「螺鈿迷宮」、この難しい漢字は「らでんめいきゅう」、読めても書けない人がほとんどではないだろうか。
広辞苑によると、螺鈿とは、鸚鵡貝(おうむがい)・夜光貝・鮑貝(あわびがい)・蝶貝などの真珠光を放つ部分を薄い片とし、種々の形に切って漆器や木地などの面にはめ込んで装飾とするもの、とある。
海堂尊著、角川文庫、上下。ようこ姫さん経由でヒマジンさんからお借りした本である。海堂尊の本は、「チーム・バチスタの栄光」と「ジェネラル・ルージュの凱旋」を読んだが、それぞれ映画を見た後読んでいるので、帯封にある「白鳥圭輔」(厚労省の役人)が”小太りで腹がはみ出ている”とあり、チョッと驚いた。映画では、阿部寛、テレビでは仲村トオルが白鳥を演じており、背が高くかっこいい。原作ではそうだったか。
映画やTVドラマでご存知だろうが、前述の2作は、バチスタ手術や、救急医療の問題を取り上げたミステリーだった。「螺鈿迷宮」は、終末期医療の問題が舞台である。
東城大学医学部の学生である天馬大吉は、幼馴染みの女友達(地方新聞の編集者)の依頼で、碧翠院桜宮病院にボランティアとして潜入させられる事になる。そこは、終末医療専門病院であるが、黒いウワサが絶えなかった。
入院患者自身も病院の仕事を手伝う、という画期的な運営をしている病院だ。さらに、老人介護センター、ホスピス施設、火葬場、寺院までを一体化した病院だ。が、患者が次々と死亡する。ボランティアとして潜入しながら怪我のため入院患者となった、伝馬大吉がモタモタしながらも、桜宮病院の謎解きにいどみ死闘を繰り広げる。白鳥圭輔の助けを借りながら。
昨日のA紙に、「患者を生きる」シリーズ、”命のともしび・そのままでⅠ・・・自然に逝く”の特集記事が載っていた。「管で生かされるのは嫌、ピンピンコロリで逝きたい」と日ごろから娘に言っていた73歳の女性の最期が娘さんの言葉で語られていた。
本の中の桜宮病院もその方向を目指すホスピスのようにも思えるのだが、ともかくミステリーなので殺人事件がからみ、その辺がボヤケたように思った。もう少し、日本の医療の仕組みを知っていれば理解できたのかもしれないが。
読まれた方のご意見を聞きたいです。 本の持ち主のヒマジンさんの読後感が昨年6月のブログで紹介されています。http://blog.goo.ne.jp/sawahima18/e/3b1c5b8f2ad90177a742b0679b7d0973