5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

第三の波

2020-06-19 21:48:47 | 環境

アルヴィン・トフラーが「第三の波」を書いたのは1980年だった。情報革命による脱産業社会の到来が第三の波だと彼は言ったわけで、その言のとおり、21世紀の世界は情報化社会を迎えているのだが、今日のツイートで読んだ「第三の波」はまるで別の社会的問題のことである。

昨年の後期から東アフリカ周辺で猛威を振るっている蝗の爆発的大発生。春に生んだ卵が孵るのがこれからで、それを第三の波と呼んでいるわけだ。

今日の中日夕刊「夕歩道」は、「蝗害」とはバッタの大群がもたらす災害をいうのだと書いている。これを「こうがい」と読ませるのだから、まさに「公害」というわけだ。

エチオピア、ケニヤ、ソマリアといった東アフリカ諸国で巨大な群れをつくったサバクトビバッタは、海を渡り中東を経て南西アジアに到達し、中国も蝗害警戒態勢に入ったそうだと夕歩道氏は書いている。

蝗たちは西にも向かう態勢らしく、エリトリア、スーダン、チャド、ニジェール、マリ、モリタニアと中央アフリカを横断して大西洋に抜ける計画も立てているらしい。若しそうした大陸横断が起ったら、それこそえらいことではないか。大食いの蝗たちのゆくところ、各地の百姓たちが懸命に育てる穀物は瞬く間に蝗の腹の中に納まってしまい、大群の去った後には、荒れ地だけが残っているのだ。

夕歩道氏によれば、トビバッタは変身が得意た。いつもは緑色や茶色のおとなしい「孤独相」なのだが、黄色と黒の「群生相」に変身すると性格は一変、大群にまとまって大移動をし始めるのだそうだ。

エチオピアでは、1月から4月の4か月間で、130万ヘクタールの牧草地、20万ヘクタールの耕地が蝗にやられ、35万トンの穀物が被害を受けているのだが、第三の波に襲われれば、被害はさらに大きく膨らむ。事情はケニアもソマリアも同様だ。

それだけではない。アフリカ各地は世界の他地域から遅れてやってきたコロナウイルスの恐怖の只中にあるのだ。我慢強いといわれる彼らも、旱魃と洪水に叩かれ、蝗に食料を喰いつくされ、さらに目に見えないウイルスの攻撃という四十苦に直面して特有のガンバリズムが萎え始めているという心配なニュースも読める。

トビバッタが群生相に変わるタイミングは、バッタの密度が高くなったとき。個体数が増えて、バッタ同士の接触機会が増えたときにおこるのだというのは、コロナ禍の我々を見るようでおもしろい。「バッタ社会でも密は鬼門らしい」というのが夕歩道氏のまとめだ。

 


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