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機動戦士ガンダムOO(ダブルオー) 第22話 「トランザム」 感想

2008-03-10 00:39:20 | ガンダム00(ダブルオー)
ガンダムの時代は終わった、と言うように、捕獲対象から殲滅対象になったソレスタルビーイング+トリニティ。
ガンダムの殲滅は一見世界が一つに纏まって動いているように見えるけれども、それは表も裏もアレハンドロの差配によるものだった、というのが明確に作中宣言され、その逆風の中、イオリア・シュヘンベルグが最期にGNドライブを有する者たちへ託した「トランザム」はパンドラの箱に最後に残った希望となるのか?という第22話。

トリニティは擬似GNドライブを搭載して登場した当初からフェイク、という感じがあったので、恐らく捨て駒にされるのでは?なんて思いながら観ていたのですが、その予想を遥かに上回るスピードでの急展開。

また、アリー・アル・サーシェスはアレハンドロと組んでいるというのもアザディスタン編あたりから考えていたのですが、これも今回を観るに恐らくビンゴ?

イオリア・シュヘンベルグがまさかコールドスリープしていたなんて、と驚きつつも、ここで退場なのか・・・。
やっぱりイオリアの希望は、争いを宇宙にまで拡大するな、ということと、逆説的には、もし一つになったならば宇宙へ上がってきて欲しい、と思っていたんではなかろうか、と考えているのですが、何となくそんな気がするなぁ。


■トリニティ

トリニティについては擬似GNドライブ、という存在が明らかになったときからフェイクっぽく感じていたので、やはり捨て駒扱いされてしまいました。
#やはりアニキ@小西さんは長生きできないのか(exグレンラガン)。

しかしながら、その中でも作中一番視聴者的罪の印象が強いネーナを残すあたりがストーリー的にはかなり残酷というか試練というか、沙慈くんなんかと出会ってしまったりするんじゃないだろうか、とか色々考えてしまいますね。
#刹那にくっついてまわって、沙慈くんと会ったり、とか。

ネーナがもしこのまま生き残れば、トリニティの出生の秘密なんかも明かされるんじゃないかと思いますが、ストレートに考えるならば彼らはデザインベイビー的存在でティエリアと同じように生み出された存在、という形なんじゃないでしょうかね。

もしアレハンドロがそういう駒として産み落としたならば、こういうのは展開として面白くするなら、ネーナは駒なりに一矢報いる、とかいう展開があっても面白そう。
#でも同時にルイスの左手と家族(一族)を奪っているのだから、何かしらの罪と罰があって、それはどこかで拮抗しそうな気もしますね。

トリニティ、もっと悪役っぽくても良かったけれども、彼らの早すぎる退場に合掌。


■アリー・アル・サーシェスとアレハンドロ・コーナー

刹那のライバルとしてずっと描かれるであろう因縁の相手、アリー・アル・サーシェスにどこかで擬似GNドライブが渡らないと、刹那と拮抗しないと思っていたのですが、まさかこういう形で手に入れるとは・・・。
#30基のうちの1つをちょろまかすかと思っていましたが、残りの1つはグラハムさんのフラッグに搭載?

戦う気は無い、とか言っておいて、それはMSで戦う気がないだけで、最初っから殺す気満々だったんじゃん!
#しかも自分が一度負けた機体を奪っていくあたり、食えない人です。
#で、一人殺して奪って、一人を手負いにして機体の性能チェック、慣れたところでネーナの機体(戦闘能力は他より低めを狙って)を打ち倒す、みたいな。

しかもMSの扱いについては、マイスターズよりも上、というのを今回実証した、という感じ。

また、もう一つ分かったことは、やはりアリー・アル・サーシェスのバックにはアレハンドロがいた、ということ。

これは第15話~18話くらいの感想で、アザディスタン編のテロ自体もアレハンドロが仕組んでいたっぽいと感じていたのと、テロ支援組織のバックアップならびに、アリー・アル・サーシェスのバックにはアレハンドロがいるんじゃないか?というのを丁度20話あたりで確信してきたところだったんだけれども、今回の「余興」という一言でやはりビンゴ、と思います。
#東京やその他の主要都市でのテロが発生したときに、アリーは事前にその情報を知っていて、それはかなりの上位からの連絡と見えますし、あれはテロっぽくない(恨みが行き詰った、とかそういう感じが匂わない)感じもあって、やはりあのテロはアレハンドロが仕組んだもの、と考えるのが妥当かな、と。

アレハンドロはこのシチュエーションを作り上げるために、テロによる危機意識の増大を煽り、(たぶん自分の代でコーナー家の願いを成就させるために)自分でテロのマッチポンプを起こした、そしてそのトリガーを引いたのはリボンズ、というヴェーダへの介入の切り札を得たから、ということなんでしょう。

アザディスタン王国のクーデター介入については、個人的には3つ理由があったと思っていて、

1.紛争介入の口実を作るため&ガンダムマイスターの実力を観たかった

2.特等席でそれを見物したかった(国連大使としての地位を利用&太陽光システムを導入するとなれば、保守派が暴動を起こしやすくなるから)

刹那たちの行為にいちゃもんをつけたのは、自分の目指す方向性と違うこと(=アレハンドロの目的はイオリアとは異なっているから)を刹那たちがしようとしたから、じゃないですかね。
#紛争根絶じゃないんだよね、彼は。もっと紛争を起こしてソレスタルビーイングが介入して世界が疲弊した状態で、コントロールしやすい状況を作ることなんだろうね。
#だからその流れを加速させるためにトリニティをコンティンジェンシープランとして投入して、そして使い捨てた、と。

で、3番目の理由なんだけれども、ここはかなり妄想が飛躍してるので微妙だけれども(笑)、

アレハンドロは最終的には軌道エレベーターの破壊=太陽光エネルギーの破壊をして、エネルギーコントロールまでするんじゃないかと思っていて、そのときに化石燃料国家が力を持っていたんでは困るでの疲弊させておいた、とか、そのまま太陽光エネルギーを享受してしまえば、コントロール下におけるから、と思ったんじゃないか、くらいに思ってるんですが・・・。


アリーは、アレハンドロと組んでおけば常に世の中が戦場になると踏んで組んでいるという感じかなぁ。
彼は生粋の戦争ジャンキーかもしれない・・・。

というわけで、たぶんアレハンドロとアリーは組んでいて、大分前からマッチポンプを仕組んでいたんじゃないかと思います。たぶん。


■イオリア・シュヘンベルグとトランザム

ま、まさかコールドスリープしていたとは!
しかも目覚めることなく退場!

しかし彼はあれですね、アイザック・アシモフのファウンデーションにおけるハリ・セルダンみたいな人ですね。
こうなったとしたら、こうなる、みたいなのを全部予測して動いている。

イオリア・シュヘンベルグの真の目的は現時点でついに本人から語られることはなかったんだけれども、そのうち刹那たちがアレハンドロまでたどり着いたらアレハンドロ自身が語ってくれるんじゃないかな。

個人的には、イオリア・シュヘンベルグは、紛争の種を宇宙に持ちこもうとする人類に対する警告としてソレスタルビーイングを組織し、結果として、人類が一つになれたならば宇宙まであがってきなさい、そのときGNドライブを手渡そう(永久機関としてのエネルギーを保障しよう、とかそんな感じ?)、みんなで宇宙に出るんだ、という感じで、人類の成長に賭けていたんじゃないだろうか、と思うわけです。

ここがアレハンドロと(たぶん)大きく違っている点で、(たぶん)アレハンドロは人類なんて所詮ひとつにはなれやしないんだから、誰かが宇宙からコントロールしてやらないとダメなんだよ、選ばれた人間だけが宇宙からコントロールして、それ以外の奴は地球に閉じ込めておくべきなんだ、という対極の考え方にあったんじゃないかな、と妄想するわけです。

まあ、そういう人もいるかもしれない、と思って、最悪のケース(ヴェーダを乗っ取られて自分が殺されるケース)を想定して、一か八かの切り札を用意していた、と。

これから察するに、ヴェーダはやはりリボンズにハッキングされるまでは、イオリアの考えを忠実に実践するコンピュータだったと思われ、その思想に適した人材をガンダムマイスターとして(いつの時代になるかは分からないが思いを託したヴェーダが)選んだ、という自負がきっとイオリアにもあったんでしょうね。

だから、イオリア自身の考えは倒れたけれども、その思いを、自分が選んだに等しい人材、つまりガンダムマイスターに託し、そのマイスターの考えに基づいて真のGNドライブの力を使って欲しい、ということだったのかも。

それにしてもこのシーンは意図した点としては凄い演出だと思いました。

ダブルオーではこれまで見下ろす、見上げるのシーンを効果的に使ってきてますけど、今回もちょっと唸りそうになりましたよ。

最初はチェックメイト!と言う感じで、柩(じゃないけど)の中にいるイオリアを見下ろすアレハンドロ。
で、王を取った!と思った瞬間、こんどはアレハンドロの頭上からイオリアの最悪のケースを予想した映像がアレハンドロを見下ろす。
・・・・・・、もうこれでどちらが上になったのか?分からない状態=混沌へ、みたいな。

予想とか予測とか予報とかじゃなくて、人間の意志の力に任せた、その贈り物としてトランザムを贈る、みたいな。
#これは戦術「予報士」のスメラギさんや、予測・預言者的なヴェーダ信仰のティエリアにも当てはまると思います。

そしてそのトリガーとなったのが、皮肉にもアレハンドロがイオリアを殺す、という行動で、それをトリガーに窮地に陥った刹那を救う、というここにもまた逆転の構図が。
うーん、もうオセロのようだ。
果たして誰が「角」を押さえるのか?

状況としては全世界対ガンダムマイスター、という圧倒的不利な構図なんだけれども、この最後の逆転&逆転の構図から考えるに、第2期へどうつながっていくのか?どこでまた逆転があるのか?というのが楽しみになりました。


■ロックオンとフェルト

とりあえず、ロックオンが無事で良かった(ふぅ)。
でも、利き目負傷ですか、やばいですね。

にしても、「優しいんだ」のあとに「誰にでも」と続くとは思わなかった(笑)。
これは相当ガッカリきてるですよ。

フェルトはずっと宇宙にいたのかもしれないですね。
で、同年代もいなくて、他人とのコミュニケーションの取り方が分からなかったのかもしれない、これまで。
だから、親以外に優しくしてくれる人がいなかったから、ロックオンの行動も期待しちゃったんだろうなぁ。
罪な男です。

にしても、この伏線はいったいどうなるんだろうか?
ほのぼの伏線にもシリアス伏線にも取れるので心配だ(笑)。


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6 コメント

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ブラボー! (えのっち)
2008-03-11 13:20:57
こんにちは!

GN-X入手か?と思わせといて…スローネ強奪のサーシェス。
ヴェーダ掌握後波乱があるとすればリボンズの裏切り?と思わせといて…イオリアのトラップ発動!
今週は、予想の斜め上を行く展開に痺れました。
先週ヌルいと思っていた展開も、このための布石だったのか?みたいな。
もう恐れ入りました。「OO」侮れませんわ。

あとは、ネーナがどうなるのか?気になる所。
種でも種デスでも、強化トリオは用が済んだら片付けられてしまった印象があったので…。
ネーナには罪・罰・業などと向き合いつつも生き抜く様をこそ見せて欲しい、というのが個人的希望です。
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気持ちよかったー! (こばやし)
2008-03-11 20:30:55
エクシアが赤く光って、久しぶりにヒーローもののような爽快感を味わいました。誰かに想いを託されて強くなるというパターンは大好きです。(心の中ではあのスピードでは、グラハムさんみたいにパイロットがGに耐えられないのでは?なんてつっこみいれてましたが)気持ちよかったー。ようやく闇を一つ抜けた感じがしました。

しかし、沙慈くん暗い目で「ガンダムなんてやられちゃえ」というのが印象に残っています。

トリニティ、あまりに軽いキャラだなあと思っていたら、本当に軽く殺されてしまいました。感情移入ができなかったので、あまり可愛そうという気になれませんでした。もう少し大事にしてあげても良かったのでは?なんて思います。アニキの最後のセリフを考えると、まじでかわいそうな境遇なんですけど、弟妹はどんな人たちに育てられたのだろうと思ってしまいます。

さて、希望が見えてきました。次週からは気持ちよく見れそうです。
返信する
僕はね、正義の味方になりたかったんだ (ドミニア)
2008-03-14 05:07:53
ふーむ、敢えてネーナを残したことにどういう意味があり、どうドラマが生じていくか、そこが気になって仕方ないですね。

残りの話の中で、彼女にどんな役割を演じさせ、どんな試練を用意し、またどんな残りの人生、または死を用意しているのか・・・

今回の監督にはきちんとそういう部分に期待が出来るのでいいですね。
ただ容赦が無い人なので、どちらにせよ辛いイベントが待っていそうな気がします。


さて、刹那達のどん底のピンチ、世界に立ちこめる暗雲。
世界は変わらないのか、戦争に、そこにある悪意に、人は無力なのかと思わず思ってしまった所で、シュヘンベルグの語りと、トランザムシステムの起動。

いやあもう、めちゃくちゃシビれました。
BGMも相俟って、アニメでは今年に入って一番の興奮だったんじゃないだろうか。

ああ、これだ。これですよ。
ガンダムに求めていたのはこのたぎりだった!!

かつてファーストに強烈に感じ続けていた血の滾りを、いまトランザムで感じてる!!

たぎる、たぎるぞ!!
ぬふぁ────────ん!!!(ぉぃ


いや、本当にカッコよかったです。手に汗握りました。

今回は何より、シュヘンベルグ様に惚れました。
なんと一途な信念。なんと熱い平和なる世界への想い。
語り方はあんなに覚めてるのが逆にその想いの強さをうかがい知れます。

コールドスリープされた自分への攻撃によってあれが起動するという所が、自分の命に対する執着よりも、望む世界の実現に全ての重みをおいているという辺り、彼の信念のすごさと、同時にその孤独に哀しさを感じずにいられません。

Wのトレーズや、Fateの切継を思い出します。
誰もが子供の時に抱き、そして大人になるまでに諦めてしまうその理想に、自分なりに全力で挑もうとする人たちには常に心惹かれてしまいます。
そしてその過程で、誰もが何かを犠牲にする罪人になってしまうというのも哀しいもので・・・

思えば刹那達は、皆が切継と同じ道を辿っているんですねぇ。
既に殺した人間の数は知れず。
それを見るならば既に彼らは地獄が待ち受けているのでしょうが、それでも彼らは切継のように終わるのではなく、救いがあってほしいと望みます。

それ自体が罪なのだというのも、それはそうなんでしょうが。

せめてこの物語のラストが、シュヘンベルグの望んだ世界に近づくものでありますように。

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罪と罰 (燕。(管理人))
2008-03-15 02:20:38
■えのっちさんへ
す、すみません、えのっちさんのところでコメントさせて頂いた予想は外れてしまいました(笑)。
#残りの擬似GNドライブは何となくグラハムさんのところっぽかったですね。
サーシェスがああやって擬似GNドライブをゲットする、というのは予想できませんでしたー。
ネーナは気になりますよね。
あえて一人だけ、しかも一番視聴者的には罪が重そうなキャラを残したその意図は?というのが。
宗教的なモチーフを持ってきているので、贖罪となるのか、はたまた因果応報となるのか?
ですね。
たくましく(人間らしくなって)生き抜く、というのもありですよね。
返信する
まだまだひっくり返るかも (燕。(管理人))
2008-03-15 02:23:59
■こばやしさんへ
沙慈くんの「ガンダムなんてやられちゃえ」は視聴者的にも辛い感じのシーンでしたね。
本来沙慈くんはそういうのにモティベートされるべきタイプの人じゃないんですよね。
でも戦争が否応無く、戦場から遠かった少年さえも変えてしまった・・・、みたいな。
トリニティのアニキの最後の言葉は、このためだけに生まれて(造られて)きたのか?みたいな感じでしたね。
ここはあえて後ろに繋げたんだと思いますが、その言葉はきっとネーナ経由で語られるんでしょう。
次週はでも、どんなどんでん返しがあるかわかりませんよ(笑)。
返信する
ハリ・セルダン (燕。(管理人))
2008-03-20 22:42:56
■ドミニアさんへ
ネーナを残す、というのはやはりかなり罪と罰的な部分も残しつつ、デザインベイビーとして産み落とされた?(と思う)中で、その存在意義を否定された状態からどのような人間性を発露させていくのか?というところじゃないですかねぇ。
ただし、それは第1期で終えても良いかもしれないし、より面白くするならば、沙慈くんあたりと絡ませても面白いと思うので、第2期でしっかりやってもらっても面白いと思いますね。
#沙慈くんと絡めば否が応でも罪と罰的になると思うし、そのとき沙慈くんがどう反応するかも見所になるでしょうし。
トランザムはこれぞホンモノ、という感じで良かったですよね。
擬似GNドライブは最初からフェイク!という感じがしていたので、こういう対比があるのは個人的にスカッとしましたよ。
イオリア・シュヘンベルグについてはアイザック・アシモフの代表シリーズ、ファウンデーション・シリーズのハリ・セルダンのような人物でした。
イオリアがどう望んだんか?どうなって欲しかったのか?この辺を実際手を下したアレハンドロから是非聞きたいものですね。
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