東京砂漠脱出計画~Ut på tur, aldri sur~

2009東京砂漠を脱出して富士山麓へ
2012息子の進学で都内へ舞い戻り
2016縁あってノルウェー移住

hytte の手入れ

2020-06-26 10:38:40 | ノルウェー山暮らし fjellgård
ここのところご近所さんに頼まれて
hytte の手入れの手伝いをしています

そう
ここでは休暇といえば hytte(山小屋というかコテージというか)
夏休み、秋休み、冬休み、イースター休暇
季節を問わず hyttetur はノルウェー人の定番の休暇の過ごし方


(右のほうに小さく写っているのが hytte)

hytte が隣接してたくさん建っているようなところもありますが
(日本の軽井沢の別荘地みたいなかんじ?)
うちの周囲ではポツンと一軒だけというのが多く
そこへたどり着くまでのハイキングがまた楽しみとされているようです

こういう場所の hytte は
もちろん電気や上下水道などはなく暖房は薪ストーブのみ
携帯電話の電波も届いたり届かなかったり
でも最近では小さなソーラーパネルを設置しているところも多いです



わたしがこのたび手伝いをすることになった hytte も
筋金入りの年代物のログハウス(築100年以上)
オーナーであるご近所さんはここをはじめ何棟もの貸出用の hytte を持っているので
夏休み中すでに予約で埋まっているそれらの手入れに大忙し

ところでこのご近所さんは地元でも有名な大地主です
わたしと同年代の女性で
町でのフルタイムのオフィスワークのかたわらの副業とは思えないほど
ありとあらゆる大工工事を自身でやってしまうマルチパーソン

タイルを貼るとか屋根を葺き替えるとか
もはや職人業としか思えない大掛かりなメンテナンスもラクラクこなします


(昔ながらの草の生えた屋根)

わたしにできることは限られていますが
それでもこまごました仕事もたくさんあって
今回は主にペンキ塗りを担当



いままで自宅で小さな家具や室内の壁くらいしか塗ったことがないので
なかなかサクサクと進みません
ほとんどお金をもらうのは気がひけるレベルなんですけれど
いつも通り時間給を払うといって聞かないご近所さん
なるべく早くスキルを上げたい…

ちなみに
ペンキは職場のハードウェアストアでも稼ぎ頭のひとつです
職人さんだけでなく普通の人も日曜大工用によく買っていきます



10リットルのバケツとかね
もうなんでこんなによく売れるのか謎っていうくらい売れています
みんなどれだけDIYでリフォームしちゃうの?

かくいう相方も自分でガレージを建てたり
さらにその中に切手の保管庫を作ったり
はたまたシャワーブースを撤去してかわりにバスタブを設置するなどという
およそ大工さんや設備業者さんの仕事としか思えないことを
さも当たり前のように自分でやります

そのスキル
ほんの少しでいいから夕飯を作るのに回してくれたらいいんだけどなあ…


正しい休日

2020-06-18 22:58:36 | ノルウェー山暮らし fjellgård
先週は珍しく町での仕事が忙しかったので
普段は週に1〜2日しか出かけない職場へ4日も通うことになり
最後の日は家に帰ったのが午前4時というハードスケジュールでした

でも次の出勤まで5連休なのでゆっくり休もう!
いや、休まなくては!

まだcovid-19も収束していないのだし
それでなくても自分のコンディションを整えておくことは
人里離れた田舎暮らしの最重要課題
(病院まで車で片道2時間半)

でも…
こうも良いお天気だと
外に出て庭仕事に手をつけないというのは
貧乏性のわたしにとっては至難の技

そしていったん庭仕事に手を着けてしまうとなかなかやめられず
腕や腰が痛くなるまで続けてしまうのが目に見えているので
まずは午前中のうちに散歩に出かけることに

連日の町へのドライブと仕事で
凝り固まった身体をほぐすのには山を歩くに限ります

ちょっとしっかり散歩したいときは
その辺の森を適当に歩くのではなく
ふもとまで降りて戻ってくる約3時間の周遊コース

いつもなら
まず息の切れる谷越えルートでふもとまで降りて
復路にふだん車で通る私道をのんびりと歩くのですが
今回は腰痛対策に登り坂を多めに歩きたかったので逆回りにしました



行きは途中で2ヶ所、帰りは1ヶ所橋を渡ります
(谷のところで2つの川が合流するため)

今の季節どの川もすごい水量
普段は魚が泳いでいるのが見えるくらい穏やかで
川底が見えるのに…

道中、トラックに石が転がっているのを見つけるたび
次に自分が運転するときのために
それを脇へ放り投げながら(または蹴飛ばしながら)歩いていると
意外と時間がかかります



でも散歩だから別に時間は気にしません

途中で道路をそれて遊歩道を行きます


(左が遊歩道)

この道は滝の流れ落ちる場所のすぐ近くを通り轟音が聞こえるものの
滝の姿は見えません

うーん
せっかくだから少し遠回りして滝が見えるところまで歩こうかな
などと考えつつ進むうちに自宅が見える高い場所に到達
自宅(標高650m)より100mほど高いので少し見下ろす感じ



ここから先
車道を適当にショートカットしながらひたすら下っていけば
ものの20分ほどでふもとに着くんですけれど
急がないし森の中の方が歩いていて気持ちいいから
滝ポイントへ続くけもの道に近い小径を進むことに


(斜面で木も斜めに生えていて写真はほぼまっすぐです)

すぐにでも埋もれてしまいそうな細い道なのに
消えてなくならない程度に旅行者が歩いているってことよね
あっ、シカもこの道を使っているのかも…



滝が見える場所はかなり低いので
このあとまた少し登ることになりますが
それでも見る価値のある眺めです

この時期は滝も川に劣らずマイティー
あとからあとから流れ落ちる滝を見ていると
一体どこからこんなにたくさんの水がくるのか
いつも不思議な気持ちになります

さて
ふもとに着くと平日にもかかわらず旅行者の車が何台かと
これから谷へ降りて行こうとする人たちの姿が見えます

ここの谷の名前はオモタンと言って
ヨーロッパ内の旅行者にはわりと知られている場所ですが
日本ではまず知られていないと思います

The waterfall wonders of Åmotan

Combining the force of five rivers

 

(ノルウェーの観光ガイドのページより)

ちなみにこのウェブサイトの動画で解説をしているおじさんは
このふもとに住むご近所さんです

そういえば彼にも奥さんにもしばらく会ってなかったなーと
挨拶だけしようとドアベルを鳴らすと
奥さんがちょうど玄関でスニーカーを履いているところでした

旦那さんは留守で
奥さんはちょっと散歩しようかと思っただけだから、と
表のガーデンファニチャーに腰を落ち着けて少し世間話
しばらくすると別のご近所のおじいさんもやってきたので
結局コーヒーとシナモンロールをご馳走になりすっかり長居してしまいました



「どこから帰るの?え、オモタン?
じゃあシナモンロールをもうひとつ食べないとね!」

そういえば3時間ほどで家に戻る予定で
飲み物と携帯電話しか持たずに出てきていたので
お言葉に甘えてペロリと2個平らげました

オモタンでは滝のすぐ近くまで行けるので
天然のシャワーを浴びられます
というよりもう目を開けていられないすごい水しぶき

滝の方をまともに向けなくて
滝に流れ込む4つの川のうちの2つが合流する方向へカメラを向けて1枚



それから滝にほぼ背を向けて
水しぶきに日光が当たって虹を作っているあたりを狙って1枚



もうジーンズも髪もびしょびしょで眼鏡は水滴だらけで
撮れているかどうか確認もできずとりあえず移動

ふうー
でも気持ちよかったー
ずぶ濡れになりながら思わずひとりで声を上げて笑ってしまっていました

ここから先はひたすら勝手知ったる山道を登るのみ
心臓破りと形容してもいいくらいの急勾配続きですが
ここでは60代や70代の人たちもふつうに登る道です
Ut på tur で育ったノルウェー人おそるべし



ちなみにわたしがこのオモタンルートを初めて通ったのは
ノルウェーに引越してきた4年前の夏でした
趣味が登山でもキャンプでもないわたしにとってはかなりのアドベンチャー
翌日の筋肉痛もひどかった…

今ではどこも痛くならないどころか
腰が軽くなって体調がすこぶる良くなります
慣れってすごいですね



羊の姿が見えてくればもう家はすぐそこです
ここまでくればあとはもう平らなので
足の運びの楽なこと

ちなみに写真の右手に見える柵は
うちから数分のところにある羊トラップ
きみたち、秋にはこの中にちゃんと集まってお家に帰るんだよ

この日
11時に出かけて家に帰り着いたのは午後5時前
すっかり散歩とご近所さんとのおしゃべりに
丸一日を費やしてしまいました

まあ、でも
家事や庭仕事や雑用に明け暮れることもなく
腰痛に効く山歩きもたっぷりできて
おまけに美味しいコーヒータイムまで

久しぶりに休日らしい休日でした


チビ助

2020-06-16 10:07:05 | ノルウェーの動物 dyr
ここのところうちの庭に可愛い新顔が



左下に写っている灰色っぽいのはいつもの去年生まれの子ウサギで
矢印のあたりに今年生まれた子がいます
夏毛で生まれるので全身茶色
見えにくいですが…



ほんとうにカワイイ
ぬいぐるみみたい

このチビちゃんは去年生まれのお兄さん(お姉さん?)から
多くを学んでいる様子

たとえばわたしと相方が少し離れたところで話をしながら2羽に近づいていっても
すっかり慣れているお兄さんが逃げないのでチビ助も逃げません
(チビ助だけの時はわたしたちを見るとすぐに隠れてしまう)

チビ助はお兄さんが草を食べている間同じように草を食べて
お兄さんが顔を上げて辺りを伺うと同じように顔を上げます

そんなことを知ってか知らずにか
チビ助が近づきすぎると怒ってソーシャルディスタンスを教えるお兄さん
それでもチビ助は気づくとまたそうっとお兄さんと同じエリアで草を食べています

ここの野生のウサギのお母さんは子育てをしないらしいので
こどもは自分でいろいろ覚えていくのね…



夕立の多い今の季節
夜の10時すぎに見える虹は太陽の位置が低いぶんとても高くて
さえぎる物がないので180度のアーチ
(大きすぎてカメラに全部収まらず)

日が沈むと今度は夕焼け空がいつまでも綺麗で
なかなか家に入れない



ミラクルな夏の明るい夜
いつまででもウサギや景色を眺めていたくなります

それでもそろそろ寝ないとなー、と
2階へ上がってふと窓の外を見ると
納屋のドアの前になにかが



いる
チビ助


(ドアの右下に右向きで座っています)

こんなに小さいのに自分の姿がまぎれる場所をちゃんとわかっているって
つくづく野生の動物の生きる力に感心させられます

この日はここで長い間休んでいたチビ助
明日もいちにち生き抜けますように

道路の復旧

2020-06-12 00:59:15 | ノルウェー山暮らし fjellgård
先々週の土砂崩れで埋もれた道路
翌日には相方が自力で応急処置を施して
なんとかATVが走行できる状態にしてくれました



働くクルマ、トラクターの出番です



歩くと長靴が抜けなくなるドロドロの路面も
5トン65馬力のトラクターは力強く進みます
頼もしい

トラクターとATVはどちらもここでは大切ですが
どちらがより必要かといえば間違いなくトラクター
ちなみにうちのトラクターは24歳
同い年の息子にこの働きっぷりを見せたい…



写真の右側の
気も草もないところが土砂崩れのあと
正面から見ると中央に石ころだらけの溝がくっきり
いかに水の勢いが強かったかがよくわかります



周辺の木々は地面から2〜3メートルくらいのところまで
土砂が通った後の白く乾いた土の色が残っていて
つくづくその時にここをとおっていなくてよかった…



応急処置の数日後にはずいぶん乾いてきた路面ですが
それでもダートレースの趣で
いたる所に残る小さい岩や横たわった木を乗り越えて走るのは
ATVでもけっこう大変

そして先週末
ようやく本格的な復旧がスタート
地元の知人がショベルカーとともに作業に来てくれました
相方と義父(82歳)もトラクターとハンドツールで参加です

こういうの、もう驚きません
なんせ林の中に新しく道を作るのですら自分たちでやってしまうので
土砂崩れならもちろんセルフ工事



この際なので路面の補修だけでなく
長い間にすっかり浅くなってしまった道路脇の側溝も掘り直して
山側から谷川へ水を逃すために道路下に埋めてあったパイプも
太いものに取り替えました


(応急処置後)


(本格的な工事後)

しばらくはまだ
車は重すぎてせっかくの路面にダメージが大きいので使いません
路面が完全に乾いて硬くなるまではATVか徒歩

そしてこのあとは
細かい砂利を運んできて敷き詰める予定ですが
いつになるかなあ…



いいね、きみたちは
道とかなくても不自由しなくて

性格の違い

2020-06-03 00:04:32 | ノルウェーの動物 dyr
20℃前後の暖かい日が続いています



ルバーブももう採りごろ
というか早くも花が咲きそうでちょっとビックリ
つぼみを取ってしまえばまた新しい葉が出てくるので
急いでちぎって柵の外に放り投げます

うちの庭にやってくるウサギたちもずいぶん大きくなってきました
3羽で走り回っていた頃はみんな同じくらいだったのに
今ではそのうちの1羽がずば抜けて大きいです



皆勤賞の灰色のこの子
毎日りんごもの皮と芯も逃さず食べているし
家の周りの草は森の中より状態が良いみたい

そしてこの頃では半分飼っているウサギのように
わたしたちに慣れてきました

バスルームの窓の外にいるときにうっかりわたしが窓を開けて
近距離で正面から目が合っても
そのままわたしがリンゴの皮を外に落とすのをじっと見ていて逃げません

お気に入りの薪のそばで
半ば眠っているような様子で休息を取る姿もよく見ます


(後ろ足を投げ出してくつろぎすぎ…)

顔を前脚で毛づくろい(?)したり
犬や猫がよくするように前脚を伸ばしたあと後脚を伸ばしたり
ゴロンと転がって脚をぐーっと伸ばすなんてことまでやっています

それにひきかえ
いちばん早く毛皮の色が茶色に変わっていっていた別の子は
すごく用心深くてシャイです



あ、見られてる、と気がつくや
しばし石のように固まって
次の瞬間あっという間に森まで振り返りもせずに走っていってしまう…



身体の茶色さに比べて
いつまでも耳の白い部分が多く残っているのがちょっと不思議な気もしますが
森の中はまだ雪が残っている場所もあるから
雪の上に立った時は足と耳の白さが全体像を分かりにくくさせるので
この子のテリトリーは少し標高の高いところなのかもしれません

もう1羽のいちばん白さが残っていた子は
ここしばらく見かけていません
もっと高いところにいるのかな…
元気でいるといいんだけれど



シカはたいてい柵の外側にいます
でもたまに内側まで入ってきていることもあって
慌てて出て行こうとしたシカに柵を壊されたことも



ふもとのシカたちはかなり人に慣れているので
山道で人や車両に出会っても平気な様子

野生の動物も人間と一緒で
環境や個体によって性格が違うなーとしみじみ思います

石を掘り出す

2020-06-02 00:15:40 | ノルウェー山暮らし fjellgård
ちょっとラズベリーの枝の剪定と雑草取りのつもりで
剪定バサミを手に分け入った庭の一角
そこは今まで手をつけていなかった荒れ放題の無法地帯

少しずつラズベリーの古い枝を払いながら
開けた場所を広げて進んでいる途中
古い株を根っこから引き抜こうと引っ張ったら
地面がフワフワ持ち上がる感じがします

思い切ってひっぱると古株の根っことともに地面の土もろとも
30cm四方くらいががひっぺがれて
下には大きな一枚石がのぞいているではないですか

おお!
確かこの場所はむかしは eldhus があった辺り
eldhus は小さな小屋でいわゆるカマド小屋とでもいいますか
むかし母屋とは別の建物で煮炊きなどをしていた名残です

ここの eldhus には
チーズやポリッジを作る storgryte と
主食の flatbrød や lefse などを焼くための大きな鉄板 takke が
備わっていたと聞いています

いまでも農村部には eldhus が残っているところがあり
わたしも一度ご近所さんちでレフセ作りに挑戦しましたが
生地を薄く均一にのばすのがけっこう難しかった…

いまでこそホームメイドの flatbrød や lefse は特別感があり
クリスマスマーケットなどでは人気の商品ですが
昔はどこでも普通に家で作っていたんだなあ、としばし感慨に浸りつつ
気がついたらラズベリーの手入れもそこそこに
石の発掘にすっかり取り憑かれてしまっていました



石は次々と芋づる式に現れて
数日かかって形が見えてくるともう楽しくてやめられません

そういえば去年も
玄関前の草取りをしているうちに
土と草に覆われていた石をすっかり露出させるのに夢中になった前科があります



久しぶりに遊びにきた義母がそれを見て

「あら、石を敷いたの?」

とのたまったことを思い出します

いいえ、お義母さま
この石は大昔からずっとここに眠っていたのですよ…

なんだか遺跡を発掘する人の楽しみが
少し分かったような気がします


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