒川本谷は中規模ながらゴルジュと滝が続く
途中のシャワークライミングや泳ぎが楽しい所

入渓点からいくつかの滝を問題なく超えていく
森の中なので、清涼感抜群だった

右に小倉沢を見送った先の8m滝は登れるらしいが、落ち口に流木が堆積して庇状となっているため右から小さく巻き、懸垂下降で沢床に戻る
この後も泳いだり、へつったりして楽しい

小ヤゲンは最初の滝を水流左から行く
その先はチョックストンが二段になって流れを落としていた
右壁に古いリングボルトもありトポにもあるように右壁~リッジへと抜けるのがルートだろうと見立てて取付いた

しかしながら、近くで見るとリングボルトは寂れリングが途中で欠けている
いやはや
仕方ないのでこれをスルーして右に見えるハーケンを使う
右壁のフェイスをクリアしてリッジに乗るが、ここからは支点もなく数歩が悪かった

リッジの立ち木に至れば一安心
しかしながら岩は脆いので注意が必要
30mロープで2ピッチ


【大荒川本谷へ入渓される方に”お願い”】

小ヤゲンの登りでウェアラブルカメラを落としてしまいました
滝場を登り終える直前だったので、どこまで落ちたかは不明です

落下した先を覗いてみましたが、寓話「ヘルメースときこり」のようにヘルメース神が現れることもなく
涼やかな風が吹くだけでした

もし、この付近で「GoPro7」を拾得された方がいらっしゃいましたらご一報ください

【以上、個人的なお願いでした】


終了点から川床へは藪伝いで戻れる
辺りを観察するとコル状から古いロープが下がっており、小ヤゲンは手前から大きく巻くことができるらしい

この後も小ゴルジュを飛沫を浴びながらも楽しい遡行が続く
スグノ沢手前の3mは通常巻くようだが、sztさんが細かいスタンスに乗ってクリア
後続のsakはお助けを投げてもらう

沢登りの一場面
なんかいいよね、こういうの

いくつかの支流を見送って大ヤゲン
峡谷の小滝を越えると深い釜を持った狭いチョックストンの2段滝
これは手前の右岸小尾根から巻くが、中々傾斜が強いので要注意

藪を伝って川床に戻ると8m滝上
小滝を越えて15m滝はロープを出して右の草付を行く
新タメ沢を分けて現れる2段15mは水流右
この先は沢というよりは溝のように狭まった流れを行くが、なかなか面白い

ム沢を目指したはずが、遡行図と違うナメ滝が断続的に現れる
最終的には面倒になって右岸尾根から巻き上がりそのまま松平山まで軽いヤブコギ
そして山頂にダイレクトに到達するのが、なんとも良い

暑い夏に水と戯れる
下山は山葵山を経由して魚止ノ滝登山口まで


暑い夏
いや、熱い夏はまだまだ終わらない


sak

 

⇩動画も

 


上信越・小ゼン沢~魚野川(中退)

2023年08月21日 21時30分10秒 | 山行速報(沢)

2023/8/10-11 上信越・小ゼン沢~魚野川(中退)

当日の朝
入山口へ向かう途中、尻焼温泉から見た長笹沢川は濁流と化していた
計画に暗雲が立ち込める

沖縄・九州を中心に大荒れとなった台風の影響で、おそらく前日に相当量の降雨があったのだろう
その名残もあってか、山は霧に巻かれていた

当初はガラン沢支流から上信国境を越え、小ゼン沢を下降して魚野川に至る計画だった
しかしあの濁流を見る限り、支流のガラン沢も良くないだろうと鷹巣ノ尾根を辿ることにする

白根開善学校からゲートのある林道を歩き、馬止メ
ここから鷹巣ノ尾根道に入る

霧が立ち込め、湿度が高く汗が滴る
一方、尾根上部では風が強い
流石に寒くて雨具を着込む
このコンディションで沢を目指すのは変り者の部類だな、などと自嘲する

オッタテ峠から小高山方面へ少し下ったころから小ゼン沢へと藪を漕ぐ
5分ほどのヤブコギで沢床

小ゼン沢は滝場もあるが、概ね問題なく下れる
途中、トラロープなどもあり辿る者の多さを知る
山深い魚野川上流部へのアプローチ、そして下部から遡行時のエスケープルートとして利用されているのだろう

群馬県側で酷かった霧も長野県側に入ると時に陽も射し込む空模様
下降して約2時間
ネジレセンの上から左岸のコルを越えると魚野川・燕ゼンの上部へと出る
そして、右岸に小ぶりな幕場地

初めての魚野川
その流れは美麗な中にも芯の強さ、激しさを感じさせるものだった

本来ここから上流部を詰め、南ノ沢を辿って上信国境へと至る計画
しかし、気持ちは揺らいでいた
やはり水量が多い

岩につく苔が水没しているところから察するに平水+15cmほどだろうか


逡巡を交えながらも本流を遡る
幅広の滝やオッチラシの流れにしばし見惚れる

事を決定づけたのは、庄九郎大滝
流れの左を直登とあるが、今日の水量では取付く気にはなれない

左岸ルンゼの高巻きも検討するが、このころから空は鉛色
風も吹き、遠く雷鳴
おそらくは長く続かない一時の悪化だろうと予想はついた
しかし、ここを越えると戻るのも容易ではなくなる

朝見た長笹沢川の濁流が脳裏に過る
たとえ一時の雷雨であったとしても、雨量によっては致命的だ

往路を戻り、燕ゼン上部に幕を張り、今宵の宿とする
沢人の定宿らしく、薪も少ない
紅蓮花を咲かすことなく日が暮れていく

傍らには、結ゆい
酔いも回れば、沢音に揺られながらの転寝
心地よい眠りに勝る癒しはないのかもしれない


明けて今日は「山の日」
ラジオでもそのことを盛んに伝えていた

平日派の私にとって、この日に山へ入るのは初めて
当然、山も混雑するだろうと思った
それでも自然にひっそりと身を置ける場所がいい
そして選んだのが魚野川だった

祝日の前日からこの山深き森の上流部に入る
さすれば望みは叶うのではないか、そう考えてのことだ

とはいえ、昨日は傷心の撤退
今日の遡行継続も可能ではあったが萎えた気持ちは元には戻らない
「山の日」は単なる下山日となった

小ゼン沢を遡りながら、この山旅を思い返していた

冴えない空
増水への虞
華のない夜
そして、挫折

それでも魚野川は孤独と自由にあふれていた
なんてことはない、望みは叶っていたのだ


オッタテ峠目指して水線を辿ると大したヤブコギもなく峠の道標に出た
小ゼン沢を行くなら、コルからよりもこちらの方が早いようだ

鷹巣ノ尾根を下る
一ツ石から見る上信国境には、笹原が伸びやかに広がる
そして遠く、草津の街が見えた


sak

 

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夏休み・沢遊び

2023年08月19日 19時56分10秒 | 会員日記

2023/8/3 夏休み・沢遊び

きっかけは、酔いに任せて口にした息子の一言だった

「登山、結構好きなんだよね」

以前、夏休みに登山や沢遊びへ連れて行ったものだが、
社会人となった今、「山に行きたい」など一言も言ったことはなかった
おそらくは口が滑ったのだと思う

これに呼応するかのように末娘も行きたいと言い出した
そして離れて暮らす娘も参加表明
要望からすると、沢遊びがしたいみたい

目指すのは会津

駐車場から30分ほど歩いた瀞の傍らを拠点とする
子供たちの嬌声と夏の空が融和する

それぞれに仕事や生活を持つ家族全員が集まって、夏休みの行楽
こんな機会はこれから何度あるのだろうか

夏休みの想い出

夏はやっぱり暑いほうがいい
そう思った


sak

 

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尾瀬・中ノ岐沢北岐沢~小松湿原~猿沢下降

2023年07月28日 22時23分25秒 | 山行速報(沢)

前回の沢泊敗退からひと月半

その時に痛めた踵骨腱の痛みが癒える間もなく転勤辞令を受け取り、唐突に単身赴任生活が終わる

荷づくりに引越し
すっかり埋め尽くされた自宅の私的な場所(山道具の収納場所)を確保するべく、難航する家族間交渉

そして、新たな赴任先での新たな業
皆、とかくアジェンダだのファシリテーターだのとカタカナを使いたがる
どうやら「行動計画」「司会進行役」とは一線を画すらしい
あまりに洗練が過ぎて、居心地が悪い
まぁ、いいんだけどさ

そうこうしているうちに梅雨入りし、それも明けようとしている
慌ただしい日々、心中にはあの日叶わなかった沢での一夜が常にあった

夏の日差しが降り注ぐ関東の猛暑をよそに、森に包まれた一縷の流れを目指す
そしてたどり着くのは小さな湿原

そこに惹かれるのは何故だろう
山中にある、ただの湿った草原なのに

 

2023/7/18-19 尾瀬・中ノ岐沢北岐沢~小松湿原~猿沢下降

大清水の駐車場に着いたのは午前一時
平地の熱帯夜が嘘のように過ごしやすく、星が美しい
午前四時半には起床してゆっくり身支度
一ノ瀬行の始発乗合車を見送ってから歩き出す

鳥達の囀りが心地よい奥鬼怒林道を足早に歩く
一時間半ほどで入渓点
背丈ほどの笹藪を少し漕ぎ小沢を下っていく

北岐沢はいわゆる「癒し系」
滝もほどほどに楽しめて、ナメと深い森、そして静かな湿原を巡ることができる
山行の充実度としては少々物足りないくらい
しかしながら、真価はそこではない

遡上すると小滝が小気味良く現れ、右に左に越えていく
足場を選べば、腰を濡らすことはない
途中、小動物がじゃれ合う姿に癒される

しばらく遡るとゴルジュ地形が見えてくる
ここが大滝
奥にも支流の大滝があるらしいが、滝場の入り口からは見えない

下流左岸から岩場を回り込むように越えると滝上に出る
さらに小滝を越えていくと、次第に現れるナメ

1650の二俣(1:1)を誤って左(直進)に入るも、水量の減少に疑問を感じ誤りに気付く
軌道修正して、なおも続くナメに満たされながらゆっくりと歩く

ナメの美しい場所でひと休み
妻が持たせてくれた握り飯には、好物の「たらこ」が入っていた
ほんわかした気持ちと、懐郷心が胸に広がる

1770の二俣に幕場を散見
どれもが平坦、かつ前泊者が集めたであろう薪も残置されている
物件としてはこの上なかった

が、しかし
あまりに整いすぎていて居心地が悪い
時間も午前十一時前

明日は日本海にある梅雨前線が南下するらしく曇天、午後は降雨の予報
早めの下山はもちろんだが、せめて湿原での時間は晴天であってほしい

ここで一考
野趣に杯を傾ける一夜は沢下降で求めることにして、今日は先を目指す

小松湿原はこぢんまりとした高層湿原
池塘が散らばるでもなく、花が咲き乱れるわけでもないそれに
過度な期待を胸に目指せば少々がっかりするのかもしれない

地味故の慈しさがそこにある
それは悠久の時を経て、育まれた場所
実に尊い

黒岩山への径へは藪もなくひと登り
登山道は踏み跡、目印ともにしっかりしているが倒木多く難儀する
まして陽ざしが強く沢に比べて気温が途端に上昇する
ぶな沢を下降予定だったが、たまらず猿沢へと進路変更

猿沢は、さして難場もなく窪を下れば水流が現れる
半ばまで下った右岸に丁度いい広さの台地
山椒魚の採網を見かけたので山人のよき幕場なのかもしれない

今宵はここに宿る

時刻は午後一時半
天幕を張って、薪を集めても日暮れまで時間は余りある

木漏れ日を肴に、昼下がりの一献
傍らには、天栄の廣戸川

ついつい盃は進み、斜陽に沈む
闇に揺らめく紅蓮花に酔うまでもなく、撃沈

こんな日があってもいい
薄暮の空が樹幹に揺れた

雨粒が落ちる音で目が覚めた
時間は午前四時
こんなにも早く降り始めるのかと暗澹たる思いであったが、幸いにもすぐに雨は上がった

手早く朝飯を食し、撤収
いつものことながら、沢靴下装着の儀に気合を込める

深森に、苔生す岩
脳内では国歌斉唱が繰り返されていた

一時間ほど行けば、奥鬼怒林道
あとは大清水まで気軽な林道歩き
道中、蜻蛉の群れに遊ぶ


慈愛と調和

心穏やかになれる場所がある
自分の好物を知っている人が帰りを待っている
これだけで充分、満ち足りる

 

<追伸>

まぁ、いいんだけどさ
ついでに言うならば、沢屋にとって片仮名表記は「ナメ」と「ゴルジュ」で充分
って、言いすぎか(笑)

※片仮名表記は「ナメ」と「ゴルジュ」だけでお送りしました。
 現場からは以上です


sak

 

 

↓動画も

 


福島県天栄村 鶴沼川水系・二俣川左俣~河内川下降

2023年06月09日 14時08分12秒 | 山行速報(沢)

福島県天栄村 鶴沼川水系・二俣川左俣~河内川下降


それは歩き始めて一時間ほど経過したときのこと

-痛恨-

この一言に尽きよう
思わず天を仰いだのは言うまでもない


沢旅の起点は二岐温泉
国道から山中に分け入るように二俣川沿いの道を行くと数件の温泉宿が立ち並ぶ
開湯は969年(安和2年)といわれる古湯、秘湯だ
この先に林道が左右へ伸びており、右に二俣川源流、左に河内川へと続いている

大白森山登山口に車を止めて、二俣川の源流に向かって林道を歩く
樹幹越しの陽光に、蝉時雨が降り注ぐ
梅雨入り前の清々しい朝のひととき、足取りも軽い

 

それは歩き始めて一時間ほど経過したときのこと
御鍋神社手前の広場奥から遊歩道に入り、二俣川へと下る途中のことだった

「あっ!」

沢泊用の食料を、まるっと忘れたことに気付いた
頭の中に冷蔵庫へ入れたままのそれが映像として浮かんだ

予定では、二俣川左俣を遡行し、尾根を挟んだ隣の河内川を下降
途中、山の恵みを享受した一泊で沢旅を堪能する計画だった

この計画はこの段階で心理的に完全敗退だ
しかしここで撤退しなかったのは、この沢旅にまだ残されたものがあると感じていたからだ

使わない泊装備を背負って、日帰りとしては少々長い距離を歩く
その決断に躊躇はなかった

これは試練だ
試練無くして輝く未来はないのだ、たぶん

そう自分に言い聞かす


二俣川左俣は、ナメが断続する癒し系の渓相
途中、ゴーロと倒木がうるさい所はあるものの、滝場は容易で幕営適地も多い
静かに沢旅を楽しめる、穴場といっていいだろう

本流を詰めていけば、やがて水流は消え径形に導かれて登山道に出る
そこからは大白森山が意外と大きく、貫禄の姿
あの向こうに甲子山、そして那須へと稜線が繋がっている

この山域は「那須」と「南会津」に挟まれ、山域ブランドとしては不遇の地といえよう
所在は「福島県岩瀬郡天栄村」に位置するので、この記録をしたためるにあたっては「天栄村・二俣川」と記すこととした

その天栄村に、旧友がいた
かれこれ25年以上連絡を取っていないが、彼は今どうしているのだろう
そんなことを思いながら背丈ほどの藪を漕いで河内川へと下る

河内川の記録は少ない

中流部に「ケムシ」マークが続き、いかにもゴルジュを秘めていそうな期待を誘う
しかしその実態はナメもほどほどにゴーロが目立ち、実に冗長な流れらしい
その遡行評価が記録の少なさ(遡行者の少なさ)に繋がっている

ならば下降に使ってはどうだろう、というのが今回の計画
下部には、馬尾滝と河内川森林軌道跡といった見どころもある
沢旅のクライマックスを飾るには良いのではないか

河内川は最上部の源流から開発の痕跡が濃い
地図に記載のない伐採道が続いていたのだろうか
小型車両がひっくり返って藪に埋もれていた

その後はゴーロが続き、たまにナメ
途中で見た特異な凸岩は「虫刺され跡」のようで、山中で独りツボる

一か所滝場があり、左岸を巻き気味にトラバース
地形図で「ケムシ」のあたりはゴーロながらも両岸が切り立っており、時に支流が美しく落ちる

軌道跡はこの辺りでも見ることができた
埋まるワイヤー、崩れた石積み、鈍く輝く軌道


樹幹に白き飛沫を放つ流れを見る
そして、馬尾滝

天栄村随一の落差を誇る瀑布に見惚れるものの、現在の馬尾滝は本来の姿ではないのだそうだ

その昔、開発とともに電力確保のために発破で流れを変え、水力を発電に利用したという
自然と人の関わりを考えさせられるエピソードだが、私たちの生活はこうして成り立っているのが現実、ということか

滝下から右岸台地にひと登りすると、そこに河内川森林軌道の様々な痕跡が残っている

河内川森林軌道は、昭和二十二年営林署により開業
当初は人力であったが、後に牛力(牛車)軌道となった

昭和四十年頃、成井農林が伐採権を取得し、同時に動力が機械化
自動車のエンジンを流用した自作の機関車だったらしい
そして昭和四十六年頃、廃止

遺されているもの
風化する遺構が、鮮やかに輝く
過去は確かにそこにあった


二岐温泉にて

私は、湯あがりの放心時に思い返していた
かの旧友は今どうしているのだろうかと

携帯端末の画面に指を滑らす
過去を想えば、なんと便利な時代か

すると、その名は電話帳WEB検索に掲載されていた
住所にも見覚えがある。間違いない
正直、ちょっと驚いた

電話帳に名が載る、ということは家督を継いだのだろうなと思い巡らす
そして、悩んだ

悩んだ末、端末の画面をそのまま閉じた
突然の連絡など迷惑だろう、というのは明らかに言い訳だった

本当は怖かったのだ

風化する記憶の中、鮮やかに輝いた蒼き時
それは確かにそこにあった
せめて、鮮やかなままで残したかった

森に見た、鈍く輝く軌道のように


sak

↓動画も

 


越後の「日本」を巡る旅③ -日本平-

2023年05月28日 22時13分32秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

自然と歴史とエトセトラ
越後の「日本」を巡る旅③

2023/5/12 日本平

日本平は下田・大谷ダムの上流、五十嵐川右岸尾根にある
地形図に「日本平」と表記されているが三角点や標高を示すものはなく概ね標高860mくらい

登山道はないが、三条市経済部営業戦略室発行の「下田山塊・山岳地図」に踏み跡・廃道としての記載がある
ネットの記録では、3~5月の残雪を利したものが多い
おそらく融雪の早い今年は、すでに藪に埋もれていることだろう

当然、この日本平を目指すというよりはその先の中ノ又山を目指す記録が多く、その途中の山という位置づけだ

越後の「日本」を巡る旅
三座目はこの日本平で締めくくる

前夜は、道の駅・漢学の里しただ で車中泊
結構な冷え込みで午前4時に気温は1℃

大谷ダム・大江大橋先の路側場まで移動し車を置く
ここから先は通行止め
国道289号(いわゆる八十里越)は数年後、会津側への開通を目指し工事中

舗装路をしばらく歩くと、お先真っ暗なトンネル
トンネルは通過しないなずだなと思い、戻る
周りの景観に見とれながら漫然と歩いていたので、誤って新道方面へと入ってしまったらしい

気を取り直して旧道をいく
道端の草葉に霜が降りている
5月の半ばで、霜か

そうこうしながら、川クルミ沢
右岸にある観測所まで行くとその先に踏み跡が見られる
しばらく行くと目印が現れ、それを辿る

沢を二度渡ると目印も見当たらなくなり、「ルーファイを楽しんでくださいね」という意思を感じる

まずは一段上がって緩傾斜の開けた場所まで
見渡すと日本平に直登尾根とその右に尾根があり、登路の候補となる
直接尾根が正解かなとは思ったが、その途中に谷が切れ込んでいた
そちらに行くには少し戻り、渓を渡らねばならない

右の尾根もなんとか行けそうなので、そちらを詰めあがることにした
途中、岩場もあるが灌木豊富で木登りピッチ
とはいえ、滑り落ちればタダでは済まない急傾斜だ

登り切れば笹と灌木などが茂る、軽めの藪
尾根を忠実に詰めていくと、目印が復活

やはり、本来は直接尾根が正道なのだろう
帰りはこちらを辿ってみることにした

ここからは藪も背丈程度になり本格的なヤブコギ
グレードで言えばⅡ~Ⅲ級くらいだろう
目印も断続的についているので、迷うことはない
途中、少し開けた場所で背後に守門岳が見えた
さすが名山の風格漂う雄大さだ

やがて地形図上の日本平ピ-クだが、ただ藪があるだけ

目印は五平衛小屋、中ノ又山方向へついている
もちろん、山頂を示すようなものはなく、確かめるにはGPSしかない
ここを目指すなんてどんなモノ好きだよ、と言いたくなるが自分のことなので悪態もつけない

光明山、粟ケ岳、矢筈岳、青里岳
下田山塊の同定が楽しい
昨日登った日本平山へも尾根で繋いでいけるのか
縦貫したらスゲぇな

ふと、近くに目を移すと隣に緩やかな頂が見える
地形図を見れば標高は同じくらいで緩やかに繋がっている

この「日本平」の名の由来はネットで検索したが、見つからなかった
しかし、もしかしたらこの隣の峰と「二峰つながった平らな場所」というような意味なのではないか
そんな推察をしてみる

下山は目印を追っていくが、やはり途中で見失う
こんな場面もよくありがちとはいえ、やはり少しは心細くなるものだ

「お-い!」

遠く後方から、そう聞こえた
振り返るが、誰もいない
目を凝らし、耳を澄ますが再びその声を聞くことはなかった

おそらくは、動物や草木のさざめきによる悪戯
こちらの心細さ故の、聞き違いだろう
そうとは思えども、心中穏やかではない
もし妖や山神さまがいるとするならば、「気を緩めるなよ」という呼びかけか

「一声呼び」という怪異伝説もある
返事はせずに、そっとその場を後にした

しばしの彷徨もGPSでの確認を多用して、無事往路に合流
「山神さま、ありがとう」心の中で唱える

舗装路に出れば日差しは夏の如し
清々しい風に吹かれながら歩くのは実に楽しい

越後の「日本」を巡る旅
それぞれの個性を持った山を楽しむ

日本国、日本平山、日本平
そして、笹川流れ、持倉鉱山跡、越後平野
今日の怪異は気のせいだったことにしておく

自然と歴史とエトセトラ
山だけではない、日本のすばらしさを知る旅でもありました

もちろん

初日は「村上海鮮はらこめし」に「燕背油ラーメン」
二日目「下田ごんぼっ葉笹団子」
最終日に十日町で「へぎそば」を食し、この山旅を美味なるもので彩っていた次第です


sak

 

自然と歴史とエトセトラ
越後の「日本」を巡る旅①「下越・日本国」へ
越後の「日本」を巡る旅②「川内山塊・日本平山」へ


↓動画も

 

 


越後の「日本」を巡る旅② -日本平山と持倉鉱山跡-

2023年05月27日 22時46分15秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

自然と歴史とエトセトラ
越後の「日本」を巡る旅②
日本平山

2023/5/11 日本平山

道の駅みかわで夜を明かす
早朝、この地域特有の朝霧が濃い

日本平山への登路はいくつかあるが、一番登られている大須郷(中山道ルート)から歩き始める
幸い、あの環形動物は見当たらない

ゆったりとした傾斜の道を行く
朝露のついた草木で濡れるかと雨具を着て登り始めたがそれほど濡れることはなかった

五十母清水で水分補給
とにかく距離を稼ぐ

人分山へは登山道から30m奥に入る
景色がいいので休憩にはもってこいの場所
山里は霧の海に沈んでいる

その先からは時に残雪が現れる
踏み跡はしっかりしているが残雪に覆われると道を失いやすい
目印はほどほどにあるのだが、本格的なハイキングシーズン前もあって脱落も多い
注意が必要だ

大池は雪に囲まれていた
新緑と残雪、そして水面と空
トンビが空に輪を描いていた

そこからは残雪多くチェーンスパイクを装着。
登山道も雪の下でGPS(スマホアプリ)がないと道迷いしそうだ

残雪に埋め尽くされた季節なら、藪を気にせず上へ上へと向かえば何とかなるが、
所々に藪が出ているから、やはり踏み跡を追うのがベストだ
とはいえ、時に道をロストする

新緑に萌え、事あるたびに見上げてしまう
森の息吹
木々も生き物たちも春を謳歌している

日本平山の山頂はぽっかりと丸い平坦地
雪は解け、山頂標識や三角点、蛙の石祠も顔を出している
どうして山頂の石祠に蛙なのだろうかと、いろいろ調べてみたが明確な解は見つけられなかった
※ご存じの方がいたらご教授ください

「日本平山」という山名は、志賀重昂の『日本風景論』では二本平山と記されており、
二本(ウマの背に2個の荷物を振り分けて乗せる)つけたウマでも通れる平らな山だと伝えられたことから、そう呼ばれていたらしい
それがいつしか「にほんたいらやま」⇒「日本平山」となったのだろう

下山は往路を戻る
とはいえ、雪を積極利用できる場所は尾根の雪堤を拾っていく

春の日
緩んだ雪にチェーンスパイクも通用したが、雪が堅ければアイゼンが必要だろう
特に沢筋をトラバースする場所は傾斜が急で滑落の危険もあるので要注意

下山後、五十母川沿いの林道へと車を走らせる
途中の小広い路側帯に車を置いて、崩落した林道を歩く

向かったのは遺構、持倉鉱山跡

持倉鉱山は、江戸期に会津藩主が奉行を派遣し採鉱したのが始まり
その後、明治三十五年に新発田の寺田助松氏が蛍石を採掘中に銅鉱床を発見
明治三十九年、五泉の実業家・小出淳太氏が寺田氏が得た採掘許可を買い取り、
明治四十一年にはこの事務所と製錬所が山中に建設され、本格的な銅山経営がスタート 

その後、大正八年十月に三井鉱山が買収するも、鉱床に恵まれず大正九年には閉山
戦後は五十島鉱業㈱が昭和三十年代まで蛍石を採掘していた

明治四十一年建設というと1908年だから実に115年の年月がこの建造物には流れている
この豪雪地帯にあって永きにわたり崩落をしつつもこの姿を残しているのは、重厚なカラミ煉瓦によるものなのだろう

独特な紋様をもつそれに時の深さを見る
惹きつけられるのは、歴史と文化
そして、人が暮らしてきた証

 

越後平野の田園を走る

緑の沃野
この風景も受け継がれてきた文化財産

想像で、時を旅する
畦に咲く蒲公英が、やけに黄色く見えた


sak

 

自然と歴史とエトセトラ
越後の「日本」を巡る旅①「下越・日本国」へ


越後の「日本」を巡る旅③「下田山塊・日本平」へ

↓動画も

 


越後の「日本」を巡る旅① -羽越国境・日本国-

2023年05月26日 17時49分51秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

越後の「日本」を巡る旅①
羽越国境・日本国

春の大型連休期間、
私的には金曜日だけが休日というゴールデンウィーク(否、フライデーウィ-クか)だったことはさておき、
その後に確保した平日の3連休はどこに行こうか

残雪の縦走?
沢初め?
それとも遠征?

どれも魅力的ではあるけれど、山行を憂う時もある
そんなとき、のんびり巡る旅に出る
「山」はちょっとしたアクセント
そんな気軽さが、今は心地いい

自然と歴史とエトセトラ
越後の「日本」を巡る旅
それぞれ違う味わいの三山を、車中泊で繋ぐことにした
思い立ったら、Go!Go!Go!

はじめに新潟と山形のくにざかいにある、日本国を目指す

2023/5/10 日本国

職場から、直行で登山口へ
なんとか午前3時に村上市小俣まで
4時間ほど仮眠をとって、好天のもと準備を整える

日本国の標高は555m
例年、5月5日に山開きイベントがあるのだが、「令和5年」の今年は
「令和5年5月5日に登る555m峰」ということで大層盛り上がったらしい
それから遅れること5日(!)
この地へと赴いた

小俣の日本国ふれあいセンターには車が数台
小学校の跡地らしく、プールや校舎跡があり元校庭と思しき場所が駐車場となっている

平日の早朝にもかかわらず、すでに車が数台
人気の山であることが伺える
理由はやはり、「日本国」という山名と555mという五並びの標高にあるのだろう

Go!Go!Go!
もちろん昨夜の道中、郷ひろみさんの「エキゾチックジャパン」を注入済みなのである

それはさておき、行きましょうかね

道路向かいの登山口から針葉樹の植林を行く
しばらくでラジウム清水という水場
蛙たちの憩いの場らしくあちこちで蛙の掛け合いが聞こえる

そこから淡々と登り行くと広葉樹の明るい植生が目立ってくる
新緑が眩しい
萌える草木と生き物たちの喧騒
溢れる生命力に触れ、こちらにも活力が湧いてくる

蔵王堂ルートの合流点では、朝日岳と飯豊の山々を遠望

この3連休に飯豊の縦走計画も俎上には上がった
しかし、今日はここにきてよかった
この山が、私を呼んでいたのだ

ここから山頂へはもうひと登り
途中、「日本国」の山名解説板がある

<中部北陸自然歩道の解説板>

なるほど江戸時代からそう呼ばれることになったのか
山でありながら、〇〇山とか、△△岳ではなく、日本国!
命名したと伝わる徳川十代将軍、徳川家治もセンスが良い

山頂には展望台や休憩舎があって、その向こうに日本海
ここから見る海は、ことのほか広くて青い
そして風が心地よい

 

下山は蔵王堂ルートへ
萌える木々、草叢、そして生き物たち
日本国には生命が溢れていた


山頂から眺めた日本海に沿って車を走らせる

笹川流れの海岸線は岩塔と白い砂浜、蒼い海が美しい
磯辺にはウミネコ、イソギンチャク、そして漣

行け!行け!行け!
風が背中を押してくれている
そんな気がした


sak

 

自然と歴史とエトセトラ
越後の「日本」を巡る旅②「川内山塊・日本平山」へ


越後の「日本」を巡る旅③「下田山塊・日本平」へ


↓動画も

 


奥利根・利根川を跨ぐ山谷の旅

2023年04月19日 00時31分14秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2023/4/3~6 奥利根・利根川を跨ぐ山谷の旅

 

奥利根に憧憬の地があった
幽の沢山、オミキスズ岩、日崎山

それぞれに相当地味な、そして偏った個人的嗜好の選である
最初は各々の嶺を何度かに分けて個々に目指そうと思っていた

-地形図を眺めれば創造の山並みが手招きをする-

いや、待てよ
これ、繋げてみたらどうだろう

三国川ダムからネコブ山、下津川山、小沢岳、幽の沢山
小穂口沢出合で利根川を渡渉して、赤倉岳西尾根から赤倉岳、オミキスズ岩
楢俣川右岸尾根の主脈を日崎山へ。そして矢木沢ダム

そう考えたとき、息を呑んだ
想像するだけで胸は高鳴った

あれから1年

あとは山行への覚悟と生業の割り切りだ
「いつかきっと」と自分を慰めているうちに、山は逃げる

研究と想像、検討に対策、偵察
そして職場での休暇取得の根回しも忘れずに

この道程の先にあるのは、目標?歓喜?それとも未来?
否、結局のところただの自己満足にすぎない


【2023/4/3】晴れ、夕方曇り(ガス)

三国川ダム~桑の木山~ネコブ山~下津川山~小沢岳とのコル(幕)

前夜、仕事を終えてから南魚沼に向かう
途中、3時間程仮眠をして三国川ダム下キャンプ場の駐車場へ
闇中で身支度を整える

さて、行きますか
ヘッデンが時折、ちらほらと咲く桜を照らした

管理事務所まで雪の残る舗装路を歩く
ダムの右岸道路は雪も残るが歩行に支障はない
やがて十字峡
取付きの導水管が対岸に見える

急登の階段に息も切れるが、とにかく今日はマイペースで行く
やがて階段も終点
岩場は右からこなして、踏み跡も明瞭な藪尾根に乗る

イワウチワが咲き、春がここまで来ていることを感じる
そうこうしていると雪が現れた
ここからは雪がつながり桑ノ木山まで
広くて平らな頂は景観も良く、一休みするには丁度いい
想像以上にネコブ山が大きく名山の貫禄

ネコブ山への急登をこなすと三角点峰、そしてネコブの岩峰はポッコリと露出していた
しばらく日向ぼっこしながら、下津川山までの道のりを遠望

銅倉尾根は雪が切れ切れとなって藪を行くことも多かった
前日と思しきトレースは続いているものの、緩み始めた雪に藪、露出脆岩など時間をかけ慎重に

下津川山
国境稜線に乗ると、ようやく奥利根の山々が見渡せる
この先の未来を目で追えば、目指す峰は遥かに遠い

小沢岳とのコルまでは藪と岩
これがなかなか手強かった
雪に乗れば、今度は緩み切った悪雪に苦闘
幽の沢山までという予定ではあったが、陽も傾きガスが流れ始めたので今日はここまでとする

陽は沈み、やがて街が煌く
闇中に街の明かりが見えるだけで少し安心する自分がいた


【2023/4/4】晴れ

小沢岳~幽の沢山~下長倉沢下降~利根川渡渉~赤倉岳西尾根末端(幕)

早朝は雪もクラストして歩行が捗る
小沢岳から南尾根を下り、黒々とした岩峰の高嵓はリッジを藪頼りに登る
遠く、矢木沢ダムが見える
そこからは幽の沢尾根を辿る

こんもりと丸みを帯びた幽の沢山で一息
幽の沢山は奥利根湖に抱かれた深山の頂
この山を目指したのは奥利根の深山成分に浸りたかったことに他ならない
見渡せば奥利根の谷がそこら中に散らばっていて、その同定が楽しい

そこからは下り基調
登り返しもあるがいずれも高低差100mには満たない

西千ケ倉山(△1594峰)手前のコルからは下長倉沢を下る
計画では西千ケ倉東尾根を利根川小穂口出合まで至る予定であったが、雪の付き具合からそうした

時にデブリを越えながら、小穂口沢まで
さすがに小穂口沢は川幅も広く、今シーズンの寡雪にスノーブリッジも皆無

さて、ここからが本日の要所
小穂口沢、そして利根川の渡渉だ

渡渉対策には携帯長靴と新品の雨具を用意した
登山靴のまま履ける携帯長靴は以前ネットで購入したもの
ワークマンの雨具は新品の状態なら強い撥水性が失われておらず、短時間ならほぼ防水の機能を果たす
加えて雨具の裾を長靴の外に出してゴムバンドで縛ることで長靴内への浸水を防ぐ算段だ

 

長倉沢出合とコゴメの沢出合手前で小穂口沢を2度渡渉
膝上渡渉も想い描いたように上手くいった

そして利根川

小穂口尾根の末端が交わるこの場所は地形図で奥利根湖となっている
しかし、貯水率(出発時、矢木沢ダムの貯水率51%)の低いこの季節は河原となっていることが多い

最深で膝上
渡るには何とかなる深さだったと思う
しかし水勢は強い
ここ最近の陽気で雪解けも進んでいるのだろう

流心を越えた
そう思った瞬間、足を滑らし転倒

とにかく体制を立て直して、流れを渡りきる

渡りきった河原で、しばし放心

胸から腰回りの衣類、下着が濡れた
長靴の中も浸水したが左足の靴下が少し濡れた程度であった
この程度で済んだのは幸いだった

時間はまだ昼過ぎ
だけど今日はここまで
あとは赤倉岳西尾根末端の台地で濡れた衣服を天日干し

奥利根の只中、麗らかな春の日和に全裸で一献
傍らに「山間-やんま-」の純米
実に痛快なひとときだった


【2023/4/5】晴れ、ときどき曇り

赤倉山西尾根~日陰山~赤倉岳~赤倉岳中腹(幕)

今日は登り返しの日
赤倉岳まで約1000m
とにかくじっくり取り組むべ、と4時出発

下部は雪を拾えたが、尾根に出ると藪藪藪
小泉共司著「奥利根の山と谷」に”雪消えが早い尾根”とあったが、ここまでくると雪山ではなく全くの藪山
遠くオミキスズ岩が天を衝くのが見える

北側斜面に雪は残っているが、薄くてグズグズ
尾根筋は石楠花と針葉樹のミックス
まったくもって捗らない
石楠花の開花時期には大層美しいのだろうが、ほとほと嫌になってきた

-これを繋げてみたらどうだろう-

あの時の胸の高鳴り、そして覚悟
それはこの程度で挫けるものだったのか?

行く先の雪斜面で、カモシカがこちらの様子を窺っていた
私の心持ちを見透かしているかのようだった

そうして一歩、また一歩
藪を振り払いながら、このありふれた地味な行いを続けるのだ

地味なる所業を続けるのも君の才能なんだろ?
それならここが見せ場じゃねえか、最高かよ!

日陰山の西、1652峰から雪がつながる
しかし、時間はすでに午後
緩みきった雪に苦労はするが、藪よりはいい

日陰山に立つ
赤倉岳は意外と遠く悪雪の登行に牛歩の歩み
しかもこのシャバ雪で靴の中もびしょ濡れの様相
さて、どうしたものか

赤倉岳からはこの山旅も最終章
最短ルート、尾瀬方面へのエスケープもよぎるが初志貫徹
楢俣川右岸尾根に入り、日暮れまで歩いて幕とする


【2023/4/6】曇りときどき小雨、のち晴れ

オミキスズ岩~矢種山~日崎山~矢木沢ダム~須田貝ダム

2時起床、4時発
夜は意外と冷え込まず、濡れた靴の凍結は免れた
靴下も乾ききらなかったが仕方あるまい
あとは足をポリ袋に入れてから靴を履き、わずかながら快適性を保つ
べーパーバリアの理屈だが、応急処置としか言いようがない

一方でこれから先、雪の状態には懸念があった
予想通り雪は緩く、わかんを装着する

楢俣川右岸尾根~矢木沢ダムまでは、この山行でも一番距離が長い
午前中は時に小雨
それでも視界が遮られていないのは幸運と言っていい

オミキスズ岩の南斜面に岩峰群が点在する
一番立派な岩峰は特徴的な形の岩が天を指す

この峰に興味を抱いたのも、その岩峰群の存在だ
本当はそれぞれをゆっくりと観賞したかった
あわよくば岩に触ってみたかったのだが、今その余裕はない

次は沢を繋いで来るもいい
その時は一日かけてじっくりと岩峰群を巡ってみよう
もし登攀が叶うなら、辺境クライミング(辺クラ)といえるのではなかろうか

小さな登り下りを繰り返す
白く丸い頂の矢種山を越えると雪堤が堅く締まって、わかんなしでも何とか歩ける
この雪の回廊はありがたいことにしばらく続いた

日崎山の手前で雪堤は切れる
尾根の藪は屈強で途方に暮れる
仕方ないので北面に30mほども下って雪を拾って歩く
日崎山への最後の登りはきついけど、藪よりはいい

反射板が目印の日崎山
奥利根ダム群に囲まれ、突出したように見える楢俣川右岸尾根の中心峰
私が日崎山を目指した理由だ
付け加えるなら楢俣川右岸尾根の主脈(日崎山~矢種山~赤倉岳)を辿りたいという思いもあった
最後の目的地にこの大きな人工物ってのもどうかと思ったが、里に戻ってきたことを予感する場所としては悪くない

あとは矢木沢ダムへ尾根伝いに北西に進む
しかし、藪と雪と倒木のコンボで荒れており全く捗らない
途中から雪のついた小尾根をビンズル沢に向けて下降した

ビンズル沢は割れたり雪に埋もれたり
開いたゴルジュに出ての巻き下りもあったが、概ね雪を拾って下ります
ダムの管理歩道(地形図の破線)手前からは右岸にコンクリート堤とロープ、鉄梯子(下部がグラグラで結構怖い)があってダムまで下れます
しかし、沢になれた方以外は尾根筋が安全かと思うのでご注意を

誰もいない矢木沢ダムから、歩いてきた峰々を湖面の向こうに見る
高嵓から見たあの場所に、今立っている

言葉や思念、理想
期待と不安も込めて描いた一筋のラインが、そのまま未来となる
そして満足も挫折もエピソードも全部、君だけのもの

等高線の連なりに繋ぎ、延ばし、交差する
シンプルだからこそ、奥は深い

さて、次は


戻りついた三国川ダム下のキャンプ場は桜が満開となっていた

 

 

2023/4/3
三国川ダム下(4:50)~桑の木山(10:50/11:10)~ネコブ山(13:00/13:15)~下津川山(15:53)~小沢岳とのコル(16:32)【幕】

2023/4/4
コル(5:08)~小沢岳(5:28)~幽の沢山(6:38/6:53)~下長倉沢下降~利根川渡渉~赤倉岳西尾根末端(12:25)【幕】

2023/4/5
赤倉岳西尾根末端(4:08)~赤倉山西尾根~日陰山(14:47/15:02)~赤倉岳(16:57/17:13)~赤倉岳中腹(17:48)【幕】

2023/4/6
幕場(4:03)~オミキスズ岩~矢種山(6:33/6:47)~日崎山(14:45/15:09)~矢木沢ダム(18:02)~須田貝ダム(20:05)

 

sak

 

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上越国境・白毛門~巻機山縦走

2023年04月14日 22時54分12秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2023/3/29-30 上越国境・白毛門~巻機山縦走

 


前夜、仕事終えてから水紀行館へ直行
車中で仮眠後、夜明前に土合駅まで

生憎の雨
土合駅で身支度を整え、天気にためらいを覚えながらも歩き出す

白毛門登山口の広場は車で入ることができるほど、雪が消えていた
この先を慮りつつも歩を進める

最初の尾根に上がるあたりで闇中に道を失い、彷徨する
初っ端から先が思いやられる

それでも上へ上へ
雨は上がったものの尾根に乗る頃に夜は明け、すでにヘトヘトになっていた

やれやれ
この先、巻機までたどり着けるのか
撤退の理由を探しながら、松ノ木の頭
都合のいい理由など見当たらないまま、白毛門まではと自分に言い聞かせる


”この道程の先にあるもの”

些細な望みは、救いへの一つの道だ
「あの山巓を繋ぎ歩きたい」
理由なんて、それだけでいい


前日までの悪天もあってか明確なトレースはない
白毛門で一服
笠ヶ岳では避難小屋が完全に露出しており、ネットで見た先週の記録と比較して融雪はかなり進んでいる

朝日岳を越え、ジャンクションピークでこの先を思案
先に進むか、それとも戻るか

覚悟は決まっていた
そもそも、ここで戻るようなら次はない

人は心満たされる瞬間を探して歩き続ける
そして「次」を求める

この道程の先にあるのは、目標?歓喜?それとも未来?

なんてことはない
この道程の先には、まだ道が続いている
その先が果てたなら、そこが消失点

一歩、また一歩
歩程にして僅か五十センチ、高さにしたら二十センチほどの登行
このありふれた地味な行いを続けられるのも才能だと言ってくれ
今の俺にはコレしかないんだよ

檜倉山で幕
風が強いので、平らな山頂から少し下って露出した笹原を風よけに幕を張る
柄沢山が大きい

夜はさすがに冷え込む
明日は雪の緩む前が好機だ
凍える星空に街の明かりが対照的に映る

明けて薄明とともに行動開始
幸い雪面はクラストしており歩行も捗る

時に藪へと突っ込むこともあるけど、ご愛敬
荒々しい山谷を右手に「次」を想う

米子頭山までくれば巻機山は近い
ニセ巻機を行く登山者も見える

抜ける青空に気分が晴れる
そしてまた一歩踏み出す
雪上を彷徨うセッケイカワゲラを踏まないように

 

六日町駅から上越線に乗る
車中、上越国境が白く高く霞んで見えた

乗客の母子がその景観を指さしながら「綺麗だね」と言っていた
私はその一言が嬉しくて仕方なかった


sak


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