5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

1ドル75円

2011-08-20 23:03:49 |  経済・政治・国際
NBCのナイトリーニュースは、アメリカ国内の経済環境が思いのほかに悪いのだということを知らせてくれる。

大人気で就任したオバマも、今ではその経済問題解決能力が国民の4人の1人に疑われ始めている。議会が休会中の8月は大統領も夏季休暇をとる約束だが、レイオフでも仕事が見つからない者たちにすれば「マーサズ・ヴィンヤードなんていったこともない贅沢だ」とやっかみが云いたくなるのは良くわかる。

9%を超える失業率は少しも改善の気配を見せない。フラストレーションが特に強いのは、オバマの大支持層だったアフリカ系アメリカ人である。彼らに限っていえば失業率なんと16%というのだから問題解決は簡単にはゆくまい。

全米で1400万人が仕事に就けない状態にあるが、新規労働力は企業の50%以上が必要だとしており、今日のニュースでもアメリカ各地で行われる「就職相談会」が大賑わいだと伝えている。

なのに求職者の多くに仕事が与えられないのは、"Skills Gap"と呼ぶ技能不足が問題なのだ。どうやら日本人と同様に、社内経験則だけで仕事を続けてきたアメリカ人たちも多いようで、彼らがレイオフに遭い新分野の仕事を探そうとしても職能的知識も技能もまるで無いということになるのだ。効率優先の米社会、オンザジョブ・トレーニングなどと悠長なことが言える経済環境ではないのである。

さて、「NY円が戦後最高の75円台をつけた」という今日の経済ニュース。

現地時間19日のNY外国為替市場の円相場が一時1ドル=75円95銭まで急騰し、震災直後の3月17日につけた戦後最高値(76円25銭)を約5カ月ぶりに更新し「超円高」のリスクも出てきた。乱高下する株値だが、全体には株安傾向。投資資金はいやでも円に向かうというわけだ。

日本政府・日本銀行が判断のベースにしていた最高値を抜いたというのだから、週明けは再びのドル買い介入が考えられるだろう。しかし、気になるのは、欧米のメディアは「日本円」が一方的に買われる動きや日本国内の経済状況について、良いとも悪いとも具体的なコメント記事を書こうとはしていない点だ。

NBCの国内ニュースに見られる雇用創出の失敗からくる経済復旧の遅れが明らかな今、景気の減速懸念は皆の意識からぬぐいきれない。自分の懐が火の車になりかけているアメリカもEUも、日本円のことなど構っては居られないということなのだろう。

FRBの低金利政策はこれからも続くのだ。こんな状態で為替介入をしたとしても、はたしてどれほどの円高抑制につながるのか。世界は弱い円を求めてはいないのである。

日本の景気浮揚を図るために強くなった円をどう使うのか、新しい政府の経済政策が注目されるところだ。為替介入だけが方法ではない。













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