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おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

朗読「宮沢賢治が伝えること」5/19(その二)

2012年05月20日 23時05分50秒 | リーディングドラマ(朗読劇)

2012/05/19 朗読「宮沢賢治が伝えること」@世田谷パブリックシアター
【演出】栗山民也
【出演】段田安則/小泉今日子/浦井健治
【音楽・マリンバ演奏】中村友子

前述の続きですが。
ああいう話を続けていると、なかなか舞台そのものの感想にいけないので(笑)いつもの調子に戻りますけど。

家に帰って改めて調べてみたら、宮沢賢治さんってやっぱり仏教徒だったんですってね。法華経の。
高校の国語の授業ではそんなことまで習わなかったと思うけど、この方の作品の根底に流れる独特なもの・・・生きとし生けるものへの慈悲の心とか、森羅万象に融合する感覚とか、あらゆる煩悩から逃れられぬ苦悩だとか・・・そういった仏教的な思想が下地にあったことは普通の学校の先生は教えてくれないですよね。

だいたいね~、日本の国語の授業やテストって、大概はほんとにろくでもなかったりするのよね?
みんなが同じ感想に行き着くように教えてる、っていうところがそもそもの間違いで、解釈に丸バツや選択なんかの正解と不正解を作るのはナンセンス。
これは私が中学の時くらいに聞いた事だけど、ある小説家が自分の作品が大学の入試に扱われたと聞いて、それで喜んで自分でその問題を解いてみたんですって。
そしたら、その作者本人が満点を取れない。
それってどーなのよ!
だから私は学生時代、テストの時に(評論文は別として)小説が題材の時には「出題者が求めている答え」を想像しながら読むことにしてましたけど、そのやり方だと実に「学校の先生好みの解釈」になるわけで、そうするとほとんど間違えることはないです。
自分がどう思うかとか、作者本人が何を伝えたいかじゃないのよね。出題者が何を答えさせたいか、なのよ。
なにせ、作者本人が満点取れなかったりするんだもの。
自由に作品を楽しむことを阻むような、そんな現代国語の解釈テストはもう止めちゃえばいいのに。

閑話休題。
宮沢賢治さんといえば、私は学生時代はあまり読んでいませんでしたが、去年の11月にたまたま読んだ「かなしみの哲学」(竹内 整一)に作品が引用されていたりしたので、わりとここ数ヶ月間は気になって本屋さんでちびちびと立ち読みなどをしておりました。
まあ、立ち読みせずに買えよ! ってな話ですけど(笑) でも最近じゃインターネットでほぼ読めちゃいますよね。ありがたいことです。(って、おい!)

まあ、そんなこんなで気になっていた宮沢賢治さんの作品が朗読劇として舞台化されると聞いて、なんてタイムリー! ぜひとも行きたいと思いました。
それにこの舞台には、あの段田安則さんがご出演じゃありませんか!!
段田さんって、本当に良い役者さんですよね~! 
私はストレートプレイは(も?)あまり多くは見ていないので、段田さんも一年に一度くらいしか拝見してないかもしれませんけど、「役者さん」というと、まず初めに段田さんのお顔を思い出しますもの。この朗読劇もぜひ段田さんで観に行きたいと思いましたよ。
段田さんはどのような役で見ても、すっとそれにハマって、しかも味がある。良い人を演じても、悪い人の役でも、どっちだかよく解らない人の役でも(笑)、段田さんって、役に人間の奥行きが感じられて、それでいてちょっとユーモラスなエッセンスが入っていて好きなんですよね~。
この朗読劇でも、いくつかの役柄のそれぞれに味わいがあり、さすが声の通りも良くて、静かな語り口にも耳に心地よくて聞きやすく、とても良かったです。

それから浦井健治くん。
って、え? あっきーじゃないの? って感じですけど、あっきーは平日マチネだったもの。
「プロミセス」のマチソワでこの前休んだばかりだし、月に有給休暇を二回もとるのは今の私じゃ無理。
あっきーは段田安則さんと同じ舞台に立てて良かったね! 私は行けなくて残念だけど、折角だから段田さんの良いところから、何かちゃんと吸収してきてくれるといいな。・・・とまあ、それだけね。

で、今回は浦井くんなわけですが。
「ヘンリー六世」の時にも感じられたことですが、やっぱりこの人には独特の透明感や浮遊感がある。
役を演じるとき、浦井くん本人は無我のように見えて、それでいて浦井くんらしさもちゃんとあるという、そんな不思議な魅力が宮沢賢治の世界にぴったりでした。
あの温かみのある、ふわりとした丸みのある声にも癒されました。

小泉今日子さんは生で拝見するのは初めてでしたが、思ったよりもずっと可愛らしい声です。
少女のようなその声は、よだかの寂しさによく似合っていたと思います。

朗読劇に行くといつも思うことだけど、朗読には読み手の「人」が出る。
できることなら、他の役者さん達の回も観てみたいと思いました。



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