5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

ロッホ・ローモンドの水力発電

2011-02-21 23:53:10 | 環境
最近、今流行の3階建てに建替えを済ませた隣家の屋根には太陽光発電パネルが並び、周辺を睥睨している。売電も出来るというが、さてどれほどの省エネ効果をエンジョイされているのやら。

今日のBBCモバイルに、「水力発電にスコットランドのゴールドラッシュ来る」という英国内ニュースを見つけた。

スコットランドでもっとも豊富な天然資源は「レアメタル」ではなく、広い丘陵地帯が吸収した「水」だ。今、小規模の水力発電がグリーン・エネルギー指向だということでちょっとしたブームの様相。渓谷や丘陵を流れ下る水流エネルギーをつかう水力発電に注目が行き、電源開発関連のビジネスは多忙なのだそうだ。

ニュースでは、そうした開発のひとつ、スコットランド民謡にも歌われる「ロッホ・ローモンド&トロサックス国立公園」のケースを紹介、公園や町や村などの地方行政が、それぞれ独自のローカル開発に手を染め始めていると書いている。

なぜ地方行政が電源開発計画をスタートするのか。

最大の理由は財務メリットで、昨年から実施されている優遇税制、グリーンエネルギーへの政府資金援助の増額が、ローカルレベルの電源開発を実現可能にしているのだと云う。低金利の状態が続けば、銀行に預け続けるより、こうした開発投資をして得られるリターンを狙おうということにもなるだろう。

さらに、発電コストは従来の買電コストよりも安価であり、風力発電よりも収入の読みがし易く、設備は長期使用が可能で、メンテナンス費用も少なくてすむというメリットもある。「ロッホ・ローモンド国立公園」内だけでも主な河川が50本以上あるのだから、他所とは違い風力エレメントより水力エレメントに注目する方が自然だということになったようだ。

スコットランドの「水力」侮るべからず、である。

毎年多数の観光客が訪れる「国立公園」内で、発電施設を造ることに問題はないのだろうか。「ロッホ・ローモンド&トロサックス国立公園」の場合は、発電パイプラインと発電所は地下に埋設、水取入口も目立たなく設計、利用客の反対を受けそうな視覚インパクトは最小限に抑えたという。

日本と同様、国からの公的支援金が減少している地方行政としては、「売電」による収入期待も大きい。カランデールという町では、町の北側数キロの距離にある ベンレディの丘に、240KWの発電施設を建設、発電された電力(住宅200軒分に充分供給できる)はナショナル・グリッドに直売をする。資金調達には苦心もあるようだが、初期投資予算は70万ポンド(9500万円)と比較的小額。先30年間で300万ポンド(約4億円)の収入がもたらされるとの試算である。

しかし、こうした開発には反対の声も多く、植生やツーリズムにネガティブな影響を与えるということで、プロジェクト中止をした自治体もある。大水の際の放水リスク、貴重な水苔の減少や魚類への影響などがそのポイントだが、小規模の電源開発に多数の申し込みが殺到していることから、開発業者による乱開発を起こさぬように、景観保護に対する行政側のイニシャティブが重要だとBBCは書いている。

「水の国」はわが国も同様だが、スコットランドのような地域行政単位が主体になって開発する小規模水力発電の可能性はあるのだろうか。政府指導下にある基幹電力会社は、水力発電の新設を考えることはもうないのだろうが、過疎山間地にある町村経営なら、このスコットランドモデルが参考になるかもしれない。風任せや太陽任せよりも、ひょっとすると効率的に発電し、地域住民用の電気を充分賄った上で、電力会社に売電も出来よう。

スコットランドでは、こうした資源開発は30年以上1世紀に及ぶ長期的スパンのもと、しっかりした将来への環境ヴィジョンを掲げて推進するのだとしている。「環境を損なうことなく、豊かな水資源をいかに巧みにつかうのか」。新しいエネルギ-開発、天然資源の有効利用は国家戦略でもあり、過疎地域のサバイバルプランでもありそうに思うのだが。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿