Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

金沢「慈善能」 ’10~狂言「二人袴」

2010-12-20 | 能楽

 昨年は雪の日だった。 今年の慈善能は、12/18(日)、晴天で、冬の空は澄みわたっていた。 11時前に、大門のTaさんに北銀前で拾ってもらう。 いつもは米島さんのワゴン車でワアワア賑やかに行くのだが、今年は車を出してくださる方が多かったようで、私達の車は3人、この日の能、「黒塚」のCDを聴きながらのドライブだった。(トップは能楽堂前駐車場。向こうの白い塀と森は成巽閣) 

 金沢で慈善能を観て、高岡で総会・忘年会をするのが蒼山会の年末の習わしだ。 この日は金沢へは10数名が参加、まず食堂でお弁当を食べる。 1時、舞囃子「高砂」から始る。 山崎先生は仕舞「小督」と舞囃子「三輪」の地謡に出られた。 珍しかったのは、「狂言小舞」、「狂言謡独吟」、と言う出し物で、能の1部分を素謡、仕舞、舞囃子で演じるように、狂言の1部分を取り出して演じるものだ。 また、「ワキ語り」と言って、能のワキ役の苗加さんが、衣装をつけず座って「鉢木」を語られた。 それぞれ、初めて見たので面白かった。

 では、狂言「二人袴(ふたりはかま)」を紹介します。

 狂言「二人袴」: 婿:炭光太郎、 親:炭哲男、 太郎冠者:山田譲二、 舅:野村祐丞

 <あらすじ> 
 中世の頃、結婚の後、夫が妻の実家を訪ねる儀式を「聟入り」と言ったそうです。 ここに世間知らずの若い夫があり、その婿入りに一人で行くのを心細がるので父親が門口まで付き添って行きます。舅の家の前で、礼装の長袴をはかせてやり、自分は外で待っていますと、それを太郎冠者が見つけ座敷へと招きます。 だが、親は普段着で来たので袴は一つしかありません。 
 息子が舅に挨拶をすると、舅は親も呼んでくるように言います。 息子は親を呼びに行き、親が袴をはき替えて舅に挨拶をします。 舅は息子を呼ぶように言いますので、また袴をはき替えて息子が挨拶に来ます。 こうして、何度も親子が交代で袴を履き替え、舅の前に出て挨拶するうち「両人ご一緒に」と誘われ、止むを得ず一つの袴を前と後ろに二つに分けて、前にだけ袴をつけて出るのですが、そうとは知らぬ舅に祝いの舞を所望され、聟と父親は困ってしまいます。 「気をつけて舞うように」と親に言われ、息子は前だけ見ながら左右に動き、舞を舞います。 舅は、喜んで親にも舞を所望します。 最後はばれて、大笑い、「お許されませ、お許されませ」となるのですが、同じ言葉や所作のの繰り返し、が面白く、先が予想できるところがまた面白いのです。

 花嫁は舞台に登場しませんが、親子や舅と婿の情愛がほのぼのとして、明るく楽しい狂言でした。